それは昨日の読売新聞「人生案内」に相談した15歳の中学生だった。
書き出しは「15歳の女子中学生。生きることに疲れました」から
始まっていたが、それを読んで15歳の自分に出会った様な気がした。
その頃私立中学へ通っていて、文学少女だった私は、色々な本を読んで
かなり厭世的になっていた。

そんなある日晴天の霹靂のような事件があり、私は自殺をはかった。
その時代は少女が自殺するなど全然なく、新聞に大きく取り上げられた。
「どうして死にたくなったのですか?その原因は何ですか」と、入院して
いる病院へお巡りさんが毎日来て聞かれた。でも、私は本当のことは
決して言わなかった。嘘をついたのは、実は継母を庇うためだった。

「経済的に無理なのになぜ私立中学へ通わせているのか」と批判めいた
記事もあったことも記憶しているが、それは私の嘘のためだった。
T子さんは私とは違う状況だが、思春期のピュアでもっとも感じ
やすい年ごろなので、そんなT子さんの気持ちが良く理解できた。
私の人生を大きく変えた事件だった遠い昔、その頃の気持ちはまだ
埋もれ木のように私の中に存在している。その頃矢車草が大好きだった。