画像は80年代のムー誌の記事で、平田篤胤翁からの壮大な霊的プログラムを解き明かし、
また月と地球の分離の時に幽冥界が生まれた、日本は超古代の大洪水を免れた地であった、
篤胤翁が秘儀によって久延毘古(クエビコ)神と合一した、そしてその霊的プログラムは
なお進行中であるとする大胆な説が展開され、興味深いものとなっています。
まずは篤胤翁と仙道寅吉少年との出会いと、その記録の要約の紹介に始まり、
次に篤胤翁が会見した勝五郎少年転生の物語の要約、そして稲生物怪録の要約の紹介、
そうして翁の太古の秘められた謎の研究に関する考証へと移っていきます。
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篤胤は、かつて幽冥界から聖なる力を引き出すために行われた太古の密儀を
掘り起こし、復活させるために、京都の神祇伯家に接近し、その教授資格を得て
いるのだ。
更に伯家に伝わらなかった秘儀をも求め、吉田神道とも交流した。
更に、これらの神道宗家の欠落部分を補うため、道教や密教、陰陽道の修法書を
研究し実践しては、独自の霊術を完成させていった。
彼の遺した数々の神道修法書には、一人で冥想する行から、数十人で執り行う
祭儀までが、詳細に述べられているが、彼の秘儀開発の目的とは、日本列島全体を
巨大な密儀空間と化すような、民族全体として行うべき祭祀であったのだ。
それにより、各地の霊峰に隠された異界への回路が一斉に開き、幽冥界からの
エネルギーが現世に流入し始める。
超古代に世界に君臨した、「日本神仙文明」の復活を一挙にして行う、
最終計画である。
その実践段階について、更に秘密めいたエピソードがある。
篤胤が、平将門を厚く信仰し、自室に祭壇を作って祝詞をあげていた事である。
将門は関東に鎮座し、江戸という都の守護神として、一個の強大な霊的力学回路と
なっていた、
つまり、将門の霊を呼び覚ました者こそ、関東の覇権を握れる事を意味するのだ。
日本のあらゆるオカルティズムに通暁しつつあった篤胤が、やはりこの霊的力学を
見逃すはずはなかった。
将門の聖地の多い上総地方に彼が幾度も旅行していること、また後年に
自らを「平篤胤」と号し、将門と自らをオーバーラップさせるような発言をしている事が
明らかにされているのだ。
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驚くべきことには、月が地球に垂れ下がってつながっていた時、
地球と月との間が地下トンネルで通行可能であったと、「霊能真柱」が
断定しているのだ。
トンネルの入り口は、出雲国の黄泉平坂だったという。
イザナミやスサノオも、ここを通って黄泉に赴いたのだと言う。
篤胤によれば、地球と月が完全に分離し、交通不可能になったのは、
大国主命の時代、皇室の祖先である神、ニニギ神が天孫降臨した時だと言う。
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墓への供物や凡送りの行事もまた、幽冥空間が接近する地点や時節を
知っていた、古代人の考えた通信方法なのだ。
もし幽冥界との交流が再び可能になれば、神々の力もまた、この地上に
復活するのでは?
篤胤は、禁断の文字で記された古代文献を含む、神話や伝説の古文書が
うず高く積まれた机の前で考えていた。
そして彼の脳裏に、神示の如く湧いたのは、一つの壮大な秘密計画であった。
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残念ながら、篤胤が死の直前までに、霊的秘儀をどこまで完成していたのかは
明らかでない。
が、宮地水位の「異境備忘録」や、参澤宗哲の「幸安仙界物語」には、
死後の篤胤についての不思議な記述があるのだ。
それらによると、篤胤は死後、幽冥界に高位の神仙として転生していると言うのだ。
これこど、篤胤の修法が完成の域に達していた証拠ではないか。
そしてその修法がどのようなものであったのかについては、篤胤自身が
未発表研究ノートに遺した言葉がヒントになるだろう。
すなわち、「吾身は一箇の久延毘古なり」と。
篤胤の研究した秘儀、「久延毘古祭式」とは、人間の体に宿る生命エネルギーを
幽冥界の産霊(むすび)のエネルギーと還流させ、自らを久延毘古神と合一させる
究極の行なのだ。
彼はその行法の果てに、まさに一個のクエビコと化したのではないか。
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だが、クエビコは自ら動く事はできない。
その超記憶に内蔵された全宇宙の情報は、外からの働きかけなしには
作動しないのだ。
秋田へ追放され、気吹舎との連絡を絶たれた彼は、晩年に完成した
「久延毘古祭式」を門人に伝授することができなかった。
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恐らく平田篤胤の天才は、あまりに究極の奥義に達しすぎたのだろう。
また、西洋の物質文明に浸かった近代日本で、篤胤の霊学を真摯に継承しようと
考える者自体、あまりに少なかったのだ。
現代科学理論にも劣らぬ直観力で、宇宙生命エネルギーによる世界の生成と
幽冥界の謎を解明し、幽冥界と交流する超古代の霊的文明の復活を
企てた平田篤胤のプログラムは、こうして未完成のまま、現代に遺されている。
いつかクエビコ=篤胤の超記憶が引き出され、日本が支配する超世界文明が
復活し、幽冥界と現実界が再び融合する日は来るのだろうか。