晴耕雨読、山

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今だからこそ、そのメッセージを『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』

2018年07月11日 | 読書

テレビ・新聞などで切れ味良く日本史を解説する著者、書名どおり司馬遼太郎の作品を通して戦国時代以降の日本歴史および日本人の姿を読み解いていく。これまで『竜馬がゆく』は繰り返し読んだものの『坂の上の雲』は途中まで、それ以外は未読なので読書指南を受けるつもりで手にした。一番興味を得たのは織田信長ら中心に戦国時代の天下取りをイメージしていた『国盗り物語』が、その後の幕藩制から明治国家の創設、その最後の帰結として<あの戦争を起こした昭和の軍事国家>に。そして<無茶やって壊れ、形を変化させたのが、私たちの現在の社会>であり、現代を知るための源流になるという見方だ。ほかにも晩年のエッセイ『この国のかたち』の中で、敗戦に至る昭和前期を「異胎」および「鬼胎」の時代と表現するなど、数多くの作品の背後にある歴史観を紹介する。今なお戦後70余年と語り継がれる、あの八月が間もなくやって来る。タイミング良く司馬作品を読む機会につながった。