昨日BS-1で「時代」と闘った男・佐々木守がOAされたので、見て
みると想像していたよりも面白かった。
佐々木守といえばウルトラマンのジャミラ編やシーボーズ編の
ような反体制派の脚本家というイメージだったのだが、それ以上に
多様な価値観を持つようにというようなメッセージを送っていたと
いうテーマだった。
そして氏を見出したのがTBSの橋本洋二プロデューサーというのも
語られていたのだが、十分納得できるものだった。
橋本洋二といえばウルトラセブンの終盤にプロデューサーとして
乗り込んできて‘隊長は出動しか言わないのですか?’とメイン
ライターの金城哲夫を詰問したエピソードがあるように、隊員達
にも多様な意見があってしかるべしというポリシーがあったようで
直球勝負でメインを張ってきた金城哲夫には厳しいものがあった
半面 変化球投手的な佐々木守には相性がよかったのだろう。
実際セブンの後番組・怪奇大作戦では佐々木守や同じ作風の上原
正三の作品がメインになり金城作品は非主流派になってしまうわけ
で、これは帰ってきたウルトラマンからスタートした第2期ウルトラ
にも受け継がれた流れだった。
円谷での佐々木守作品といえばウルトラマンではジャミラやシー
ボーズだけでなくガヴァドンやスカイドンなど従来の怪獣とは一味
違うキャラだったし、怪奇大作戦では戦争を色濃く引きずった恐怖
の電話や死神の子守歌に繁栄する時代に取り残された人達を描いた
京都買いますなどが印象深い。
また第2期ウルトラの頃は必ず戦争を引き起こす人類が宇宙に進出
するべきでないという考えの宇宙人が多かったシルバー仮面や、ヒ
ーローなのにやたらと弱く人間が主役で敵を倒すアイアンキング
など従来の固定観念に囚われない作品が多かったのも事実。
確かに正統派の作品に慣れた者には少し違和感があるものの先述
したような固定観念に囚われない作品は最初に見てから数十年経っ
たにも拘わらず、未だに心に残るものが多いのも事実で佐々木作品
を多く見る事ができた我々は幸せだったのだと実感する。