「あほリズム」(716)

2020-08-12 16:55:49 | 従って、本来の「ブログ」

        「あほリズム」

 

          (716)

 ドストエフスキーは戦争についてこんな風に言ってます、 

「戦争というものは、最少の流血と、苦痛と、損害とを以って国民
 
間の平和を獲得し、幾分でも国民間の健全な関係を定める行動であ
 
ることを信じ給え。勿論これは悲しいことだ。が、そうだからと言
 
って、ではどうしたらいいのか。無期限に苦しむより、いっそ剣を
 
抜いて了った方がいいのである。文明国民間の現代の平和が戦争よ
 
り何処がいいと言うのか。それ許りではない。人間を獣にし残酷に
 
するのは、戦争ではなく寧ろ平和、長い平和だ。長い平和は常に残
 
酷と卑怯、飽くことを知らぬ利己主義を生む。就中、知識の停滞を
 
齎す事甚だしい。長い平和が肥やすものは投機師だけである。」
 
(「作家の日記」一八七七年、四月)
 
こんな風に言いながら、自身は「賭博にのめり込んでは借金を作り、
 
兄や知り合いに無心する手紙を多数残している。」(『小林秀雄「ド
 
 
もちろん、これは彼独特の社会批判であり、そのまま信じる訳には
 
いかないが、かといってまったく否定することにも躊躇いがある。
 
もしかして、日本がこれまでで一番希望に輝いていたのは戦後すぐ
 
の時代だったのかもしれない。何故ならもう戦争で死ぬことはない
 
のだから。