宮地神仙道

「邪しき道に惑うなく わが墾道を直登双手
または 水位先生の御膝にかけて祈り奉れ。つとめよや。」(清水宗徳)

"おしゃべりヴェー"

2005年11月23日 | Weblog
ピグミー族の伝承です…。
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ナイル河のほとりに平和に住まうピグミー族は
ただ一つの問題を抱えていました。
それは毎年彼らの大切な小麦畑に巨大な鶴の群れが
やって来て、小麦を食べてしまう事でした。

ある日ヴェーという若者が河の浅瀬で身体を洗って
いると、草むらの中で仲間のヌーという青年が鶴と
いるのを見ました。

『ヌー、何をしてるんだ!?そいつは畑を食い荒らす
奴だぞ!どうしてすぐに殺してしまわないんだ!』
『そんな事は出来ないよ。足から血を流して苦しんで
いたんだ。今薬草をつけてやったところだが、ヴェー、
他の人には絶対に言わないでくれないか。』

ヴェーは何日かの間秘密を守っていましたが、誰かに話したくて
たまらず、また怒りを感じはじめ、とうとう仲間達に語って
しまいました。
それを昨年大きな被害を受けて困っていた仲間達がそれを聞いて
怒りはじめ、とうとう彼らはヌーの家に放火して住居を燃やして
しまいました。

大地の神ガイアは地上の実りを人間だけに独占させる事を望まず、
またヌーを哀れに思い、ある晩にヴェーの夢に現れ『お前のために
家を失い、火傷を負ったヌーを気の毒とは思わないか。』と
言われました。しかしヴェーは約束を破ったのはヌーが悪いためだ、
と主張しました。

地の神ガイアはヴェーの懲らしめのため、ヴェーを小麦に変えて
しまいました。
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感謝祭を前にして…
この伝承は読み手によって解釈が若干異なるかもしれない、と
感じました。
いかなる状況であれ生命を守る事は正しい、約束を破る事は相手
のみならず自分をも傷つける、という教訓とも読み取れます。
その中で個人的に特に印象に残りましたのは、ガイアが地上の実りを
人間だけに独占させるのを望まなかった、という点でした。
大地から得られるものは、全て与えられたものですね…。
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