クソニンジンArtemisia annua L.はアジアからヨーロッパにかけて広く分布する植物で、日本へは中国から入ってきて帰化した。ヨモギの仲間でキク科ですが、なんと哀れな名前を付けられてしまったことか!
世界保健機構(WHO)によるとマラリア感染者は、年間約4億人、死亡者は年間約200万人いると報告されており、アフリカなどの熱帯・亜熱帯地域では重大な感染症となっている。
ここで、この植物が大貢献している。!!
中国国家によるマラリア治療薬の探索プログラムで、古くからマラリアなどの感染症や炎症性性疾患に使用されていたクソニンジン(中国名は青蒿 セイコウ)がとり挙げられ、有効性が認めらた。
1972年(日中国交正常化があった年)に、中国人女性科学者、屠呦呦(Tu Youyou)らが、その有効成分がアルテミシニン(artemisinin)であることを明らかにした。
残念ながら、中国の医学雑誌に実験結果が報告されるまでの約10年間は、アルテミシニンが世界的に広く知られることはなかった。
(当時は、文化大革命期間(1966~1976年)の波風のせいで科学刊行物の発刊が停止されていた。)
また、かつて、中国人によってマラリアの治療に関する非現実的な報告がなされたこともあり、この報告は、最初は懐疑的な目で見られていた。
さらに、アルテミシニン、特にその過酸化物の化学構造はきわめて不安定であり、治療薬としての実用化はきわめて困難であった
(もっとも、日本はマラリア感染とは無縁な国であることから、アルテミシニンという医薬品はほとんど知られていません。)
今では、アルテミシニンとその誘導体が、最もよく効く、抗マラリア薬として世界中で利用されている。→国境なき医師団 内閣府マラリアについて
この功績により屠呦呦は、2011年に医学分野で顕著な業績を上げた科学者へ贈られるラスカー賞を受賞している。
また、この度、ノーベル賞を受賞した。 →弊ブログ
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