ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

犬の学校 佐野美津夫

2017-03-31 12:53:00 | 

初めて読んだ、ディス・ユートピア小説であり、バッドエンディングであった。

信じがたいことだが、これは子供向けに書かれたSF小説である。私が読んだのは、小学校4年生であったと思う。当初は、ペットの犬を学校に通わせて、知性を向上させて人とより仲良くなるのかと、勝手に思い込んで読みだした。

しかし、読み終えた時の、どんよりとした重ぐるしい感覚に打ちのめされた。はっきり言います、これは子供向けではありません。さりとて大人向けでもない。なんだって、こんな問題のある作品が、学校の図書室に置かれていたのか。

子供に読ませる本は、必ずしもハッピーエンドである必要はないと思う。ただ本を読む喜びを伝えるためには、ハッピーエンドのほうが望ましいのは言うまでもない。しかし、哀しい悲劇だって、子供に読ませて将来遭遇するかもしれない不幸に対するワクチンとすることも、私は有りだと思っている。

子供には夢が必要だし、夢を実現する苦労と、その先の喜びを、読書を通じて知ることは大事だと思うのです。そして、心が成長するに従い、哀しい物語や、辛い物語を読むことで、心に免疫注射をする役割も、読書にはあると信じています。

でも、この作品はそうではない。喩えていえば、夢破れ、挫折した鬱憤を酒を飲むことで癒そうとし、二日酔いの朝を迎え、疲れ切った顔で起きてきた大人を見た気分なのです。昨日までの敬意が吹っ飛んでしまうほどの、だらしなさ、なさけなさが子供心に辛かった。

今にして思えば、この作品が書かれた時代は、日米安保闘争に敗れ、学園紛争に敗れ、自由と平等を目指した革命への夢が破れたことを、否応なしに自覚せざる大人たちが出てきた。

長かった髪を切り、七三分けでネクタイ締めて会社へ出勤し、組織の中に縛り付けられ、日々仕事に追われる毎日。もはや革命は夢と化し、酒のツマミにするには苦すぎる。

そんな挫折感が、この作品の背景にあったのではないか。

数年後に、しらけ世代と呼ばれる若者たちが出現するのも無理ないと、私なんかは醒めた目線で観てしまう。だから、この作品は再読していません。再読に値しないと思うし、図書館で見つけるのも至難の業でしょう。

この作者のような、革命を夢見て、挫折を味わい、その屈折した思いを捨てきれずにいる人、案外多いのかもしれません。

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ロシア・ワールド杯最終予選 UAE戦 気迫勝ち

2017-03-30 12:12:00 | スポーツ

久しぶりに、魂のこもった試合をみた。

先週のことだが、ロシア・ワールド杯最終予選において、我が日本はアウェイでUAEと対戦した。初戦ではホームで1-0で負けた相手である。決して侮れる相手ではない。

しかも「中東の笛」と呼ばれるホーム・チーム有利な審判が珍しくない地での試合なのだから、一つ間違えれば敗北は十分ありえた。おまけにチームの精神的支柱でもあるキャプテンの長谷部が怪我でチームから離脱である。

率直にいって、かなりピンチであった。しかし、その窮地を救ったのがベテランの今野であった。かつてザック・ジャパンの頃に、不似合いなセンターバックを任されて、世界の強豪にケチョンケチョンにされた、あの今野であった。

しかし、今回の本業とも云えるボランチでの登用であった。本人も期するものがあったのだろう。試合を見ていた方は分かるように、まさに獅子奮迅の働きであった。あたかも12人対11人の試合に思えるほど、今野はピッチを駆け回った。

あの試合の結果は、既にご存じのとおり、日本の2-Oでの勝利であった。しかも、そのうちの一点は今野の得点である。まさにマン・オブ・ザ・マッチに相応しい活躍であった。

私が驚いたのは、試合後に今野が負傷していたこと。それも足指の骨折であったことだ。折れた足で、あれだけ走っていたのか!

当然というか、仕方ないことだが、今野は次のホームでのタイ戦は欠場であった。いや、Jリーグの試合も、しばらくはお休みだろう。骨折を美談化するのは良くないと思う。でも、私は素直に感動した。これぞ大和魂といえる活躍であった。

残り3試合、どうなるかは分からないが、私はこの試合を忘れることはないと思う。

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ロヒンギャの悲劇

2017-03-29 15:44:00 | 社会・政治・一般

美化しすぎるから、まともな報道が出来なくなっているのが、日本のマスコミ様の特徴だ。

ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャの悲劇を伝えることに、なぜに日本のマスコミは消極的なのか。かつて、日本の左派マスコミを中心に、あれほどミャンマー政府に迫害される少数民族を支援していたのがウソのようである。

ミャンマーこと旧ビルマ王国は、最大派のビルマ族を中心に、多数の少数民族から構成されていた。山岳地帯とジャングルで分断されたビルマには、緩やかな統治が適切であったと思われる。

しかし、イギリスの侵略により、ビルマ王国は解体された。イギリスはこの遠方のジャングルの国を支配するため、分断統治を実施した。つまり少数民族ごとに分断して支配し、各民族が憎しみ合うように仕向けた。

旧日本軍によってイギリスは追い出され、その後独立を果たしたが、それは最大のミャンマー族主体の政権によるものであった。少数民族の分断統治のせいで、もはやビルマとしての政治的統一は難しくなり、その後は軍事政権と少数民族の紛争が長く続いた。

紛争が長引いたのは、冷戦の余波で大国が干渉したからであり、日本もODAの名のもとに軍事政権を支援していた。ただ、朝日新聞をはじめ左派勢力は、カレン族やカチン族などの少数民族を支援していた。紛争が長引くのも当然であり、ミャンマー政府の西側不信も必然であった。

ただ、ベルリンの壁が崩壊すると、今度は共産シナが干渉してきた。シナ深南部から、ミャンマー国内を南北に流れる河を下れば、インド洋に出れるルートが確保できる。それゆえ、シナは国際的な非難を無視して、ミャンマーの軍事政権を支援し続けた。

だが、シナの野望はミャンマーの軍事政権に危機感を覚えさせ、なんとか西側諸国との関係改善を模索することになる。その際の最大の障害が、あのアウンサン・スー・チー女史であった。

ビルマを分断し、その後の紛争の原因を作ったイギリス人の夫を持ち、イギリスで教育を受けたスー・チー女史は、反軍事政権のシンボルとして祭り上げられたが故に、ミャンマー軍事政権は容易に西側との関係改善を図れずにいた。

しかし、限定的な選挙により、なんとかスー・チー女史を政権に迎えることで、ようやく西側との関係改善が図られ、現在最も経済的に急成長を遂げつつある。そのミャンマーにとって、咽喉に突き刺さった骨とも言うべき存在が、このロヒンギャ難民問題である。

仏教徒が大半を占めるミャンマーにあって、少数派のロヒンギャの存在は争いの種であり、それゆえミャンマー国籍さえ否定されている。国籍がない難民ほど哀しい存在はない。

人身売買で家族は切り離され、虐殺されても誰も助けてくれない。財産を奪われ、家族を奪われ、住まいをなくされた悲劇の民族、それがロヒンギャである。

ちなみに、件のスー・チー女史は、ロヒンギャ問題に関しては沈黙するだけである。

アウンサン・スー・チー女史をやたらと美化して報道していた日本のマスコミ様は、ロヒンギャ問題に冷淡だ。どうも都合が悪いと思っているらしい。チベット難民や、ウィグル族への弾圧問題もそうだが、日本のマスコミ様は自分に都合の悪い問題は、なかったことにしているらしい。

一応、書いておくと、日本にもわずか200名ほどのロヒンギャ族は滞在している。主に群馬県にいるのだが、彼らの声をマスコミが報じることは滅多にない。

だから私は日本のマスコミ様が偉そうに人権を語るのを、まったく信用していない。信用なんて出来ない。所詮、ご都合主義の人権屋に過ぎないからだ。

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キングコング 髑髏島の巨神

2017-03-28 12:14:00 | 映画

南海の孤島で発見された巨大ゴリラを見世物にしようと、アメリカ本土に連れてきたら逃げ出されて、トランプタワーに登って大暴れ。

トランプ憎しのハリウッドの復讐映画に違いない!

実は当初、そんな映画かもしれないと、勝手に妄想して映画館に足を運んだ。ネタバレは嫌なので、詳細は書かない。というか、この手の映画を楽しむのに、細かいことは重要ではない。

ぶっちゃけ、キングコングが暴れてくれれば、私は満足だ。他の観客も、きっとそうだと思うぞ。でも、まァ、一つだけバラせば、キングコングはトランプタワーには登りません。

実のところ、過去何度か製作されているキングコング映画とは、いささか方向性が違います。ほぼ、間違いなく続編が作られるとだけ言っておきます。

まァ、コングは暴れるし、怪物てんこ盛りだし、そこは満足。でもなぁ~、どちらかといえば、人間様のほうが怪物に思えたぞ。いや、異様なメイクをした原住民ではなく、島に入り込んだ人間様ですけどね。

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仕事、しろ!

2017-03-27 12:36:00 | 社会・政治・一般

そんなに騒ぐことなのか?

森友学園の問題だが、どうも報道も変だけど、野党の追及もおかしい。(これは、いつもだけどね)

土地を不当に安く払い下げられたというが、要は埋まっているゴミの処理を学園側がやるから、安く処分しただけではないか。

安倍首相の寄付問題は、更に変だ。要は安倍の奥さんが講演報酬の受け取りを断ったので、それを安倍首相からの寄付にすり替えただけでしょう。つまり、行って来いで、お金が動いたかのように見せているだけ。

そんなこと、よくある話。

まあ、あの理事長にはおかしなところがあり、教育者として適切かどうかは問題かもしれない。でも、それが安倍政権の失点になると思い込む、野党の滑稽さがおかしくてならない。

それよりも、今国会で審議すべきことは、沢山あるはずだ。民法改正はどうなった!入管法だって、いろいろ問題山積だぞ。なんだって、あんなクダラナイ問題で時間を浪費するのか。納税者として云わせてもらえば、時間の無駄であり、もっと国民のために役立つ仕事をしろと言いたい。

コメント (4)
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