ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

悪徳警官はくたばらない デェービッド・ローゼンフェルト

2009-03-31 12:36:00 | 
明るく前向きであることは、案外難しい。

私は基本的には楽天家だし、現実的で実務的でありたいと思っている。しかし、本質的には夢想家だし、怠けるのが好きで、無駄にクダラナイことが大好きでもある。

私の内面には、合い矛盾した自分が対立していて、時としてそれが自分を苦しめる。

明るく前向きであるばかりが人生じゃない。暗くて後ろ向きであることだってある。自ら望んでこうなったわけではないが、こうなるには相応の理由とか原因がある。暗くてなにが悪い。後ろ向きの生き方でなにが悪い。

傷ついた時には、暗がりで縮こまって身体をいたわるものだ。明るく前向きでなんていられない。復讐の怨念は、傍から見れば醜い妄執であることは分るが、それが必要な時だってある。

それでもだ、やはり明るく前向きに生きることは、望ましい生き方だと思う。羨望を込めてそう思う。

その生き方を実現しているのが、表題の作品の主人公だ。前作「弁護士は奇策で勝負する」で大逆転勝利を納めた主人公だが、彼の幸せの基本は愛犬のタラとGFのローリー。

その一方が第一級謀殺の疑いで起訴された。しかも、自分がその起訴に一役買わされる窮地に陥る羽目になる。有利な証拠は一切なく、次から次へと降りかかる陰謀で追い込められていく。

明確な証拠は一切無い絶望的な状況から、いかに抜け出すか。裁判をゲームだと言い放ち、あくまで勝利を目指して主人公は、能天気なまでに前向きだ。

やもすると、アホ・キャラ扱いされかねない危うさを救っているのは、この主人公が亡き父から叩き込まれた断固たる倫理観にある。これゆえに悩まなければならないが、絶望的な状況にあっても、この倫理観は手放さない。

明るいことは必要だけど、明るいだけでも駄目なんだと思う。実践するのは難しいのだけどね。
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ビデオワールド (雑誌)

2009-03-30 17:18:00 | 
この雑誌は所謂裏ビデオ、現在では裏DVDの紹介をメインに据えたものなので、私のようなスケベ者以外はまず読まないと思います。

もっとも、私自身は裏DVD自体にはそれほど関心はありません。裏であろうと表であろうと、作品として優れているならば、それで善しとする性分なので、表裏にはあまり拘っていません。はっきり言えば、わいせつな部分を隠していない(違法だが)ことを売りにしている裏メディアは、安直な作品が多く大半は観るに値しない駄作が多いのが実情でしょう。

それにもかかわらず、私がこの雑誌を読むようにしているのは、編集後記やこの業界の人たち(監督や男優、女優)たちの書いた記事に、生の本音が書かれているからです。

現在の雑誌作りには広告収入が欠かせません。したがってメジャーな雑誌ですと、大口のスポンサーの意向に反するような記事は、世論の後押しがないかぎり載せられないのは新聞、TVと同じです。

しかし、この雑誌は内容が内容なので、大手の企業がスポンサーになることはまずない。なにせ大手のAVメーカーですら広告を控える下卑た雑誌ですから(苦笑)。

そのおかげで、一般的なメディアではまず読めない記事にお目にかかれる醍醐味があります。なかでも私が最近注目しているのが、DVDプレイヤーという家電機器に対する論評です。

裏DVD評論を仕事とする方々は、膨大な量の映像をDVDに録画する。その努力の成果であるDVDが読み込めないトラブルの頻発に頭を悩ます。なかでも国内有名メーカーであるP社の機器及びサービス体制の悪さを酷評する。

他社で機器で録画したDVDを読めないどころか、修理に出せば別な箇所が故障して戻ってくるありさま。DVDが普及して以来、散々トラブルに悩まされていることを記事に書いたところ、読者からも同様の便りが相次ぐ。

わりとマニアな読者の説明では、現在のDVD機器は海外からの部品の寄せ集めで、しかもコストダウンの強行の結果信じがたいほど製品の質が落ちている現実。国産の部品の比率に応じてトラブルが減るが、コストがアップするため海外からの輸入パーツを多用せざるえない。

また小泉改革の結果、製造現場での派遣労働者の多用が、結果的に製造技術の低下につながっているとの指摘も実に興味深い。ずいぶんと安くなったDVDだが、海外生産しているM社のディスクはトラブルが多く、やはり国産のT社が安心できるなど、大手の新聞、雑誌には決して書かれない情報が書かれている。

DVDどころか、TV自体あまり観ない私にすら目から鱗が落ちるが如き、本音の情報には驚かざる得ない。このような情報こそ、多くの消費者の目にとまるべきだと思うが、実際は広告に支えられた一般メディアには記載されることはない。これが報道の自由を掲げる国の現実だというから、情けないというより空恐ろしい。

違法商品である裏DVDを扱う雑誌だけに、相当にスケベで猥雑なため、さすがにお薦めは出来ないが、このような事実があることは知っておいて欲しいと思います。
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ドクトルまんぼう航海記 北杜夫

2009-03-27 17:07:00 | 
地上の生物は、皆海から上がって進化してきたという。なれば、海こそが故郷なのだろう。

山登りの傾倒していた私だが、それでも年に一度以上は必ず海に出かけるようにしている。ほとんどが海岸で寝転がるだけだが、波のさざめきと眩しい太陽に癒される感覚が好きでたまらなかった。太古の祖先が海から来たことを、なんとなく実感できたものだ。

しかし、陸に上がっていた期間が長すぎて、今更戻ることは出来なくなっている。船という道具を使って、再び海に乗り出した人類だが、やはり長期間海で暮らすことは難しいのだろう。

まず、ほとんどの人は「船酔い」に苦しめられる。これは陸に上がれば、あっというまに治ってしまう。まれに船酔いに強い人もいるが、狭い船内に長期間暮らすことからくる精神的疾患からは逃れられない。

ドクトルまんぼうこと北杜夫先生は、船酔いには強かったが、最後は精神的ストレスから内臓をやられてしまう。揺れの少ない大型船で、多くの人たちとの交流があれば精神的ストレスも対処できたのかもしれないが、狭い船内と限られた人間たちとの間では難しかったのだろうと思う。

ちなみにまんぼう先生は精神科医だから、自らの変調を冷静に観察できたようだ。この航海記に限らないが、まんぼう先生の著作には、冷静な観察眼とユーモア溢れる洞察、それでいて妙なおっちょこちょいぶりがみられて実に面白い読み物となっている。

私がはじめて読んだ北杜夫の作品が、この航海記だった。軽妙な文体ながら、冷静さと笑いの混合具合が気持ちよく、高校時代はずいぶんと読み込んだものだ。

ただ、なんとはなしに私は船旅には向かないだろうとも思っていた。乗り物酔いに弱いこともあるが、なにより広大な海原が駄目だと思う。その単調な広がりに心が麻痺して、終いには退屈を通り越して苦痛になることが予想できたからだ。

これはヨーロッパに旅行した時、ベルギーからオランダあたりをドライブした時にも実感できた。平坦な平原が続く景色を楽しめたのは最初だけで、その単調さから苦痛を感じるようになっていた。あのあたりは、土地に起伏がほとんどないので、どこまで走っても景色が変らないのだ。これは退屈ではすまされない苦痛だった。

落ち着きの無い私は、どうもあまりに平坦な光景は苦手らしい。狭い日本は山に囲まれ、起伏のある変化に富んだ風景があたりまえにある。やっぱり私は日本が好きだ。
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確定申告雑感

2009-03-26 12:23:00 | 経済・金融・税制
私がこの業界に入り、確定申告の仕事をするようになって15年ほどたつ。

今回の申告ほど不動産売買の申告が少なかった年も珍しい。例年だと二桁の申告があるのだが、今年は一桁台に留まった。やはり昨年はまちがいなく不動産不況の年だったようだ。

もっとも株の売買による申告は、昨年以上に増えている。これは株の売却損が3年繰り越せる制度の適用を受けるためで、売却損益自体は赤字が多かった。とりわけ信用取引と、投信売買による損失が目立った。

しかし、今回の確定申告で私も含め事務所のスタッフ全員の実感は、なによりも医療費の多さだった。申告を依頼してくる顧客の大半が、大量の医療費の領収証を持ち込んできた。ようするに医療費控除の申告なのだが、その領収証の多さに閉口せざる得なかった。

実は医療費控除の対象となる医療費は、生計を一にする親族ならば誰でも可能だ。つまり一番所得の多い家族(税負担が一番大きい)に医療費控除の申告を集中することが一番節税につながる。

それゆえに家族全員の医療費領収証が集められ、こちらに送ってくる。丁寧に集計して送ってくる方もいれば、お菓子箱にどっちゃりほうりこんで送ってくる方もいる。

いずれにせよ、こちらで精査してから申告することになる。別に難しい仕事ではないが、その量の多さにめげた。かなりの時間を取られるのだが、そのわりに節税効果は薄い。ある意味、やりがいがない仕事だ。

それでも、少しでも節税に務めるのが仕事だ。所得税の節税効果は薄いが、後から賦課される住民税と合わせれば、やはりそれなりの節税効果は見込める。節税は小さなことからコツコツとが基本なのは、今も昔も変らない。

率直に言って、医療費控除は10万円(ただし所得の5%が10万以下なら、所得の5%)で足切りされるため、入院や歯の治療がないと、なかなか10万の大台は超えない。この10万が適切かどうか、本来もっと考証があってしかるべきだが、何故かあまり話題にならない。

ちなみに以前は5万円だったから、ある意味庶民狙いの増税策でもある。改正(改悪だと思うが)当時、2倍にすることはないだろうと憤慨した覚えがあるが、新聞やTVは呆れるほど素直にこの増税策を受け入れた。まったくもって、マスコミ様は、情報の横流しが仕事なようだ。もちろん、世論もほとんど反応しなかったと記憶している。

このあたりが、日本における納税者意識の低さの顕れだと思う。医療費控除の申告をする方は多いと思うが、その控除の中味を考えている余裕はないようだ。忙しい最中での、集計と不慣れな申告書記入に追われるが故だと思うが、還付された税金の数字を見ながら、改めて税法の非情さに思いを馳せて欲しいと思う。

医療費は国民が健やかに生きていくための必要経費なのだ。それが安易に10万円以下は打ち切りとされることに疑問を抱かないのは、私としては違和感を禁じ得ない。

年内には衆議院選挙があるはずなので、この医療費と税金の問題は是非とも意識して欲しいと思う。断言しますが、黙っていたら、税金はむしられる一方ですぜ。
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ヤング田中K一 田中圭一

2009-03-25 12:24:00 | 
危険につき、人前では絶対に読まないこと。

分っていた、分っていたはずなんだ。田中圭一の漫画が恐ろしくクダラナイことは。それなのに読んでしまった自分が悪い事も分っている。

しかし、表題の漫画は私の想像を超えてお下劣だった。実話に基づく(田中氏談)だけに、なおさら可笑しくてたまらない。

意表をついたバカらしさに、つい吹き出し、笑いが止まらない。笑い終えて虚脱状態に陥り、部屋のなかの静寂に諭されて、自分の愚かさに気がつく。

絵柄は相変わらず手塚治虫の画風をパクッたものだ。たまに永井豪が飛び出すが、基本的に穏やかな描写に、えげつない下ネタ・ギャグが組み込まれ、その意表を突いた笑いに引き込まれてしまう。

でも、落ち着いて顧みると、もの凄くクダラナイことに気がつき、大笑いした自分がバカに思えてくる。こんなギャク漫画は滅多にない。

改めて警告します。絶対に人前では読まないように。
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