家庭での仕事は実にたくさんある。私は仕事人間だったため30年間以上
料理と買い物だけはしたが、すべて長年助けてくれた何人かの家政婦さん
達に頼んでいた。今はそれらをすべて一人でやっているが、お掃除が
一番疲れると思う。なんでも人一倍早かったのに、それがだんだん早く
できなくなり時折もどかしいがでも、もう高齢だから仕方がないのだと
いつも自分に言い聞かせている。
今ゆで卵をむきながら考えていて、私の友人たちは全部未亡人で
かなり老化している人が多くなった。むろん私も忘れることも多くなり
物覚えも悪くなったけれど、まだウインドーズ11に切り替え、それを
どのように使いこなすかなど、まだいろいろ意欲だけはある。
高齢になると単純な記憶や生理的な衰えは仕方がない、思いつい
たら即行動できる人なんで、たぶん同世代前後の人は一人もいない。
衰えつつある能力を今までより注意して、誰にも迷惑をかけずに
生きていくしかないのだ。ここまで書いたら、突然パリのモンパルナス
ホテル、メディリアンで誰もいない部屋で、電気鍋で工夫して料理した
ことを思い出した。まだ感性も向上心も意欲も(実はあり過ぎて
困っているが)行動力も衰えてはいない。
きれいにむけた卵は、料理好きな私に元気を与えてくれた。