釘抜き地蔵の名で庶民に親しまれている石像寺は、西陣の古い家並の中にまぎれるように建っている。平安時代の弘仁10年(819)に空海(弘法大師)が開基したと伝えられ、後に俊乗坊重源が真言宗から浄土宗に改めたという。地蔵堂には、大師が自ら刻んだとされる石造の地蔵菩薩が安置されている。
東京巣鴨の「とげ抜き地蔵」と並んで、京都の「釘抜き地蔵」さんとして多くの信仰を集め、朝から晩まで多くの人が、体の痛みを直してもらいに願をかけ、治った人は、釘と釘抜きのついた珍しい絵馬を奉納していく。
釘抜地蔵と呼ばれる由来は、弘治2年(1556)頃、油小路上長者町あたりに住んでいた富豪の大商人・紀伊国屋道林が、何事もないのに両手に激痛がはしり、名医の治療を受け諸々の薬草を煎じたが全く効果がなかった。そこで霊験あらたかだと評判の苦抜地蔵にお参りして願掛けをした。すると、道林の夢の中でお地蔵様があらわれ、「汝のこの度の痛みは病ではなく、汝が前世で人を恨み人形の両手に八寸の釘を打ち呪った事がある為に、その罪がかえり苦しみを受けているのだ。汝が祈り救いを求めたので、私が神通力をもって昔の恨みの釘を抜き取ろう。これを見よ」と2本の釘を指し示した。
道林が夢からさめてみると、両手の痛みがたちどころに治っている。そこで、急いで苦抜地蔵へお参りに行くと、地蔵菩薩像の前に血に染まった2本の八寸釘があった。道林はそれより100日間日参し、感謝の気持ちを捧げたと伝えられている。
お堂の外壁には、釘抜きを貼り付けた絵馬がびっしり奉納されているのは、お礼に絵馬を奉納する習わしからである。地蔵の後には、重要文化財の石像弥陀三尊像が安置されている。この三尊像は、鎌倉初期の元仁2年(1225)に開眼され、花崗岩石仏として古くて美しいのものは非常に稀だという。
阿弥陀如来坐像の高さは91.5㌢、大ぶりの螺髪(らほつ)の割に頭部が小さく造られており、目鼻立ちも明快で長めの体躯と厚い膝頭が安定性を保っている。光背も一石からの丸彫りで二重円相に種子(しゅじょ)が彫り込まれ円相を刻み出している。台座は仰蓮(ぎょうれん)と反花(かえりばな)が薄い敷茄子(しきなす)を挟んでいる。
脇侍は観音菩薩と勢至菩薩の立像で、観音菩薩は冠紐と垂髪を肩に垂らし条帛と天衣(てんね)をかけ、腹前にかまえた左手は未開敷蓮華(みかいふれんげ)の柄を執り、右手に花を添え、天冠台正面に水瓶をあらわした勢至菩薩は合掌している。
また、境内には藤原定家、家隆の墓と伝えられるものや、また弘法大師三井の一つといわれる加持水があるので是非みておきたい。
所在地:京都市上京区千本上立売上ル花車町503。
交通:市バス51番で千本今出川下車、徒歩6分。
東京巣鴨の「とげ抜き地蔵」と並んで、京都の「釘抜き地蔵」さんとして多くの信仰を集め、朝から晩まで多くの人が、体の痛みを直してもらいに願をかけ、治った人は、釘と釘抜きのついた珍しい絵馬を奉納していく。
釘抜地蔵と呼ばれる由来は、弘治2年(1556)頃、油小路上長者町あたりに住んでいた富豪の大商人・紀伊国屋道林が、何事もないのに両手に激痛がはしり、名医の治療を受け諸々の薬草を煎じたが全く効果がなかった。そこで霊験あらたかだと評判の苦抜地蔵にお参りして願掛けをした。すると、道林の夢の中でお地蔵様があらわれ、「汝のこの度の痛みは病ではなく、汝が前世で人を恨み人形の両手に八寸の釘を打ち呪った事がある為に、その罪がかえり苦しみを受けているのだ。汝が祈り救いを求めたので、私が神通力をもって昔の恨みの釘を抜き取ろう。これを見よ」と2本の釘を指し示した。
道林が夢からさめてみると、両手の痛みがたちどころに治っている。そこで、急いで苦抜地蔵へお参りに行くと、地蔵菩薩像の前に血に染まった2本の八寸釘があった。道林はそれより100日間日参し、感謝の気持ちを捧げたと伝えられている。
お堂の外壁には、釘抜きを貼り付けた絵馬がびっしり奉納されているのは、お礼に絵馬を奉納する習わしからである。地蔵の後には、重要文化財の石像弥陀三尊像が安置されている。この三尊像は、鎌倉初期の元仁2年(1225)に開眼され、花崗岩石仏として古くて美しいのものは非常に稀だという。
阿弥陀如来坐像の高さは91.5㌢、大ぶりの螺髪(らほつ)の割に頭部が小さく造られており、目鼻立ちも明快で長めの体躯と厚い膝頭が安定性を保っている。光背も一石からの丸彫りで二重円相に種子(しゅじょ)が彫り込まれ円相を刻み出している。台座は仰蓮(ぎょうれん)と反花(かえりばな)が薄い敷茄子(しきなす)を挟んでいる。
脇侍は観音菩薩と勢至菩薩の立像で、観音菩薩は冠紐と垂髪を肩に垂らし条帛と天衣(てんね)をかけ、腹前にかまえた左手は未開敷蓮華(みかいふれんげ)の柄を執り、右手に花を添え、天冠台正面に水瓶をあらわした勢至菩薩は合掌している。
また、境内には藤原定家、家隆の墓と伝えられるものや、また弘法大師三井の一つといわれる加持水があるので是非みておきたい。
所在地:京都市上京区千本上立売上ル花車町503。
交通:市バス51番で千本今出川下車、徒歩6分。