もっとも地上波は元旦の天皇杯決勝と、2日3日の大学箱根駅伝だけであった。もっぱらCS放送でのディスカバリーチャンネルとアニマルプラネット、映画、そしてCNNとBBCのニュースを観ていた。
新聞はいつもより丁寧に読んでいたつもりだが、面白かったのは日本のメディアの報道と、海外の映像メディアの報じるギャップであった。
当然ながらCNNの報道の中心は、アメリカ大統領選挙の州予備選となる。海外(アメリカ国外)のニュースだと、イランの核疑惑と、イラクの混乱、アフガニスタンの撤退、北朝鮮の新しい指導者の報道が多かった。
日本に関するニュースでは、圧涛Iに野田首相のインド訪問が取り上げられていた。かなり時間を割き、識者に詳しく解説させるなどして、非常に関心が高いことが伺われた。
日本のメディアでは、あまり紙面を割いていないようだし、もっぱら経済協力面ばかりを報じていたが、欧米のメディアの視点はいささか異なっていた。
特にCNNに登場した識者は、この日本のインド訪問を、対CHINA包囲網の一環として捉えていた。すなわち政治的、軍事的な動きであり、その一環としての経済協力であると解説していたのが興味深い。
日本の新聞、TVでこのような報道をしていた番組、記事がどれだけあったのであろうか。
更に加えるのなら、今月中旬以降になると、ミャンマーに関する報道が増えていた。もちろん、アメリカとミャンマー軍事政権の関係改善の動きがあることは、日本のマスメディアも報じているはずだ。
だが、欧米のメディアの視点は、日本とは異なる。これも対CHINA包囲網の一環である。世界地図をみれば分るが、中国南部とミャンマーは国境を接しており、そのうち一つの河川がインド洋まで続いている。
すなわち中国のインド洋への入り口となるのがミャンマーなのだ。中国にとって幸いなことに、ミャンマーの軍事政権は欧米と長年対立していたため、ミャンマーは中国に頼らざる得なかった。
だが、どんなに中国の支援を受けても、国内を流れる河川の自由航行だけは断固として認めなかった。ミャンマー政府は中国の真の狙いを正確に把握していたからだ。
しかし、ここにきてミャンマーはアメリカとの国交修復に動き出した。アメリカも対CHINA包囲網の重要な部位にあたるミャンマーを取り込むことに前向きだ。
野田首相のインド訪問とあわせて、アメリカが本格的に対CHINA包囲網の実現に動いていることが良く分る報道であったと思う。
すなわち、世界は日本の野田首相のインド訪問を、間接的にアメリカの対CHINA包囲網実現を補完していると見ているわけだ。
で、日本のTV、新聞はこのことを報じているのか?
日本のマスメディアばかり見ていると、物事が見えてこない。つくづく痛感した年末年始でした。