『まんだ若い衆にゃあ負けんぞン』
二日続けて、中ヶ谷に仕掛けたオリでいのししを仕留めたヒサエさんの眼がそう言ってわらっている。
この檻はサルやハクビシンの捕獲用の檻なので、イノシシを捕るには小さくて弱い。
昨日のイノシシはともかく、今日入った奴は50㎏ぐらいあるデカいイノシシだ。
こんな小さな檻によくもぐり込んだものだ。近づくと暴れて檻を壊されそうなので、
ミッチャがそっと近づいて、鉄砲で撃ってからトドメを刺した。
山にエサが無いのだろうか、今年はサルとイノシシの被害が多い。やたらと人家の近くに出没する。
このイノシシも、「中ガイツで子連れのイノシシを見た」と何度も目撃されている。
『イノシシと遊んどらんで、早くイネを刈りゃあいいだんのん、しょんないのん』
(ヒサエさんの奥さんのミツコさん談)