去年の春、集落のおばあさんからすり鉢をもらいました。
筍をもらいに行った時に、玄関先に大きなすり鉢がおいてあったので
その話題になりました。
「いいすり鉢ですね~、大きくて」
かつてのすり鉢は、自分の手でする部分を一本一本彫刻刀やのみ
なんかで彫っていたのだそうです。
だから、一軒一軒のすり鉢によってすり鉢の模様が異なっていたのだ
という話を、本で読んで「いいな~、素敵だなあ~」なんて思っていました。
それから、そんなすり鉢を探してお店を回ったりしたのですが、
今のすり鉢はやはり、機械ですりの部分を彫ったもののみです。
そんな中でそのすり鉢を見かけたので、ついついそんな話をしたら
このすり鉢は、自分のおじいさんが作ったすり鉢と言います。
現在80歳代の方のおじいさんですから、江戸時代のうまれの方かもしれません。
厚みも重みもある、いかにも手作り風なすり鉢です。
「このすり鉢に、10人近くの家族のとろろ汁を作ったもんだっちゃ。
昔は家族が多いからな。このすり鉢2個分にたっぷり作るんだ。
秋に山で自然薯を掘ってきて、濃いみそ汁を入れて何度も何度もするんだ。
2人1組でな。
その頃は、おかずなんて何もないから、一人で何杯もこれ(とろろ)を
おかわりしてたもんだ」
なんて、思い出話を語ってくれた後、「このすり鉢、あんたにやるっちゃ」
と一言。
え、え~、
いやそんなつもりで言ったわけじゃないんですよ。
大切な道具じゃないですか。
と言ったのですが、「家にはもう一つあるから」と言われ、差し出してくださいました。
「今、新聞紙を持ってくるからまっとれ」。
代々使い続けてきた歴史あるすり鉢を「あげる」と差し出された時の
とまどいを想像してもらえますでしょうか。
いいのだろうか、私がそんな歴史のある道具をもらってしまっても、
すり鉢を使いこなすだけの料理もできないのに…
一人で古い家を守っているおばあさんが差し出す、その家の台所道具。
そこに以前の私には感じることのできなかった哀愁、のようなものを
感じてしまいました。
そんな重い大きなすり鉢を取り出して、昨日ようやく一回目を使ってみました。
お店で長芋を買ってきて、念入りにすって、とろろご飯を作ってみました。
お疲れ気味の体にここらで一発気合いを入れようと(笑)
炊きたてご飯にのっけたとろろをかっ込んでみました。
気持ちの分うわ増しされた、優しいお味でした。
すり鉢を使った料理を、もっともっと作ってみたいと思いました。
筍をもらいに行った時に、玄関先に大きなすり鉢がおいてあったので
その話題になりました。
「いいすり鉢ですね~、大きくて」
かつてのすり鉢は、自分の手でする部分を一本一本彫刻刀やのみ
なんかで彫っていたのだそうです。
だから、一軒一軒のすり鉢によってすり鉢の模様が異なっていたのだ
という話を、本で読んで「いいな~、素敵だなあ~」なんて思っていました。
それから、そんなすり鉢を探してお店を回ったりしたのですが、
今のすり鉢はやはり、機械ですりの部分を彫ったもののみです。
そんな中でそのすり鉢を見かけたので、ついついそんな話をしたら
このすり鉢は、自分のおじいさんが作ったすり鉢と言います。
現在80歳代の方のおじいさんですから、江戸時代のうまれの方かもしれません。
厚みも重みもある、いかにも手作り風なすり鉢です。
「このすり鉢に、10人近くの家族のとろろ汁を作ったもんだっちゃ。
昔は家族が多いからな。このすり鉢2個分にたっぷり作るんだ。
秋に山で自然薯を掘ってきて、濃いみそ汁を入れて何度も何度もするんだ。
2人1組でな。
その頃は、おかずなんて何もないから、一人で何杯もこれ(とろろ)を
おかわりしてたもんだ」
なんて、思い出話を語ってくれた後、「このすり鉢、あんたにやるっちゃ」
と一言。
え、え~、
いやそんなつもりで言ったわけじゃないんですよ。
大切な道具じゃないですか。
と言ったのですが、「家にはもう一つあるから」と言われ、差し出してくださいました。
「今、新聞紙を持ってくるからまっとれ」。
代々使い続けてきた歴史あるすり鉢を「あげる」と差し出された時の
とまどいを想像してもらえますでしょうか。
いいのだろうか、私がそんな歴史のある道具をもらってしまっても、
すり鉢を使いこなすだけの料理もできないのに…
一人で古い家を守っているおばあさんが差し出す、その家の台所道具。
そこに以前の私には感じることのできなかった哀愁、のようなものを
感じてしまいました。
そんな重い大きなすり鉢を取り出して、昨日ようやく一回目を使ってみました。
お店で長芋を買ってきて、念入りにすって、とろろご飯を作ってみました。
お疲れ気味の体にここらで一発気合いを入れようと(笑)
炊きたてご飯にのっけたとろろをかっ込んでみました。
気持ちの分うわ増しされた、優しいお味でした。
すり鉢を使った料理を、もっともっと作ってみたいと思いました。