ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

コメンテイターの退任

2020-03-31 11:23:00 | 社会・政治・一般
>「4年間感じたのは、やはり政治と政治家の劣化。それを政治部記者を長くやってきて強く感じます。特に日本の民主主義の根幹をゆるがすような事態が日々起きていた。例えば国会軽視とか当たり前に見られていた公文書が平気で改ざんをされてしまう。そして、弱い人たちへのまなざしがほとんどないような、そういう政治が日々行われてきた」と指摘した。

笑わせてくれる。

テレビ朝日の報道ステーションで、2016年4月からコメンテイターを務めていた後藤謙次氏が退任を公表したときの発言である。政治と政治家の劣化は、私も同意。特に野党の劣化がひどい。公平にみて、報道と記者の劣化を自覚しない無神経さに呆れてしまう。特に最後の科白にむかついた。

>最後に「我々の無力感も感じますがさらに場所を変えて取材活動を続けて参りたいと思います」とコメントしていた。

あなた、現場に行かず、取材もせずにコメント垂れ流すので悪名高いこと、気が付かずに記者やっていたのかいな。先だって安倍首相が記者会見で、記者からの質問を打ち切って退場したことを責めていたが、無視される程度の内容の質問であったことへの自覚はないようだ。

もっといえば、新聞やTV局の記者様は、官庁の記者クラブでの会見では、官僚から渡される資料の横流しで済ませ、その内容の反証をとるような地道な取材は省いている。

記者クラブを追放されては困るので、官僚から頂いている資料を攻撃することは避ける。その癖、彼ら大マスコミ様が三流だと揶揄する週刊誌の記者がとってきた官僚のスキャンダルが公表されると、意気揚々と官僚批判を始める。

でも、本気で官庁が嫌がるような批判、しないよね。もっともそのような辛辣な批判が出来たのは、以前から共産党系の記者くらいで、大マスコミ様は世論が官僚批判に沸いている時しかやらないよね。もっとも最近は共産党系も大人しいというか無難に過ぎる。

公権力を監視する役割を負っているマスコミが、そんなざまだから政治が劣化しているんじゃないのかね。

偉そうに「弱い人たちへのまなざしがほとんどない」とか言っているけど、つまるところ頭の弱いマスコミ様への配慮がないって愚痴っているようにしか聞こえなかったぞ。

大マスコミの立場でうまい汁を吸ってきた人なので、この先もほとんど期待できないけど、せめて現場への取材は行って欲しい。行かずに、偉そうにコメント、垂れ流すのだけは辞めて欲しいと切に願います。
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文豪ストレイドッグス 原作・朝霧カフカ/作画・春河35

2020-03-30 12:25:00 | 
謹厳な文学愛好家が読んだら激怒するんじゃないかねぇ・・・

そう思いつつも、最近お気に入りと化しているのが表題の作品だ。なにせ冒頭に空腹でぶっ唐黷髓?∮ヨから始まり、自殺愛好家の太宰やら悪役の芥川などと純文学作家目白押しなのだが、内容は異能力バトルなのだ。

その異能力の名称がおもしろい。太宰の「人間失格」とか芥川の「羅生門」宮沢の「雨にも負けず」と想像できるもの、まったく予想もつかないものなど不思議な異能力が目を引くが、本当に面白いのは、能力者の性格というか人格だろう。

この作品、週刊少年ジャンプに連載されてもおかしくない内容なのだが、掲載誌がマイナーな漫画雑誌である少年エースなので、あまり知られていないのが残念無念。

間違っても文学の香りなんざしません。だけど、微かに香る純文学作家の個性が楽しい。ねたバレになるので書かないけど、暇になると自殺の手段を探る太宰と、それに真面目に付き合う国木田のかけあいが馬鹿らしくもおかしい。

ちなみに頁が進むに従い、スタインベックやモンゴメリーといった海外の文豪も登場しての奇想天外なバトルが楽しい。特にフィッツジュラルドの傲慢セレブぶりが私のツボに入っている。

軽い気持ちで読んでみては如何?

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東京急行

2020-03-27 13:53:00 | 社会・政治・一般
東京急行は今も飛んでいる。

冷戦時代のことだが、ウラジオストク近郊の空軍基地から飛び立った偵察機が、北海道東岸をまわり東京近海まで南下し、時には沖縄近くまで行き、日本海を北上して帰投する偵察任務をしばしば行っていた。

これが通称・東京急行であり、その時使われる機体が世界最速のプロペラ機であるTuー95通称ベアーである。その最高速度は時速900キロであり、亜音速に近い。私は20世紀最高のプロペラ機の一つだと高く評価している。

しかし、日本では軍用機を真っ当に評価したがらない妙な雰囲気がある。軍事マニアには有名な機体なのだが、一般的にはあまりその価値が知られていないので、今回敢えて取り上げた次第。

まずなんといっても非常に個性的な設計であり、未だに追随機が存在しない。優秀な機体なのだが、当のソ連はもちろん、アメリカでさえ似たような機体の開発には失敗している。実際このベアーは、瓢箪から駒とも云うべき稀有な飛行機である。

第二次世界大戦後、ソ連は高速度の爆撃機がないことに悩んでいた。当時アメリカはB29の後継機としてB52フォートレスという大型ジェット爆撃機を準備しており、既に試験飛行も済ませていた。

もちろんソ連もジェットエンジンの開発には多額の投資をしていたが、燃費が悪く長距離を飛行する必要がある爆撃機に搭載できるものがなかった。そこでソ連はジェットタービン方式ではなく、ターボプロップ方式のエンジンを開発した。

これもジェットエンジンなのだが、ジェット噴射ではなく、プロペラを回転させて飛行するものだ。ただ、この方法では高速は出ないはずであった。プロペラというものは、超高速で回転させると、プロペラの先端が音速を超えてしまい、その衝撃波でプロペラを破損してしまう。

当時(実は今も)の技術では、その衝撃波の発生を抑えることができなかった。しかし、ツャ激t博士は二重反転のプロペラを採用し、低速でプロペラを回転させつつ、高速飛行を可能にしてのけた。

その結果、小型の高速戦闘機でも不可能であった亜音速での飛行が可能になり、しかも通常のジェットエンジンよりも低燃費であるため、航続距離は1万5千キロという前代未聞の高速爆撃機が出現した。

簡潔に説明してみたが、実際の製造は困難を極めたはずだ。事実、ベアーの高速飛行と長距離飛行の両立に驚いた西側諸国は、同様のエンジンを開発しようとしたが、遂に実現できなかった。まァ通常のジェットエンジンの高効率化に成功したので、無理する必要がなかったのも一因ではある。

それにしたってソ連の工業技術の水準の高さには、本当に驚かされる。ただこの機体、巨大な二重プロペラのせいで、独特の低音が轟音となって非常に騒々しい。そのせいで、隠密飛行には不向きな機体でもある。

当初は爆撃機として1952年に登場したが、後に偵察機として改造されたベアーが登場した。こいつが東京急行の主役であり、日本の空を守る航空自衛隊は数え切れぬほどのスクランブル発進を繰り返した。

自衛隊のF4ファントムと並行飛行するTu95の映像に見覚えがある方も多いと思う。初登場から60年以上となるが、今もロシアの大地を飛び立ち、日本近海への偵察飛行を繰り返しているというから驚きだ。

覚えておいて欲しい。今も過剰なまでに祖国防衛意識を持つロシアは、日本を潜在的敵国として、その防衛網の分析を怠らない。もちろん主たる目的は、在日米軍基地なのだろうが、日本の防空体制の偵察も決して怠らない。

日本は憲法9条により外国を侵略するはずないと思い込んでいる平和大好きな日本人こそ、このロシアの態度をよく考えて欲しい。ロシアは日本を征服したくて偵察しているのではない。自国の防衛、すなわち平和を守るために偵察飛行を今も続けている。

これこそが、世界基準での平和を守る姿勢である。少なくてもロシアは日本の憲法9条なんて、まったく信じていない。この現実を直視して欲しいものである。

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死刑判決を聞いて思うこと

2020-03-26 11:38:00 | 社会・政治・一般
この事件の第一報はラジオで聴いた。

当初、寝ぼけ眼で聴いていたせいか、どかかの国でまた銃による大量殺人事件が起きたのだと勝手に決めつけていた。でもラジオから「相模原では・・・」の音声が聴こえてきて、ビックリして目が覚めた。

まさか日本でアメリカのような大量殺人事件が報じられようとはと、暗然たる思いを抱いた朝であった。これが津久井やまゆり園事件の第一報であり、先週には死刑判決が下った。

死刑そのものに異論はない。ただこの犯人に限らないが、近年妙に他人を見下すことを平然と口にする人が増えてきたように思えてならない。

本質的なことを言えば、人は他人よりも上位の立場に立ちたがるものだ。その根拠となるのは、社会的地位であったり、金であったり、あるいは名声であることもある。

社会的生物である人が、その属する社会のなかで上位を目指すことは本能的なものである。私もそれを否定する気はない。

しかし、何故に下位の者を見下すのか。いや、上位を目指す為に努力を惜しまぬものが、その努力を怠るものを侮蔑する感情なら分かる。しかし、下位にいる者の中には己の責任によらずして落ちてしまったものもいる。

地震や津波などの天災もそうだし、今回の被害者のように障碍者として産まれてしまったものに何の咎があろうか。ましてや生きている価値がないなどと、他人が決めつける権利があろうはずがない。

ところが今回の植松被告のように、他者を見下すことを当然のように思い込む下位の者が増えているように思えてならない。決して口外しないだろうけど、霞が関や大手町のいわゆるエリートには、他者を見下している人が少なくない。これは感心できることではないが、エリートになるための努力を想えば、分からなくもない。

ところが近年は、社会的な落ちこぼれ、ニート、低所得者などにも、この顕著な他者への見下し姿勢が増えているように思える。社会的な劣等感の裏返しに過ぎないと考えていたが、どうもそれだけではないようだ。

下記に添付したのは、今回の植松被告が衆院議長に送った手紙の一部だそうだ。なんとも呆れる内容だが、ここで感じるのは強力な自己顕示欲だ。自己を客観視できない愚かさはともかくも、彼が間違った方向に突き進んでしまったことは分かる。


これは当たって欲しくない想像だが、植松被告のように満たされぬ思いを貯め込んだ社会的地位の低い者は他にも相当数いると思う。もちろん、昔から劣等感と自己顕示欲、歪んだ社会奉仕思想などを持った者はいた。

だが、ここまで歪んだ例はそう多くはなかったはずだ。まだ上手くまとめられないが、戦後GHQが方向性を示し、保守政権が実施してきた日本社会の在り方が、次第に時代に合わなくなってきたことを示しているように思える。

政府が描いた社会設計の図面が、戦後の経済成長を達成してきたのは事実だ。しかし、高齢化と少子化によりその図面が現実に反映しずらくなってきたのではないか。成長しか念頭になかったのに、低成長どころか経済、社会の規模縮小という現実に対応できなくなってきている。

そのズレから生じた歪みが、今回のような異常な犯罪者を生み出す土壌になっているのではないか。

嫌な予測ですけど、今後も似たような事件が痴呆老人や介護を必要とする人たちをターゲットに生じる可能性は高いと考えています。
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容疑者 ロバート・グレイス

2020-03-25 11:36:00 | 
ワンコ、大活躍。

警察犬が犯罪捜査で活躍していることは良く知られている。しかし、ミステリーに於いて警察犬が活躍する話は、あまり多くない。あるにはあるのだが、あまり記憶に残っていない程度の作品が多い。

その点、この作品は大丈夫。

ワンコは元軍用犬だ。爆発物検知のために戦地で活躍していたが、敵の銃弾でパートナーを失い自らも大怪我を負った。その後、爆発音に怯えるようになったため、警察犬として再訓練を受けて新たなパートナーを待つ。

新たなパートナーとして現れたのが、似たような経験を持つ警官だった。パトロール中に銃撃戦に巻き込まれ、愛する人を失っただけでなく、自身も重傷を負った。

つまり互いに似たような境遇にある一匹と一人。似ているのは過去だけではない。偶に後足を引き摺る癖は、警察犬にとっては大きなマイナスなのだが、今のところ見つかっていない。また警官は療養中に銃撃戦の事件の担当刑事に激しく迫ったことから、警官としての資質を疑われている。

どちらもハンデを負った状態で、果たしてこのコンビは活躍できるのか?事件の謎を追ううちに、とんでもない事態に巻き込まれる一匹と一人。さあ、どうなる。

ワンコ好きなら、読んで後悔することは絶対ないとお墨付きの作品です。

余談ながら巻末の解説で、北上次郎がワンコが活躍するミステリーを他に10作品取り上げています。私の大好きな「ウォッチャーズ」のアインシュタインや、「悪徳警官はくたばらない」のタラが取り上げられていて嬉しい。

そしてまだ私が未読の作品が8作あるのが、もっと嬉しい。さァ落ち着いたら探さねば。

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