「あほリズム」
(717)
そもそも閣僚が靖国神社を参拝しようが、それを他国からとやか
く言われる筋合いはないというのはもっともなことだが、ただ、決
して忘れてはいけないのは、かつて日中国交正常化交渉において、
故 周恩来首相が日本に対して戦争の「賠償請求の放棄」を認めたの
は、『「日本人民と中国人民はともに日本の軍国主義の被害者であ
る」として、「日本軍国主義」と「日本人民」を分断するロジック
によって「未来志向」のポリティクスを提唱し、共同声明を実現さ
せた。』(ウィキペディア『日中国交正常化交渉』) からであって、
ところが、喉元の短い我ら大和民族は過ぎ去った熱さをすぐに忘れ
て、1978年にいわゆる東京裁判において処刑されたA級戦犯、
つまり日本軍国主義の指導者たちが、日本人民である英霊が眠る靖
国神社に合祀されたことによって「周恩来の遺訓」(保阪正康)は踏
み躙られ、https://home.hiroshima-u.ac.jp/utiyama/ISIS-12.3.W.html
「未来志向」のロジックは忘れ去られた。つまり中国からすれば、
その経緯を蔑ろにしているのは日本側であって、以来、日本軍国主
義者(A級戦犯)が合祀されている靖国神社への閣僚の参拝を非難して
いる。私から見れば、中国の反発は尤もように思えるが、さらに言え
ば、「台湾は中国の一部」であることも二国間で合意されている。
果たして、我々はこの約束を守れるのだろうか?
(718)
声高に正義を叫ぶ者は、時として自らの無知に口を閉ざす。
(719)
自虐に厭いたので自惚れよう。そもそも自分たちが何を行なった
のかという事実さえも認めずにいったい何を語ろうと言うのか?
過去の戦争を振り返って自国の正当性を主張すれば、相手国を蔑ろ
にすることは当然の帰趨である。我々は他国への侵略や植民地支配
を行なったのは事実だが、つまり、相手の領土に押し入ったが、し
かし不正な行為はいっさい犯さなかった、と言っているのだ。