11月8日俳優座劇場で、デヴィッド・ウィリアムソン作「面と向かって」を見た(俳優座公演、演出:森一)。
ジャック・マニングは、住民会議に集まった人々を静かに紹介し始める。
「まずはグレン」・・・展示会施工会社で働く彼は、社内で暴力沙汰を起こし解雇された青年だ。
その母親、グレンの友人、さらには経営者はじめ上司や同僚ら9人。
そして、この仲裁が不首尾に終われば、グレンは裁判所に送致される。
仲裁人ジャックの進行で明かされるものとは・・・(チラシより)。
舞台はオーストラリア。
かの地には仲裁人制度というものがあり、事件が起こると、まず「仲裁人」が被害者、加害者、その関係者たちを集めて双方の話を聞く。
そこで事件の詳細と、そもそもの原因を徹底的に明らかにし、両者の仲裁を図るが、それがうまく行かない場合は、加害者は裁判にかけられるという。
グレンが社内で暴力沙汰を起こしたため社長が彼をクビにすると、彼は社長宅の前で待ち伏せし、社長がベンツで帰宅すると、その車に自分の車をぶつけて
毀してしまう。しかも、むち打ち症になった社長に向かって「職場に戻してくれなきゃまたやってやる!」と怒鳴り続けた。
だが、話し合ううちに、より詳しい事情が明らかになってくる。
グレンは今の仕事が大好きだが、同僚はみな、給料(時給)が安くて仕事は単調、残業代も出ない、と不満たらたらだった。
安い時給に見合うだけの仕事しかしたくない、と彼らは「なるべく手を抜くようにしている」。当然、会社の業績は上がらない。いわゆる負の連鎖だ。
さらに、ストレスを発散させるために仲間内での悪質ないじめや悪ふざけが日常的に起こっていて、その標的がグレンだった。
人を信じやすいが切れやすくもある彼は、我慢の限界に達して同僚を殴ってしまったのだった。
だが話し合いは途中から意外な方向に広がってゆく・・。
残念なのは、登場人物がみなステレオタイプなこと。
特に女性4人は、母親タイプ、妻タイプ、愛人タイプ、奥手タイプ、とはっきり書き分けられていて、あまりにも古臭い。
男の作家だから仕方ないのか。いや男でも、もっと多様な女性を書き分けられる人はいるぞ。
特に、社長の愛人である秘書が結婚に憧れるあまり、ラストでしつこく一人の男性のことを独身かどうか尋ねる場面など、実に腹立たしい。
彼女は結婚して妻となり母となることを願っている。それを笑ったり茶化したりするような描き方はやめてほしい。
女性の観客がこういうシーンを見てどう思うか、想像してほしい。
女はどんなに頑張っても一人では母親になれないんですよ。桐島洋子みたいに仕事ができて経済力のある人は別として。そこのところをわかってほしい。
女好きなオーナー社長など、男たちも似たようなもの。
ただ、軽い知的障害を持つ青年や、セルビア系移民の男性への残酷な差別といった要素が加わって、こちらは幾分か重層的。
疑問なのは、社長の妻クレアが突然、夫と秘書の不倫に気づく場面。
現場監督の話がきっかけだが、彼女の反応が唐突で、よくわからなかった。
そもそも脚本が悪いのか、それとも演出上のミスなのか、あるいは役者がセリフを飛ばしてしまったのか??
グレンが社長に謝るのを仲裁人ジャック始めみんなが待っているが、とうとう最後まで謝らなかった。ただ「仕事がしたいんだ~!」の一点張り。
ジャックも、これがグレンの限界だと思って諦めたのだろう。そこは、芝居的にはありきたりにならずに良かったと思う。
クレア役の佐藤あかりは、声がいい。
ハグ好きな人々。何かというとハグ、ハグ・・・。
チラシを読んで予想していたより、ずっと明るく楽しい芝居だった。
ジャック・マニングは、住民会議に集まった人々を静かに紹介し始める。
「まずはグレン」・・・展示会施工会社で働く彼は、社内で暴力沙汰を起こし解雇された青年だ。
その母親、グレンの友人、さらには経営者はじめ上司や同僚ら9人。
そして、この仲裁が不首尾に終われば、グレンは裁判所に送致される。
仲裁人ジャックの進行で明かされるものとは・・・(チラシより)。
舞台はオーストラリア。
かの地には仲裁人制度というものがあり、事件が起こると、まず「仲裁人」が被害者、加害者、その関係者たちを集めて双方の話を聞く。
そこで事件の詳細と、そもそもの原因を徹底的に明らかにし、両者の仲裁を図るが、それがうまく行かない場合は、加害者は裁判にかけられるという。
グレンが社内で暴力沙汰を起こしたため社長が彼をクビにすると、彼は社長宅の前で待ち伏せし、社長がベンツで帰宅すると、その車に自分の車をぶつけて
毀してしまう。しかも、むち打ち症になった社長に向かって「職場に戻してくれなきゃまたやってやる!」と怒鳴り続けた。
だが、話し合ううちに、より詳しい事情が明らかになってくる。
グレンは今の仕事が大好きだが、同僚はみな、給料(時給)が安くて仕事は単調、残業代も出ない、と不満たらたらだった。
安い時給に見合うだけの仕事しかしたくない、と彼らは「なるべく手を抜くようにしている」。当然、会社の業績は上がらない。いわゆる負の連鎖だ。
さらに、ストレスを発散させるために仲間内での悪質ないじめや悪ふざけが日常的に起こっていて、その標的がグレンだった。
人を信じやすいが切れやすくもある彼は、我慢の限界に達して同僚を殴ってしまったのだった。
だが話し合いは途中から意外な方向に広がってゆく・・。
残念なのは、登場人物がみなステレオタイプなこと。
特に女性4人は、母親タイプ、妻タイプ、愛人タイプ、奥手タイプ、とはっきり書き分けられていて、あまりにも古臭い。
男の作家だから仕方ないのか。いや男でも、もっと多様な女性を書き分けられる人はいるぞ。
特に、社長の愛人である秘書が結婚に憧れるあまり、ラストでしつこく一人の男性のことを独身かどうか尋ねる場面など、実に腹立たしい。
彼女は結婚して妻となり母となることを願っている。それを笑ったり茶化したりするような描き方はやめてほしい。
女性の観客がこういうシーンを見てどう思うか、想像してほしい。
女はどんなに頑張っても一人では母親になれないんですよ。桐島洋子みたいに仕事ができて経済力のある人は別として。そこのところをわかってほしい。
女好きなオーナー社長など、男たちも似たようなもの。
ただ、軽い知的障害を持つ青年や、セルビア系移民の男性への残酷な差別といった要素が加わって、こちらは幾分か重層的。
疑問なのは、社長の妻クレアが突然、夫と秘書の不倫に気づく場面。
現場監督の話がきっかけだが、彼女の反応が唐突で、よくわからなかった。
そもそも脚本が悪いのか、それとも演出上のミスなのか、あるいは役者がセリフを飛ばしてしまったのか??
グレンが社長に謝るのを仲裁人ジャック始めみんなが待っているが、とうとう最後まで謝らなかった。ただ「仕事がしたいんだ~!」の一点張り。
ジャックも、これがグレンの限界だと思って諦めたのだろう。そこは、芝居的にはありきたりにならずに良かったと思う。
クレア役の佐藤あかりは、声がいい。
ハグ好きな人々。何かというとハグ、ハグ・・・。
チラシを読んで予想していたより、ずっと明るく楽しい芝居だった。