晴耕雨読、山

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言葉のレイキ『光の指で触れよ』

2013年01月10日 | 読書

一言でいえば壊れかけた家族の再生ストーリーかもしれないが、ゆったり流れる大河に身をゆだねるように引き込まれた。それは静かな物言いながら、消費社会、有機農業、エネルギー問題、学校教育など、今の社会が抱えているテーマを含んでいるせいもある。そして物語の舞台に出てくるヨーロッパのコミュニティー生活の興味深さも。だが、それ以上に著者の繊細な文章が描き出す深みのある情景に溺れたのかもしれない。東北や風力発電も出てくるこの作品は震災以前に発表されたものだが、最近の新聞で氏はこう書いている。<「国土強靭化計画」というスローガンの軽さよ。(中略)言葉がコンクリートより軽くなっていいのだろうか>