久しぶりの遠出となる東北の山は福島県の安達太良山。古くは万葉集、そして高村光太郎の詩集『智恵子抄』でも有名なこの山は2度目。だが前回が22年前の昔なので記憶も薄れて初めてのようなもの。山腹にあるくろがね小屋周辺の紅葉が見ごろとの情報あり、日曜日の混雑は予想していたが遥かに超える状況だった。ロープウェイ山麓駅に近い駐車場は満車でかなり手前の草地に。チケット購入もその後の乗り場へもそれぞれ長蛇の列。1時間半並び、予定より相当遅れて山頂駅に降り立つ。すぐ北側にある薬師岳展望台から特徴ある突起の安達太良山頂部、船明神山、矢筈の森、鉄山への山なみを眺める。上方の紅葉は終わりかけているようだ。それまでの陽射しと青空が消え、寒々しい曇天の下を歩き始める。ここ最近の長雨、前日も降ったらしく木道が終わると粘土質の道は泥んこ状態。仙女平分岐でひと休みして本格的な山道になり、滑りやすい岩に渋滞。靴もズボンも泥だらけの下山者と狭い道で交差する度にストップ。急傾斜が緩やかになって間もなく火山土の広い道に。前方、山頂の岩峰が大きくなって直下の広場に着く。再び混雑する岩の道に取り付き、山頂着。雲に覆われて眺望無く、降りた広場で昼食。寒いので早々に牛ノ背へ向かう。左手眼下には荒涼とした沼の平火口原。船明神山への道を左に分け、遅くなったので馬ノ背経由の鉄山は取り止めて右折。下って峰ノ辻、ここで左手のくろがね小屋へのガレ道を下降。山麓の岳温泉へも引かれる源泉そばの小屋周辺の紅葉は今が真っ盛り。3度目となる次回こそ小屋の温泉に浸かりたいものだ。この後は馬車道と呼ばれる広く緩やかな道。後ろ髪惹かれる思いで、なおも紅葉を愛でながら下山した。「(智恵子が阿多多羅山の青い空が)ほんとの空だといふ」(『智恵子抄』)青空こそ見ることが叶わなかったが紅葉に間に合って大満足。早朝5時過ぎからの長距離運転の疲れも忘れた。10月18日(日)/(あだたら高原スキー場・奥岳登山口手前の臨時駐車場を利用。ロープウェイ7分、JAF割引で片道千円)ロープウェイ山頂駅1350m 10:05~10:40仙女平分岐10:50~11:45安達太良山1700m(昼)12:10~12:30牛ノ背~12:45峰ノ辻~13:35くろがね小屋1350m 13:45~14:30勢至平分岐1260m~15:40奥岳駐車場950m