田口ドローでV5「やりづらかった。試合巧者でした」
早いもので今日で年が明けて2週間が経ち、年末のボクシング世界
戦から2週間が経つ。
12月30日から行われた7試合の世界戦で日本人選手の5勝2敗1分
という成績で、日本人同士の世界戦が1つあった事から日本人選手が
外国人選手に負けたのはジェスレル・コラレスに返り咲きを阻まれた
内山高志のみという事になっている。
内山の所属するワタナベジムは前日に元王者の河野公平が井上尚弥に
KO負けして返り咲きを阻まれており、田口良一が引き分けで辛うじて
防衛だったわけだから仮に負けていたらワタナベジム勢の1人負け状態
だった。
さて大晦日にワタナベ興行に登場したWBA:Sフェザー級S王者の
コラレスと、田口に挑戦したカルロス・カニサレスは共にやりづらい相
手で両者とも前半のポイントリードを受けて後半は完全な逃げ切りを
図ったという共通点がある。
コラレスはパナマ、カニサレスはベネズエラの選手で考えてみれ
ば、これらの国の選手に日本人ボクサーは何度も苦杯を舐めてきた。
パナマやベネズエラの選手はテクニシャン系が多く巧妙にポイン
トをピックアップして逃げ切るというスタイルは‘倒してナンボ’と
いう価値観を持つ日本のボクサーとは対極にあるわけで昭和ではイ
ラリオ・サパタやエウセビオ・ペドロサ、平成に入るとヘスス・ロ
ハスやロレンソ・パーラらがその系譜だろう。
相手の持つ独特のリズムとスタイルに戸惑っている間にポイント
を失い、慣れてきた時にはポイントをリードされていて追い上げる
ものの逃げ切られるというのが日本人ボクサーの必敗パターン。
よくしたもので田口や内山は立ち上がりは慎重に様子を見て行き
中盤からペースアップしていくタイプだったので、相手にとっては
ありがたいスタイルだった事になる。
そういった相手に勝つには先制攻撃でペースを握り、そのまま
押し切るというのが必要不可欠でラテン系選手と戦う際にはボク
シングだけでなく野球でも最強といわれたキューバに勝った時は
先攻のケースが多いというのが それを証明している。
昭和の時代に輪島功一が常々言っていたのが‘5Rまでに8割方
のスタミナを使ってでもペースを握りに行く’という戦い方こそが、
ラテン系選手と戦う場合の必勝法ではないだろうか。