ウルトラマンタロウの33話&34話にあたるテンペラー星人編の
脚本が佐々木守だったのには意外だった。
というのも佐々木守はウルトラマンから参加しているものの、
ウルトラマンでは実相寺昭雄監督と組んでガバドンやジャミラに
シーボーズなど、ウルトラマンよりも怪獣の方に思い入れをして
しまう金城哲夫-円谷一コンビとは対極の反体制派の作品を得意
としていた。
もっともスイカに塩をふると甘味が増すように佐々木-実相寺
コンビの作品があるからこそ、ウルトラの世界に幅が広がるとい
う効果が見られたのだ。
その佐々木守はウルトラセブンではクレージーゴン編の勇気ある
戦いと遊星より愛を込めての2本を担当した後、怪奇大作戦で実相
寺監督とコンビを組んだ3話を最後に円谷作品から離れている。
第2期ウルトラの頃はミラーマンの裏番組であるシルバー仮面や
アイアンキングのメインライターをしていたので、円谷作品とは
ご無沙汰だったのだがタロウのテンペラー星人編で第2期以降では
唯一の作品を書いている。
佐々木守作品の怪獣や宇宙人は あまり街で暴れないケースが
多かったのだが、今回のテンペラー編ではメインの田口成光が
書いたような内容だったのだ。
もっともウルトラ兄弟が地球にいるから地球が狙われるという
レオあたりで語られた事の元祖のテーマが入っているので、そこ
などは いかにも佐々木守作品だと思えるのだが氏の作風からは
珍しい娯楽作品ではあった。