12月1日の今日から「歳末たすけあい運動」が始まる。
毎年12月に入ると気になるのが「共同募金」(きょうどうぼきん)である。共同募金は日本の募金活動のひとつであり、社会福祉法(旧・社会福祉事業法)第113条に定義される第1種社会福祉事業である。
共同募金には、大きく分けると、”一般募金”と”歳末たすけあい募金”がある。
”一般募金”は、毎年1回(10月1日~12月31日) 、全国一斉に募金を行うため、厚生労働大臣の告示によって、募金期間が決まっている。
募金をすると赤く着色した羽根がもらえることから、「赤い羽根募金」「赤い羽根共同募金」とも呼ばれている。主に各市町村の共同募金支分会を経由して自治会や学校、企業で募金を募る。共同募金は都道府県ごとに行われ、都道府県を単位に社会福祉法人である共同募金会が組織されている。これら募金をとりまとめ、連絡調整をするのが社会福祉法人中央共同募金会である。共同募金は、1947(昭和22)年の第1回の運動から今日まで、「共同募金運動要綱」に基づいて、全国各地で行われている。( 以下参考に記載の[PDF]共同募金運動要綱参照)
この「赤い羽根募金」(一般募金)とは、別に、毎年12月になると行われている「歳末たすけあい運動」がある。この運動を、各都道府県では12月1日から「歳末たすけあい募金」として各地域主体で募金活動を行っているが(行なわない所や共同募金と一本化している所もあるようだ)。また、社会福祉法人中央共同募金会ではNHKと連携して歳末たすけあい募金を行っている。「NHK歳末たすけあい運動」が高齢者や障害者施設への資金援助として全国的に使われるのに対して、「歳末たすけあい運動」は、募金された人の住んでいる地域福祉の推進のために使われる。
この中の歳末たすけあい運動のおこりは、1906(明治39)年に、大阪毎日新聞(現在の毎日新聞社とは別)が「歳末同情募金」を呼びかけたのが始まりとされている。また、1908(明治41)年からは現在でも続けられている救世軍による「慈善鍋(現在の社会鍋)」が開始された。これらが、互助的精神をもって主に救貧対策として民間団体が自発的に取り組むようになった出発点だといえる。
社会鍋は19世紀末の不況期にアメリカのサンフランシスコ市において失業困窮者の救済活動を展開する現地の救世軍によって始められた「スープ鍋を三脚に吊るしてその中へ街頭募金の投入を依頼するというスタイル」が全世界の救世軍に伝わり、日本では「和風の鉄鍋が三脚に吊るされている」という明治時代の日本救世軍が始めた形態が現在にまで伝承されており、今でも毎年、年末の街を彩る風物詩として親しまれている。
大正時代後期から昭和初期にかけて、全国各地に、現在の民生委員の前進である方面委員が誕生(以下参考に記載の中野文庫 - 方面委員令参照)するころには、方面委員が中心となって「歳末同情募金」を募り、方面委員が担当する地域内での義援金品の配布が行われていた。これは全国運動としての取り組みではなく、各道府県ごとであったり、小地域単位での取り組みであった。方面委員から民生委員に変わった終戦直後の1947(昭和22)年、全日本民生委員連盟が主唱して、「歳末同情募金」を全国運動にしようと計画が立てられたが、共同募金運動に一元化して実施した。しかし、翌19478(昭和23)年から共同募金運動の実施期間が12月から から 10 月の 1 ヶ月間に繰り上がったことや、GHQや政府が共同募金を「歳末同情募金」に使用することに否定的であったため、各市町村単位で、民生委員が中心となって、共同募金期間とは別に歳末時期に行う「歳末たすけあい運動」」(当時、名称は各地でまちまち)が自然発生的に展開されることになった。そして、1951(昭和26)年の社会福祉事業法施行(現・社会福祉法)により、各地で民生委員が中心になって社会福祉協議会が組織されると、社会福祉協議会の活動の一環として「歳末たすけあい運動」が行われるようになった。その頃は戦後の物資が不足している時期であったことと、共同募金との関係から、お金ではなく物品の拠出を求める「持ち寄り」運動として行われていたが、物資が豊富になるにつれて物品より現金を求める地域が増加し、社会福祉協議会の本来の目的に照らし、何らかの調整の必要性が指摘されることになった。そこで、共同募金運動との一元化を進めるべく関係団体と調整をすすめた結果、1959(昭和34)年度より、共同募金運動期間を3ヶ月間(10月から12月まで)に延長し、歳末たすけあい運動に伴う募金・配分について、共同募金運動の一環と位置付けることになった。そして、今日ある民生委員会、共同募金会、社会福祉協議会の三者が歳末たすけあい運動の推進主体となる基礎ができた。
しかし、最近は、ボランティアやチャリティー活動と称して街頭募金活動をする、戸別訪問して募金を募る、あるいはホームページを開設したり電子メールや葉書を送付して、ありもしない話をでっち上げたり、実在する有名な話題(天災など)に便乗したりして、募金詐欺も発生している時代である。直近では、2007年10月には、「おさむちゃんを救う会」と名乗る団体が募金詐欺を働いていたことが発覚するなどの募金詐欺も発生している。(難病男児かたり募金 HPで誘い被害も確認参照。)
人の善意につけ込んで金品を詐取する・・・なんて、本当に厭な時代になったが、今の時代、高度経済成長期の一億総中流時代から、強いものと弱いものの格差が開き始めた。そのような中、何時だったか、北九州市で「働けないのに働けと言われ」生活保護を「辞退」した男性が、自宅で死亡 。日記には、「おにぎり食べたい」と書いてあった。・・・といった報道を聞いたときには本当にやるせない気持ちになった。しかし、最近は、このようなことに近い悲しい状況の人たちが、目に見えて、増えてきているようである。
1906(明治39)年、日露戦争後の貧困家庭を慰問激励活動が歳末たすけあい募金の起こりといわれており、また、終戦後の、混乱した社会経済状態の中で、戦災者、引揚者、傷痍軍人、失業者など、助けを必要とする多くの人々の救済に行われてきたが、今日でも、このような貧困に喘いでいる人のために募金が適正に使われるように願っているし、また、出来るだけ多くの人たちがその趣旨に則って、同じ地域に住む困った人たちを救済のため募金には協力したいものだね。
(画像右は年末ボランティア活動の救世軍。フリー百科事典Wikipediaより。左は、「平成9年度共同募金運動ポスター」モデルは、ホリプロの新人女優・石橋杏奈さん。)
共同募金 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E5%90%8C%E5%8B%9F%E9%87%91
社会福祉法人 全国社会福祉協議会(全社協)
http://www.shakyo.or.jp/
[PDF] 共 同 募 金 運 動 要 綱
http://www.akaihane.or.jp/hanett/undoyoko2002.pdf
平成18年度共同募金運動/政府広報オンライン
http://www.gov-online.go.jp/week/backnumber/theme_20061001/h18_kyoudou_bokin_undou.html#skip1
[PDF] 平成19年度「NHK歳末たすけあい義援金」の配分方針について
http://www.akaihane-toyama.or.jp/yousiki/NHK/NHKhaibunhousinH19.pdf
大阪毎日新聞 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E6%AF%8E%E6%97%A5%E6%96%B0%E8%81%9E
救世軍 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%91%E4%B8%96%E8%BB%8D
社会鍋
http://www.salvationarmy.or.jp/activity/nabe.html
民生委員 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%91%E7%94%9F%E5%A7%94%E5%93%A1
中野文庫 - 方面委員令
http://www.geocities.jp/nakanolib/rei/rs11-398.htm
[PDF] 歳末たすけあい運動について
http://www3.shakyo.or.jp/CDVC/fukushi/jigyou/pdf/tasukeai.pdf
募金詐欺 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%9F%E9%87%91%E8%A9%90%E6%AC%BA
難病男児かたり募金 HPで誘い被害も確認
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/071011/crm0710110708001-n1.htm
第二次世界大戦
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E6%AC%A1%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%A4%A7%E6%88%A6
PDF] 1.社会福祉協議会留意事項
http://www3.shakyo.or.jp/CDVC/fukushi/jigyou/pdf/tasukeai.pdf
赤い羽根データーベース
http://hanett.akaihane.or.jp/sys/frame.asp
石橋杏奈 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E6%A9%8B%E6%9D%8F%E5%A5%88
毎年12月に入ると気になるのが「共同募金」(きょうどうぼきん)である。共同募金は日本の募金活動のひとつであり、社会福祉法(旧・社会福祉事業法)第113条に定義される第1種社会福祉事業である。
共同募金には、大きく分けると、”一般募金”と”歳末たすけあい募金”がある。
”一般募金”は、毎年1回(10月1日~12月31日) 、全国一斉に募金を行うため、厚生労働大臣の告示によって、募金期間が決まっている。
募金をすると赤く着色した羽根がもらえることから、「赤い羽根募金」「赤い羽根共同募金」とも呼ばれている。主に各市町村の共同募金支分会を経由して自治会や学校、企業で募金を募る。共同募金は都道府県ごとに行われ、都道府県を単位に社会福祉法人である共同募金会が組織されている。これら募金をとりまとめ、連絡調整をするのが社会福祉法人中央共同募金会である。共同募金は、1947(昭和22)年の第1回の運動から今日まで、「共同募金運動要綱」に基づいて、全国各地で行われている。( 以下参考に記載の[PDF]共同募金運動要綱参照)
この「赤い羽根募金」(一般募金)とは、別に、毎年12月になると行われている「歳末たすけあい運動」がある。この運動を、各都道府県では12月1日から「歳末たすけあい募金」として各地域主体で募金活動を行っているが(行なわない所や共同募金と一本化している所もあるようだ)。また、社会福祉法人中央共同募金会ではNHKと連携して歳末たすけあい募金を行っている。「NHK歳末たすけあい運動」が高齢者や障害者施設への資金援助として全国的に使われるのに対して、「歳末たすけあい運動」は、募金された人の住んでいる地域福祉の推進のために使われる。
この中の歳末たすけあい運動のおこりは、1906(明治39)年に、大阪毎日新聞(現在の毎日新聞社とは別)が「歳末同情募金」を呼びかけたのが始まりとされている。また、1908(明治41)年からは現在でも続けられている救世軍による「慈善鍋(現在の社会鍋)」が開始された。これらが、互助的精神をもって主に救貧対策として民間団体が自発的に取り組むようになった出発点だといえる。
社会鍋は19世紀末の不況期にアメリカのサンフランシスコ市において失業困窮者の救済活動を展開する現地の救世軍によって始められた「スープ鍋を三脚に吊るしてその中へ街頭募金の投入を依頼するというスタイル」が全世界の救世軍に伝わり、日本では「和風の鉄鍋が三脚に吊るされている」という明治時代の日本救世軍が始めた形態が現在にまで伝承されており、今でも毎年、年末の街を彩る風物詩として親しまれている。
大正時代後期から昭和初期にかけて、全国各地に、現在の民生委員の前進である方面委員が誕生(以下参考に記載の中野文庫 - 方面委員令参照)するころには、方面委員が中心となって「歳末同情募金」を募り、方面委員が担当する地域内での義援金品の配布が行われていた。これは全国運動としての取り組みではなく、各道府県ごとであったり、小地域単位での取り組みであった。方面委員から民生委員に変わった終戦直後の1947(昭和22)年、全日本民生委員連盟が主唱して、「歳末同情募金」を全国運動にしようと計画が立てられたが、共同募金運動に一元化して実施した。しかし、翌19478(昭和23)年から共同募金運動の実施期間が12月から から 10 月の 1 ヶ月間に繰り上がったことや、GHQや政府が共同募金を「歳末同情募金」に使用することに否定的であったため、各市町村単位で、民生委員が中心となって、共同募金期間とは別に歳末時期に行う「歳末たすけあい運動」」(当時、名称は各地でまちまち)が自然発生的に展開されることになった。そして、1951(昭和26)年の社会福祉事業法施行(現・社会福祉法)により、各地で民生委員が中心になって社会福祉協議会が組織されると、社会福祉協議会の活動の一環として「歳末たすけあい運動」が行われるようになった。その頃は戦後の物資が不足している時期であったことと、共同募金との関係から、お金ではなく物品の拠出を求める「持ち寄り」運動として行われていたが、物資が豊富になるにつれて物品より現金を求める地域が増加し、社会福祉協議会の本来の目的に照らし、何らかの調整の必要性が指摘されることになった。そこで、共同募金運動との一元化を進めるべく関係団体と調整をすすめた結果、1959(昭和34)年度より、共同募金運動期間を3ヶ月間(10月から12月まで)に延長し、歳末たすけあい運動に伴う募金・配分について、共同募金運動の一環と位置付けることになった。そして、今日ある民生委員会、共同募金会、社会福祉協議会の三者が歳末たすけあい運動の推進主体となる基礎ができた。
しかし、最近は、ボランティアやチャリティー活動と称して街頭募金活動をする、戸別訪問して募金を募る、あるいはホームページを開設したり電子メールや葉書を送付して、ありもしない話をでっち上げたり、実在する有名な話題(天災など)に便乗したりして、募金詐欺も発生している時代である。直近では、2007年10月には、「おさむちゃんを救う会」と名乗る団体が募金詐欺を働いていたことが発覚するなどの募金詐欺も発生している。(難病男児かたり募金 HPで誘い被害も確認参照。)
人の善意につけ込んで金品を詐取する・・・なんて、本当に厭な時代になったが、今の時代、高度経済成長期の一億総中流時代から、強いものと弱いものの格差が開き始めた。そのような中、何時だったか、北九州市で「働けないのに働けと言われ」生活保護を「辞退」した男性が、自宅で死亡 。日記には、「おにぎり食べたい」と書いてあった。・・・といった報道を聞いたときには本当にやるせない気持ちになった。しかし、最近は、このようなことに近い悲しい状況の人たちが、目に見えて、増えてきているようである。
1906(明治39)年、日露戦争後の貧困家庭を慰問激励活動が歳末たすけあい募金の起こりといわれており、また、終戦後の、混乱した社会経済状態の中で、戦災者、引揚者、傷痍軍人、失業者など、助けを必要とする多くの人々の救済に行われてきたが、今日でも、このような貧困に喘いでいる人のために募金が適正に使われるように願っているし、また、出来るだけ多くの人たちがその趣旨に則って、同じ地域に住む困った人たちを救済のため募金には協力したいものだね。
(画像右は年末ボランティア活動の救世軍。フリー百科事典Wikipediaより。左は、「平成9年度共同募金運動ポスター」モデルは、ホリプロの新人女優・石橋杏奈さん。)
共同募金 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E5%90%8C%E5%8B%9F%E9%87%91
社会福祉法人 全国社会福祉協議会(全社協)
http://www.shakyo.or.jp/
[PDF] 共 同 募 金 運 動 要 綱
http://www.akaihane.or.jp/hanett/undoyoko2002.pdf
平成18年度共同募金運動/政府広報オンライン
http://www.gov-online.go.jp/week/backnumber/theme_20061001/h18_kyoudou_bokin_undou.html#skip1
[PDF] 平成19年度「NHK歳末たすけあい義援金」の配分方針について
http://www.akaihane-toyama.or.jp/yousiki/NHK/NHKhaibunhousinH19.pdf
大阪毎日新聞 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E6%AF%8E%E6%97%A5%E6%96%B0%E8%81%9E
救世軍 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%91%E4%B8%96%E8%BB%8D
社会鍋
http://www.salvationarmy.or.jp/activity/nabe.html
民生委員 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%91%E7%94%9F%E5%A7%94%E5%93%A1
中野文庫 - 方面委員令
http://www.geocities.jp/nakanolib/rei/rs11-398.htm
[PDF] 歳末たすけあい運動について
http://www3.shakyo.or.jp/CDVC/fukushi/jigyou/pdf/tasukeai.pdf
募金詐欺 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%9F%E9%87%91%E8%A9%90%E6%AC%BA
難病男児かたり募金 HPで誘い被害も確認
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/071011/crm0710110708001-n1.htm
第二次世界大戦
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E6%AC%A1%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%A4%A7%E6%88%A6
PDF] 1.社会福祉協議会留意事項
http://www3.shakyo.or.jp/CDVC/fukushi/jigyou/pdf/tasukeai.pdf
赤い羽根データーベース
http://hanett.akaihane.or.jp/sys/frame.asp
石橋杏奈 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E6%A9%8B%E6%9D%8F%E5%A5%88