観音山の帰りに立ち寄ったのは多くの水子地蔵が祀られているお寺。正式には紫雲山地蔵寺といい車道の両側、山肌を埋め尽くす水子供養の地蔵の多さに圧倒される。赤い前垂れをかけたお地蔵さんたち、その数1万数千体という。大きさや穏やかな顔の微妙な違い、赤い毛糸の帽子を被った子、刻まれている遠くの地名。立ち止まっては思いをはせ手を合わせる。救われるのは柔らかに降り注ぐ春の陽射し。そして見守るように咲く今が盛りの桜、萌え始めた若葉の彩り。時折り流れくる微風が風車をかすかに回して慰める。観光客として眺め、立ち去るだけでは忍びない光景がここにあった。