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ねずみのベッド

2005-04-28 23:49:44 | 調律師の仕事
今日仕事先で、久々にねずみに食われたピアノに遭遇しました。
古いピアノは、ペダルの踏みしろの部分から小さいねずみが入って中に巣を作ることがあるんです。
新しいものは、ねずみが入れないようなガードが最初から付いてますし、最近はねずみが出る家も減っているから、こういうケースはかなり減ったけど、以前は珍しいことではなくて、何度かその手のピアノを修理してきました。
使われているピアノには、まず巣は作られないです。
長い間、人の出入りのない部屋に放置しているとやられることがある。で、どこに巣を作るかというと、だいたい鍵盤の下の狭い空間。
ここに、ピアノの部品のフェルト類を齧ってはせっせと運びふわふわのベッドを作る&フンだらけ。
今日の場合、弱音のフェルトが半分無くなってて、あとはブライドルテープというハンマーの戻りを促す布テープの部品が88個きれいに全滅。
鍵盤下にある、鍵盤の高さや深さを調節するクロスもかなりのダメージを受けてました。
楽器店からの仕事で、通常の料金をもらって来るようにという以外聞いてないよーっ!なわけで、どこまでやってどこまで集金できるかすげー悩みつつの仕事。
とりあえず、修理はしなくても音は出る状態だったので、掃除機を借りてざっと鍵盤下と下パネル中の掃除をして、20年ブランクとおぼしき音上げをやり、大サービス料金に抑えて、あとは修理については説明して検討して下さいと話して帰ったけど、ヘトヘトだす。
こういうケースもあるということが、楽器店の営業にはわからなくて(何年やってんだよ、バカヤロウなんですが)、平気で通常料金の説明しかしてなくて、こっちは困ることしばしばなんだよねー。

今日のケースなんて、知人から譲られたピアノがそんな状態だったなんて想像もしてなかったというのが見え見えで、20年前のピアノと聞いてたというのがそもそもガセもいいとこなんだけど、その方たちの信頼関係に激しく水を差すのもまずいので、こちらはものすごく気を使うのであります。
通常の倍の時間をかけざるを得なくても、それだけの請求はし辛いし、修理についての説明はしたけれど、音が出れば良いという考えの方だったら、やらないで済ます可能性も大だし、今後につながる可能性は五分五分っていう感触で。
ま、それでも、仕事はないよりマシ・・・という面があるのが、フリーランスの宿命。
ありがたくやらせて頂きました。



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