(London)
シャルル ボードレール(1821-1867)
酔いなさい
常によっていなければならぬ。
それがすべてだ、問題はそれしかない。
君の肩を押しひしぎ、君を地べたにかがませる「時間」の恐るべき重荷を感じ
たくなかったら,休むひまもなく酔い続けなければならなぬ。
しかし、何に?酒にでも、詩にでも美徳にでも、お好きなように。
だがとにかく酔いなさい。
そしてもしも時たま、宮殿の石段の上で、堀割の緑の草の上で、君の部屋
の陰鬱な孤独の中で、君が目を覚まし、酔いがすでに薄れたり消えたりしてい
たら、尋ねるがいい,風に、波に、星に、鳥に、時計に、およそ移ろうもの、
およそうめくもの、およそめぐるもの、およそ歌うもの、およそ語るもののす
べてに、訊ねるがいい、今は何時かと。
すると、風も、波も、星も、鳥も、時計も、君に答えるだろう、
《いまは酔うべきとき ! 「時間」 の奴隷として虐げられたくなかったら、
酔いなさい、絶えず酔いなさい!
酒にでも、詩にでも美徳にでも、お好きなように》と。
(安藤元雄 訳)
シャルル ボードレール(1821-1867)
酔いなさい
常によっていなければならぬ。
それがすべてだ、問題はそれしかない。
君の肩を押しひしぎ、君を地べたにかがませる「時間」の恐るべき重荷を感じ
たくなかったら,休むひまもなく酔い続けなければならなぬ。
しかし、何に?酒にでも、詩にでも美徳にでも、お好きなように。
だがとにかく酔いなさい。
そしてもしも時たま、宮殿の石段の上で、堀割の緑の草の上で、君の部屋
の陰鬱な孤独の中で、君が目を覚まし、酔いがすでに薄れたり消えたりしてい
たら、尋ねるがいい,風に、波に、星に、鳥に、時計に、およそ移ろうもの、
およそうめくもの、およそめぐるもの、およそ歌うもの、およそ語るもののす
べてに、訊ねるがいい、今は何時かと。
すると、風も、波も、星も、鳥も、時計も、君に答えるだろう、
《いまは酔うべきとき ! 「時間」 の奴隷として虐げられたくなかったら、
酔いなさい、絶えず酔いなさい!
酒にでも、詩にでも美徳にでも、お好きなように》と。
(安藤元雄 訳)