再会
ここ三年の間に二度にもわたり偶然出会った一人の中学の時の同級生がいた、
一度目はなんの差し障りのない会話で別れおそらくそれきりだろうと思っていた、
そして今年の六月またしてもばったりと出会ったがその時も強い思いもなく短い会話をして別れた。
五十年近くも合わなかった旧友に偶然とはいえ二度も出会ったことは
なにかの縁だろうと思わざるをえなかった。
その夜電話帳を開いて彼の電話番号を見つけるのは簡単だった、意を決して受話器を取ると連れ合いらしき人が出て簡単な自己紹介をしメールアドレスだけ伝えてくれるよう頼んでおいた。
数日してからのメールの返事からは行方の知れなかった僕のことは大分話題にのぼっていたことがわかった。
生まれ育った地元に住む彼らはかなり仲が良いらしく年に二回も同級会で親交をあったためているという、
あの頃から性的嗜好の違う僕はいじめられることは全くなかったがこうした会は極力避けてきたものだった。
九月に僕が帰ることを知ると是非とも同級会を開きたいという。
十六人参加するというだけで誰が来るのかも分からず
その日の朝からだいぶ緊張していた、
そんな心配もよそに会ってみるとなんら偏見もなく受け入れてくれたのは
やはりあの頃の彼らの優しかった心情からなのだろう。
さらに翌朝には思いもよらず農業をしている女友達が新米が採れたと言ってミョウガと一緒に持ってきてくれ、
午後には蕎麦粉と一緒に蕎麦の正しい打ち方のメモを持ってきてくれた男友達がいた。
こんな素晴らしい友を避けていた自分に情けなくなるやらで涙目になってしまった。