前回アップした「アグネータと魔法の切り絵」からの画像のように、
何処の国であっても田舎はそこに住む人も素朴だし、のどかな景色の中で
心豊かに暮らせるような気がしていた。でもそれはただの幻想に過ぎない
と言われそうな凄惨な事件が起きた。
横溝正史の小説を思わせる山口県周南市の集落で起きた連続殺人事件で
容疑者とされる男性は、その姉の話によると10年ほど前に被害者の一人
から酒の席で口論になり刺されるという過去があったらしい。
人付き合いが上手くいかず、地元の警察に「孤立している」と訴えたこと
もあるという。この集落に帰ってきたのも親の介護だったということから
彼が非情な人間ではなかったことも覗える。
家の周囲のあちこちからは、この男性の暮らしを楽しむ工夫が見てとれ、
犬を愛していた様子も伝わってくる。
被害者の方々や身内の方々には心から気の毒だと思うし、
決してこんな残虐な事件を起こした人間を庇いたいわけではない。
でも。
こんな携帯の電波も届かないような場所で、孤立してしまった立場を思うと
やりきれない気持ちにもなる。他に気を紛らすものが無い限り、彼は毎日
どんな思いで暮らしていたのだろうか。ここに至るまでの彼の苦悩は
どれほどのものだっただろうと。そしてもし、今まだどこかに潜んでいると
したら、犯してしまった罪の重さに苛まれボロボロの心を抱え自らの手で最
後の裁きを下すべく、その場所を求めて彷徨っているのではないかと。
世の中には人付き合いの苦手な人もいれば、それを理解できない人もいる。
個人的には、見境のないお喋りで他者を中傷して回るような人より、仲間外
れにされても媚びずに生きている人の方がずっと潔いと思ってしまう。
この事件の底に潜む「人の怖さ」は、むしろ、悪意とまでは言えないけれど
同調することで得られる「仲間意識」を共有する集団の中にこそある気がし
てならない。
それでも人はそこで暮らす限り、自分らしさを消さずに周囲の人々とも
出来るだけ良い関係を築きたいと思うもの。
アグネータさんにしろ、ここに至るまでには沢山の辛いことがあった。
織物作家として活躍中に結婚と出産、そして離婚を経験していた。
今とは程遠く前衛作家のように見える 綱渡りをしているのは悩めるアグネータさん自身だった
幼いころから、苦しいことがあると本の中の想像の世界で遊んだという
豊かな自然や森に囲まれたこの場所には、様々なものが潜んでいた
胸に穴が開いた白い女性 フルドラ
美しい湖に引きずり込む恐ろしい妖精も切り絵になる そしてパールさんと再婚
娘にも恵まれ幸せな家庭を築いたけれど、一時はパールさんにも不安定な時期があり
決して順風満帆にここまで来たわけではないという
そんなときも、現実世界の苦しみと対峙することがやや苦手な彼女を助けたのは
想像の世界。
そして10年もかけて彼女のアトリエを一人で建てたという夫の存在だったという。
祭りのために花を摘み家族で飾りつける
そして村の人たちとも穏やかに過ごす幸せな時間
アグネータさんの誕生パーティーは庭で 手作りの花のジュースでおもてなし
夫と妻の育んできた日々を切り絵に
「今は人生の下り階段」とパールさんが表現した、穏やかな陽だまりのような日々
人生の黄昏の時には、出来ることならこうありたいけど、先の事件の男性と
この夫婦との違いは一体何だろうと考えてしまう・・・心を開き人を信じて
一歩踏み出す「ほんの少しだけの勇気」だろうか
何処の国であっても田舎はそこに住む人も素朴だし、のどかな景色の中で
心豊かに暮らせるような気がしていた。でもそれはただの幻想に過ぎない
と言われそうな凄惨な事件が起きた。
横溝正史の小説を思わせる山口県周南市の集落で起きた連続殺人事件で
容疑者とされる男性は、その姉の話によると10年ほど前に被害者の一人
から酒の席で口論になり刺されるという過去があったらしい。
人付き合いが上手くいかず、地元の警察に「孤立している」と訴えたこと
もあるという。この集落に帰ってきたのも親の介護だったということから
彼が非情な人間ではなかったことも覗える。
家の周囲のあちこちからは、この男性の暮らしを楽しむ工夫が見てとれ、
犬を愛していた様子も伝わってくる。
被害者の方々や身内の方々には心から気の毒だと思うし、
決してこんな残虐な事件を起こした人間を庇いたいわけではない。
でも。
こんな携帯の電波も届かないような場所で、孤立してしまった立場を思うと
やりきれない気持ちにもなる。他に気を紛らすものが無い限り、彼は毎日
どんな思いで暮らしていたのだろうか。ここに至るまでの彼の苦悩は
どれほどのものだっただろうと。そしてもし、今まだどこかに潜んでいると
したら、犯してしまった罪の重さに苛まれボロボロの心を抱え自らの手で最
後の裁きを下すべく、その場所を求めて彷徨っているのではないかと。
世の中には人付き合いの苦手な人もいれば、それを理解できない人もいる。
個人的には、見境のないお喋りで他者を中傷して回るような人より、仲間外
れにされても媚びずに生きている人の方がずっと潔いと思ってしまう。
この事件の底に潜む「人の怖さ」は、むしろ、悪意とまでは言えないけれど
同調することで得られる「仲間意識」を共有する集団の中にこそある気がし
てならない。
それでも人はそこで暮らす限り、自分らしさを消さずに周囲の人々とも
出来るだけ良い関係を築きたいと思うもの。
アグネータさんにしろ、ここに至るまでには沢山の辛いことがあった。
織物作家として活躍中に結婚と出産、そして離婚を経験していた。
今とは程遠く前衛作家のように見える 綱渡りをしているのは悩めるアグネータさん自身だった
幼いころから、苦しいことがあると本の中の想像の世界で遊んだという
豊かな自然や森に囲まれたこの場所には、様々なものが潜んでいた
胸に穴が開いた白い女性 フルドラ
美しい湖に引きずり込む恐ろしい妖精も切り絵になる そしてパールさんと再婚
娘にも恵まれ幸せな家庭を築いたけれど、一時はパールさんにも不安定な時期があり
決して順風満帆にここまで来たわけではないという
そんなときも、現実世界の苦しみと対峙することがやや苦手な彼女を助けたのは
想像の世界。
そして10年もかけて彼女のアトリエを一人で建てたという夫の存在だったという。
祭りのために花を摘み家族で飾りつける
そして村の人たちとも穏やかに過ごす幸せな時間
アグネータさんの誕生パーティーは庭で 手作りの花のジュースでおもてなし
夫と妻の育んできた日々を切り絵に
「今は人生の下り階段」とパールさんが表現した、穏やかな陽だまりのような日々
人生の黄昏の時には、出来ることならこうありたいけど、先の事件の男性と
この夫婦との違いは一体何だろうと考えてしまう・・・心を開き人を信じて
一歩踏み出す「ほんの少しだけの勇気」だろうか