さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

ダウン応酬の後、再逆転許す 赤井英五郎、親子二代の新人王ならず

2023-12-23 21:59:03 | 新人王戦




今日は午後2時から、U-NEXTで全日本新人王の決勝戦、見ておりました。
長丁場ではあるのですが、それこそトイレ行く間もないくらい、次から次へと試合が行われていくので、試合数の割りには早かった印象でもあります。


結果や経過はこちらの記事に詳しいですので、簡単に感想を。


ミニマムとライトフライは、大橋ジムとS&Kジムの対戦が続き、どちらも公式記録はドロー。
ミニマムがS&Kの坂田一颯、ライトフライが大橋の磯金龍が勝者扱い。一勝一敗、と書いておきます。

フライ級は田中恒成の後輩、畑中ジムの坂井涼が速いコンビを当ててリードしていたが、最終回終わる直前に高熊龍之介の左フックがこめかみに決まって、坂井大ピンチ。ぐらぐらだったがしのいで、判定勝ち。
もしダウンしていたら、立てずに負けていたかもしれない、と思うほどのピンチでしたが、よく耐えました。


Sフライとバンタムも判定で、今日は長いかなーとここまでは思いましたが、Sバンタムが初回KOで終わる。
松田ジムのサウスポー武藤涼太が、左アッパーから右フックフォローで、強烈なKO勝ちでした。
松田ジムは、25年ぶりの全日本新人王とのこと。大塚陽介(何度も試合を見ました。渡辺博戦は名勝負でした)以来ですかね?
知らなかったんですが、二代目会長の松田鉱二会長、亡くなっていたんですね。ご冥福を。


フェザー級は東のMVP、というのみならず「良い味」出してた牧田健之介が、大人のボクシングが出来る、という風情の石﨑大二朗に、ほぼワンサイドにポイントアウトされる。ちょっとした波乱。
Sフェザーは下村佳輝が2回に続いて4回にも小松直人をダウンさせ、痛烈なTKO勝ち。小松も2回、倒されたあと反撃して見せ場があった。好ファイト。
ライト級も西畑直哉が児島弘斗に右を再三好打してTKO勝ち。これも強烈。両者強振し合う、スリルある試合でした。

Sライトは不戦勝。
ウェルターは変則の須賀大地が手数で攻めるが、松岡連が2回に右でダウンを奪うなど、際どい攻防。
スプリットで須賀勝利だが、ダウンの分だけ逆ではないかなあ、という印象でした。



ミドル級は場内、この日一番の盛り上がり。
赤井英五郎がサウスポー冨永一希の左をまともに食って初回にダウン。しかし2回、果敢に出て右一発で倒し返す。
勝負に出た赤井だが、3回に冨永が左のヒットでダメージを与えて、追撃。レフェリーストップで冨永勝利でした。

赤井は遠い間合いでは、冨永の左を外せない。見えていない、という印象。
詰めた間合いに持ち込めたら、倒すパンチが打てるが、打てるところまで行けるかどうか、という勝負で、初回はそれがかなわず、2回は成功したが、3回にまた打たれてしまいました。
冨永は3回、右ジャブを増やしてしっかり間合いを作った上で左を好打し、追撃も大振りにならず、細かいパンチの数を当てたところが良かった、と見えました。
赤井に踏み込まれて打たれては、またピンチになるところでしたが、3回はそれを未然に防げていた、と思います。
マーチン主審のストップは、ぱっと見た印象では早い、でも重いクラスで、一度ダウンもしていて、さらにぐらついたあと、と考えると、やはり妥当、でしょうね。




今回の決勝戦は、ジムの名前に少し気を引かれた感じです。
今や日本有数の大手となった大橋ジムに、熊本のS&Kジムが「一勝一敗」で渡り合ったり、松田ジムと畑中ジムがそれぞれ勝ったり。
竹原畑山ジムから初の全日本新人王が出たり、赤井ジュニアが帝拳所属で、相手が大阪の仲里ジム(会長さんはグリーンツダのOB、赤井英和の後輩にあたる元日本ランカーです)だったり。
時は流れ、色々と様相が変わり、入れ替わっているんだなあと、しみじみ思った次第です。


今回は、昨年の佐野遥渉のような、見た目にわかりやすい逸材、というのはいなかったかもしれません。
しかし全体的にレベル高めで、落ち着い風情の選手も目に付きました。
MVPはSバンタム、松田ジムの武藤涼太でしたが、力まず打てるフォームのまま、身体が出来てくれば楽しみですね。



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フェザー級は番狂わせ? 牧田健之介、優勝候補を倒してMVP

2023-11-04 13:32:44 | 新人王戦


昨日はU-NEXTで東日本新人王決勝戦を見ておりました。
全階級、棄権や中止がなく、全部揃うのって、考えたらちょっと珍しいかもしれません。
中盤はKOが続き、進行も詰め詰めで、ちょっと早めに終わりましたが、それでも12試合となれば長丁場ではありました。

結果と経過はこちらの記事が詳しいですが、ちょっとずつ感想など。



ミニマム級は、4人出ている大橋ジムの先鋒?サウスポー北野武郎が勝利。長身の割りに打ち合う場面多し。
杉浦義はサウスポーにスイッチして迫るも、競り負けた感。

ライトフライ級も、大橋ジムのサウスポー磯金龍が、早坂峻に判定勝ち。
リードパンチ無しで左右アッパーを振るなど、こちらはややトリッキーな印象。

フライ級は高熊龍之介が、山田龍斗に判定勝ち。パンチ力と正確さで差があり、4回は高熊の左ボディがかなり効いた。

スーパーフライ級は佐藤祐が吉成亮人に判定勝ち。
似た体格で、押し合い揉み合いしながら手を出し合う。手数で佐藤がまさった。

バンタム級、三浦良斗が榊原祐弥に初回KO勝ち。
長身のサウスポー榊原をコーナーに追って、右ショートがアゴにまともに入ってダウン。
榊原立ったが、姿勢を整えられないくらい効いていて、カウントアウト。あっという間の試合。

スーパーバンタム級、須藤大和が鳥井士恩に3回TKO勝ち。
サウスポー須藤が、鳥井のボディ攻撃に対し、左カウンターでダウンさせる。
好機に手数が出る須藤、ダウン追加して、そのあとストップ勝ち。

フェザー級は優勝候補と言われる大橋ジムの山川健太と、牧田健之介が互いに見合い、探り合いの初回を終える。
2回、少しアクションが起こったと思ったら、牧田のワンツーから、スピードを変えた左フックの返しで、山川ダウン。
レフェリーがすぐ止めた、強烈なKO。山川担架で退場。衝撃の番狂わせ、でしょうか。
インタビューでも「良い味」を出していた牧田、MVP受賞。ダークホース転じて、全日本でも主役となるか。

スーパーフェザーは大柄なパンチャー下村佳輝が、小柄で柔軟な山内雄輔と打撃戦。
身体は硬そうだが右クロス、左ボディの強い下村が、柔軟な動きでアッパーを決めて抵抗する山内を、初回右でロープに飛ばしダウンさせる。
2回、山内も奮闘するが、下村の右で転がるようにダウン、TKO。

ライト級は西畑直哉が、ラフなアタックで長身の菊池音央を押し切り判定勝ち。
体勢を崩されながらも左ボディのヒットで抵抗した菊池だが、劣勢の時間が長く、西畑の勝利。

スーパーライト級は堅実なファイター、川村英吉が大場翔に判定勝ち。
地味な印象だが、正確にヒットを重ねた川村の勝利。

ウェルター級は須賀大地が加藤大河に2-0の判定勝ち。
大地と大河の闘い、スケールの大きな名前の対決。序盤にトリッキーながら遠目から左ボディやジャブを好打した須賀が、僅差の勝利。

ミドル級は赤井英五郎が、マッチョパパ一基との再戦にまたも勝利。
筋骨隆々の両者、強打を振り合うが、ボディやアッパー、右の威力で赤井がまさり、ダメージを与えて判定勝ち。
赤井は上半身の力だけで打ち、下半身がボクサーの動きになっていない。ここを改善せねばどうにもこうにも、という印象。
しかし場内大盛り上がり。注目度の高い中、決勝戦でしっかり勝った。




新人王出場規定が変更されて以降、インターハイ優勝とか準優勝とかの選手はあまり見なくなったように思いますが、今回は数名、そういう選手がいました。
しかしそういう選手を、言えば無印(失礼)の選手が鮮やかに倒したり。或いは一度他の格闘技を経験してから、ボクシングに戻った選手とか。
けっこうカラフルなキャラクターがいるなあ、という印象。

ことにフェザー級の牧田健之介は、一試合だけ、しかもこの内容だけでどうとは言えないにせよ、試合後のインタビューも含め、なかなか良い味出してました。
少なくとも全日本、この選手は要注目だと言えましょう。

しかし全日本決勝の日にちを知らない、という「ボケ」をかましたはずが、インタビュアーのアナウンサーの方もそれを知らないという「ボケ返し」には参りましたね。
そこはアンタがしっかりしてくれんと、ボケた方の立つ瀬がないがな...という。
まあ「呆れ系」?の笑いにはなっていた、のかもしれませんが(笑)。





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大一番の前後もあれこれ 感想文追いつかず

2022-12-20 15:32:28 | 新人王戦



先週火曜日の大一番からはや一週間、何かもう燃え尽きた感じもありますが...。
その前後も配信やら放送やら、或いはあれこれ話題もあって、しかし感想文書くのも追いつきません。
土曜日には全日本新人王決定戦という大イベントもあったわけですが、ライブでは全部見られず、録画しておいて結果知らずで見ました。



11日の日曜日、大阪では色々とありました。

グリーンツダの二枚看板、技巧の長身サウスポー下町俊貴は、強打のジョー・サンティシマをクリアにポイントアウト
もっと苦戦するかと思っていたんですが、5ラウンドに攻め込まれた以外は全部ジャブで抑え、左右へのダッキングで外し、という具合の完勝でした。
欠点はパンチ力に欠けることでしょうか。あと、インタビューで声が小さく、何言ってるのかわからないことくらい(笑)。
まあ、もちろんあれで倒すパンチがあったら鬼に金棒でしょうが、さすがにそんな都合のええ話はありませんね。その辺は今後徐々に、という。
前田稔輝の仇討ちということで、阿部麗也挑戦も目指して欲しいですが、他にもタイトルはありますし、はてさて、ですね。


夜の興行では石田匠がロニー・バルドナドに判定勝ち。バンタム級転向を表明したとのこと。
もう少し早く踏み切れていればとも思うが、良い話かな、と。
尾崎優日は2戦目もKO勝ち。鮮やかなカウンターでした。

天満の試合では大里登が判定負け
これはまさかの結果、と言って良いのでしょうか。映像を見られなかった唯一の試合でした。



全日本新人王については、全階級見ましたが、思った以上に好素材が多かったなあ、という印象。
こちらに結果と経過が全部ありますので、目に付いたところだけ。


ミニマムの石井武志、最軽量級としては一発の強打が凄い。驚きました。
ライトフライの松江琉翔は、全日本でまたひとつ良くなった印象。
フライ級の二階堂迅ともども、ジャブが非常に良い。

スーパーフライの佐野遙渉は、抜群のセンスが変わらず光る。体力強化して、大成してほしいです。
バンタムは松本海聖が、重いパンチを持つ変則気味の熊谷祐哉をしっかり捉えて倒す。
Sバンタムは安村綺麗が好機を作ってクリアに勝利も、星野凌も最終回、右当てて見せ場作りました。

フェザー級は少し静かな展開だったか。岡本恭佑が競り勝った。
Sフェザーは互いにくっついて、好打の応酬。大谷新星が勝利。
ライト級は川口高良が、空手出身の船橋真道をダウンさせ勝利。ボクサーとしての柔軟性がある方が勝った、という印象。


Sライトはスコーピオン金太郎が野口海音とのサウスポー対決で3回KO勝ち、MVP。
しかしバッティングで距離感が狂った野口を打ち込んで倒した、という内容。
それまでは野口のジャブがスコーピオンを突き放していました。
悪意は感じなかったが、野口にとっては不運な試合でした。

ウェルター級、注目してたんですが松岡陸が危険、松野晃汰が不戦勝。残念。
ミドル級は時吉樹のジャブが光り、大嶋光容を振り切る。


全体的にレベル高かったなあ、と思います。
西軍が勝ち越しましたが、やはり以前なら出ていた選手が、今のルールだとB級デビューするから、という要因もありそうですね。


その他にも話題あれこれありますが、またおいおい、ということで。




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新世代のプロモーター、あくまで前向きに

2020-04-02 07:59:56 | 新人王戦




残念ながら次の日曜、無観客で開催される予定だった新人王予選も中止になりましたが、新人王運営委員長の横浜光ジム、石井一太郎会長はあくまで前向きに、現状で出来ることは何か、ということを、伊藤雅雪との対話形式の動画で語っています。






具体的には新人王大会のリスケや、興行の準備、YouTubeのライブ配信などに積極的に取り組むことなど、ですが、ボクシング界もやっと、業界の中からこうした方向性を打ち出せる人が現れたなあ、と嬉しく思います。
もちろん、YouTubeで試合を配信して、その視聴回数や視聴時間から得られる収入が大きなものになる、というレベルには遠いでしょうが、それでもまず、一歩目を踏み出さないと何も始まりません。

どんな試合でもそうですが、まずは多くの目に触れる機会を、何らかの形で作ることが大事です。
その積み重ねの先に、本当の好カードや大きな試合、どこに出しても「見もの」として通る試合を実現しうる状況、環境の構築があるのだ、と思います。
この苦境の先に、石井一太郎会長始め、新世代を担う関係者諸氏の挑戦が、何らかの形で実ることを祈りたいですね。



ところでDAZNのボクシングコンテンツですが、デラホーヤvsガッティの「エピソード2」というのは、デラホーヤがコメンタリーとして出演し、自らが試合映像を見て振り返る、という形での配信でした。
ただ、なんといっても英語そのまんま。同時通訳などあるはずもなく、字幕つける暇もない。
緊急に作られた、あり合わせのコンテンツなんで、仕方ないんですけど、これではなあ(以下略)というところ、でした...。



===================


ということで、一曲。
The Beatles “Revolution”  Thompson Twins によるカバーです。







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週末、ジムが閉ざされる 新人王出場選手の調整は

2020-03-27 17:21:07 | 新人王戦


東日本ボクシング協会、加盟ジムに週末の閉館を要請、という記事

感染者数が増加している首都圏では、各都道府県の知事がビデオ会議を行った後、外出自粛要請がそれぞれに出ていて、それを受けてのもの。

昨日、4月5日の新人王予選について期待を書きましたが、週末、ジムが休みなのは普通のこととしても、やはり試合が迫っている選手にとっては、調整に不安もあろう、というところです。
これ以上、事態が大ごとにならないようにと願いますが、好転の兆しは中々見えてきませんね。


ところで、プロ野球でも、阪神の藤波晋太郎が感染したとのこと。
昨年、ワールドカップでジャパンが健闘したラグビー、最新の球技プロ、バスケットは、リーグ戦を打ち切ってしまうといいますし。
野球の方のみならず、色々雲行きが怪しくなってきた感じですね。



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4月5日、再来週の日曜日は新人王戦生中継

2020-03-26 20:34:21 | 新人王戦



4月5日、東日本新人王予選が無観客で開催され、そのライブ配信がYouTubeのA-Signチャンネルで行われます。
ボクシング・ビート誌などでも、横浜光ジム石井一太郎会長が語っていましたが、単に試合の様子を流すだけでなく、日本のトップボクサーたちを招いてのライブ配信を行うそうです。
いわゆる「スーパーチャット」というものを通じて「投げ銭」を行い、コメントを優先的に読んで貰うことも可能、というやつですね。

詳しいことはこちらの動画で。
ゆるーい雰囲気で楽しむ、というものになるみたいですが、それでも時折、これは聞き捨てならんぞ、というような鋭い部分もきっとあるでしょう。
私は当日、全部見られるかどうかはわからないんですが、アーカイブにして置いてもらえたら、チェックは出来ると思います。







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あと1ラウンド見たかったが 前田稔輝、注目対決に勝利

2019-12-22 20:09:45 | 新人王戦



今日は府立観戦も考えましたが、事情あってお出かけならず。
自宅に張り付いて、その合間にG+を見ておりました。
全日本新人王決勝戦、こちらに正確な結果と経過がありますが、以下、簡単に感想。




ミニマム級は森且貴(東、大橋)が丁野拓海(西、中日)に3-0判定勝ち。 

ボディの打ち合いでは丁野も互角に渡り合うが、森が上へのヒット、精度で上回り、徐々に動いて当てる流れに持っていく。
4、5回は森のヒットがさらに増えるが、丁野も踏ん張って判定。



ライトフライ級は表祥(西、SFマキ)が安藤教祐(東、KG大和)に2-0判定勝ち。

序盤から、安藤の長いリーチからのジャブ、ワンツー、速いバックステップに遭い、表は手が出ない。
安藤は手数が多いでなく、パンチ力もさほどではないが、打ったあとすぐ、大きく離れるので、表は打ち終わりを狙えない。

3回まで安藤リード、しかし4回、表の右フックで安藤ダウン。
立て直せるかという終盤、サイドへ出た安藤を追った表の左フック、安藤二度目のダウン。
この回10-7。
最終5回、表が前に出て浅いながらヒットを取る。安藤動いて軽く当てるが、捌き切れてはいない。

47-47、47-46×2で表が勝利。納得の採点。
表、強打を生かして逆転勝ち。本人は課題を先に語っていましたが、完封負けの流れをひっくり返した勝負強さは見事でした。



フライ級は中村淳希(西、市野)が臼井春樹(東、八王子中屋)に3-0判定勝ち。

長身、痩身同士。中村がジャブ、ワンツー、逆ワンツーを当てて先制。おかっぱ頭の臼井、早々に髪が少し乱れる。
2回、中村右から小さい左返し、アゴへの「突き」のようなパンチで臼井ダウン。
体格、パワーでまさる臼井、巻き返しに出るが、中村も柔軟な動きで外し、連打を返す。
5回、臼井左フック好打、中村少し足が止まり加減、左も減るが、逃げ切り。
中村の攻防の切り替えの速さが、パワーの臼井を上回った。



スーパーフライ級は目黒聖也(東、セレス)が岩崎圭祐(西、オール)に2-1判定勝ち。

長身サウスポー目黒に対し、岩崎が右から入ろうとするが、懐深い。
2回、岩崎出て連打、目黒右フック一発。離れて左ストレート、岩崎打ち終わり狙って右で入る。
3回、目黒左ヒット、しかし打ち合いではフォーム乱れる。岩崎入って右数回ヒット。やや岩崎か。
4回は岩崎右ヒット、追撃は外される。目黒離れて左、打ち合いでも踏ん張る。
5回、岩崎入って声を上げつつ連打。右最後、一発。逆転はならずか。

48-47岩崎、48-47目黒、48-47目黒で2-1。
岩崎の健闘はともかく、逆はないかと思ったが。



バンタム級、この試合は4回戦。
中西寛多郎(西、HKスポーツ)が小笠原梢太(東、シャイアン大嶋)に3-0判定勝ち。

小柄な中西が左を多彩に使い、切り込んで行く。
2回、打ち合いに。中西が左ダブル、トリプルから右クロス。小笠原右アッパー、左フック好打。難しい回。
3、4回、中西の左ジャブ冴える。右クロスなどもヒット。小笠原の左フックは単発。

18歳の中西、キッズボクシング上がりということで、若さに似ず、色々とこなれた感じ。
全体的に体力強化して、巧さを生かしたまま伸びたら面白そう。



スーパーバンタム級は津川龍也(西、ミツキ)が竹原毅(東、花形)に3-0判定勝ち。

初回から津川が長い右ダイレクト上下当てる。サウスポーのファイター竹原、右引っかけ強そうだが、上体硬い。
終盤津川の右カウンター、その後頭も当たったか。竹原少しぐらつく。
華奢に見える津川の方が、押し合いになっても負けない。

3回、竹原懸命に出るが、費やした労力に見合うほどのヒットは取れず。津川右ショート決め、打ち合いと揉み合いになってもまさる。
4回、津川右ヒットで竹原のけぞる。竹原押すが相手見ずに打っている。津川左フック好打。
5回は竹原のペースに津川巻き込まれ、フォーム乱して打ち合い。竹原。

48-47×2、49-46の3-0津川。さうぽん採点は最後のと同じ。納得の採点に安堵。
津川は自分の良さを出せなかった回を反省していた模様。



フェザー級、これも4回戦。
前田稔輝(西、Gツダ)が亀田京之介(東、花形)に2-1判定勝ち。

初回、両者見合い。亀田挑発し、ジャブ。少しでも前田を乱してジャブ当てて終われば、ポイント取れる、という狙い。
前田左ショート二発も、微妙な回。
2回、コーナーから亀田が右返し、前田少しバランス乱す。亀田ジャブ当てて動く。前田最後ボディ攻撃。亀田。
3回、亀田動いて外すが、前田の左ストレートヒット。ボディへ左も。亀田笑顔でごまかすが、目に見えてリターンパンチの数が減る。前にのめってのスリップダウンも。前田。
4回、前田の左が再三ヒット。亀田は声上げて気合い入れるがダメージあり。右から左返すが、ミスブローも多い。前田がまた左ショート3発。

39-37亀田、39-38前田、39-37前田、2-1前田。
正直、ドローまでの試合、逆は考えられないと見ました。

この組み合わせが4回戦とはいかにも惜しい。
前田の西日本決勝が、相手の棄権で中止にならず、それに前田が勝っていれば、この日が5戦目ということで、5回戦になっていたのですが。
この辺が前田にとっても、亀田にとっても惜しまれるところ。

前田はキャリアを積み、ボクシングの幅が広がれば、相当なところまで行けそうな逸材。
亀田はパンチ力の差などは重々承知の上で、よく見て外す、巧い闘い方。
ピンチの際も勝負を捨てず打ち返す闘志も目を引く。健闘でした。



スーパーフェザー級、これも4回戦。今年は4回戦が多いような。
谷口彪賀(東、八王子中屋)と岩崎淳史(西、フジタ)はドロー。

初回、リーチの長い岩崎が右アッパーヒット、右ストレートでリード。サウスポー谷口を捉える。
2回も岩崎ペース。3回、谷口左ヒットして攻める。岩崎ボディ連打で押し返す。
4回、谷口左ヒット、手数。しかし岩崎の右ボディアッパー強烈。どちらか。

採点は39-37谷口、38-38×2。優勢点は谷口が獲得、優勝。手数、攻勢の分、ということか。微妙。

西軍代表決定戦では優勢で勝者扱いだった岩崎、今回は逆の立場で涙を呑んだ...のですが、谷口を称え、笑顔見せて退場。
で、対する谷口が、インタビューで涙ながらに母への感謝を語りました。エエ話でした(^^)



ライト級は齋藤眞之助(東、石川)が藤田健介(西、千里馬神戸)に3-0判定勝ち。

長身対決、齋藤が右フック上、ボディ、アッパー決めて先制。右ストレートも伸びて序盤リード。
3回、両者離れてパンチの交換、連打はあまり出ないが一打はけっこう鋭い。
4、5回、藤田が追って齋藤が捌く流れ。連打したい藤田だが、齋藤がリード保って終了。
判定は三者とも3対2で齋藤。


スーパーライト級、またも4回戦。
本多航大(東、川崎新田)が 藤田裕崇(西、名古屋大橋)に4回、逆転KO勝ち。

初回、藤田が右フックで二度ダウン奪う。
サウスポーにスイッチしたときの右フックにKOパンチを秘める藤田、しかし必死に間を詰めて耐える本多に追撃ならず、詰め切れず。ちょっと狙いすぎた感も。
3回、手数出して攻める本多が、左フックでダウン奪い返す。
4回、打ち合いで本多の左フック一発、崩れる藤田に本多が連打、レフェリーがストップ。

本多の粘り、勝負強さが逆転を生んだ。場内興奮の本日初KO決着、しかも凄い逆転劇。



ウェルター級、安井誉(西、森岡)が足名優太(東、渡嘉敷)に2-1判定勝ち。

初回、安井が足使ってボディ連打などヒット。打たれた足名、笑顔見せるが手が出ていない。
2回、安井が右クロスなどヒット、手数でも上だが、足名単発の右アッパーなどヒット。足名スピードがないが身体のパワーはある。
3回、安井のヒットに足名笑顔を見せる。安井やや足止め気味で打ち合い、足名の右アッパーも入るが、安井が左フック決めて連打で追撃、打ちまくる。
ダメージ深い足名、一度スリップするが耐える。
4、5回、安井が足止めて打ち合うせいで、足名も手を出せる。右アッパー何度も当たる。安井右ストレートヒットも、足名止まらず。


判定は48-47足名、48-47安井、49-46安井、2-1安井。
足名は安易に打たせすぎ、安井ももっと動いて外さないと、と傍目には見える一戦ながら、安井の勝ちは動かないと見えました。割れて驚き。



ミドル級、最後も4回戦。
湯澤卓巳(東、宇都宮金田)が国本泰幸(西、金沢)に3-0判定勝ち。

両者、積極的に打ち合うが、パンチの精度に欠け、連打するバランスもないので、攻防が途切れ途切れ。
マーチン主審があまり分けないので、膠着する時間が長い。
湯澤がややパワーでまさり、ヒットも多い。国本はミスブローが多い。
3回、湯澤の右から左、アッパーから連打で国本ダウン。しかし詰めが甘く、仕留められない。
4回、国本左から攻める。湯澤しのいで最後は連打。国本ホールドで減点。
39-35、40-34×2で湯澤。



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ということで全体的な印象としては、やっぱり、KOがひとつだけ、というのはちと寂しいかなと。
その唯一のKOが、あまりに劇的過ぎましたが。極端なやなー、と...。
しかし、全体的にレベル自体はなかなかでした。試合自体、見どころもけっこうあったと。

しかし反面、出場選手が減っている(にもかかわらず出場資格が...長くなるので略)せいで、戦績が足りず、全日本決勝だが4回戦、という試合が多かった。
こういう大会、過去にありましたかね。ちょっと記憶にありません。
この辺は、今後大会の在り方自体を含め、議論が必要なところでしょうね。


と、取り急ぎ感想文アップしました。
ちょっとばたばたしてまして、色々間違えてたりするかもしれませんが、どうかご容赦を。



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忘れてました、本日の一曲。
海援隊「母に捧げるバラード」。





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フェザー級のみ、別世界の緊迫 新人王西軍代表決定戦2019観戦記

2019-11-11 07:33:30 | 新人王戦




ということで、遙かなりさいたまスーパーアリーナから戻って3日後、府立の地下で観戦してきました。
超大箱の二階から、ナニワの小箱のリングサイドに席を変え、あまりの距離感の違いに目も眩む思いでした。

...やっぱりお前はホンマのアホやな、という率直なご意見は、謹んでお受けいたします。
結果はこちらの記事にも。以下、簡単に経過と、ちょっとだけ感想です。



==============



ミニマム級は、丁野拓海(中日)が2-0判定勝ち。

立ち上がり、丁野が仕掛け、初田翔(寝屋川石田)が左突き返す。
初田が左を出していると試合が落ち着くが、続かないのでやや荒れ気味の打ち合い。
初田は右カウンターが単発で好打するが、丁野の仕掛けに巻き込まれた感もあり。



ライトフライ級は、表祥(SFマキ)が3-0判定勝ち。

表が右クロスで先手を取り、田中蓮志(トコナメ)もシャープな左、ボディ打ち。
2回、田中のスリーパンチが出るが、表がより重みのある右でダウンを奪う。
3回、田中バランスが少し乱れ、顔が前に出ている。しかし左ボディを続けてヒット。
4回も田中が捨てパンチを使って左ボディ狙い。

なかなかの熱戦でしたが、採点はいずれも2回のダウンの分だけ表を支持。



フライ級は中村淳希(市野)が2-1判定勝ち。

長身の中村、自ら寄っていく感じで神崎靖浩(倉敷守安)を攻める。
2回、押され気味だった神崎の右が決まり、中村一瞬ぐらつく。
3回、中村少し右足が滑るような動作、数回。ダメージある?神崎右クロスヒット。
しかし踏ん張り、4回は手数、ヒットでまさる。積極性、手数が支持された内容。



スーパーフライ級は岩崎圭祐(オール)が2-1判定勝ち。

5勝5KOの28歳、長嶺竜久(平仲BS)がじりじり出るが、岩崎が当てて動く流れ。
2回、長嶺のボディが入ると、岩崎少し口が開く。きつそうだが動きは止めない。
3回以降、長嶺はワンツーの「ツー」をボディへ送る攻撃。
岩崎は右ダイレクトを決めて対抗。
4回、長嶺の右から左の返しで岩崎ダウン。決定打かと思ったが、岩崎前に出て保たせ、しのぐ。

判定は長嶺のボディ攻撃への評価が低かった、と見るしかないもの。正直、意外。
この日の試合は、ほとんどが4回戦だったが、この試合などはもう1ラウンド欲しかった、と思うところ。



バンタム級は中西寛多郎(HKスポーツ)が2-0判定勝ち。

わずか2戦、1勝1分という中西だが、森田翔大(森岡)の仕掛けるビジーファイトに動じず、威力のある右から左の返しを見せる。
大きくステップを踏み、積極的に仕掛けるのが持ち味の森田だが、2回中西の右で効かされる。出血もあり。
3回は森田が果敢に攻める。4回、森田右ダイレクト、中西左で捌くような時間帯も。
接戦と見たが、中西のパワーと正確さが評価されたか。中西はキャリアこそ浅いが、面白い素材。



スーパーバンタム級、この階級のみ5回戦。
津川龍也(ミツキ)が初回TKO勝ち。

初回早々、良い体格の津川、朝倉豊(博多協栄)の側頭部に右を決め、朝倉膝をつくが、スリップの裁定。
しかし津川追撃、アッパーで崩し、コーナーに追って右、レフェリー止めてTKO。
津川はMVP受賞。初回で倒したから、というなら安易な選考ですが、攻め口がなかなか良かったので、これは妥当かと。



フェザー級は前田稔輝(グリーンツダ)が3-0判定勝ち。

日本拳法から転じて2勝2KO、サウスポー前田と、4勝4KOの福永輝(沖縄ワールドリング)の対戦。
互いに攻撃力を秘める者同士、試合が始まって対峙すると、それまでの試合とはレベルが違う緊迫感。

初回、両者警戒し合い、手数は少ないが、張り詰めた空気。
前田が速い左でその空気を破る。単にハンドスピードがあるだけでなく、打ち出す判断のタイミング自体が速い。
福永は低い姿勢でじりじり出て、右から入るが、前田は左へステップを切り、右肩の後ろへと外す。

2回、福永出て、ロープを背負った前田に連打。しかし前田、敏捷に外す。
前田、左ストレートを胸の辺りに。ジャブ、左ショート、強く打ち込めないが、速いヒット。

3回も同様。4回、福永の左フックが浅く当たる。前田左ヒット。
福永迫るが、前田空振りさせて、福永がスリップする場面も。

4回では短すぎる、新人同士としては緊迫した内容だったが、ヒットをほとんど許さなかった前田の勝利。技能賞受賞、納得。
攻撃力だけでなく、防御にも非凡さを見せた前田だが、ロープを背負い、コーナー近くに下がり、という「位置取り」は感心しない。
その位置で外せる自信があるのでしょうが、今後相手が変わったとき、損なことが増える。改善の余地あり。



スーパーフェザー級は、岩崎淳史(フジタ)が三者三様の引き分けながら、優勢点を得て、全日本進出。

岸田聖羅(千里馬神戸)が左から攻めるが、2回くらいから、固かった印象の岩崎、動きがほぐれてくる。
3回、共に長身の両者が右クロス、左ボディなど、似たパンチを応酬する。
4回、岸田の右クロスが決まり、岩崎がクリンチするが、岩崎が前進してボディ連打で押し返す。

「割れるかも」と思ったらその通りの採点。優勢点云々については、何もよう言いませんが。



ライト級、藤田健介(千里馬神戸)が不戦勝。二熊亮成(平仲BS)の棄権による。



スーパーライト級、藤田裕崇(名古屋大橋)が2回TKO勝ち。

30歳のサウスポー、髙橋拓也(寝屋川石田)が足使って右から左、当てて回る。
藤田、初回最後に右一発だけ。しかしパワーでまさる藤田、スイッチして攻める。
2回、高橋が軽い連打をヒットするが、藤田がサウスポースタンスに変え、右から左、高橋ダウン。
またスイッチして追撃、右フックを決めて高橋ダウン。TKO宣告と同時にタオルが入りました。

これで5勝5KOとなった藤田は敢闘賞受賞。なかなかの強打者でした。



ウエルター級は安井誉(森岡)が初回TKO勝ち。

初回、長身、リーチのある能嶋宏弥(薬師寺)が、懐深く構えるが、安井が右フックヒット、ロープへ追い、能嶋バランス崩す。
レフェリー、ダウンは取らず続行。安井が左右をヒット、能嶋が体勢崩し、もつれているところでレフェリーストップ。



ミドル級は国本泰幸(金沢)が3-0判定勝ち。

国本がワンツーから当てて行く。新山十士(広島三栄)は2回、連打で攻め込み、国本がスリップする場面も作る。
しかし3回以降、国本が丁寧に足を使ってヒットを重ね、リードを広げて勝利。



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ということで、お目当てのフェザー級、前田稔輝の試合、西日本決勝では相手の棄権で見られませんでしたが、今回は無事、見ることが出来ました。
相手もなかなか強い選手だったこともあり、思うように攻撃力を発揮出来ませんでしたが、その代わりに防御のセンスが良いこと、強打出来ずとも軽打を当てて、無闇に打ちたがる愚を犯さず、冷静に闘えることなど、新たな良さを見ることができた試合でした。

反面、まあ当たり前ですが、自分の立ち位置を俯瞰して見る、というところまでは行っていないところも見えました。
相手の力量もあったでしょうが、あまりに安易に、危ないところに追われてしまう。或いは、自ら足を運んでしまう。
その度合いが、ちょっと高すぎるようにも感じられました。まあ、贅沢すぎる注文だとわかってはいますが。


それ以外の全体的な印象としては、全体的に、まずまずのレベルで均一化してきているように。
この階級はちょっといただけんなあ、というような試合はなく、当然、各地域を勝ち上がってきた選手同士の試合でもあり、接戦、熱戦が多く見られました。
反面、突出した好選手が大勢居る、とも言えないわけですが。

今年の東の様子は、まだチェックしていないのですが、ここ最近のように、五分五分くらいで収まってくれたら良いなあ、と思っています。
G+の生中継、ありがたく拝見することといたします。



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そんなことで、一曲。
Bruce Springsteen “Blinded by the Light” です。





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「二極化」の流れ止まらず、悩ましい現状を見た 西日本新人王決勝2019観戦記

2019-09-16 11:48:50 | 新人王戦



ということで、昨日はせっかくの連休、昨日と今日で複数の興行が重なる関西リングということもあり、どれかひとつくらい見に行かんと、と思い、予定の空けられた昨日、府立に行ってきました。
西日本新人王決勝戦です。こちらの記事に結果がありますが、とりあえず見てきた感想などを書いておくとします。


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ミニマム級は、最軽量らしくなく、パワーを押し出してくる初田翔(寝屋川石田)が、2-0で勝利。

今回、この決勝まで勝ち残ったグリーンツダ勢のひとり、木村彪吾は技巧に優れた選手だが、相手のパワーに影響されたか、心持ち動きが硬めに見える。
初田はリーチがあり、大柄で、強振してくる。木村は速いパンチを返すが、離れたらリーチが嫌で、接近してもパワーのある初田に、ちょっと迷った印象も。
3、4回と進むにつれ、身体を寄せての打ち合いが増える。木村は巧いブロックを見せ、右のヒットもあるが、初田のボディブローや左ダブルの威力も印象に残り、そちらが評価された、という結果。
さうぽん採点は迷いつつ38-38でした。どちらもタイプが違うが好選手同士で、順調に伸びてほしいと思います。



ライトフライ級は、表祥(おもて しょう/SFマキ)が初回TKO勝ち。

5勝1敗の表に、1勝5敗の岩崎零(明石)というカード。
新人同士、いざとなれば勝負はわからん、とも言えましょうが、早々の打ち合いで、やはり当て勘、防御の差が出て、表の右ストレート、返しの左が続けて決まり、岩崎ダウン。
表が追撃の連打、レフェリーがストップ。岩崎はレフェリーの腕を振りほどき悔しがっていましたが、これは残念ながら妥当、と見えました。
短い試合ながら、果敢に打ち合っていましたし、伝わってくるものがある闘いぶりでしたが...。



フライ級は神崎靖浩(倉敷守安)が3-0判定勝ち。

サウスポー森青葉(泉北)は、左当てて回る、まずまずのスタートだったが、徐々に神崎が右リードを上下に散らして主導権を引き寄せる。
神崎は右ボディから左フックを返し、右のヒットを重ねて抜け出す。
師匠と違い(笑)かちっとしたスタイルで冷静な試合運びが光りました。
爽やかな姓名が印象的な森、序盤の展開を維持したかったところ。



スーパーフライ級は岩崎圭佑(オール)が3-0判定勝ち。

三浦勇弥(ハラダ)と、体格が似通っていて、距離が合い、噛み合う印象ながら、スピードで岩崎がまさる。
三浦はパンチを溜めて打つ。左ボディの好打は威力を感じたが、岩崎のスピードに阻まれ、残念ながら数が少ない。
岩崎は常に先手。構えから最短距離を通るジャブが冴え、右から連打とヒットを重ねる。
最終回、三浦も奮起し打ち返すが届かず、終了。



バンタム級は森田翔大(森岡)が初回KO勝ち。

サウスポー岡本大智(井岡)に対し、早々からビジーファイトを仕掛けた森田、忙しなく手を出し、クリンチになっても攻める。
岡本を守勢に追いやり、右から返しの左を決める。岡本ダウン、ダメージ深く、カウントアウト。
見事な速攻での勝利で、MVP受賞。



S・バンタム級は、津川龍也(ミツキ)が不戦勝。中山廉温(倉敷守安)が棄権したため。
フェザー級も、今回の注目選手だった強打のサウスポ-、前田稔輝(グリーンツダ)が不戦勝。
こちらも切東功之介(井岡)の棄権による。



スーパーフェザー級は岸田聖羅(千里馬神戸)が3-0判定勝ち。

三尾翔(グリーンツダ)が、長身の岸田に右ヒットして先制。
しかし岸田、ジャブを決めてクリンチ、という流れを数回繰り返し、試合展開を「冷ます」。
三尾は流れを戻そうと攻めるが、岸田がよく見てジャブ、ワンツー、左フック、ボディ打ちも。

3回、三尾がボディを攻め、岸田も返すが、ローブローになり、休憩あり。
この後、4回まで打ち合いになり、三尾の右カウンターも決まったが、総じて岸田の左ボディなどが多く決まっていた。

岸田は初回の立て直しを含め、終始冷静に試合を運んでいて、新人らしからぬ、と見える落ち着きぶりが印象的。
技能賞受賞とのことですが、個人的にはMVPもありかな、と。



ライト級は藤田健介(千里馬神戸)が2-1判定勝ち。

石川耕平(オール)は34歳という年齢に驚き。
心中期するものあり、ということか、闘志が伝わってくる奮闘を見せましたが、色々あって惜敗でした。

肩幅広く、良い体格の藤田が左ジャブ、フックで先制。2回に左フックで石川がダウン。
再開後、藤田が追撃、ダメージありの石川が再びダウンか、スリップか、という場面で、レフェリーが割って入ったあとだというのに、勢い余った藤田が左を打ち込み、石川さらにダメージを負う。
悪質な反則の場合に適用される、減点2の処分が藤田に下る。適切な裁定。さすがにこれはいかん、というところ。

1分休憩の後、再開。石川、足元が定まらないほどでしたが、ここから奮戦。
3回は藤田のボディ打ちを堪えて手数を出す。
4回も、藤田の派手なアッパーが出るが、石川もインサイドに右ショートを返す。

判定は37-36で割れ、2-1。
さうぽん採点は、初回10-9藤田、2回10-8藤田ながら、藤田から減点2で、8-8。
3回、迷うが10-9藤田、4回10-9石川で、合計すると37-36で藤田。

ひょっとすると逆もあるのか、と思ったくらい、石川の奮闘は印象的でした。
勝った藤田は、ダウン後の加撃がなく、すんなり勝っていればMVPものでしたが、ちょっと残念。

これで千里馬神戸は二階級で新人王獲得。しかも、共になかなかの好選手。今後に期待します。



スーパーライト級は、高橋拓也(寝屋川石田)が不戦勝。暴礼ゲンキ(グリーンツダ)が棄権。
ウエルター級も、安井誉(森岡)が不戦勝。市川友也(アポロ)が棄権。



ミドル級は、国本泰幸(金沢)が3-0判定勝ち。

体格抜群のサウスポー、関涼太(陽光アダチ)だが、初回、左をミスしたところに国本が右をヒット、ダウン。
手が届けば連打が出るが、リードパンチがなく、それ以外の距離では手が出ない関に対し、国本が散発的に右をヒットしていく。
関はダメージか疲れか、最終回には何も無いところで膝をつくなど、ちょっと心配になるほどでした。



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全体の印象ですが...まず不戦勝が4階級も、というのは、ちょっと多いなぁと。
フェザー級の前田稔輝のような注目選手の試合が飛んでしまうと、見る側としては、やはり辛いところ。
また、強打を秘めるとはいえ、アマチュア経験が多いわけでもなく、プロでも2戦しかしていない新人選手の、貴重な試合の機会が、こういう形でなくなってしまうのは、残念としか。


あと、階級によっては、ですが、西日本の段階とはいえ、新人王決勝とついた試合に、こういう戦績の選手が出てくるのか、と思うカードが、以前よりも増えている印象。
もちろん、これまでも「えらい組み合わせになってしもうたな」と思うことはありましたが、あくまで「たまに」でした。
しかし今回、パンフレットで出場選手の戦績を一目見ただけで、勝ち星が1勝しかない選手がけっこういて、これはちょっとなぁ、と改めて考えてしまいました。

それは新人王戦の出場資格、その規定がかなり変更されたことも影響しているのでしょう。
実質、アマチュアの有力選手を排除するような規定になっています。
インターハイ王者など、高校までのタイトル獲得者は出場出来るのですが、同時に戦績が40勝以上だと出場不可。
さらに、成年の戦績だと、これが20勝まで。
従って、このクラスの選手でも、普通にトーナメントに名前を連ねていた頃とは違い、今は実質、俗にいう「プロ叩き上げ」選手中心の新人王を決める大会になっています。

88年から89年にかけて行われた大会だと、アマチュアで53勝5敗のピューマ渡久地を含め、鬼塚勝也に川島郭志といった面々が揃って出場していて、後になんと豪華な顔ぶれだったのか、と振り返られたものですが、最近の新人王ではなかなか、ああいう現象は起こりえません。
伊藤雅雪を始め、アマチュア経験が無かったり、少なかったりする事例も皆無ではないですが、昨今のキッズボクシングからアマチュアを経てプロ転向、という流れを経る選手が増えている趨勢を考えると、出場資格の見直しなど、新人王戦の在り方を見直す時期に来ている、と思います。

個人的には、アマチュア戦績、それもジュニア年代で40勝したくらいで、新人王に出られない、なんていうのはナンセンスだと思っています。
極論すれば、それこそ五輪や世界選手権でメダル獲った、とか、全日本連覇した、とかいうでもないなら、新人は全員、出場して良し、くらいでも、と。

しかし、昨今のさまざまな情勢下、有力選手が一部大手ジムに固まり、大手が「独自路線」を行き、中小がトーナメント大会やユースタイトル関連を頼りにしている、という現状、こういう二極化、分断化が止まることはないのでしょう。

そして、それだけが原因だとは言いませんが、出場選手層の薄さを反映するように、昨日の会場は、西日本決勝としては、若干寂しい客入りでもありました。
以前なら決勝と言わず、準決勝の段階で、昼夜二部興行が大盛況のうちに行われ、全階級で20試合になろうかという興行を全部見るのが年に一度の楽しみ、今日が関西ボクシングマニアの正月や、というノリの知り合いもいたものですが、今や選手個人を応援する方々、立ち見や自由席は盛況ながら、指定席はガラガラで、全試合通しで見ている第三者的観客はもはや、少数民族と呼称されてやむなし、でした。

こういう現象は、何も新人王戦に限った話ではありません。
しかし、昨今の日本ボクシングが置かれた状況を、この大会もまた「露呈」しているなあ、と思ったのも事実です。
ライブで試合を見る楽しみを感じつつ、複雑な思いになってしまった、昨日の観戦でした。




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和歌山のジムから初の全日本新人王 竹本雄利、MVP対決制す

2018-12-24 10:58:45 | 新人王戦




そういうことで年末の世界戦ラッシュと並ぶ、ボクシングファンのお楽しみといえば
なんといっても全日本新人王決定戦です。
今年もG+で全試合生中継、ありがたくTV観戦しました。
先週からBoxingRaiseやG+で生中継試合が続いていますが、それはまた後日として、
簡単にこちらから感想を。試合結果や経過はこの記事にも詳しく



ミニマム級、歴代最多のエントリー数があったそう。
東の芝沼智樹が果敢に出るが、西の竹田宙が下がりながら連打し、正確なヒットでまさる。
芝沼の攻勢を見る採点もあったが、2-1で竹田。妥当なところかと。

G+の実況、この試合に関しては無茶苦茶。右と左の区別もつかず、竹田のヒットは目に入らない模様。
お箸持つのが右で、お茶碗持つのが左やで、と思わずTVの前で独り言が出ました。



ライトフライ級、東のサウスポー亀山大輝がせわしなく手数出す。
長身の西、見村徹弥は左フックから右ストレート当て、亀山ダメージありか。
手数の亀山、正確さで見村という対比で、互いに好打もあったが、見村が上回ったか。
しかし採点は2-1で亀山。僅差はともかく、ひとりフルマークで亀山支持がいました。
ようそんなアホな、としか言いようがありません。後味悪い採点でした。



フライ級、東のサウスポー荒川竜平が、西の湊義生を初回、右フックでダウンさせる。
しかし正確なヒットではなく、引っかけた感じで、ダメージはなし。
2回、湊が再三右ボディストレートを入れ、このパンチが伏線となってか、
3回、湊がフェイント入れた後に打った、上への右ダイレクトが決まり、今度は荒川ダウン。
荒川立ったが、追撃の右で倒れ、キャンバスに頭を打つダウン。即ストップ、タオルも入る。

今年の西軍代表の中でも、注目選手のひとりだった湊、強烈な逆転KOでした。
今後は「ユースタイトルに行きたい。大成ジム...の選手が持っているので」とのこと。
選手の名前をど忘れしたか、名前が出てこなくて焦っていた模様(笑)
頭の古い私などは、世界でも日本でもないのか、と思いますが、まあ、段階踏んで、ということなのでしょうね。



スーパーフライ級、東の、というか北国、北海道畠山ジムのファイター、若木忍が
相打ち気味のタイミングで先手を取るが、西のサウスポー大橋哲朗がインサイドから正確に返す。
カチッとしたフォームを崩さず、最短距離を通るコンパクトな左ストレートを上下に散らし、
サイドステップも冴える大橋が、果敢に出る若木に打ち勝って、クリアな勝利。
非常に筋の良さが見える大橋、パワーがついてきたら楽しみな存在。



バンタム級、東の石川春樹が、左右に動きつつショートパンチで攻める。
西のサウスポー藤川祐誠は左を当て返す。
2回は石川が左アッパー、左フックの連打を決めるが、3回藤川ボディ攻撃。
4回も藤川が強引にボディを攻め、石川止まるが、右ヒットから連打。
競った印象だったが、ボディ攻撃の効果と攻勢で、2-0藤川。



スーパーバンタム級、長身対決。東の三尾谷昂希が、左突いて足を使う。
西、というか北陸カシミジムの英洸貴は右ダイレクトで先制。
見合いとクリンチが多い展開、三尾谷は格好だけ手を出すが当たらず、クリンチばかり。
せめて出した手が当たっていれば、まだ格好もつきそうなものですが。

英が単発ながら徐々にヒットを取っていて、英の勝ちかと思ったがドロー。
優勢点も2-1で割れたが、英の勝者扱い。
これでドローとは、如何なものか...まあ逆やないのが、せめてもの良心でしょうか?



フェザー級は東西MVP対決。共に強打を秘める者同士、スリリングな一戦。
東の峯田光が右で先制も、西のサウスポー竹本雄利が恐れず踏み込み、右フックでダウンを奪う。
左一発で二度目、さらに連打で攻め、ゴングと同時に三度目のダウン。
しかし2回、竹本もう一押し出来ず。峯田が苦しいながらも持ち直し、徐々に回復。
3回、峯田の右で竹本の左目下が腫れる。竹本は右ジャブで探らず、左を当てようとして、
しかし警戒が勝ってしまって、手数が減り、回復の余地を与えたところは反省点。
ボディに散らす攻めも不足。
しかし5回、互いにヒット応酬、竹本右ジャブがここで出て、連打も。

初回の貯金と最終回の攻防もあり、竹本の勝利。強敵相手の勝利は見事。
和歌山のジムから初の全日本新人王、しかもMVP獲得、まさに快挙です。



スーパーフェザー級、東の関島優作がコンパクトなワンツーを決める。
西の太田卓矢は2回、相打ち気味に右を決めるが、関島は右から左フック返しをヒット。
関島のスリーパンチがよく決まるが、太田も奮戦し、激しい攻防。
4回、太田はジャブから細かい連打で出るが、関島の右フックヒット。
5回、なおも太田奮戦、関島はカウンター取れず劣勢、初めて失点。

とはいえ、4回までは全部取っていて、採点は3-0で関島、クリアな勝利。
関島の実力と共に、心身ともにタフな、太田の健闘も光った試合。



ライト級、大柄な東、橘ジョージが、西の石脇麻生を両手で押しながら手数を出す。
押し合い、揉み合いの合間に、橘が巧みに手を出し、ヒットを取っていく展開。
石脇はボディ攻撃やジャブ、右のヒットを取るが、レフェリーのブレイクも遅めで、
どうにもやりにくそう。
体格でやや劣った印象もあり、クリアに打ち勝つ、という展開には持ち込めない。

それでも最終回の右ヒットからの攻勢などもあり、正確なヒットの数で、やや石脇がまさる、
という見方もありかと思ったが、判定は2-1で橘。いずれも48-47という数字でした。
結果は残念でしたが、石脇は良い素質を持っていますし、今後に期待です。



スーパーライト級、メキシコでアマチュア経験ありの34歳、東のサウスポー遠藤健太が、
元ラグビー選手の西、岡田翔真の入り際に左を合わせる好スタート。
岡田は右リードから入るが、右で相手の体勢を崩せず、反撃される。
2回、岡田が入って右から左を返すが、遠藤がそこに左カウンター。岡田ダウン、TKO。
岡田は果敢に攻めたが、遠藤の外して打つ強打がまさった一戦。



ウェルター級、マーク・ブリーランドばり?の長身、痩身、東の辻本純兵が、
4勝オール初回KOの35歳、西の松井敦史を初回早々、右アッパーから右クロスで倒す。
松井は元全日本社会人王者で、アマチュア歴が長いらしく、上体が立ったままで、
懐を取りに行くスタイルではない模様。辻本とのリーチ差を克服出来ず、
右の強打も4回にヒットがあったのみで、ジャブ、ワンツー、ボディブローを浴び続けた。
判定はクリアに辻本。抜群の体格を生かせれば、面白い存在。



ミドル級は、ナイジェリア人とのハーフ、東のワチュク・ナァツと、西の京原和輝が初回から打ち合い。
初回互いに右ヒット。2回、両者揉み合いつつ打ち合い、ヒットはあるが効果は薄い。
3回、京原の右連打、ナァツは左ヒット。京原ぐらつくが反撃。
4回京原やや疲れ。ナァツの左フック決まるが、散発的。

やや低調な内容、判定はドロー、優勢点でナァツが勝者扱いでした。



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ということで、全階級を見渡していえば、フェザー級で一番の注目だった、
峯田光の敗戦が驚きではありました。

西の竹本雄利は、こちらも西軍MVPだったとはいえ、予想はやはり峯田だったと思いますし。
しかし峯田の強打を恐れず、しっかり踏み込んで、鋭い右フックを決めて倒した先制攻撃には、
お見事、脱帽、としか言えません。和歌山から初の新人王獲得に拍手です。


軽量級は西軍が続けて勝ち、クラスが上がるにつれて東が巻き返す、という流れでした。
軽量級においては、本当に有力な新人がエントリーしていないという面もありましょうが...。
ことにアマチュア歴のある有力選手は、出場規定の変更などもあり、昔日の大会とは違い、
出場することがなくなっています。
その昔は川島郭志が決勝で負けたりしていたわけですから、だいぶ様子が違いますね。

まあ、その事実を踏まえたとて、若い、キャリアの浅いボクサーの奮戦ぶりは、
見ていて惹き付けられるものがあるわけ、ですが。
それはそれとして、やはり遠からず、この大会の存在意義は、見直される時期が来るのかもしれませんね。




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