さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

メインは「弱い」がアンダーは充実

2021-10-31 13:05:38 | 井上尚弥




井上尚弥の次戦、アラン・ディパエン戦興行ですが、メインは井上の試合としては「弱い」カードと言わざるを得ないものの、アンダーカードがなかなか良いですね。

ウィルフレッド・メンデスvs谷口将隆がセミで、その他、元K1王者武居由樹、ミライモンスター松本圭佑、そして井上のスパーリングパートナーとして腕を磨く新鋭・石井渡士也も出場。
しかもこのご時世ですので、全部日本人ボクサーが相手、と。

確かに、一般向けに言えば地味な話に過ぎないんでしょうが、それでも武居や松本は、それぞれにネームバリューがあるし、石井もそのうち、実力でもっとその名を広めることでしょう。
もしこの三人がホールの興行で一緒に出たら、コロナの影響を受けたとて、盛況は間違いないでしょうね。
それが今回、5千人プラスアルファ?の興行で、というのは、傍目には納まりの良い話に見えます。


年末いろいろあって、これを観戦しに行くのは難しいですが、ひかりTVやdTVでのライブ配信などはないんですかね。
メインはフジが抑えるとして、セミまでは配信、とか。なんとかやってもらいたいものですが。
そりゃ、フジはフジで別の話として、メインまで配信でも良いですけど。実況解説は別の布陣で、とか...まあ、無いのでしょうけども。



そういえば井上拓真、和氣慎吾戦は、ひかりTVやdTV配信はなく、フジテレビ後日録画なんだそうですね。
まあ、こちらは後日とはいえ、FODで無料視聴出来るはずですが...。
何にせよ、TVとネット配信の折り合いが今後、どうなっていくものか、ちょっと気になるところです。



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井上尚弥次戦正式発表 谷口将隆とダブル

2021-10-30 00:18:50 | 井上尚弥




井上尚弥次戦が正式に発表されました。
12月14日、両国国技館でアラン・ディパエンと。チケットは収容人数の半数、5千枚くらいになる模様。


もちろんどんな相手でも油断大敵ではありましょうが、率直に言って、井上の試合勘を鈍らせないための試合、という感じですね。
国内開催となれば、コロナ完全収束なるまでは、大きな試合は難しいでしょう。
それでなくても井上は、ここのところ勝つだけじゃなく、内容に隙がなく、なおかつ爆発力に翳りも見えず、という試合が続いていて、対立王者や上位陣であればあるほど、尻込みしてしまう対象です。
たまに、妙な打たれ方して「あ、これなら...」と思わせるような試合が、ひとつくらいあった方が良いんじゃないか、と思ったりするくらいで...。



驚いたのは、WBOミニマム級タイトルマッチがセミに入ったことです。
1位の谷口将隆については、WBOの第一回入札に参加者なし、という報がありましたが、水面下で交渉していたのでしょうね。
ただ、ここに入る試合だとはまったく思っていませんでした。
何にせよ、試合が行われるのは幸いなことです。


問題はTV放送があるかどうかですが...フジは地上波生中継の枠を大きく取ってくれる局ではありますが、反面、その枠から外れた場合、BSやCSなどでの放送という対応をしない局です。
以前も拳四朗の防衛戦が放送なし、或いはラウンドカット、ということが普通にありましたしね。
果たして今回はどうか。難しいかもしれません。心配なところです。


さらに、アンダーには元K1王者の武居由樹や、ミライモンスター松本圭佑が出るようです。
井上のビッグマッチはならずとも、まずまずのラインナップではあります。
チケット5千枚、なんだかんだで争奪戦になるかもしれません。フルに入れられる状況なら、ちと弱いか、と思ったりもしますが。





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神戸ではなく埼玉で ゴロフキンvs村田戦、正式発表近し?

2021-10-29 05:14:25 | 関東ボクシング




やっと「来週にも正式発表」という話が出ました。例によって海外報道先行、ESPNらしいです。

会場は一時、ノエビアスタジアム神戸という話になっていましたが、これは当時、首都圏で大規模イベントを開催するには厳しい条件があって、逆に比較的寛容と言われる自治体が兵庫県、神戸市だったから、という推測をしていましたが、来月からその規制は全国的に緩和されるので、当然のこと?首都圏開催に話が「戻った」、というところなのでしょう。
埼玉となれば、これまた当然のこと、さいたまスーパーアリーナしかあり得ないでしょうね。
コロナがなければ、東京ドーム開催ということもあり得たのかなあ、と思うと、残念な気持ちにもなりますが。



このカードについては、折りに触れて思うところをあれこれ書いてきましたが...国内限定の話でしかありえない時点で、統一戦だなんだと言ってみても、結局のところは村田諒太の「挑戦」試合です。
そしてもちろん、本人もそれは重々承知というか、言われんでもわかっとるわ、という感じなのでしょうね。

海外マーケットに出ることはならず、という前提で「ビッグマッチ」を求める「世界ミドル級チャンピオン」とはこれ如何に、という、私のような者が言わずにおれない皮肉とて、村田にしてみれば、この一戦のためなら、飲み込める程度の苦さでしかないのでしょう。


あとはもう、いざリングの上で闘い、その内容と結果で全てが語られます。
村田諒太のプロボクサー人生、その集大成となる一戦が、やっと闘われることになります。
そのこと自体は、あれこれつべこべとはまた別に、良かった、と素直に思っていたりもします。
これがまた決まらず、来年以降に、なんてことになっていたら、今度こそ「終わり」だろうなあ、と思っていましたから...。




ただ、年末あれやこれやとあって、埼玉かぁ...と。別に遠いのは良いんですが、あの会場、お世辞にも見やすいとは言えませんし。
正直、他の、注目度の低いカードで師走は「勝負」かな、と思う気持ちもあったりします。
あとは、アンダーカードに何が入るか次第、でもありますね。

有力かと思っていた尾川堅一vsアジンガ・フジレは、NYはMSGのサブ会場で行われる、テオフィモ・ロペス初防衛戦のアンダーになるとのこと。
これはまあ、言えば「朗報」でしょうね。

井上尚弥の次戦あたり、カードの質を言えば、この興行に組み込まれても良いように思ったりしますが、そうはなりません。

あとは中谷潤人、二度目の防衛戦あたりか。
ゴロフキン陣営ご一行様のお世話で、ただでさえ大変なところ、アンダーカードの挑戦者は、出来れば日本人で「済ませたい」と、主催者は思っているんではなかろうか...と、勝手な推測(笑)をすれば、挑戦者は当然、あの人しかいませんけども。
もしこの「再戦」が組まれて、TV放送がどうなるかわからん、となれば、これは埼玉まで行かねばならぬ、と思うところ、です。


何にせよ、すんなり正式発表されてほしいものです。
まあ、さすがにここまでくれば大丈夫でしょうが...。



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狭い世界の荒涼たる風景 矢吹正道、マッチルームとの契約はならず?

2021-10-28 00:38:59 | 中部ボクシング





矢吹正道の所属ジム会長が、JBCにお怒り、という記事
何でも、JBCが毅然とした態度でないから、マッチルームとの契約が破談になった、と言っているらしいです。

普通に、変な話やなあ、と思うしかありません。
寺地拳四朗陣営は、試合結果を変えるつもりはない、とした上で、JBCに質問書を出しただけですから、それにJBCがいつ、どう返事をしようとと、それが矢吹正道の行く先の「雲行き」に何か関係あるのか、と傍目には思うんですが。
誰か、エディ・ハーンに取材してこいよ、と思っちゃいますね。

まあ、妙な話をして「実際のところ」に覆いを掛けたいだけなんやろうなあ、というのはうがち過ぎでしょうか。
何であれ、海外のプロモーターに「持って行かれる」より、例えば拳四朗との再戦ビジネスを自分たちで仕切りたい立場の人たちに、都合の良い話になった、というのが、この話の本質なのだろう、と思います。



で、拳四朗陣営の質問書に対するJBCの見解は「反則とすべきかどうかというと、そこまでではなかった」というものらしいです。
要するに、レフェリーの裁定に瑕疵は無かったと。

まあそれはひとつの見解として、良いとしましょう。
しかしJBCとは別に、WBCも検証して、再戦指令の可能性もあると。
ただ、それが「そういう話(再戦の指示)も私どもの方にも来ている」とは...そういう話、って何ですか?

指示が来ているかどうか、来てるなら来てる、とはっきり言えば良いようなものです。
それなのに「WBCがどういった形で発表となるのかまだわかりません」???

本当に、何がどうなっているのかさっぱりわからない文章の連続です。
わかることはただひとつ、JBCが絡むと、はっきりしているはずの話でも全部あやふやになってしまう、ってことだけですね。



そして、このふたつの記事から見えるのは、結局は世界的プロモーションから関心を持たれ、オファーを受けた矢吹正道に対し、マネージャーとして選手の利益を求めるべき人間が、同時にプロモーターとしての立場を兼ねているが故に、選手の利益を損ねてでも、自分たちでコントロールできる狭い世界に選手を押し留めようとしている、という「ベクトルの一致」です。
業界とコミッションは、最近あれこれ軋轢続きではありますが、それでも業界の意向を「アシスト」する、JBCの歴史的存在意義は、基本的には何も変わっていない。
傍目にはそう見えます。見えてしまいます。


王座奪取直後にボクサーが引退示唆をしたり、仮にもランク1位のコンテンダーを抱える所属ジムが、興行権入札に不参加だったり、その他あれこれの「不遇」話がごろごろごろごろ転がっていても、それでもなお、二重の既得権益を握る数多の人々は、選手の利益二の次で動くのみ、です。

その風景はまさしく、荒涼たるものにしか映りません。いつまでこんなことが続くと思っているんでしょうかね、本当に。




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なかなか決まらぬ話は他にも 京口紘人、ベルムデス戦三度目の交渉指令

2021-10-25 14:01:19 | 関東ボクシング




井上尚弥の4団体統一路線がなかなか軌道に乗りませんが、それと同じく、というか、一時ライトフライ級王者4人のうち3人が何らかの形で契約下にあったDAZN、マッチルームの枠内においても、京口紘人の統一戦はなかなかまとまらないようです。

こちらは、先日、WBAから正規王者エステバン・ベルムデスとの対戦交渉が命じられた、という記事
この対戦指令は三度目で、スーパー王者京口は記事にもあるとおり、WBO王者(当時)エルウィン・ソトとの対戦を交渉していたがまとまらず(一度目)、8月に二度目、これも合意せず、という経緯である、とのことです。

さらっと書いてありますが、ソトとの交渉がまとまらなかった理由はいったい何なのだろう、と思います。
DAZN初戦のベガ戦、もちろん勝ちましたし、別に京口がまずい試合をしたとも思いませんでしたが、反面、見目鮮やかに、というものでもなかったので、傍目には、今後の展開はどうなんだろう、と微妙な感想を持ちました。
なので、次に即、ソトとの対戦話が持ち上がっていたというなら、それは是非に...という話ではなかろうか、それなのに、と思うところです。

この辺の事情など、まったくわかりませんが、統一戦というのは、一度逃すと次々に、お互いにやらないかん試合が立て込んできて...となるのが常です。ただでさえプロモーター間の意向、思惑が絡むところですし。
ただ、今回はソトやフェリックス・アルバラードといった対立王者が、共にDAZNの試合に出ているんだから、その問題ではないはずなんですが...また、変な綱引き、というにも及ばない、桁の小さい話でごちゃついているのだろうか、と、良からぬ想像も働いてしまいますね。

とりあえず次は、この最上位の相手ベルムデス撃退が、京口の仕事になることでしょう。
日時や場所がどうなるものか、という点は、交渉を誰がやるのか、というところからして気になりますが...。
それに、世間はすっかり忘れてしまっている?タノンサック・シムシーの挑戦「権」は、どうなっとるんや、という話もありますし。



そして、同じワタナベジム、京口にとり、アマ時代からのライバルであり盟友、谷口将隆のWBO王座挑戦についても、こんな話があります。
入札無しとは、思わず言葉を失いますが...なんかもう、いろいろ行き詰まっているところに、コロナ渦という追い打ちがあり、いよいよ格好の付けようもなくなっている、って感じ、ですね。

ただ、谷口将隆のコンテンダーとしての価値を云々するのとは別に、例えば国内、同級の他の有力選手とて、おおよそ似たようなものではないか、と個人的には思います。
もっと上位同士、それこそ同門(古いですねー...)対決であろうとも実現させ(兄弟対決は要らんですが)、それこそ細川バレンさんの言うとおり「日本代表」を決めた上での世界挑戦、と大々的にやらないと、昔なら大した額でもない、と思われた入札に手さえ出せない現状、どうにもならないんではないか、と。

この件に関しては、本当に、業界全体で危機感を持って事に当たらないと、と思います。
軽量級の若いボクサーが、プロの世界に人生を懸けて身を投じてきているのに、それに応え得ない、非力な「業界」であってはならない。そう強く思う次第です。



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最強?助っ人は「V12の男」 長谷川穂積、天才ゴルフ少女に挑む

2021-10-24 08:57:10 | 長谷川穂積




というわけで、長谷川穂積挑戦シリーズ「せやねん」です。
多くは語りますまい。動画ご紹介。







今回は助っ人登場。しかし、特に何かが改善されるわけではありません。
最後のコメントは「勝てないことではなく、それ以前にいろいろ問題がある」と突っ込みたくなるところです(涙)。




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選手の評価、名声に傷がつきかねない 井上尚弥、次戦はディパエンと

2021-10-23 13:55:47 | 井上尚弥



まだ正式発表ではないですが、IBFが公式サイトで「発表」した、という記事が一斉に出ました。
12月14日(一部、15日と表記したものもあるらしいですが)、こちらの記事によると両国国技館。
相手は以前、名前を挙げた中から、IBFパンパシフィック王者で6位、WBAはノーランクのタイ人、アラン・ディパエンです。


まあ、世界的スターボクサー、P4Pトップ10の選手が、こういうマッチメイクを発表すれば、基本的に不評を買うだろうなあ、という話です。
色々要因はあるんでしょうが...基本的には、年内、国内開催で進めていた話が、コロナでなかなか決められず、そうこうするうちにドネア、カシメロとの大箱興行も無理、となった時点で、ならばそれ以外の上位と、米国で、という方向に舵を切れなかったが故かなあ、と思うところです。

もっとも、ルーシー・ウォーレンやアントニオ・ラッセルとは、会社の違いもあって断られたようですが。
とはいえ、いくらなんでも今回の相手よりはマシなのがいただろう、と。

それが国内興行となると、挑戦者は14日だか10日だかの?隔離期間を経た上で闘わねばならない上に、年末というスケジュール。
この難しい条件で、国際的に評価されるレベルのコンテンダーが来日してくれるわけもない。
やはり、どこかで方向転換してほしかったなあ、と思うところですね。


あとは、やはり井上尚弥を世界のトップボクサーとして見るなら、日本では大手ジム、と言われる所属ジムとて、結局は...という言い方も出来るでしょうね。
さらにいうなら、これは今頃言うのは気が引けますが、海外のプロモーターと契約する際、金銭面などの条件に加え、日本側のビジネスとの融通が効きやすい?トップランクと契約したことは、正しい選択だったのか、とも。
4団体統一を目指す井上にとり、会社の違いであっちとぶつかり、こっちで躓き、という事例も多い中、上記の条件以外の、対戦相手の選択を考えた場合、他の選択肢はなかったものかなあ、と。


まあ、実力的にはWBSS優勝で、階級最強の評価は既に得ているし、ベルト持ったまま大会離脱したような者もいて、井上からしたら理不尽な話ばかりです。
ただ、今回の相手選びも含め、思うに任せないことがあったとて、もうちょっと軌道修正して、マシな方へ話を運べないものか。
杉浦大介氏のツイートで「アジアの選手」という話を見たとき、また手近なところで、タイの有力者(今年、お亡くなりになった方がいるとか。その「後継」なんでしょうか?)の人脈から引っ張ってくるのか、と思って、げんなりしたものですが。

こんな調子で、ジムの会長は先回りするかのように、来年春に国内でビッグマッチ、という話題をマスコミに押しつけて?いますが、いかにも、という「やり口」に見えてしまいます。
プロモーターとしての興行事情はもちろんありましょうが、それよりも選手の声名、評価というものを、マネージャーとして考慮しないといかんのではないですかね。
まあ、それこそ今さら言うのも空しい話ですが。



井上尚弥の試合となれば、海外は無理でも国内なら何とか、と思って、これまではあまり良いカードでなくても会場に足を運んで来ましたが、この年末にかけては、他にも考えていることがあり、この試合はTVで済ますかな、という気持ちです。
アンダーに何か「ドカン」というのを持ってこられたら、またふらふらしてしまいそうな自分が怖いですけど(笑)今のところは...と。
他ならぬ井上尚弥の試合について、こんなことを思ってしまうのは、ただただ残念なんですが。



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実力差通りの内容も、色々複雑でした 平岡アンディ、強打佐々木をTKO

2021-10-21 10:56:31 | 関東ボクシング




試合自体について、あまり長々と書こうとは思わないですが、一昨日のメイン、それにまつわる雑感です。



佐々木尽の計量失敗、聞けば今回二度目とのことです。
昨今増えている水抜き減量の失敗、という話のようで、いつもの手順で減量を進めたところ、最後の段階で何故か今回だけ、突然落ちなかった、というコメントが陣営から出ていました。
そういうこともあるのだなあ、と思いつつ、その最後に落とす幅が3キロほど、と聞くと、最終段階、計量前日の時点でそれだけオーバーしていることの是非については、色々思ってしまいました。


昨今、国内はもとより、世界戦や国際的な試合において、多くの日本人ボクサーが、2~30年前と比べてかなり良い内容と結果を出しています。
その一因として、技術的な進歩はもちろん、体幹やウェイト、その他体力強化トレーニングの進化と共に、可能な限り体力の低下を避けて、体に負担をかける期間を減らす減量方法の成功もあるのではないか。
だとしたら、その減量方法自体を、一概に否定することも出来ない。何しろその方法を成功させたボクサーが、強豪や強敵相手にパワーで負けず、終盤になってもペースを落とさず健闘すれば、私は日々、それを見て、拍手し、称賛しているわけですから。


ただ、それとは別に、試合を観戦するために、身銭切って暇割いて、それこそ遠方から観戦しに行く、という身には、お目当ての試合に出るボクサーが、計量前日に3キロオーバー、それが落ちない可能性もある、というのは、ちょっと怖い話です。
もし思うように落とせなくても何とかして...という話が出来る範囲に、その数字は収まっていない。
実際、今回の佐々木尽も、結果として4ポンドオーバーという「話にならない」数字を、公式計量で記録することとなりました。

計量への経緯としては、リミット目指して落とそうと努めたが落ちず、体力の限界...それこそ歩くことも出来ないような状態になったがため、水を採って計量会場へ向かい、秤に乗った結果が4ポンドオーバーの数字だったのでは、という見方を聞きました。あくまで推測ですが、佐々木は体力温存を優先して、減量の努力を放棄したわけではない、という見方です。
もっとも、それはそれで、そんな状態の選手を翌日、公式試合のリングに上げていいのか、という問題もありますが。

この辺については、知る限り、実際のところが語られているわけではないですが...いずれにせよ、JBCが数年前に新設したルールどおり、試合当日午後5時に、リミットの8%以内の体重であれは試合は挙行、ということで、佐々木は68.1キロでリングに上がりました。
対する平岡アンディの試合当日体重がどうだったかはわかりませんでした。



試合内容としては、概ね、元々こういう感じだろう、という実力差が出た、と言えるものだった、と思います。

佐々木尽は終始、強気の表情を崩さず、強振して出る。好打されても、自らに気合いを入れるように雄叫びを上げ、打ち返す。
そんなことを意に介さず、ジャブを突いて足で捌き、冷静に自分を見ている平岡アンディに対し、何度か足を止めて手招きするパフォーマンスも。

普通なら、技巧で上回る強敵に対し、怯まず果敢に闘っている、という絵で、その闘いぶりは健闘の部類でもありました。
7回に二度のダウンを喫してもなお、気合いを入れて立ち上がり、その都度強打を振りかざす佐々木の姿は、感動的なものだと言えもしただろう、と。
もしこれが、普通の状況で行われていれば、場内、声援禁止の状態であったとて「沸騰」に近い盛り上がりが、盛大な拍手によって表現されていたはずです。

しかし残念ながら「前提」が違う試合で、場内も試合前から微妙な空気。試合中も、中立的な観客はもとより、双方の応援客も、そこまで盛り上がりきってはいない様子でした。
順番で言えばセミだった栗原慶太、中嶋一輝戦と比べればはっきりしていたと思います。場内の空気がまったく違った。それは会場にいて実感しました。



今回の件は本当に残念で、腹立たしくも思います。
前回の試合から「路線」を敷いて、ファンの多大な注目を集め、ひかりTVのライブ配信第二弾のメインカードとして売り出された好カードでもあった試合が、きつく言えば「台無し」になった。
試合後の平岡のコメントや、試合自体が行われたことでもって、若干救われてもいるのでしょうが、それとは別に、処分は厳正なものであってほしいです。

何しろ、起こったこととしては非常に重大です。個人的には、中止になってもそれはそれで良い、と思っていたくらいです。
別にセミも好カードだったから、というのではななく、そもそもイコールコンディションではない者、前提が違う試合など、強いて見たくもないし、どういう気持ちで見ていいものかわからん、どちらが勝っても負けても、何を思えばいいものか、という気持ちでした。


その上で、もちろん自らの失態故ではありますが、四面楚歌の状況にありながら、弱気を見せず、引け目を隠して闘い終えた佐々木尽は、微妙な表現ですが、よく頑張っていた、と思います。
試合後、相手コーナーに挨拶に行ったとき、何か言葉をかけられて、顔を覆っていましたが、おそらく涙を堪えられなかったのでしょう。
彼に関しては、上記の通り厳しい見解を持つ一方、部分的に感心したところもありました。
試合中の様子や振る舞いで強気を貫いたところも、私としては、殊勝な態度を見せたところで仕方なし、これでいい、と納得しました。



対する平岡アンディについては、体重差のある相手に、ある意味危険な試合でもあったはずが、見ている限りではほとんど危なげがなかった、そのことに感心させられました。

佐々木が強引に出て振り回す強打は、間違って一発でもまともに入れば、それが即、危機につながるものでしたが、基本、足で捌いて距離を取り、ジャブを突いておいて、徐々に4連打をまとめ、相打ちでも正確さでまさっていく。







7回、ロープを背負ったと見えたが、左カウンターでダウンを奪い、追撃でもう一度。10回はアッパーを織り込んだ連打。
11回に仕留める流れでしたが、概ね安定していて、佐々木の挑発にもほぼ乗らず、全部自分の判断で試合を進めていく冷静さが光りました。







全体的に、試合の流れ自体は、佐々木の計量失格がなくともこういうものになるだろう、と思っていたものとほぼ違いませんでした。
それは佐々木がかろうじて、自分の心身を奮い立たせて闘ったこともあったでしょうが、やはり相手の強打をものともしない、平岡の冷静さと技術レベルの高さ故、だったと思います。

ただ、今後について、もう一段上の話をするなら、もうひとつ攻撃の精度、威力を上げるために、多彩さや変化が必要かな、とは思いました。
もっとも、色々歪な試合で、そういう普通の話を求めるべきなのかどうかは、ちょっと迷うところではありますが。
そういう意味でも、やはり色々と、残念な試合でした。




※写真提供は引き続き「ミラーレス機とタブレットと」管理人さんです。




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「日本一のバンタム」必然の王座復帰 栗原慶太、新鋭中嶋をKO

2021-10-20 12:12:31 | 関東ボクシング



ということで昨日は後楽園ホールにて観戦してまいりました。


メインカードとされた試合についてはとりあえずおいて、事実上メインに昇格した試合から。
ここ数年、あれやこれやと「呪われた」日本バンタム級タイトル戦線を尻目に、事実上「日本バンタム級チャンピオン」の仕事をしてきた、と言えるボクサー、栗原慶太が、井上拓真に敗れて失ったOPBFバンタム級タイトルを奪回しました。


初回からサウスポー中嶋一輝の左ストレートは鋭く飛び、右フックも鋭く返りましたが、栗原は冷静に相手を見ていました。
何とかガードし、危ういのもありましたがダックもする。ヒットもありましたが、好打は許さず、というところ。

2回、中嶋は右での「索敵」もそこそこに、左を飛ばしてくる。しかし栗原、この辺から僅かに、体の軸を左へずらしてから打ち始める。
中嶋の左がカウンター気味に出るが、栗原の左フックが中嶋の肩越しに入る。中嶋の足元が乱れ、栗原ひとしきり連打。
しかしまた離れ、両者鋭い強打を狙い合う。ボディ攻撃応酬。







ここまでの攻防を見る限り、両者の、ボクサーとしての作り、その出来不出来が、はっきり見えたような気がしていました。
強打の手応えを求め、それなくば相手を攻略する道を見つけられず、探りも図りもなく自分のベストパンチを狙うだけの中嶋に対し、栗原は正面やや左側からの「攻撃ルート」を見つけ、そこから打ち、同時に、中嶋の鋭い左ストレートを好打されずに済む、微妙な位置取りを探りつつありました。

強打対決を謳われたとおり、共に一打で試合を決める力を持つ者同士ですが、パンチングパワーや一瞬のスピード以外の部分、それは試合の組み立てであり、冷静に相手を見る目であり、総じて言えばスキル、最近ではボクシングIQ、なんて言い方もあるようですが、その辺りでは、栗原が一段上だった、と思います。


3回、早々でしたかね、栗原が左を連続して出し、右が強打出来る位置へ中嶋を追い立てる「セットアップ」をした後、右一発。
インサイドを狙うのかと思っていたら、中嶋の左ガードを巻く右ショートフックに見えました。
これがまともに入って中嶋、ダウン。
ダメージは甚大で、続行しましたが、二度目のダウンで即、ストップ。
中嶋はガード出来ずに右をもらっていました。妥当な裁定でした。







試合後、栗原は歓喜のコメントを色々語っていました。
井上拓真戦で、初回に負傷した挙げ句に敗れたときの姿を思い出せば、ひとつひとつの言葉が、すんなりとこちらの胸に落ちてきました。
もちろん来月、ひとまず?Sバンタムに転じた井上拓真と再戦して雪辱せねば、完全にとはいかないのでしょうが、それでも胸のつかえが取れたような気持ちだったことでしょう。
その負傷が古傷になってはいないか、ということも心配でしたが、試合間隔が空いたのも良かったのでしょうか。
まあ、序盤で試合を終わらせたのですから、問題にはなりませんでしたが。


短い試合でしたが、長年のキャリアで培ってきた冷静で的確な試合運び、対サウスポー攻略としても見事、そして強打健在。
栗原慶太、見事な勝利でした。


対する中嶋一輝は、その力だけなら栗原と伍するものがあると思いますが、上記したとおり、それ以外のところで後れを取った、ということでしょう。
形式上、今回の試合では王者の立場でしたが、実際は表題にも書いたとおり、強打の新鋭、というのが現状で、今回は堤聖也戦に続く試練、それもより厳しいもの、でした。
この経験を糧に、と言いたいところですが、堤戦でも色々省みるべきところはあったはずで、あの試合から時を経ても、自分の良さ「だけ」を振りかざして闘おう、という風が変わっていないのは、ちょっと残念に思いました。
まあ、そこのところを変えるのは簡単ではない、極めて難事なのだろう、とわかってもいるのですが...。




※写真提供は「ミラーレス機とタブレットと」管理人さんです。いつもありがとうございます。




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やはりマッチルームからのオファー 矢吹正道、次戦は米国の可能性も

2021-10-19 00:29:11 | 中部ボクシング





昨日の記事にも関連する、と言うべきか微妙ですが、矢吹正道の元に来ている「海外プロモーター」のオファーは、やはりマッチルームからのものだという記事です。
初防衛戦は米国開催の方向でマッチルームが動いている、との記述も。まあこれは「検討」段階なのでしょうが。

マッチルーム=DAZN興行では、ライトフライ級の世界戦が近年、多く行われていて、今回WBO王者ソトが陥落しましたが、WBA王者京口紘人と契約し、IBF王者フェリックス・アルバラードも最近はずっと出場しています。
さらにいうなら、以前矢吹を下したキューバのWBA1位(前暫定王者)ダニエル・マテヨンも、最近こちらで試合していますね。

こちらの記事によれば、国内からオファーもあり、迷っているとのことでもありますが、条件面で以前の話のように「破格」であるなら、これは是非、こちらに進んでほしいと思うところ、です。
今回のサンドール・マルティン以上に、ライトフライ級なら世界的大試合に出る話も早いわけですし、王者対決や元王者クラスとの試合も、比較的容易でしょう。


その上で、拳四朗との再戦もDAZNが関係してくれば...という気持ちにもなろうというものです。
少なくとも、TV放送がつかないなら...言って悪いですが、カンテレドーガとDAZNじゃ、色んな面で比較にもなりません。
また、全世界の目が光る中で、レフェリーやジャッジもぼんやりしてられん、という条件下、でもあるわけですし。
何一つ悪いことはない、というのは言い過ぎ、ファンの勝手だとしても、それでも傍目には是非...と思うところ、ですね。



=================



ところで本日は、遠足の日です。
従って、ひかりTVのライブ配信は見られません。
後日、編集した「アーカイブ版」が置かれる、とのことですが、果たしてそれが置かれるのはいつの日か。


何しろ前回の試合から「路線」が敷かれ、注目を集めた大一番ですが、コロナではなくてこっちか...という残念な事態が起こってしまいました。
まあ、今さらどうしようもないですし、もうひとつ楽しみな試合がありますから、何とか気を取り直して、行ってまいります。

観戦記というか感想文は、明日は無理かもしれませんが、当然ながら近いうちに、何か書くつもりです。

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