9月に米環境保護局(EPA)が問題を明らかにするまで、実は1年以上にわたって、疑惑を突きつける米当局と否定するVWとの激しい攻防があったことがあったようだ。➔朝日新聞報道
米ウェストバージニア大の研究チームが、2012年、欧米が拠点の非営利組織「クリーン輸送のための国際会議」(ICCT)の依頼で、ディーゼル車の排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を測定することになった。
5万ドル(約600万円)の研究委託費がついた。
13年春、カリフォルニア州で実験を始めた。実際に道路を走りながら計測する装置を活用した。
(ここで、利用されたのが、日本の京都市に本社がある計測器メーカー、堀場製作所のポータブル測定器だった。←Yahoo ニュース)
結果は想定外だった。VW「ジェッタ」から基準の15~35倍、「パサート」から5~20倍のNOxが出た。「予想と正反対で驚いた」と、研究チームのティルベンガダムさん。
何度やり直しても同じデータが出た。「達成感より、VWへの失望が強い」。14年5月、EPAやカリフォルニア州の大気資源委員会(CARB)などに報告した。
CARBもウェストバージニア大の協力を得ながらVW車のテストを重ねた。そしてエンジニアたちは「ディーゼルエンジンの非常におかしな動作」に気づく。
ハンドルを動かさない通常の試験では排ガスを浄化する装置が作動し、ハンドルを動かしたときは作動しなかった。違法なソフトが組み込まれていることが明確になった、と。
世界最大級の自動車メーカーの排ガス検査不正という前代未聞の事態を受けて、約2週間でVW株は3割以上も下落、時価総額で3兆円超が吹き飛んだ。
環境汚染を防ぐ排ガス規制への信頼が根本から揺らぎ、各国が規制強化や検査体制見直しを検討し始めるなど、世界の自動車業界と各国政府を巻き込む騒動となった。堀場の製品はその引き金を引いた形だ。
反対に、堀場製作所の株価は、発表前が4000円だったのが、今日は4500円を超えた。今後も上昇すると思われる。
<リコールコスト>
最大1100万台をリコール(回収・無償修理)すると、コストは65億ドル(約7800億円)を上回る可能性がある。
<規制当局>
米環境保護庁(EPA)は、最大180億ドルの罰金に直面していると発表。
オーストラリアの自由競争消費者委員会(ACCC)は、同社に数百万ドルの罰金を科す可能性があると明らかにした。
その他、EU・アジア諸国でも罰金の可能性がある。
<中央、地方政府による訴訟>
米大気浄化法に基づき訴訟を起こされる可能性があり、また不正行為で有罪と認められれば罰せられる。米カリフォルニア州は、VWに対して是正措置を準備している。
<民間団体による訴訟>
複数の独立系ディーラーは、排ガス不正発覚に伴う損失への賠償を求めて、9月24日にカリフォルニア州でVWを提訴。
また、ケラー・ローバック法律事務所は10月1日、43州とワシントンDCの原告代理として、7つの集団訴訟を起こしたことを明らかにした。
他にも、続々と訴訟の動きが出ている。
<補助金返還>
スペインは9月29日、VWが不正車に対する補助金を返還することで合意したと発表した。同国は、エネルギー効率の良い車の購入に際して、1000ユーロ(約13万4000円)の補助金を出している。
但し、中国では本件はどうも問題とならないようだ。(ディーゼル乗用車は中国ではまれ)。←THE WALL STREET JOURNAL
でも、中国で、民族系に次いでシェアー2位だった独系は、VWの売り上げ下落で日本と入れ替わるのではないか?
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