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記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

改正民法公布記念日

2007-12-22 | 記念日
1947(昭和22)年の今日(12月22日)、旧民法(明治民法)に代わる改正民法が公布された。
「民法」第四篇と第五篇を全面改正し、家父長制の家族制度が廃止され戸籍が夫婦単位となった。
民法とは、民法典(civil code)、あるいは私法一般法のことをいう。
形式的意義における民法とは、制定法である「民法」という名の法律、いわゆる民法典のことをいい、具体的には、1896年(明治29)年、法律第89号の別冊として編成された民法第一編第二編第三編(総則、物権、債権)及び1898(明治31)年法律第9号の別冊として編成された民法第四編第五編(親族相続)の形式上二つの法典が民法典である。全体が1898(明治31)年7月16日から施行された。これによって、日本の家族が民法の家族法によって初めて規律されたといえる。以来、戦前の日本の家族家制度に基盤がおかれていた。「家制度」は「」と「家父長制」の二つを大きな要素としていた。
「家」は、戸主と家族から構成される。戸主は家の統率者であり、家族は家を構成する者のうち戸主でない者をいう。戸主を中心とする「イエ」という親族集団の一体的結合と継続的発展を重視し、家族の人々を「イエ」に従属する存在とみなした。
戸主の地位の承継(家父長権の相続.=家督相続)、本家・分家などの階層性、それらを対外部的にひとまとまり(ウチ)としてとらえる心性・制度であった。
太平洋戦争終結後、日本国憲法の制定に伴い、その精神に適合するように(特に家制度の廃止など)、後2編(第四編第五編)を中心に根本的に改正され、改正民法の公布がされたのが、1947(昭和22)年の今日(12月22日)であった。
つまり、 日本国憲法の男女平等規定(第24条)のもとで、戸主権(戸主権・戸主の義務参照)が廃止され、家督相続にかえて財産の均等相続が定められ、結婚・離婚の自由、男女同権・夫婦中心の家族制度が定められた。
その結果成立した改正民法は、 当時まだ多くの男女不平等規定をもっていた西欧諸国の民法よりも、 男女平等という点で徹底したものであったといえるだろう(男女同権 参照)。 それでは、 戦後のこの改正が非常に先進的なものであったために、 現代までの家族の変化を先取りすることができて、 日本民法は 「不磨の大典」 たりえたといえるだろうか」。以下参考に記載の「有斐閣《20世紀をふりかえる》家族――家族法から見た日本の家族=水野紀子」にも、”明治時代に西欧近代法としての家族法を継受したときも、 保守派の反対はきわめて大きかった。 民法制定に反対した保守派は、 家族倫理の維持はもっぱら教育道徳に任せるべきもので、 家族員の権利義務として法律に規定すべきではないと論じた。 つまり、 家族員の間で権利主張をして争うことは、 そもそも道徳にもとるというのである。 旧民法草案の回付を受けた地方官たちが、 妻が夫を訴え子が父を訴えることができるとする民法草案に衝撃を受け、 民法の弊害を防ぐ運動が必要であると考えたことが、 教育勅語制定のきっかけとなったほどであった。"・・・とあるように、そうではなかったことが判る。
山県有朋の影響下にある地方長官会議が1890(明治23)年2月26日に「徳育涵養の義に付建議」を決議し、知識の伝授に偏る従来の学校教育を修正して、道徳心の育成も重視するように求めたことにより起草され、同年10月30日教育勅語(正式には教育ニ関スル勅語)が発布されている。
しかし、太平洋戦争終結までの日本において、この明治民法が、 戦時中には、国家への忠誠ために利用されることはあったものの、当時の保守派が危惧したように、 日本の家族倫理を崩壊させ、 家族の姿を変えることもなかった。 現実は、法律によって、 むしろ家制度の重圧が問題になっていた。
島崎藤村の長編小説『』にも描かれている。小説『家』では小泉家(藤村の生家である島崎家)と橋本家(藤村の姉園が嫁いだ高瀬家)という2つの旧家をモデルに、その没落を、相互の歴史を明らかにし、新時代の「家」と対比して描いた作品で明治期の家長制度を描写している。家が支えとなっているのではなく、自分の家・一族というものが重くのしかかってきて、その呪縛から逃れられずに生きた人々の物語である。
ただ、当時の保守派が危惧したような 家族倫理を崩壊させることも、 家族の姿を変えることもなく戦前まで来ることがでたのには、教育勅語に基盤をおく家族制要イデ オロギー(Ideologie)があったことは大きな要因だろう。
太平洋戦争の終戦を機に民法の改正により家制度は廃止され、また、教育勅語も廃止され、教育の場から道徳教育もなされなくなった。そして、戦後の日本は、経済復興と給与労働者の増加により戦前のような家庭は家内労働の場という側面が薄まり、時代の変化に伴い家族の在り方も変化してきている。そして、戦前にあったようないい意味での助け合う家族の形が崩壊し始めている。現在、多くの日本人はそのような家族の問題に自信を失い始めているのではないだろうか。いや、拠りどころがないので右往左往していると言っていいだろう。かつては良かれ悪しかれ教育勅語という拠りどころがあったが、それは廃せられ、それに匹敵するものがない。今、教育勅語の復活を望む声も上っているようであるが、必ずしもそのようなことを良しとするものではないが、たしかに、戦後教育の基本は、日本国憲法と教育基本法によるものであったが、ともに個人主義の考え方に立ち過ぎ、欧米のような宗教的基盤のない(西洋の文化はキリスト教と哲学からなるといわれている)、利己主義を広げたようには思われる。さらに、家庭、家族関係が人格を形成し、倫理・道徳の基本を身につける場であることの視点、も欠如しているのではないか。そのような意味で、今の時代に対応した本当の意味での家族法の成立が必要になってきたのではないかと思うのだが・・・。
(画像は、1970年公開山田洋次監督映画「家族」。goo-映画家族→ここ
参考:
家族法 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%B6%E6%97%8F%E6%B3%95
民法
http://www.houko.com/00/01/M29/089.HTM
法務省民事局HP
http://www.moj.go.jp/MINJI/index.html
中野文庫 - 日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律
http://www.geocities.jp/nakanolib/hou/hs22-74.htm
教育ニ関スル勅語 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%99%E8%82%B2%E5%8B%85%E8%AA%9E
民事局/我が国における氏の制度の変遷
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji36-02.html
有斐閣《20世紀をふりかえる》家族――家族法から見た日本の家族=水野紀子
http://www.yuhikaku.co.jp/shosai/20c/20000502.html
青空文庫 分野別リスト ・ 家族問題.男性・女性問題.老人問題
http://yozora.kazumi386.org/3/6/ndc367.html
家族 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%B6%E6%97%8F
家 (小説) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%B6_(%E5%B0%8F%E8%AA%AC)
図書カード:作家名: 島崎 藤村
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person158.html
本村司法書士事務所HP・相   続
http://www3.ueda.ne.jp/~motomura/wagakuninosouzoku.htm
男女同権 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B7%E5%A5%B3%E5%90%8C%E6%A8%A9
男女平等とは - はてなダイアリー
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C3%CB%BD%F7%CA%BF%C5%F9
「新しい道徳教育」への提言
http://www.worldtimes.co.jp/book/doutoku/doutoku.html
日本財団図書館(電子図書館) 私はこう考える【教育問題について】
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/01254/contents/647.htm
Category:倫理- Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/Category:%E5%80%AB%E7%90%86
家族 (映画) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%B6%E6%97%8F_(%E6%98%A0%E7%94%BB)
家族制度の変遷と教育HTMLバージョン
http://209.85.175.104/search?q=cache:Id5BqQBpuDQJ:www.nuedu-db.on.arena.ne.jp/pdf/012/12-r-005.pdf+%E5%AE%B6%E6%97%8F%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E5%A4%89%E9%81%B7%E3%81%A8%E6%95%99%E8%82%B2&hl=ja&ct=clnk&cd=1&gl=jp