ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

タカタの倒産

2017-06-30 12:39:00 | 経済・金融・税制

エアバックの破裂問題で経営危機に陥っていたタカタが民事再生法を申請した。

正直、非常に腹が立つ。民亊再生法も破産ではあるが、会社更生法と比べて経営者に甘い。会社更生法が、その再建を裁判所が指定した破産管財人が担うのに対し、民事再生法では経営者が居座ることが許される。

タカタの経営再建が遅れた最大の原因は、はっきり言えば創業者一族の甘えである。経営責任を取らずに、なんとかその場しのぎで誤魔化そうとして失敗したからこその破産である。

一番の失敗は、エアバックの欠陥を隠ぺいしようとしたことである。アメリカでは罪そのものよりも、その罪を隠ぺいしようとしたことに対するほうが罰則が重い。タカタは、2004年の破裂問題発生以後も、何度となく問題の所在をあいまいにして、結果として隠ぺいの罪を問われた。

二番目の失敗は、この問題を謝罪することを避ける経営陣の姿勢そのものである。アメリカのマスコミに叩かれ、日本でも非難の声が上がり、内々に霞が関から姿勢を問われて、ようやく謝罪の姿勢を見せた。それも、ごく短時間であり、印象は非常に悪い。

あまりの対応の悪さに、主な取引先である日本の自動車メーカーからも失望と怒りを買い、本田などは取引を止める始末であった。あげくに、救済の姿勢を見せる日本の自動車メーカーをしり目に中国系企業の傘下にあるアメリカの企業に事業を譲渡するという。

タカタは高度な技術を持つ自動車部品製造メーカーであり、その宝である製造ノウハウが海外に、しかも中国に流出してしまうのである。これは単に技術の流出に留まらない。

遅かれ早かれ、製造工場はシナに移転されるから、日本国内の雇用の喪失であり、また安い人件費を武器にしたシナ系の下請け企業に仕事を奪われ、日本の下向け企業が苦境に陥ることも確実だと云える。

しかも、会社梼Yで債務の切捨てを狙うのだが、それも第三者に委託しての会社更生ではなく、破たんさせた経営者が居残っての民事再生だと言うのだから、呆れてものが言えない。

これは、タカタの創業者一族の利益を確保したうえでの行為である。一兆円を超えるとされる債権者、株主、従業員、そして関連する下請け企業のことなど、まるで考えない恥知らずな所業であると断言できる。

もし・・・仮に2010年くらいに民事再生をとっていれば、まだまともな再建は可能ではないかと思う。だが、今年まで引っ張り、取り返しの付かない状態になってからの破産である。

経営者がこれほど卑劣では、日本の自動車メーカーなどの協力も得られまい。梼Yとは概ね悲劇ではあるが、近年の上場企業で、これほど恥知らずな梼Yは珍しいと思います

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キング・アーサー

2017-06-29 14:40:00 | 映画

ユーラシア大陸の東端にあるのが日本列島であり、西端にあるのがブリテン諸島である。

この両国、実はけっこう似たような歴史をもっている。大陸からの強い影響を受けつつ、独自の文化を育んだ日本とイギリス。もちろん、違いも大きい。

特にブリテン島は古来より多くの侵略を受け、支配する国家もケルト系、ノルマン系、サクソン系、オランダ系と多彩である。そのせいで、英語、すなわちEnglishは、混成語であり、おかげさまで、日本人は英語の習得にえらく苦労する。

年代により、使用される言語が違うせいか、古代の歴史も虚実入り混じり、史実として未確定のものが多い。その代表ともいえるのが、アーサー王と円卓の騎士の物語であろう。

子供の頃から、世界の童話、伝説、寓話などを読み漁ってきた私だが、正直アーサー王の話だけは種類が多過ぎて、イメージがつかみづらいと思っている。

大雑把なイメージだが、ブリテン島の王家の子供ではあったが、権力争いに敗れた親のせいで荒野に放り出されたアーサーが、仲間を作って王座を奪還した。しかし、親友と妻に裏切られ、悲劇の生涯を閉じた英雄。そんな感じで捉えている。

異説というか、異なる物語のアーサー王伝説もあるが、国内では裏切りと内乱、外国からは絶えざる侵略を受けてきたブリテン島の伝説としてはやむを得ないのであろう。

表題の映画は、アーサー王の伝説の前半をクローズアップしたものであり、悲劇の後半は描かれていない。私としては、そこが良かった。親友と妻の裏切りの話なんて、わざわざ描いても楽しくない。

娯楽映画としては、アーサー王の前半だけで十分だと思う。強いていえば、キリスト教が森を刈り払う前のブリテン島なので、もう少し森の濃さを強調してくれると、よりリアルだったと思う。

日本では、なぜかアーサー王と円卓の騎士の物語は、あまり知られていないので、良い機会なので鑑賞してみてもイイと思います。でも、続編は作らないで欲しいな。

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マスコミの思い違い

2017-06-28 12:45:00 | 社会・政治・一般

民主主義を掲げる社会にあって、マスコミの役割は権力の監視であろう。

そして、有権者に適切な情報を提供することで、権力者(政府)に自制を促し、有権者の次なる投票同道に影響を及ぼすことがマスコミに課された重要な使命でもある。

だが、今の日本のマスコミをみていると、どうも勘違いしているようにしか思えない。

森友学園? これは金欲しさの詐欺師が安倍にすり寄っただけであり、首相として不適切な利益を得た訳ではなかろう。

加計学園? これだって、獣医学部の新設を拒否する既得権勢力である役所と、規制緩和を推進する官邸との争いが本質であり、それにより安倍首相が不当な利得を得た訳ではあるまい。あれば、問題だけど、どうみてもありそうもないね。

マスコミは、安倍政権を潰そうとして、盛んに報道しているけど、どうみても嫌がらせ程度でしかない。

私は安倍政権が理想的だとは思っていないし、不満も相当にある。だけど、今のマスコミの報道の在り様のほうが、よほど不満である。もっと、国民生活に沿った視点で報道しろと思う。

安倍に限らないが、今の日本は問題、課題だらけであり、もっと議論すべきこと、規制するべきこと、規制緩和すべきこと、情報開示すべきこと数多ある。

マスコミが必死て報じる加計問題は、枝葉末節というか、安易に流れ過ぎであり、今の日本はもちろん、将来の日本にとっても、まるで有益とは思えない。

反権力がマスコミの本質だと思い込んでいるみたいだけど、本当の課題は、有権者に適切な情報を提供して、選挙における投票行動を促すことであろう。必ずしも、与党批判だけが、有権者にとって有益とは限らない。

むしろ、野党に甘すぎることが、野党を堕落させ、国民に有益な真の野党を育むことを阻んできたのではないか。新聞、TVの記者は、改めて報道の意義を考え直すべきだ。

いくら加計問題で、与党批判、安倍批判を繰り返しても、それが将来の日本に有益とは限りません。むしろ、マスコミ自身の質を貶めている現実に気が付けないのが滑稽です。

安倍政権とて、問題、課題は数多ある。そこをつけないマスコミのだらしなさのほうが、私には、余程不愉快に感じて仕方ありませんね。

コメント (4)
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都議会選挙

2017-06-27 12:43:00 | 社会・政治・一般

今週末は東京都議会議員選挙である。

いつもなら迷わないのだが、今回は少々迷っている。マスコミの報道は、与党自民党都議団と、小池都知事率いる都民ファーストの会の対決に焦点が合わされているように思う。

目先のことに追われるのは、マスコミの常だが、そんな軽薄な報道でいいのかと苛立ちを禁じ得ない。

元々、東京湾の埋め立て再開発計画は、都庁の悲願であった。高度成長期、夢の島と呼ばれたゴミの埋め立て地を、如何に再開発するかは東京都に課せられた使命であった。

当初は、税収が見込まれる高度商業地区を目指していたようだが、如何せん元ゴミ処分場だけに、イメージは悪くて、この新湾岸再開発計画はとん挫した。それでも諦めきれず、都市博の開催を目指したり(青島が潰しましたね)、いろいろと試行錯誤を繰り返した。

築地市場の豊洲への移転も、この東京都の新湾岸再生計画の一環であった。これは鈴木都政以前からの東京都の悲願であった。そのせいだろう、この湾岸再開発計画には、正体不明の様々な団体が関わっている。

事情から名称は出せないが、東京都の関連団体として、○○研究会とか、□□公益法人などがあり、当然ながら都庁の退職者、出向者で溢れている。そして、この利権に食いついたのが、東京都議会の議員様たちである。

やたら、内田都議が有名になってしまったが、彼一人で出来る訳もなく、多くの自民党都議、野党都議が食いついている。この魑魅魍魎の輩を「都政の闇」と呼ぶ。この利権に歯向うものは、議員であろうが、都庁の役人であろうと闇に葬られた。

当然であろう、数千億の税金が投じられた湾岸再開発計画である。邪魔するものは消す! それが、これまでの都政であった。

この湾岸再開発計画に待ったをかけたのが、小池新東京都知事である。

豊洲への移転を遅らせただけでなく、築地の再開発にまで手を伸ばしてきたのだ。絶対に許せる訳がない。

曰く「徒に豊洲移転を遅らせただけ」 「豊洲と築地の両面開発なんて、採算が合う訳ない」 「小池劇場は終わった」

マスコミ人脈を駆使して、小池側のイメージダウンを狙っている。そして、過去の都政の闇を穿り返されないよう、過去を頬被りして、済ませようと必死である。

そのためには、小池の勢力を都政から追いやらねばならぬ。この都議会選挙は、現実路線の自民党と、根拠なき妄想で都政を混乱させる小池陣営の戦いだと、都民にアピールしなくてはならない。

豊洲だけでなく、築地の再開発利権まで奪われてたまるか。絶対に選挙には勝たねばならぬ。そう考えている人たちがいるはずだと、私は邪推しております。

私の偏見だといいのですが、マスコミの安っぽい論調をみていると、どうも不安になります。

なお、私自身は湾岸再開発には賛成であり、21世紀の東京都の看板とも成り得る立派な再開発をして欲しいと切望しています。ただ、だからといって、過去の悪業を知らん顔するのには否定的ですけどね。

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幽霊の2/3 ヘレン・マクロイ

2017-06-26 12:25:00 | 

タイトルって大事だと思う。

ジャケ買いなんて言葉があるが、私の場合、タイトル買いをすることがたまにある。表題の作品もその一つだ。

読み終えて思ったのだが、このタイトル、素晴らしい~。ミステリーでネタバレはご法度なので、書かないけど、このタイトルの謎を知るだけでも読む価値ある正統派のミステリーです。

戦前に書かれた作品ではありますが、時代背景が古くても、面白いものは面白い。こんな作品が埋もれていたとは知りませんでした。新たに新訳で刊行したそうですが、納得の傑作です。

かつて、レコードをジャケ買いしていた頃は、けっこう外れがあった。でも、不思議なことに本に関しては、外れよりも、当たりのほうが多いように思います。

思わぬ僥倖にあたった気分で、こんな作品を読み終えた日は、なんかイイことありそうな気がするから不思議ですね。

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