「今年の新城歌舞伎に【熊谷陣屋】を出すことになった、台本の清書をして欲しい」
と、好史くんが昔の台本を持って訪ねてきた。
『あんまり自信はないけど、急がないのなら、ボケ防止にやってみるわ』
毎年の事だが二つ返事で引き受けてしまった。芝居も何度か見ているので、大体は読めるのだが、昔の台本は当て字も多く特に人名・地名などどうしても判らない所もある。鳥原歌舞伎さんの台本も参考に、一週間ほどで大筋ははずさない程度に清書できた。あとは役者次第だ。
それにしても、ワープロはおろか、コピーもレコーダーも辞書もなかった時代に、口伝えでせりふを覚え、師匠の台本を借りて必死で写し取り、伝えてきたのだろう。大したものである。そんな台本が帳面蔵にたくさんあるのだが、今の私たちにはほとんど読むことができない。
台本を打ち終えた後でも、登場人物の複雑な人間関係がよく分からない。まるで推理小説のようにヒネってある。芝居を観ていて分かるのはかなりのマニアだけだろう。私なりに整理してみたので、興味のある人は参考にしていただきたい。
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