著者は例の国会憲法審査会で安保法案を憲法違反と断じたとおり、本書においても<解釈の限界を超えた憲法解釈であり、「立憲主義」に反する>と厳しく指摘。<安倍政権が意図的にわかりにくくしている>と言うだけあって明快にその問題点を論じる。<集団的自衛権とは、「他国(同盟国)の戦争に加担すること>であり、そもそも国連憲章51条にも認められている<同盟国のために戦争に参加し、同盟国を守ることを正当化する>権利であるという。政府が示した「15事例」についても詳細に解説、ほとんどが個別自衛権で対応できるとしている。賛成派、反対派の代表的意見にもほぼ中立的にコメントしているように読める。憲法9条を「空想的平和主義」と批判、<憲法改正し、自衛隊の存在を明記すべき(自衛権を行使するための「自衛軍」を持つ)>と主張する著者だが、その際にも<集団的自衛権は厳格に管理すべき>と念を押す。1年前に書かれているが全く色あせていない。国会論戦、マスメディアの報道ともに本書を参考にしたら、理解を深めた国民の反対がさらに増えることだろう。