佐藤哲三騎手が引退した。
怪我をして2年間休養していたが、ついにその時が来た。
華やかに活躍するタイプではなかったが、実力が劣る馬でもなんとか馬券に絡ませようと、一生懸命に追う騎手だった。
馬券を買っている競馬ファンには心強いし、負けても納得がいく騎手だった。
武豊騎手が乗る断然人気のナリタセンチュリー(6番)と佐藤哲三騎手が乗るサクラセンチュリー(4番)が、直線でぶつかり合いながら激しい競り合いをした2005年の日経新春杯がつい最近のように感じられる。
第52回 日経新春杯 2005.1.16 京都 芝2400m サクラセンチュリー
多くの競馬ファンは、武豊騎手のナリタセンチュリーに不利があった、と感じたが、佐藤哲三騎手は、敢然と「僕の馬はまっすぐ走っています」と言った。
ナリタの単勝を2000円買っていた俺は悔しかったが、佐藤哲三騎手の自信にあふれた言葉に「これも競馬」と納得したのだった。
今日の引退式には今までに見たこともないたくさんの騎手が後ろで見守っていた。ファンだけでなく、騎手仲間からも愛されていたのだろう。
これからは、競馬場で馬券を買っている佐藤哲三騎手を見かけるかもしれない。
その時は「競馬とは何ぞや」というのを教えてあげようと思う。