村田諒太9戦目、上海での試合は、2回KO勝ちとなりました。
WBCスペイン語圏元王者というガストン・アレハンドロ・ベガを圧倒しての勝利でした。
序盤の積極的なジャブ、手数の多さは良し。好スタート。
あれだけ左が出れば右も付いてくる...と簡単に言っていいのかどうかわかりませんが、
右クロスがテンプルの、けっこうきつそうなとこに決まってダウンを奪う。
しかしこの後、変化なく同じパターンで、正面から雑な攻め口で出たものだから、
余計なお返しをもらい、それが単発でなく何度か繰り返される。このあたりは驚くほど拙い。
良い流れや好機が来ると、雑になり、単調さが際立ってしまうという、
これまでの試合で見えた課題、というより悪癖が、そのまま露呈した印象。
それでも2回、ボディ攻撃も出て、攻め立てる。何度も同じ軌道で右をミスするが
右ボディが効いて止まったベガを、上への右で倒してKO勝ち。パワーの差を見せました。
今回、序盤からジャブで相手を崩し、早々に倒した好スタートは見事でした。
しかしその後の展開力の無さ、追撃パターンの乏しさは相変わらず。
ジャブが減り、打つのは右クロス、左右ボディに限定され、返しの左フックが出ない。
空振りでも良いからこれを出せば、バランス復元をして、また連打ができそうなものですが、
右が決まって効いても、またいったん動作を切ってから右を打つんで、相手に外される。
短い試合の中でさえ、何回同じ事を繰り返すのだろう、と不思議に思うほどでした。
また、上記のとおり、好機になるほど単調さが出るのみならず、雑な見切りで強引に攻め、
強い相手なら致命傷になりかねない頻度で反撃を受けてしまい、
結局「取り逃がし」てしまう展開も、過去の試合で見えたものと通じるものでした。
結局、立ち上がりに見えたジャブを端緒とした先制攻撃は良かったものの、
その後は多くの課題が積み残しのまま、という試合だったように思います。
「すぽると」のコーナー枠に収まる、序盤KO勝ちは、まずは良いとしましょう。
何もこの段階で世界上位の強豪と闘えなんて言うべきでもないでしょうし、
むしろ「このくらいの試合」を、もっと数多くやっていくべきだ、とさえ思っています。
現状では、陣営の方針に沿った「年内に世界」云々は、どんなものかと思わざるを得ません。
その時々の都合か、情勢の変化か何か知りませんが、我々が普通に見る現実とは
あまりにかけ離れた世界の話だなぁ、というのが、率直な感想です。
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今回の試合、試合中継の枠ではなく、ニュース番組の中での録画中継、という形でしたが、
隣国とは言え海外での試合を当日、結果知らずで見られたのは、有り難く思わねばならないのでしょうね。
その前の時間帯に放送されていたバラエティ番組に、村田や井上、八重樫が出演していたことも含め、
それなりに力を入れてくれているようでもありましたし。
しかし、結局は、まだまだ不足があり、課題も多い選手を、近いうちに世界へ、という言葉で
追い立てるような見せ方をしないと、こういう「番組」が成り立たないのだとしたら、
村田諒太という「素材」の段階にある選手にとっては、色々辛いところかもしれないなぁ...と、
この辺もまた、これまでの試合と似た感想になってしまいました。