ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

シラノ・ド・ベルジュラック

2009-01-17 21:38:54 | 芝居
 先日テレビで「シラノ・ド・ベルジュラック」の芝居を見た。アンソニー・バージェス脚色の英語版で、わりと自由にセリフを書き足していて実に面白い。
 演出はデーヴィッド・ルヴォー、主演ケヴィン・クライン、ロクサーヌはジェニファー・ガーナー。
 主役がしゃべりつつ登場すると、拍手が起き、彼は手で制してセリフを続けた。
米国でもこういうことが起きるのか。芝居好きならこんなことはしない。肝心のセリフが聞こえなくなるではないか。
 ガーナーが話し出した時は、声があまり美しくないのでちょっと失望したが、芝居がうまいのですぐに気にならなくなった。
 クリスチャン役のサンジャタという男優は発音が美しい。
 皆、芸達者。特に主演のクラインは素晴らしい。

 それにしてもロスタンの原作がよくできていると改めて思う。
 
この芝居を初めて見たのは、昔ジェラール・ドパルデュー主演の映画で、見に行く前に一応原作(の日本語訳)を読んでおいた。いつだってそうだが、この時は特に、読んでおいてよかったと心から思った・・・。読んでいたから筋はもちろんセリフだって全部知っていたのに、いや、だからこそか、戦場シーンからいきなり修道院の場に移って鐘の音が聞こえてきた時、あまりの哀しい運命に胸が張り裂けそうになってしまった。

 次に見たのは’07年の夏、市川右近主演の芝居で、これはまたあまりの面白さにすっかり打ちのめされてしまった。青山円形劇場の狭い空間をうまく使って、何とたった7人ですべての役を演じ分けていた。シェイクスピア以外でこんなに面白い芝居を見たことはあったかな・・というくらい素晴らしかった。

 今回が3度目だから、フランス語、日本語、英語と見たわけだ。この米国版は、英語圏の芝居らしくシェイクスピアを引用して観客を喜ばせてくれた。また、英語という言語の軽やかさと、演劇の偉大な遺産をも感じさせられた。
  
コメント
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