突然ある方が訪ねてきて、びっくりしたが、多分夫の死を知って来て下
さったのだと思った。その方は現在梅が丘駅前通りでは最も流行っている
お店の社長さんだった。何年か前から病気になり、現役を引退したが他にも
何店舗もお店を持っているので、ご自分はときどき見回りに来るようだ。
以前は田園調布に住んでいたが、今年から熱海に住むようになりました
と年賀状を頂いた。
同じ商店街なので、たまに会うと立ち話をするほどの間柄だが、今日は
長年行きつけの理髪店で、夫の亡くなった事を知り、すぐに来て下さった
ようだ。近所でも私は「夫の介護をすごくよくやっている」と評判だった
そうで、「だから清ちゃんは本当に幸せだったよね。だから能里ちゃんが
心配で・・・これからは好きなことをやった方が良いと思うよ。あなたは
特別な能力がある人だからね」と励まして下さった。
何にも言われなかったけれど、ご近所さんも「認知症他いろいろな病気
がある夫」を長年一所懸命介護する私を見ていて下さっていたのだ。
でも必ず誰でも言ってくれたのは「ご主人は本当に幸せですね」だった。
子供達には私の日常は全く理解しないようだが、古くから知っているご近所さんは私をよく理解して下さるのだと、とても有難く嬉しかった。
それにしても・・・・亡くなった当時は「早く迎えに来てね」と言って
いたが、今は「また会おうね」と言葉が変わった。
でも、今日はやさしい励ましの言葉に、過分なお香典を添えて夫に手を
合わせて下さったKさん。昔馴染みはよいなと感謝できて、何となく滅入った気分が払拭され、心の中にパーッと明るい光が広がったような、とても
幸せな日だった。