ベトナム戦争の最中だった1971年、アメリカでは反戦運動が盛り上がりを見せていた。そんな中、
「The New York Times」が政府の極秘文書“ペンタゴン・ペーパーズ”の存在を暴く。ライバル紙である
「The Washington Post」のキャサリン(メリル・ストリープ)と部下のベン(トム・ハンクス)らも
報道の自由を求めて立ち上がり……。
S・スピルバーグ監督による歴史の再検証的な映画といえる作品です。
本作は1971年にワシントン・ポストが、ヴェトナム戦争の政治決定の真実を記録した最高レベルの機密文書
「マクナマラ文書」を記事にしたという事実を中心としているようですね。この文書の経過は冒頭のシーンで
伝わります。ベトナムでの視察で、マクナマラ長官一行は戦争が既に泥沼化していることを知る。しかしその
事実を隠し、戦争はその後も継続する。関係者はそうした事実をマスコミへと暴露したことで、一連の反戦運動
の機運が高まる(その頃その様な事があった事は少しだけ記憶にもあるような気がします)
政治は秘密に覆われている。ある時はは国民を欺いてまでも、戦争を続けなければならない。以前のスピルバーグの
「リンカーン」は、そんな政治家の背負う十字架を描いていた様な気がしましたが、それに対して本作は、政治家の
嘘を徹底的に糾弾するという大局的な立場のテーマであり、本作と「リンカーン」のテーマは明らかに対立・矛盾?
する立場になって居るのでは無いでしょうか?ですがスピルバーグの言いたい事はそこではなく、彼は人間としての
「誠実」を問い掛け出は無いでしょうか?本作のマスコミ人にとっては真実の追求こそが「誠実」の在り方に他
ならない様な気がします。 丁度今の日本の政治家の行動と連鎖したような作品で実に面白かったです
”真実” をどこまでも愚直に伝える姿勢
が報道に携わる人たちに必要な資質であると痛感させられます。そしてなんといってもメリルストリープさん
何の誇張もなく、ごく自然で、その人物になりきる。素晴らしい女優さんです ☆☆☆☆