今年中に読んでおきたいと思った本の1冊。同郷の池澤夏樹氏はあの震災を鋭い視線で、しかし再生の可能性を静かに語りかける。「自然は人間に対して無関心」「自然はいかなる意思もない」とはそのとおり。そして人の手による原子力は、その実用化も安全性の要求が低い軍事利用の潜水艦や空母にのみ。(なるほど、そう言えば昔に頓挫した原子力船「むつ」というのがあった)これからは大量生産・大量消費・大量廃棄から集中・高密度・効率追求を求めない分散型の文明へ変わることへの期待を。やはり一番考えさせられたのは、文中に引用され本のタイトルにもなっているポーランド人の書いた詩。それはテレビで震災地の子どもが「海は卑怯だと思います。あんなに恐ろしいことをしたのに今は静かな海を見せている」(このような内容だったと思うが)と言っていたことを思い出したからだ。
またやって来たからといって
春を恨んだりはしない
例年のように自分の義務を
果たしているからといって
春を責めたりはしない
わかっている
わたしがいくら悲しくても
そのせいで緑の萌えるのが
止まったりはしないと
・・・・・・・・・・
(ヴィスヴァ・シンボルスカ「眺めとの別れ」
:訳・沼野充義「終わりと始まり」)
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またやって来たからといって
春を恨んだりはしない
例年のように自分の義務を
果たしているからといって
春を責めたりはしない
わかっている
わたしがいくら悲しくても
そのせいで緑の萌えるのが
止まったりはしないと
・・・・・・・・・・
(ヴィスヴァ・シンボルスカ「眺めとの別れ」
:訳・沼野充義「終わりと始まり」)
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