1953年のモスクワ。この国をおよそ20年もの間、独裁者スターリン(アドリアン・マクローリン)
と彼の秘密警察が牛耳っていた。中央委員会第一書記のフルシチョフ(スティーヴ・ブシェミ)
秘密警察の警備隊長ベリヤ(サイモン・ラッセル・ビール)、スターリンの右腕マレンコフ
(ジェフリー・タンバー)らが夕食に集う。翌朝近くまで続いた宴会を終え、スターリンは自室に引き上げる。
スターリンの取り巻きをコミカルに皮肉った映画なのか?と思っていたら、全然違っていました。
映画はスターリンの粛清の様子を描くところから始まる。粛清での犠牲者は2千万人ともいわれ、只一人
ソ連大統領となったゴルバチョフ氏も父親が犠牲になっているそうです。相互監視がスターリン時代には
平然と行われていたそうで、家族を告発する!それも場合によっては無実であっても・・・自分を守る為
に平気で家族を売る!そんな実態が映画の中でも描かれていました。
そんな中、スターリンが倒れたとの連絡が入り急追する側近たち、そこで医者を呼ぶ事になるが、まずその
意思決定で多数決が始まる。しかも優秀な医者は粛清で処刑され、残っているのは無能な医者ばかりという
状況も皮肉たっぷりの場面。やがてスターリンの死亡が確認され、そこでも事情を知る者は残らず始末される
という人命軽視の場面となる。そこから側近連中による後継者争いが始まる。
此処からは結構なブラック・ユーモアが飛び出している。 ロシアでは流石に上映されないだろう・・・
そこからは権力というのは所詮このような腐敗や無様な現実なのだというメッセージが込められているのでは?
ソ連の当時の政治について、ある程度知っておいた方がこの作品をより楽しめると思う
マレンコフ役のジェフリー・タンバー
が、ゴルバチョフ書記長に見えて仕方がなかったのだが・・・・しかし殆ど事実だと言うから怖い ☆☆☆