ウルトラマンメビウスを振り返って・Vol３

　メビウスの最終クールで印象に残ったのは41話‘思い出の先生’で矢的猛＝80が登場して80との共闘があった。　続いて42話‘旧友の来訪’で佐原健二演じるタケナカ最高総議長が登場しウルトラ警備隊の参謀だった事が触れられ、いよいよ歴代の防衛チームとの結びつきが顕著になってきた。　しかもサコミズ隊長はかつて科学特捜隊のキャップで宇宙飛行士に転身したためタケナカと同い年ながら亜光速で航行を繰り返すうちにウラシマ効果で40年前と変らない姿になったという驚くべき設定が登場。　またその後3話にわたって登場する清水綋治演じるヤプールが登場、ブラック指令のようなムードをも醸し出しワクワクさせてくれた。　そしてこの42話からいよいよ最終偏に突入する。　ヤプールが異次元空間から召還したエースキラーと43話で戦わせて消耗させると44話より登場した暗黒四天王の1人としてヤプールが巨大化して月面との2面作戦でメビウスを揺さぶる。　しかも劇場版に登場したジングウジ・アヤが人間の善の部分の象徴として登場する一方、悪の部分の象徴として28話で登場したゴシップ記者のヒルカワも再登場。しかも事件が解決してもミライに感謝するどころか記事のネタにするなど悪辣ぶりを発揮する。　ここで顕著になるのが月面で遭難したGUYSのメンバーのうち優れた聴覚の持ち主であるマリナが北斗星児の声を聞いて・・・というのはマリナの特質だろうと思っていた。　ところが45話で郷秀樹の気配をジョージが感じ、46話ではモロボシ・ダンの気配をコノミが、47話でハヤタの気配をテッペイが感じるのを見て最終章への布石か？と思った。　案の定、最終章ではまずヒルカワのミライ＝メビウス記事が暴露される。29,30話に登場してやっとの事で倒したインペライザーが多数来襲するなど危機感が煽られていくが欲を言えば各国のGUYS 基地がインペライザーと戦闘を開始した時に38話に登場した勇魚を再登場させて欲しかった。　49話でヒカリだけでなくザムシャーとファントン星人にサイコキノ星人がゲスト出演。印象的なキャラだっただけに嬉しかったが、彼らを容赦なく叩きのめすエンペラー星人の強さに感服。　そして最終回にGUYSの隊員達と共にメビウスに変身して戦うのを見て1話完結系ではなく大河系の面白さと醍醐味を感じた。　つまりこれまでの積み重ねがあるからこそ最終回のカタルシスは格別だったのだ。　ネクサスでは11話から15話あたりまで陰鬱な展開が多くそれゆえ私も見るのを止めかけたが、最終回のカタルシスはこの陰鬱な展開あればこその思いが強かったのだ。　だからメビウスのスタッフはこの経験を生かして伏線を張って最終章へ引っ張ったのだと思った。　メビウスはある意味ウルトラシリーズ生誕40周年の記念作品であるゆえ幅広い世代対象に製作されたという事情があったにも拘わらず、歴代のウルトラ兄弟との共闘をポジティブに描く事に成功した稀有な作品だったと思われる。

　本当にメビウス製作スタッフの皆様お疲れ様

でした。

そしてありがとうございました。