さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

本当に「タイの強豪」かも? 丸田陽七太、アジア王者と対戦

2024-02-29 06:46:11 | 関東ボクシング



次の土日も国内外、色々試合がありますが、土曜日はU-NEXTのダイナミックグローブ、日曜はWOWOWの阿部麗也世界戦、そしてDAZNは女子メイン、アンダーにWBOライトフライ級タイトルマッチです。


U-NEXTのセミ、個人的には要注目。
ライト級に転じた丸田陽七太が、タイのプームリットデーット・チョンラトンダンムロンクンという、ドえらく長い名前のタイ人と闘います。

IBFパンパシフィック、ライト級王者とのことですが、BoxRecを見ると、他にIBFアジアのタイトルマッチでも勝っている模様。
戦績は15勝13KO1敗。この1敗は保田克也に判定負けのアピチェット・ペッチマネーに喫したもの。
昨年4月21日が直近の試合なんですが、日本でもお馴染みアル・トヨゴンに12回判定勝ちをしています。

YouTubeで動いてるとこ見ておこうと思って探したら二試合、ぱっと出ました。

21年8月20日のアピチェット戦は変な音楽ついた、見にくいダイジェスト。WBCアジアタイトルマッチらしい。
グローブのテープが赤いのがプームリットデーット、青テープがアピチェットです。





22年10月19日、リチャード・ブラカン戦。
白と黒(濃紺?)のトランクスがプームリットデーット。
KO勝ちですが、カメラの位置が近すぎて、KOシーンは何が当たったのかよくわかりません。






どちらも見にくい動画。見た感じパワーはけっこうありそうだが、アピチェット戦では不器用そうな印象が残りました。
とはいえ、最近の試合ではないですし、動画でどう見えたかというのは、実際意味が無いようにも思います。
何しろタイトルホルダーでもあり、一定上の力はあると見るべき、なんでしょうね。

ライト級に上げて二試合目、徐々に相手のレベルを上げていく過程にありますが、そういう意味では良い相手かもしれません。
えらく強かったりしたら困りますが。


ところで大橋ジムがやると言っていたライト級のトーナメント、丸田のところに話は来ていないんでしょうかね。
オファーというよりは打診程度のことしかしていないんでは、というのは、昨年のバンタム級大会開催の過程でも思ったことですが。
それじゃなかなか、タイトルホルダーや上位クラスが揃い踏み、ということにはならないでしょうが...。



さて、Xでは色々と事前に公式の投稿がされていて、丸田への一問一答が見られます。
相手の印象から、ボクサー丸田の成り立ち、そして近況など。

個人的には竹田津孝さんに憧れて、というあたりがぐっと来ますね。好きなボクサーでした。
地味だけど巧くて強く、見どころがたくさんある選手でしたね。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

下町俊貴、次戦は大阪で開催ながらLeminoでライブ配信!

2024-02-28 05:15:43 | 関西ボクシング



昨年、Leminoフェニックスバトルの大舞台で、大湾硫斗に勝ち、石井渡士也と分け、日本スーパーバンタム級王座獲得と防衛を果たした下町俊貴ですが、次の試合は大阪で、しかしLeminoが無料ライブ配信する、とのことです。
記事によると興行の名称も「LeminoBOXING フェニックスバトル113」として発表されています。


このカード自体は、チャンピオンカーニバルの日程発表の際、4月13日大阪で、相手は六島ジムのデカナルド闘凜生と報じられていました。
当然、グリーンツダ主催のクラッシュボクシング興行であり、放送配信は後日録画のBoxingRaiseなんだろう、と思い込んでいたので、嬉しい驚きです。

U-NEXTでは、真正ジムの関西での興行がダイナミックグローブとしてライブ配信されていますが、グリーンツダの、という言い方になるのかは、ちょっとわかりません。
確かなのは下町俊貴が昨年闘った二試合の結果と内容が、Leminoの配信枠を得るに相応しいと評価された、ということです。


関西の目立ったジムでは、真正ジムがU-NEXT、六島ジムは西田凌佑の試合がABEMAで配信されていますが、Leminoも今回、関西の興行を配信することになりました。
何しろ毎月、ライブ配信をやるようになって、こういう形で間口を広げていく必要があるわけでしょうが、下町俊貴ならまさにうってつけ、不足無し、と誰もが認める存在でしょう。
また、結果に恵まれていませんが、二度の日本タイトルマッチで健闘した前田稔輝の試合もいずれ、ということになるかもしれません。ていうか、なってほしいですね。


長谷川穂積引退以降、関西ボクシングは、出身のアマチュア有力選手も大半が東京のジムに行き、移籍選手も多数出るなど、かつての勢いは失われつつあります。
しかし西田凌佑がIBF王者エマヌエル・ロドリゲス挑戦を発表したり、徐々に盛り返して行けるかどうか、というところです。


グリーンツダのツートップ、下町俊貴と前田稔輝もまた、いずれはABEMA方面に行くのかなあ、と勝手に思っていましたが...今回の発表を知り、下町(と前田)が東京のリングで健闘した甲斐あって、国内シーン最高の舞台たる、Leminoフェニックスバトルにまた出るのみならず、関西リングの試合配信を「勝ち取って」くれたことが、本当に嬉しいです。

正直言って、こういう形は想像していませんでした。U-NEXTの真正ジムのパターンは、あれは「系列」だから、と思って、それ以上、何も考えませんでしたし。
今回のこの決定は、当人はどう思っているか知りませんが、これを決めたであろう大橋秀行会長に、私は一介のファンとして、大いに感謝し、称賛したい気持ちです。
日頃文句ばかりつけていてナニですが...(笑)。いやホンマに。




しかし、ネット配信いろいろ、という時代になって、ボクシングの配信は、他の格闘技などより華やかさでは劣り、地味な印象ではあるのですが、なんだかんだと続いている、というにとどまらず、数や枠がじわじわ増えていきますね。
視聴者数などは、公式に発表されることはほぼありませんけど(都合の良いときだけコメントする、お調子者はちらほらいるようですが)、思いの外、良い数字が出ているのかもしれません。

上記したロドリゲス、西田戦もこちらの記事によると、静岡の旧・平石ジムを改称したLUSHジムのスポンサー、LUSHという会社と提携してのイベントになるのだとか。
このLUSHというイベント会社の名称は、緑ジムにも冠されていて、ABEMAもまた、矢吹正道の試合を再び配信するようになるのか、という展望も出来るでしょう。

このように、ネット配信ならばこそ、従来にない、地域を越えた広がりのあるビジネスが生まれ、それがボクサーのキャリアに、チャンス獲得に資するのなら、それは大歓迎です。
もちろん、業者の姿勢によっては、色々問題も生じはするわけですが...。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

統一路線に乗れるか、まずは一歩前進 田中恒成、大差勝利でWBO4冠制覇 

2024-02-27 00:03:00 | 関東ボクシング




さて、スーパーフライ級王座、二度目の挑戦となる田中恒成、メキシコのクリスチャン・バカセグアとのWBO王座決定戦に、3-0判定勝ちでした。



初回から田中の左ジャブが速い。バカセグアはメキシカンぽいスリーパンチ、左ボディで締めるコンビ。時に四発目の左アッパーが上に返る。
やっていることはリカルド・ロペスなどと同じだが、威力も精度もだいぶ差がある。当然ですが。田中外してジャブ、足使って離れる。
2回も速いコンビが出る。バカセグアのボディ攻撃はブロックし、上へのパンチは頭振って目で外す。
3回も同様の流れ。スピード、見切りの差ありあり。終盤、田中の右カウンター、良いタイミング。まともに入っていたら終わっていた、という感じ。
4回、左応酬も田中のヒットのみ、バカセグアのパンチは大半が空を切る。スリーパンチも同様、ボディは田中がブロック。
田中の小さいワンツー決まる。

5回、バカセグア上体を折って、頭を持っていく。挙げ句、自分が切ってしまう。世話無いな、と。
的中率がこれだけ違うと、なりふり構わず、という気にもなろうが、やっぱりみっともよろしくない。
田中左右へ回って左ジャブ、止まって右アッパー。自在。
6回、田中の右ボディアッパーから、左右ボディ攻撃。バカセグア応じるが、田中打ち勝つ。
さらに、右へステップして左ボディアッパーをインサイドへ。バカセグアからにすれば、相手が半ば消えるような感じか。
終盤、バカセグア肉迫、左ダブル上下、田中少しもらう。

7、8回と田中が左右ボディ、右アッパーとヒット重ねる。バカセグア、待てば打たれ、打っていけば外されて打たれる。
終盤、左ボディでバカセグア止まり、追撃されてロープに倒れかかる。レフェリー「ロープがなければ倒れていた」想定によるダウン宣告。
田中、再開後連打も、ゴング。時間があれば倒せたか。
9回、田中の速い左トリプル。速いコンビも決まる。10回、少しペース落としたか、しかし田中の右、続けて当たる。

11回前、コーナーで田中「ええ感じで休んだ」。ここでひと山作りに行くかと思ったが、バカセグアが逆に攻めてくる。
ちょっと思惑外れ?の田中、揉み合いながら打ってくるバカセグアを持て余す。終盤右クロス連続ヒット。
12回、左右に回り込んでの右クロスが決まるが、前の回粘られた分?詰め切れず。
判定は9対4、10対3、12対1の3-0で田中でした。



内容的には田中の完勝でした。スピードの差、見切りの差、防御の差、全てにおいて「モノが違う」という試合だったと思います。
本人は倒せなかったことが不満でしょうが、それも今後の課題と前向きな様子でした。

今の田中恒成は、言えばウェルター級に上げたメルドリック・テイラーみたいなもので、クラスを上げて一瞬の速さは落ちていないが、パンチの効果はやはり落ちていて、それを補う何かを見つけるか、或いは考えるか、というところでしょう。

傍目が簡単に考えるのは、倒そうと欲張らずに「食い止める」効果をより求める割り切りがあればいい、となるのですが。
その上でスピードとテクニックで観客を魅了し、納得させる。ある意味倒すより難しいことかもしれませんが、田中恒成ならばそれが出来るはずです。
そしてそれは、己の才能に自信を持っていればこそ、出来ることでもあるのでしょう。

何というか、田中恒成はそういう方向性で、もっと傲慢であっていいのにな、と思ったりもします。
誰より何よりも、自分を上に置く情緒がもう少しあれば、少々の相手に負けることなどなかっただろうに、と。


今後については、やっぱりあの相手への雪辱の話、そして自らの負傷で対戦を流したというIBF王者フェルナンド・マルチネスとの統一戦希望、とのことですね。
そういうビッグマッチ路線を、Amazonが田中恒成のために敷くのかどうかは、何も情報が無いのですが...寺地拳四朗、中谷潤人のみならず、この田中恒成も、今後のAmazonボクシング配信における重要なタレントたりうると思いますし、今後も前向きな話があってほしいですね。
対戦をアピールしている?というアンドリュー・モロニーとの対戦などは、そういう意味で、115ポンド級における真の世界トップクラスたり得るかの、試金石になるカードでしょう。
このあたりから実現していってほしい、と思うのですが。はてさて、どうなりますか。




そうそう、増田陸にはびっくりしました。
あの相手に初回KOだなんて、さすがに想像しませんでしたし、まして1分かそこらで。信じられませんでした。
世界戦3つの話題はあまりに大きいものですが、彼もまた今後、さまざまな配信試合で、その姿を...おかしな言い方かもしれませんが、嫌でも目にすることになる選手でしょう。これまた楽しみです。
ところで帝拳のバンタムもうひとり、矢代博斗は元気にしているんでしょうか。彼も忘れずに売り出して欲しい選手ですね。




コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

才気と技巧のインファイト 井上拓真、アンカハスをボディで倒す

2024-02-26 00:00:04 | 関東ボクシング




さて、セミが衝撃的な試合だったので、どうなるかなと心配でもあったメイン。
WBAバンタム級タイトルマッチ、井上拓真vsジェルウィン・アンカハス戦は、終わってみればこちらもなかなかの好ファイトでした。


初回、サウスポーのアンカハスは、パッキャオに似た、身体が前に出る踏み込みのワンツーを飛ばす。
これに対して拓真がさっそく、左フックと右アッパー、どちらもカウンターで狙う。高度な技で対抗。
ポイント微妙。拓真のカウンターは良いが「対応」のみ。ワンツー仕掛けた回数でアンカハス?

2回、アンカハスのワンツー上下に。アンカハスワンツー、拓真左フックカウンター、共に外れ、アンカハスなおも左アッパーボディ。
これを拓真が左へ回り込んで躱す。共に集中高い。拓真コンパクトなワンツー出るが、アンカハスのボディ連打など、手数と仕掛けでアンカハス。

3回も互いに攻め、外し合うが、拓真の右カウンターがまともに入る。パッキャオがマルケスにKOされたパンチに似た、ストロークの小さい一打。
ぎりぎりまで引き付けて打つ、凄いカウンターで、アンカハス左足が突っ張り、打ち返すがミス。
さらに拓真が目線落としてワンツー決める。拓真さらに右ボディ。アンカハスの反応が鈍っている。拓真の回。

4回、アンカハスはワンツーの距離ではなく、身体を寄せてくる。カウンターが怖い。
拓真は徐々にボディブローが増える。アンカハス出て、拓真ロープを背にボディ返す。一発右フックもらうが堪えていない。
なおも打ち合い、拓真の右ボディが続けて決まる。アンカハスも返すが、拓真がダックを繰り返し、大半を躱している。
詰めた間合いで、技巧のインファイトが冴える。拓真の回。

5回、アンカハス出て、拓真をコーナーに追う、拓真左に回り込んで外し、逃れる、というパターンが二度。
拓真、小さい右カウンターを三度。右ショート、フック、アッパー気味のをそれぞれ、地味に決める。拓真。
6回、アンカハス出ては躱され、の繰り返しに倦んだか、少し見合う感じ。
しかし間があるのは拓真にとっては好都合。右カウンター、左フック返しまで狙ってヒット。
7回、拓真の右ボディアッパーが繰り返される。アンカハス、インファイトを挑むが、拓真ガード、ブロックの「防御率」が高い。
拓真の左フックも出る。拓真。
8回、アンカハス踏ん張ってボディ攻撃。ややアンカハス?

9回、拓真の右から速いコンビが決まる。アンカハス出るが、インファイトで拓真の左ボディ、続いて右、もう一発右。アンカハス横を向き、ダウン。
タイミングの悪い打たれ方だったか、蓄積もあったか。相当きつそうで、立てませんでした。



試合後は父や兄、大橋会長らと抱き合って歓喜した井上拓真、やはりこれまでの世評を覆すようなKO勝ち、それもジェルウィン・アンカハスを倒したのだから、喜びは大きかったことでしょう。
世界戦初KOがこの相手というのも、やはり相手が強ければ光る、というところか。
今までは、セーフティーに外す巧さが中心だった拓真の、インファイトにおける、才気溢れる技巧と、ボディブローによる攻略は見事なものでした。

アンカハスは、ワンツーの威力やボディ攻撃の迫力などは、良い時に比べても落ちてはいませんでした。
しかし、拓真の右カウンターで突進に歯止めを欠けられ、間を詰めてカウンターを殺しにかかったら、インファイトで打ち負け、ボディで仕留められるという流れは、完敗としか言いようがないものでした。
試合後、拓真を称えていた心情も、得心いった、というところだったのではないでしょうか。



で、試合後の報道を見ると、次は石田匠だそうで「やっとか」と思ったところ、なんと噂の5.6東京ドームなんて話になっているのだとか?
いやはや...まあ、勢いに乗って、といえる勝利の後だから出た話で、実際そんなわけいくのかどうか、ちょっとわかりませんが。
そもそも、相手の石田に、そのスケジュールを事前に「あり得ること」として、通知しているかどうかも不明ですし。
しかし、そういう話もあり得るのかな、と思うくらい、明るい展望を持ちうる勝利だったことは間違いありません。

元々優れた選手だし、センスや才能も兄に勝るとも劣らないですが、唯一倒せないこと(パンチの当て際、身体の乗せ方に不足あり)のが玉に瑕でした。
普通に考えたら、今後も誰彼構わずバタバタと、と行くわけでもないでしょう。今回も序盤、見て対応する、という型自体は、変わってませんでしたし。

しかし今回の勝利で、自信や確信のようなものをその心身に纏ったとしたら、今後どうなるものか。楽しみな気持ちが、やはり勝ちます。
その変化の有無を、石田匠戦で確かめられるのだとしたら...改めて、必見の一戦となりますね。



コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

まだ「最強」とは敢えて言わぬが「軸」は決まった 中谷潤人、バンタム初戦でWBC王者をKO

2024-02-25 11:30:36 | 関東ボクシング



そういうことで昨日もまた、たっぷり4試合、ライブ配信を楽しく見ておりました。
これだけ数が重なると、従来のTV放送ではかならず「あぶれる」試合があったものですが、そんな心配は要らず、しかもAmazonPrimeならではのサクサク進行。
安心して、ストレス無く、全部見られる。有り難いことです。

そういうことで感想を順番に書いていきますが、最初は、順番でいえばセミ、WBCバンタム級タイトルマッチから。



初防衛戦で来日、小柄ながら攻撃力はかなりのもの、上体の厚みは圧倒的なアレハンドロ・サンティアゴ。
挑むサウスポー中谷潤人は、三階級目にして、まだ長身、痩身のイメージ消えず。
減量苦から解放されて顔色は良いが、サンティアゴに比べると当然、細く映り、ちょっと心配にもなりました。


初回、小柄なサンティアゴは右から入る。中谷ジャブからワンツー。
小さいサンティアゴに対し、左傾して覗くような構え。これ、あまりよろしくないなあ、手打ちになってしまうし...と、ちょっとだけ不安。的が小さく、やりにくい?
ただ、その後、左から入って右フック水平に打つ、逆ワンツーを打つときは、身体がわりと立っている。ちょっと安心。やや中谷、という回。

2回、両者しばしジャブで探り合い。中谷ワンツー繰り出すが、終盤、サンティアゴが右から入って左返し、クリーンヒット。サンディアゴの回。
相手の体型、サイズと、パンチの伸びにギャップがある?序盤、見切る前に打たれた。この辺はさすが王者、簡単ではない、と見えたところ。

3回、コーナー出る前、中谷笑顔。サンティアゴ左サイドに出て打ち、外そうという動き。中谷落ち着いてジャブ、逆ワンツー。
残り35秒くらい、中谷のワンツーがサンディアゴの右目上をかすめるように飛ぶ。これでカット、出血。中谷の回。

4回、サンティアゴのコーナーが止血に使ったワセリン、塗りすぎと見てレフェリーが止め、少し拭い取ってから開始。

サンティアゴは左フックリードから攻めたいが、中谷がワンツー、逆ワンツー。いずれも左を見せておいて、死角から右フック狙い。 
右瞼を切って、当然中谷の左が気になるはずの相手に対し、その考えの裏を取った?攻撃。
サンディアゴ右一発ヒットを取るが、中谷構わずスリーパンチ。サイドステップ切ってジャブ当てる。
サンティアゴ出るが、ヒットは2度くらいか。中谷がストレートパンチの距離から好打重ねる。中谷。
 

ここで途中採点アナウンス、三者とも4対0で中谷。2回も中谷が取っている。王者には厳しい。
ところが5回、当然巻き返しに出ると思ったサンディアゴが、そんなに来ない。ちょっと奇異に思うほど。
両者、同じタイミングでボディ打ち合う。しかし中谷がコンビを出すと、下がって外し、少し打たれるとクリンチ。中谷が取る。

メキシカンの世界王者ともなれば、劣勢とわかれば当然怒濤の如く「来る」ものだ、という、こちらの先入観とはだいぶ様子が違う。
少し打ち返すが迫力がない。ボディ攻撃が少ないのも、その一因か。
そもそもサンディアゴ、この時点で表情に精彩がない。相手にくらいつく闘志が見えない。見た目以上のダメージを、すでに受けているのか。  


このままペースを維持すれば、クリアに中谷が勝つと見えた6回、中谷がワンツー×2。
最初は上へ伸ばし、「次」は、ダックした後、身体を戻したサンディアゴを「追尾」する、最短の軌道。これがまともに決まってサンディアゴ、ダウン。
ダメージありありの王者、何とか立つが中谷、逆ワンツーにアッパー気味のパンチを織り込んで追い立て、最後は右フック。サンディアゴ立てず、KOとなりました。



バンタム級転向初戦で、これだけ余裕を持って闘い、これまでどおりに柔軟で多彩、淡々と闘う中にも相手をしっかり痛めつけ、倒してのWBC王座奪取。
井上尚弥を破天荒だ規格外だ怪物だと言い続けている昨今ですが、中谷潤人も別個に見れば、充分怪物的というか、並外れていると言わざるを得ません。
ちょっと考えられない、というか。本当に凄い、と改めて感心させられました。

おそらくサンティアゴは、5回までの時点でかなりダメージを抱えていたのだろう、と思います。
それは左を見せ、捨てて狙った中谷の右フックの数々であり、ひょっとしたらボディブローだったのかもしれません。
あと、距離の遠さと、それを生かした中谷の防御にも、精神的に疲弊させられていたのでしょう。
6回の決壊は、若干唐突にも見えましたが、そのあたりの蓄積があったのだと。


この一試合、サンディアゴをKOとした事だけで、いきなりバンタム級世界最強、とまでは...かなりインパクトのある、衝撃的な試合だったので、ついそう言いたくもなりますが。
ただ、かなりインパクトのある試合だったのは事実です。
少なくとも、国内外に注目選手ひしめくバンタム級において、井上尚弥が去った後の「メインキャスト」が決まった、とは、充分言えるでしょう。
かつて井上尚弥による、4団体統一への路線が(苦心惨憺の末)実現したのと同じ事をやるには、やっぱり「軸」が決まらんと無理だろうなあ、と思っていたんですが、その「軸」が、たった一試合で決まった。
中谷潤人は、転級初戦で、なかなかの大仕事をやってのけた、と思います。


バンタム級ではかなり体調も良さそうで、顔色も良いし、体格でも全然負けていない。
スパーリングのラウンド数や時間設定などを聞くと、壮絶な光景が目に浮かぶというか、そんな無茶して大丈夫なのか、と思うような、ハードなトレーニングをしているようで、その裏付けが、彼の強靱な心身を築き上げているのでしょう。
他のどのタイトルホルダーと対しても、これなら充分、と思える仕上がりでもありました。



最後に、絶賛一方だけではつまらないので(笑)ちょっとだけ注文つけますが、世界のトップクラスでは、という注釈付きながら、ちょっと打たれることに無頓着な部分があるようにも映りました。
まあ、長身とリーチに恵まれたボクサーというものは、若干そういう部分があるのは仕方ないことかもしれません。

それは例えばトーマス・ハーンズが、シュガー・レイ・レナードに僅かに及ばなかった一因でもあろう、と思ったりもします。
将来的に井上尚弥と闘う日が来るとして、井上がレナードとしたら、中谷は左のハーンズになる...なってしまう、のか?
試合が終わって、そんなことを思ったりもしました。

正直、ネクストモンスター、という惹句自体は良いとしても、実際に中谷潤人を、将来の井上尚弥の対戦相手として考えたことは、これまでは一度もありませんでした。
しかし、今回、初めてそんな想像が頭に浮かんできたりもしました。
昨日の試合は、そういう試合でありました。



コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

快勝ペース一転、急停止 井上浩樹、永田大士に雪辱ならず

2024-02-24 00:06:35 | 関東ボクシング



ということで今日は両国国技館トリプル世界戦の日。前日計量の記事もたくさん見ました。いよいよです。
何しろ週末に国技館のような良い会場で、というのが嬉しいところ。出来れば上京観戦と行きたかったですが。

しかしとりあえず一昨日の感想続き。書く隙間がなくなってしまうので。



メインは井上浩樹と永田大士の再戦。予想としては井上有利、雪辱成るのでは、と思っていました。

序盤、井上は思ったより動かず、踏み留まって迎え撃ち、のみならず、右リードを端緒に、叩きに行く構え。
単に動いて捌いて、とやっても、永田の前進に勢いを与えるだけ、どこかで叩かねば、というのは誰もが考えることでしょうが、どうもそういう感じを越えて、打ち勝てる自信がある風。

初回、左クロス応酬のあと、井上の右アッパー決まり、永田が横へと「退がる」。さらに井上が左を叩きつける。
2回、永田出るが井上が右ボディ返す。際どい左カウンターの応酬あり。
3回も永田が攻め立てようとするが、井上が左アッパーで締めるコンビ。攻勢は永田だが、井上のヒットが有効か。

4回、ビッグラウンド。永田が出て、ロープ背負った井上が右アッパー、まともに入って永田ぐらつき、止まる。
井上左右フックを叩き、アッパーも決める。KOチャンスかと思ったが、永田はタフ。逆に前に出て連打してくる。

ここで井上、もっと攻めねばと思ったが、意外にというか、ロープ背負ったり、ガード立てて押し合ったり、という場面も。少し違和感あり。
ラスト5秒くらいで連打し、攻めて終わったラウンドながら、コーナーに戻る井上の表情が思ったより明るくない。
「ん?」と、ここで違和感が疑念に変わりました。

後に思えば、この攻防のさなかに、すでに異変が起こっていたのでしょう。


5回、井上追撃して、永田がどう凌ぐかと思っていたら、井上の手数が激減。迎え撃ち、対応に終始。
6回、井上特に意味も無く右構えにスイッチ。永田は左右関係なく攻め、井上、程なく元に戻す。
7回、井上の右フック、リードにカウンターにと冴える。しかし右一本の闘い。


このあたりで、明らかに、井上の左拳に不具合あり、とわかってくる。
打ち方自体が縮こまっていて、身体全体を使ったダイナミックな攻撃が、4回途中から消えて無くなっている。
それでも右リードを中心に闘った7回のような展開を作れれば、と思わせるのが、井上浩樹の非凡でもあるが。


8回、井上の右ジャブに永田も打ち返す。終盤バッティングあり。これで井上、カットしたか。
9回、永田の構えが目に見えてアップライトになり、右ジャブからの攻めが増える。
セコンドが井上のアッパー警戒のため出した指示らしいが、それが良い攻撃にも繋がっている。

ひとつの指示で、ひとつの修正、改善のみならず、複数の効果、メリットを選手にもたらす。セコンドの値打ち、ここにあり。
永田、左ストレートをダブルで当てる。井上も頑張って左フックなど連打するが、威力に欠ける。


10回、永田今度は左をトリプルまで。永田の左クロスに井上右フック。
両者際どいタイミングで左右が交錯する打ち合い、両者ボディを返し合う。終盤に来て凄い攻防。
しかしここから、永田がアウトボクシングに出る。意外と言うと失礼ながら、この切り換えが出来る冷静さが永田にあるとは。
まるで寺地拳四朗のよう。大袈裟ですか。
ここで井上、攻められず捌かれた感あり。打ち合いなら必死で出来ても、ここで余裕の有無が差になって出る。

11回、井上踏ん張って右アッパー決めるが、永田の前進は止まず、右ボディから左、井上止まる。
さらに永田左右ボディ。井上ロープにもたれてクリンチ。身体を半ば折っている。
実況が精神論で井上を語っているが、プレスとボディ攻撃にさらされ続けて迎えた終盤、心がどうであっても身体がついてこないのは当然、あり得ること。
ラスト10秒、それでも左右連打で永田を打ち込んだ井上、その心身の偉大こそ語ってもらいたいが。

最終回、両者頭を付けあって、でもクリーンでハードな打ち合い。両者ボディ攻撃が良いが、やや井上がまさったか。


判定はドローがひとり、7対5と8対4で永田の2-0。
さうぽん採点は迷った回込みで6対6でしたが、永田の攻勢が評価されたのも、充分理解出来ます。



試合としては、序盤4回(途中)までは、ある程度予想どおりの展開でした。
井上浩樹がその良さを発揮して、永田大士に雪辱を果たすだろう、と思っていたとおり。

しかしそこで起こった異変は、井上の失速...急停止、と言っても良いような事態に繋がり、永田が懸命(かつ賢明)な闘いを貫いたことで、結果は永田が返り討ちを果たしました。

中盤以降、井上は痛みを堪え?左パンチも出し、右リード中心の組み立てに腐心し、と、やれるだけのことはやっていた、と思います。
左を見せ、捨てパンチにして、右フックやアッパーの強打に賭けてほしい、と見ていて思いもしましたが、それはやはり高望みが過ぎ、また無謀な行いでもあったことでしょう。
なかば捨て身の攻めに出ても、それを察知し、或いは耐え凌いでしまうのが、永田というファイターでしょうから。


試合後、井上浩樹は二度目の引退を、半ば「発表」したという記事が複数出ています。
もちろん、これがラストファイトとなれば、それを惜しむ気持ちは前回同様にありますが、しかし前回よりは、まだ納得感がありもします。
今回も、左拳の負傷により、途中から本来の闘いが出来なかったことは事実なれど、少なくともリングに上がるまでの段階においては、本人が充実した日々を過ごして、その上で闘えた、という意味においては。



とはいえ、やっぱり惜しいですね(どないやねん)。
4回までの闘いぶりは、やっぱりここで終わるというのは勿体ない、と思わせるに十分なものがありました。
それこそ、令和版「一瞬の夏」だと思った、井上尚弥の名言「マンガはいつでも描けるけど、ボクシングは今しかできないよ」を、改めて井上浩樹に贈ってほしい、と思ったりも...。





アンダーでは中嶋一輝が、中川麦茶にクリアな判定勝ち。OPBF王座獲得となりました。
中島が無理に打ち込みに行かず、冷静に闘っていた印象。
中川は相手が焦れて崩れるのを待つ闘い方でしたが、中島がいつもの?力みを全然見せず、当てが外れた、というところでしたか。


デーブ・アポリナリオは、タイ王者タネス・オンジュンタとダウン応酬も、4回KO勝ち。
ロープに詰めて出たところで、間延びした返しのパンチを振ったところに、まともにカウンターされて倒れ、ありゃりゃ、と思ったのですが、反転攻勢に出て、フィニッシュは凄い右アッパー、一発でした。
強いことは強いが、ひとつ大きな穴開けたなあ、という試合。でもまあ、世界戦でこんなことにならず、その前に済ませておいて反省すればいい、てなものですかね。
オンジュンタも大柄で、なかなか強いところを見せました。再来日して、他の日本上位と闘ってほしい選手ですね。




コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

若き王者の堅陣に、一矢報いるも届かず 前田稔輝、二度目の挑戦も松本圭佑に判定負け

2024-02-23 01:42:27 | 関東ボクシング




ということでLeminoフェニックスバトル、毎度の通り、見どころありな試合が連なりました。
休憩ほとんど無しで突っ走って全6試合、KOがひとつだけだったので、メイン終了22時20分頃、という...いや、えらいことでありました。


順番はセミだが、メインと見て違和感なし、松本圭佑vs前田稔輝は、松本が判定勝ちでした。

初回は前田の切れ味とリズムがまさり、松本の右を外して左をクリーンヒット。
ポイントを取ったように思いましたが、2回から前田の左ストレートに対し、松本が振りの小さい左フック、右ショート、また左フックと、カウンター、リターンを決めていく。
ことに左のチェックフックが鋭く怖い。前田、左ストレートを打つ回数が制限されていく。
3回も前田が打つたびに、松本のカウンターが冴える。左ストレートのみならず、右ジャブにも左ジャブでお返しが来る。

松本は序盤、驚くほど切れがあり、敏捷で、なおかつ安定感のある構え。
果たしてこれが中盤以降も続くのか、という気もしたが、もし続くようなら、前田とて敵わないのでは、とこの時点で思うほど。 


前田、徐々に左目の周りが腫れてくる。バッティングもあったが、ヒットもそこに重なっていったか。
4回、引き続き松本の右カウンター、追い打ちも。この後、足が突っかかったか、踏んでいたかというタイミングで、松本の右。前田ダウン。
足がどう以前に、ヒット自体微妙に見えたが、ダウン裁定。これ自体はダメージ甚大、ということもなかったが、痛い失点。

5回、リードされた前田が、ワンツー止まりでなく、連打の数を増やしていく。その副産物として、前田のボディブローが決まる。
しかし松本、連打されても大きく崩れず、また敏捷にカウンター、リターンを決める。
前田、左目が見えにくいか、松本の右ダイレクトを打たれ、クリンチに逃れる。
松本、さらに前田の左を外し、右カウンター。
6回、松本は前田をおびき寄せては右カウンター。


松本は2回から好調、中盤に来ても落ちない。そこへ前田の視界が悪いという弱みが重なり、構えて待つ余裕もあり。
7回、前田にドクターチェック。左目周辺は紫色。完全に塞がってはいないが、視界は悪そう。
前田は懸命に攻め、左ボディストレートを連打に織り込んで打つ。松本のワンツーを左カウンターで狙うが、これは当たらず。


8回、前田が軽いが速いコンビを繰り出す。
9回も両者、鋭いコンビにカウンター、リターンが交錯するが、前田も食い下がる。追う側の強みでもあるか。
しかし松本の左フック引っかけ気味、前田少しよろめき?松本がワンツースリーと追撃。
とはいえ、松本もさすがに疲れが見え、右をミスして少しのめったところに、前田の左ショートを食う。危ないタイミング。

最終回、松本がクリアにリードしているが、前の回と同様、右をミスしたところに前田の右ジャブから左ストレート、また決まって、今度は松本ダウン。
スローで見ると、前田の右で松本のバランスが乱れ、左足が浮いたときに左が入っている。
踏ん張りが効かないタイミングで打たれた松本、ダメージありと見える。再開後、前田の左ストレートがまた決まり、松本ピンチ。
しかし揉み合いつつ、身体を前に向けて保たせ、小さい右ショート。逆に前田の足がもつれる。
前田は左アッパーをボディへ送るが、松本クリンチに逃れる。ラスト15秒を切り、前田のコンパクトなワンツー決まり、松本よろめくが、ゴングに逃げ込む。

判定は96-92で三者とも松本支持。さうぽん採点も、合計は同じでした。



松本は、過去二試合のタイトルマッチと違い、中盤からの失速というか、出力調整というのか、何しろ間延びしたり緩んだり、というのが、終盤に至るまで見えませんでした。
前田のスピードや切れ味に対し、鋭く多彩な合わせ、お返しで対抗し、脅かして得点していく安定感は、タイトルマッチ三試合めにして、安定王者の風格さえありました。
ただ、終盤、奮起した前田が手数を増やし、食い下がってきたところ、緊迫の攻防ゆえ、仕方ないところでしょうが攻め立てられ、僅かずつながらミスも目に付きだし、最終回はダウンを喫して大ピンチでした。

もちろんこれは反省材料でしょうし、本人も悔しさを押し殺してコメントしていましたが、逆に言えば前田のような強敵に対し、終盤まで弱みを見せずリードしていたのは大したものです。
それに、ダウンしてダメージを負っても、完全に決壊せず保たせられたのは、常日頃のトレーニング、過酷な走り込みで鍛えた足腰の強さ故。日頃の努力が、彼を救ったと言えるでしょう。
抜群の体格、センスにテクニック、そして努力の積み重ね。松本圭佑には、一流のボクサーたり得るに必須の条件が備わっています。



そして、その松本圭佑に肉迫した、前田稔輝も見事な健闘だったと思います。
ポイントはリードされていましたが、松本に楽はさせておらず、それが最終回の猛攻に繋がったわけですし、内容的にもレベルの高い攻防を続けていました。
強いパンチを打てる反面、コンビネーションの多彩さに不足あり、強弱の付け方がこなれていないことなど、改善すべき点もありますが、こちらも松本同様、終盤まで緩むことない闘いぶりから、日頃の鍛錬の跡も見えました。
もし挑む相手が阿部麗也や松本圭佑でなかったら、すでに戴冠していて不思議のない実力を証明した、と思います。

あと、繰り言ですが、この試合に何となくWBOアジアタイトルもかけられていたら、あと2ラウンズあったのになぁ...とも。
まあこれは本当に繰り言で、そうだったから前田が勝てたとは限らないわけ、ですが。ハイ、わかってます。言ってみたかっただけです(笑)。


何しろ、この両者の闘いは、日本タイトルマッチとして、何処へ出しても恥ずかしくない、堂々たる内容だったと思います。
Leminoの配信を通じて、出来るだけ多くの目に触れて欲しいと心から思える、そんな試合でありました。


と、試合終わってすぐに、YouTubeにハイライトが出ていますね。今までもこういうことをしていたんでしょうか。
まあ、無料ですし、未見の方はLeminoでアーカイブを是非見ていただきたいところですが。






コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高評価ゆえハードルは上がる一方 中谷潤人、サンティアゴに挑む

2024-02-22 00:00:19 | 関東ボクシング


さて今日はなんといってもLeminoフェニックスバトルです。
亀海喜寛解説とのこと。楽しみですね。






ですが、それより先に土曜日の試合も簡単に触れとかないと、ということで、昨日の続きです。


中谷潤人はバンタム級転向、即WBC王座挑戦となりました。
相手はアレハンドロ・サンティアゴ。戴冠試合がノニト・ドネア戦で、WOWOWで生中継があり、しげしげとその闘いぶりを見たばかりです。

小柄ながらタフで、連打が淀みなく出て、スピードもあり、ドネア戦はクリアな勝利と言って良いものでした。
ただ、見た限りではドネアの不調(衰えかどうかは置くとして)も感じましたし、そのドネアに左フックを好打されてもいる。
余裕のある勝利ではなく、スーパーなチャンピオンかというと、現時点では違う、とも見えました。

もちろん、ドネア相手に楽に勝った選手など誰も居ませんから、それをマイナスに見ることはないですが、タイプ的にも中谷にとって、相性が良い部類かと思います。
それこそジャブで探っておいて、来たらアッパーでお迎え、というパターンが目に浮かぶところ。
また、ドネア戦を見る限り、小柄なメキシカンだが、奇異なほどボディブローが少ない。珍しいなあ、と思いながら見ていました。
もっとも、長身サウスポーの中谷とやれば、全然違ってくる可能性は大いにあるでしょうが...。


基本的に中谷が有利と見ますが、サンディアゴが伊達にドネアに勝ち、WBCチャンピオンになったわけではない、その所以が見られるようであれば、中谷にとって苦戦、激戦という展開もあり得ます。
しかし考えたらフライ、スーパーフライと来てバンタム級、三階級目の挑戦でありながら、普通に有利の予想が出るのを見てもわかるように、中谷潤人への評価は高まる一方です。
普通なら苦戦の末、それでも戴冠すれば殊勲の星、拍手喝采、万歳三唱となるところ。
それが中谷に関しては、それ以上の期待がすでにかけられて「しまって」います。
それは「ネクストモンスター」というキャッチフレーズに象徴されるとおり、井上尚弥の後続と目されているから、なのでしょう。


確かに、過去の試合でほとんど、粗らしい粗を見せておらず、先のアルジ・コルテス戦での被弾も、減量苦故の防御動作漏れ落ち、と見るべきでしょう。
今回、バンタム級でコンディションに余裕が生まれれば、あのような「ついうっかり」は、おそらく無いと思います。

ただし、中谷とて完全無欠のマシーンではありません。防御のセンスに関して言えば、世界レベルでは天才的とまでは言えないように思います。
それを自らの体格、長身とリーチをしっかり生かして補い、その上で、それに頼り切らない防御を構成しようとしている。
この部分では、中谷は天才ではなくて秀才の道を極めたボクサーと言えるでしょう。

そして、アレハンドロ・サンティアゴの手数とスピード、体力、衰えることなく闘い抜く闘志、モラルの高さが、中谷を脅かすことは、改めて、充分ありそうに思えます。
しかし、そうなったとて、最終的には中谷が勝っているだろう、とも思うわけ、ですが。

ただ、それだけでは満足してもらえないというか、転級初戦でいきなりバンタム級王座に挑むという試合でありながら、ある程度まで鮮やかな印象を残さないと、不足を言われてしまう、苦戦と言われてしまうのが、今の中谷潤人の立ち位置です。
中谷潤人は、その辺りを見ると、井上尚弥と同じ土俵に、すでにして立っているのかもしれません。

その現実の前に、中谷潤人がどう対峙し、どのような「回答」を出すのか。今回の試合は、そういう目線で見られる試合です。
辛い話だと思いますが、それを何ごともなく乗り越え、最高の答えを出すのが、スーパーチャンプの仕事であり、宿命でもあるのでしょう。
そう、井上尚弥のように。



私としては、日本のボクサーがそういう次元に到達したことを喜ぶ反面、「世界バンタム級王座」「世界三階級制覇」が、ファイティング原田以降、日本ボクシング界にとって高嶺の花であり、未踏の偉業だった頃が、何か懐かしくも思います。
例えば六車卓也が、日本人二人目の世界バンタム級王者になった時の喜びは、本当に大きなものでした。
今、あれと同じものを見て、同じように感激するかというと、良くも悪くも...まあ、何も改めて言うたり書いたりすることではない、ですかね。




田中恒成はクリスチャン・バカセグアという選手と、4冠制覇を懸けて闘います。
中谷返上の王座獲得を目指すわけですが、正直、相手のこともよくわかりませんし、評判も芳しいものではありません。
しかし、再起後も石田匠や橋詰将義、南アのランカーなど、いい加減な相手は一人も居ない再起路線の延長線上と見れば、WBO上位ランカー対決として、見どころのある試合だと思います。
そして何より、中部地域の枠から、また飛び出しての闘い、しかもAmazonPrime配信の興行で、その才能を改めて見せることは、彼の未来を切り拓くにあたり、大事なことだと思います。

その今後についてどういうものになるかは、まだ不明ですが、Amazonのプレビュー番組を見ると、やはり井岡一翔への雪辱について語っていますね。
私は、あんな何かと疑わしい相手に敗れたことを、いまだにまともな話として語り、雪辱を目指すコメントをせねばならないことには、他人事ながら気の毒に...というか、腹が立って仕方がないですが。
それに、そもそも受けてもくれないでしょうし。

それはともかく、田中恒成には、王者不活発のモデルケースみたいな115ポンド級のみならず、フライ級から上げてくるであろう強豪たちとの闘いを目指し、そのための舞台として、引き続きAmazonPrime興行に出続けてほしいものです。
それが田中恒成の今後として、相応しい道行きであろうと。

とかいって、土曜日に勝てなかったら大変ですが。予想は有利、楽勝では、なんて声もありますが、相手がよくわからんので、何ともです。
まして、過去試合の映像でどう見えたとて、何しろタイトルマッチの大舞台、数割増しで頑張るとか、そもそも実はえらく強かったとか、あり得ないことでもないでしょうしね。
そこはしっかり引き締めて、田中恒成の現状ベストと言える試合を見せてほしい、と思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

転級早々好調ならば強敵だが 井上拓真、アンカハス戦に求められるものは

2024-02-21 00:00:04 | 関東ボクシング




そんなことで土曜日のトリプル世界戦についても、試合前に振れておこうと思います。簡単にですが。


試合順は最後、つまりメインである、と数日前に報じられていましたが、そのような話題が生まれること自体、世界チャンピオンとしての井上拓真が、この試合に真価を問われる立場にある、という証です。
本来なら、中谷潤人、田中恒成がチャレンジャーの立場(田中は決定戦ですが)である以上、ディフェンディング・チャンピオンたる井上拓真がメインを張るのは、当然のことのはず、ですから。


対戦相手のジェルウィン・アンカハスは、スーパーフライ級では一流の王者と目されていたが、減量苦をささやかれ出してから苦戦が増え、最後はフェルナンド・マルチネスに連敗し、バンタムに転じてきた、という状況で、言えばこのクラスでは未知数、不確定要素の多い相手ではあります。

ただ、もしバンタム級で減量から解放され、良いコンディションを作り、本来の力を発揮したら、拓真にとり、かなりの強敵です。
転級早々から、そんな都合良く行くものかどうかは、正直何とも言えませんが...もし彼がかつての姿を取り戻していたら、試合の勝ち負け以前に、さすがと称えるしかないでしょう。


そして、そうなった場合に、格下や余裕のある試合では、巧さは見せるがスペクタクルを提供出来ないと目される拓真が、強敵相手であるが故に、厳しい評を覆すような試合が出来るのではないか。
すなわち、好ファイト、と言われるような試合になるのではないか。そういう期待がこの試合にはあります。

その上で、結果も勝ちであったらめでたし、なのですが、その辺はさすがに、ファンの勝手が過ぎますね(笑)。
もちろん、そうなることを願いますが。
偉大すぎる兄との比較を抜きに見て、本当に優れた技巧派である井上拓真の真価が、目に見える形で発揮され、多くに改めて認められる勝利をもって大団円...という感じで、国技館の大イベントが締め括られたら、最高です。
しかしまあ、結果はおいて、井上拓真、ジェルウィン・アンカハス、両選手の健闘に、まずは期待、ですね。



ところで大橋会長、こないなことを仰ったようです。

そりゃ、プロモーターなるもの、試合の注目度を上げるためならどんなことでも言うのは当たり前です。
しかし、他ならぬ大橋秀行が、その名前さわっちゃいかんやろう、と。
まあ、ある意味「さすがは大橋秀行や」と思う気持ちもありはしますが...(笑)。


コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フェザー級の次代「日本代表」はどちらか 松本圭佑、前田稔輝激突

2024-02-20 06:32:35 | 関東ボクシング



さて、木曜日と土曜日に、要注目の大イベントが相次ぐファイトウィークがやってきました。
以前だったら、大まじめに三泊四日の旅程で、どちらも上京して観戦したる~、と息巻いていたところですが(笑)、今は家に居ながらにしてライブ配信で全カード見られるという、有り難い時代になりました。
まあ、いつまでも家でゴロゴロしながら見る、というばかりではいかんので、そのうち頑張ろうと思ってはいるのですが...。


そんなことで木曜日のLeminoフェニックスバトルですが、メインカードは井上浩樹vs永田大士の再戦。
コロナ渦のさなかに行われた一戦目は、井上浩樹初黒星、そして一時引退の引き金となりました。
勝者たる永田には失礼ながら、井上浩樹の素質を惜しむ気持ちで、ひたすら残念に思うばかりでした。

しかし嬉しいことに井上は復帰しました。そしてWBOアジア王座奪取、それも中央アジアゾーンの選手を激戦の末に下してのもの。
その上で、かつて無念の黒星を喫した相手に雪辱を果たせば、その評価はますます高まりましょう。

永田はウェルター級での無冠戦でちょっと苦しみましたが、やはりベストは140ポンドかと思いますし、こちらも返り討ちにして、海外試合への飛躍を目指す。意気込みは充分でしょうね。

予想としては井上の雪辱なるのでは、と思っています。
スピードとテクニック、一瞬の切れ味をもって...というのもそうですが、現状、コンディションも良さそうな井上が、溌剌としたファイトを見せてくれるだろう、という期待をします。



しかし、試合としてはメイン以上に要注目と思っているのが、阿部麗也が世界挑戦に進んだフェザー級において、次の「日本代表」を決める一戦、といえる松本圭佑、前田稔輝戦ですね。
OPBF王者の堤駿斗が王座を返上し、いわば独自路線ってんですか、国内ライバルとの直接対決をしない方向に進み、WBOアジア王者藤田健児も、肩書きはともかく、闘いぶりに説得力が足りない。
そんな現状で、佐川遼を下した松本と、阿部に善戦した前田の一戦は、同級の日本一を決めるに相応しいカードだとみています。

ただ、予想となると、松本のコンディションにかなり左右されそうです。
デビュー戦から見ていますが、その時点で、あの体格ならライト級に上げるべき、と言う人もいたくらいで、果たしてフェザー級でいつまでやれるものなのか。
減量の影響もあってか、佐川戦、オイコラ戦ともに、中盤以降、若干精度が落ち、ペース配分に留意しないとフルラウンド闘えない、という印象がありました。
まあ、その程度に留まるならまだしも、それ以上の何かが試合中に見えるようだと...前田稔輝の切れ味鋭い強打を前に、苦戦は免れない、と見ます。

前田も、挑戦者決定戦が相手の都合で流れてしまい、強敵を下して意気上がる、という流れではなくなってしまったのが残念でしたが、一度敗れた日本タイトルマッチで、相手がスター候補の松本となれば、相手にとって不足はないでしょう。
長身で、攻防ともに多彩な松本を相手に、一瞬たりとも気を抜けない闘いですが、阿部麗也戦の試練を経て、さらに成長した姿を見せてくれると期待します。

予想は難しいですが、目を離せない緊迫の攻防となりましょう。
松本がパワーと正確さを発揮する序盤のうちに先制して倒してしまうか、そのリードを元手に闘えれば松本。
しかし、その攻防を凌いで、阿部戦でも顎の骨折がありながら、フルラウンド渡り合った前田が、地力を出せれば、前田。
はてさて、と逃げたいところですが、応援の心情も込めて前田、としておきます。


中嶋一輝と中川麦茶は、強打の中島、技巧の中川と、カラーがはっきりしている組み合わせです。
どちらが勝つか、となると、中島かなあ、とぼんやり思いますが、どちらになっても不思議はない、でしょうか。
さらに、アンダーに出るデーブ・アポリナリオも。ユーリ阿久井政悟のWBA王座を狙うアポリナリオ、どのくらい成長しているか否か、というところが気にかかりますね。


何しろ楽しみなカードが盛り沢山に並びます。
土曜日のAmazonPrime配信、トリプル世界戦と比べても、ボクシングファンにとっての楽しみ度合いは、けっして劣るものではないカードばかりですね。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする