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記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

映画『風と共に去りぬ』が封切りされた日

2007-12-15 | 歴史
1939(昭和14)年の今日・12月15日、 アメリカ・アトランタで映画『風と共に去りぬ』が封切りられた。
MGMD・セルズニックヴィクター・フレミング監督により製作したテクニカラー方式による大作映画『風と共に去りぬ』(原題"Gone With the Wind")は、まさに、アメリカ映画史上の金字塔といえる。同名の世界的ベストセラー小説の映画化であり、原作者のマーガレット・ミッチェルは、クラーク・ゲーブルをモデルにテッド・バトラーを創作したといわれているそうだ。スカーレット役にはヴィヴィアン・リー。全編で3時間42分という大長編であるにも関わらず、当時空前のヒットを記録した。1940(昭和15)年2月29日に行われたハリウッド・アンバサダー・ホテルでの第12回アカデミー賞受賞式では、作品賞、監督賞、主演女優賞(ヴィヴィアン・リー)、助演女優賞(ハティ・マクダニエル・黒人俳優として初)、脚色賞ほか特別賞を含め9部門を受賞。この世紀の大作は、前年の1939(昭和14)年12月15日の今日、物語の背景となっているアトランタ市ワールド・プレミアが行われ、評判は全米規模のものとなっていた。そして、この作品が受賞することが授賞式で発表される前に新聞社が発表してしまった為、それまで新聞社にはあらかじめ知らせてあった受賞結果をこれ以降、プレゼンターが名前を読み上げるまでは厳重に管理することになったのだという。兎に角、この映画で、ヴィヴィアン・リーは、ハリウッドのトップ・スターになった。
映画評論家の故淀川長治がまだ、外国系映画会社ユナイテッド・アーチスツ日本支社宣伝部で働いていたとき、米本社からタイプライターで打たれた1通の製作ニュースが送られてきた。淀川はこの書類に書かれていた作品タイトルを「風と共に飛び去った」と訳してマスコミに流したという。当時まだ、全米で、出版されていなかったマーガレット・ミッチェルの原作を、プロデューサーのセルズニックが校正刷りの段階で映画権を獲得したもので、その時は監督もまだ決まっていなかったのだという〔朝日クロニクル「週間20世紀」)。
ミッチェルの小説『風と共に去りぬ』は1926年に書きはじめ、1936年に完成したという長編である。同年の6月30日に出版された。ミッチェルはジョージア州アトランタで生まれ、幼年期は南北戦争を生き抜いた母方の親類の影響を大きく受けたという。そのようなことから、南北戦争に関する豊富な知識を持っていた彼女が、南北戦争下のアトランタを背景に、南北戦争勃発から南軍の敗戦、戦後の再建といったアメリカの重要な歴史的大事件の中で、アイルランド系移民の父とアメリカ南部の名家出身の母を持つ、美貌と勝ち気で激しい気性の持ち主スカーレット・オハラが、最初の恋に破れてから3人の夫を送り迎える数奇な運命をおくる半生を描いた壮大な作品である。出版直後から驚異的な売り上げを記録し、世界各国で続々と翻訳されていた。その映画化が決まってキャストが発表されていくに連れて、人々の期待と興奮は募り、全米が今か今かと完成を待ちわびていた。
しかし、プロデューサーのセルズニックは、映画化権をとってから、2年半にわたって、プロ・アマを問わず、数百人の若い女性に面接したがヒロイン役の適任者が見つからないままに撮影に入ったという。そして、撮影初日は、炎上するアトランタ市のシーンだったが 、その時に、セルズニックの兄が、ロンドンの舞台で競演したローレンス・オリビエと恋に落ち、オリビエを追って渡米してきたリーを見つけて、連れて来たのだという。そのリーの「緑色の目が、端正なふるまいとは裏腹の生き生きと輝いている」のを見て魅了され、抜擢したという。その時、リーはオリビエと一緒だったそうだ。(アサヒクロニクル「週間20世紀」)。
それから3年後の1939(昭和14)年に、この作品の披露試写会がアメリカで行われたが、日本では同年10月「映画法」(以下参考に記載の「中野文庫 - 映画法」参照)が施行され、外国映画の輸入制限とその後の米国映画商社の閉鎖により、この大作は、噂だけで、日本での公開は、実現せず、それだけに、敗戦後のアメリカ映画解禁は、『風と共に去りぬ』が公開されるかもしれないという期待を映画ファンに抱かせたたが、なかなか実現されず、1952(昭和27)年9月4日、完成から13年目にして、やっと日本で公開された。ロードショー公開された東京の有楽座と大阪の松竹座では、全席指定で、600円、500円、300円と当時としては超高料金だったにもかかわらず、1982年公開のSF映画「E T」を上回観客を動員したという (アサヒクロニクル「週間20世紀」)。因みに当時普通映画の入場料が80円、くらいだったのだから本当に高かったのだね~。早くも翌年には再上映され、その後も繰り返し、リバイバルされ、当初スタンダードサイズだったこの作品は、その度にシネマコープ、70ミリ映画、シネラマとワイド化し、1989年までに15回もリバイバル公開された。
マックス・スタイナーによるテーマ曲『タラのテーマ』は、格調高いナンバーとして映画音楽の古典となっている。この音楽を聞いただけで映像が目に浮かぶほどだ。 以下で視聴できるよ。
タラのテーマ(風とともに去りぬ)・101ストリングス・オーケストラ
http://www.ongen.net/search_detail_track/track_id/tr0000108077/
南北戦争は、奴隷制の問題や社会的な理念の違いからアメリカが南北に分裂して戦われた。映画の舞台はその「南」のジョージア州アトランタ近郊のタラという町である。スカーレットは、アイルランド系の移民で、タラの大農園主オハラ家の長女として描かれている。
アイルランドのミース州の12km南方に「タラの丘」があるそうだ。ここは、ケルト族がアイルランドに渡来したとき、既にタラの丘は何らかの聖地として用いられていたそうだが、ここにケルト族が小国を作り、タラの丘は初期アイルランドで絶大的な権力を誇った上王が居を構え、行政を行っていたところだそという。『風と共に去りぬ』の映画のオハラ家の農場のある「タラ」は、このアイルランド出身のオハラ家が元、住んでいたアイルランドのタラの丘にちなんで命名したものだそうだ。ちなみにオハラ家というのは2000年の歴史を持つアイルランドの名門中の名門で、タラの付近一帯を統治していたのだそうだ(以下参考に記載の「映画で旅するUK&アイルランド」参照)。
マーガレット・ミッチェルは、南部の自分の身内の 南部連邦支持者の南北戦争に伴なう没落を、そんなアイルランドのタラの名門のオハラ家また、アメリカ南部のタラの大農園主オハラ家の没落にダブらせて小説を書いていたのであろう。
製作費や宣伝費に凄い大金を投じ、人気俳優を集め、その上当時としては非常にコスト高のカラーフィルムを使用した映画『風と共に去りぬ』は、有名なアトランタ炎上シーンなど数多くの印象的なシーンがあり、非常に見ごたえのある超大作であるが、当時、農業面で一番豊かだった南部の地域が奴隷制度をバックに築き上げたものであったこと、今でも、少数の人間がアメリカの富を独占し、10人に1人が飢えている国と言うことを考えれば、アメリカと言う国は、何か、当時の南部とそんなに代わっていない国だな~と思ったりもするのだが・・・。
私は、映画館ではなく、テレビで何度か見た。今は、ビデオでいつでも見れるようになったね。この映画に基づいて、宝塚歌劇用にもアレンジされたミュージカル作品が1977(昭和52)年に月組で初演され、レット・バトラー役を演じた当時のトップスター榛名由梨が口髭をつけたことが賛否両論を巻き起こしたそうだが、兎に角成功。以降、コンスタントに繰り返し再演され、宝塚歌劇の看板演目の1つともなっている。
(画像は、1994年1月・タカラヅカ80周年記念、月組公演『風と共に去りぬ』下段バトラー役の天海祐希、中央・スカーレット役・麻乃佳世、真琴つばさ、上段・アシュレ役・久世星佳。コレクションの宝塚大劇場チラシより。)
風と共に去りぬ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A2%A8%E3%81%A8%E5%85%B1%E3%81%AB%E5%8E%BB%E3%82%8A%E3%81%AC
風と共に去りぬ (映画) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A2%A8%E3%81%A8%E5%85%B1%E3%81%AB%E5%8E%BB%E3%82%8A%E3%81%AC_(%E6%98%A0%E7%94%BB)
「風と共に去りぬ」公式Webサイト
http://www.theatres.co.jp/kazeto-tomoni/
風と共に去りぬ(1939) - goo 映画
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD1842/
淀川長治 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B7%80%E5%B7%9D%E9%95%B7%E6%B2%BB
映画で旅するUK&アイルランド
http://www.asahi-net.or.jp/~UZ9Y-AB/ukmlmaga4.txt
タラの丘 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%A9%E3%81%AE%E4%B8%98
中野文庫 - 映画法
http://www.geocities.jp/nakanolib/hou/hs14-66.htm
有楽座 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%89%E6%A5%BD%E5%BA%A7
大阪松竹座 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E6%9D%BE%E7%AB%B9%E5%BA%A7
南座顔見世料金の推移
http://www.netlaputa.ne.jp/~kitamura/kabuki/kabuki-kao-pri.html
E.T. - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/E.T.
タラのテーマ(風とともに去りぬ)・101ストリングス・オーケストラ
http://www.ongen.net/search_detail_track/track_id/tr0000108077/