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プロの仕事とは

2005-04-21 22:09:42 | 調律師の仕事
今日は昔からのお得意様の、ヴァイオリニストのお宅に仕事に行ったのだけど、興味深い話を聞きました。
その方が先日親戚宅に行った時、調律師が来ていて隣の部屋で調律をしていたのだけど、毎回仕事に5時間かかる人で、その家の方は「いつも丁寧にやって下さってるのよ」と話してたが、ヴァイオリニストは自分の楽器を調弦する経験上から音を聴いててこれは下手なんだとすぐ解ったと。
買って数年で修理箇所もないピアノに5時間もかかる人は・・・ダメですね、はっきり言ってプロではありません。
来ていた調律師が国立の出身と言ってたということに、そのお宅の方は惑わされてる面がありますが、国立という名前の学校は、国立音大調律専修科の他に国立音楽院という専門学校があるんです。
専門学校のほうの出身者も「国立です」と答える傾向があるみたい・・・、他でも耳にしたことあるし。
もちろん、専門学校のほうの出身者にも経験を積んで優秀な方は多数いますし、私自身小さな養成所の出身だし、学校の格で云々言う立場にはないけど、基本的に調律は1時間半以内に出来なければ卒業検定に合格しませんし、最初のうち経験が浅くて時間が掛かってしまう事があったとしても、その後の経験で1時間前後で出来るようになるもの。
その家に来ていた人は、結局調律師は続けられずに転職したにも関わらず、小遣い稼ぎ?に前のお客さんの所を回っているらしい…。
転職した仕事が軌道に乗っていたら、1件に5時間もかかるような仕事に回ってる暇はないはずで、ひどい話です。
ユーザーの方に言いたいのは、時間が掛かるのが丁寧とは限らないし、チューニングピンという弦を締めるピンを必要以上に何度も動かすような調律を繰り返していると、ピンが緩くなって調律持ちの悪いピアノになってしまうこともあるということです。
長いブランクのためにピッチを大幅に上げるケースを別にすると、時間をかけ過ぎては良い調律は出来ないし、長い目で見てピアノのためにも良くありません。
本当のプロかを見分けるのは、一般ユーザーには難しいでしょうが、時間の掛かりすぎる人にはどうぞご注意を。

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