1950年代後半のフランクフルト、検事長フリッツ・バウアー(ブルクハルト・クラウスナー)は、ナチスによる戦争犯罪の告発に奔走
していたが捜査は難航していた。ある日、ホロコーストに深く関わった親衛隊中佐アドルフ・アイヒマン潜伏に関する情報を入手。
バウアーは、ナチス残党がいるドイツの捜査機関ではなく、イスラエルの諜報(ちょうほう)機関モサドに情報提供しアイヒマンを追い
詰める。「ユダヤ人問題の最終的解決」に関与したアドルフ・アイヒマン(保安警察「ゲシュタポ」)を追う、西ドイツ・ヘッセン州の
検事総長フリッツ・バウアーを描いた作品です。最近多いですね
大勢のユダヤ人をガス室に送り込んだアイヒマン、彼はナチス崩壊後(当時のドイツ国民は、ナチスによるユダヤ人への蛮行を知らされて
いない)にアルゼンチンに潜伏しており、逮捕するには難しい状況だったが、国家反逆罪に問われるリスクも犯しながら一人のユダヤ人
検事があの手この手で網を張り、裁判にまで漕ぎ着ける。アイヒマンをドイツでは裁けなかったものの、イスラエルのエルサレム裁判でも
大きな意味、価値があり、ドイツ国民は事実を知ることができた。ただストーリーが少し解かりづらかったのがもったいないよな気がしま
した。 それはさてお起き・・・なんといっても主演のブルグハルト・クラウスなーさんの演技が良い。ナチスの大罪を憎み、責任を追及
することに、文字通り人生を掛けた検事の執念がリアルに伝わる。
まるで目の前で当時の捜査を追っているようだった。この映画の中でもう1つ印象に残った点が、彼と彼を慕う部下が同性愛者であった事
が物語で大きく取り上げられていること。部下が弱味を握られる場面二人が心を通わせる場面など、同性愛(当時のドイツでは禁止)
なくしてこの物語は構成し得なかったのでは無いでしょうか?ユダヤ人削減という、いま考えるとあり得ない考え方といまも尚偏りのある
同性愛への理解という2つが重なりあっているように感じられました。 終わり方に少し??の部分もありますが・・・・
過去と向き合い歴史から学び、過ちを犯さないために奮闘する。
ドイツの真剣さがひしひしと伝わる秀作です。 ☆☆☆☆