さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

残念なニュースで締め括り 木村吉光計量棄権、坂晃典との再戦中止

2023-12-31 00:02:59 | 関東ボクシング



さて、大晦日はABEMAの無料配信、画質はどうかいな、前回高いお布施を払ったときは良かったけど...と思っていたら、またも残念なニュース。
アンダーカードに入っていた、個人的メインイベントともいうべき、木村吉光と坂晃典の再戦が中止
木村吉光が前日計量前に体調不良を訴え、計量を棄権したとのことです。


記事によると、水抜き減量に失敗、という話なのか、違うのか?ちょっとわかりませんが...。
何しろ最近、多いですね。ファンとしては、暇割いて身銭切って試合を見に行く立場で、こういうのは怖いなあ、と思います。
今回、結果的に断念しましたが、坂晃典のキャリアをいよいよ左右する試合でもあり、大晦日、観戦しに行こうかな、と考えたりもしていたので、余計に。


何しろ坂晃典にとっても無念でしょう。報酬が補償されるものかも定かではないですし、そんなことは置いといても、雪辱と再浮上を賭けた大一番だったわけですから。
木村は計量自体をしていませんが、JBC安河内事務局長は計量失格と見做すようなコメントをしていますので、一年間のサスペンドは確定でしょう。
そうなると坂にとり、肝心の標的が当面、消えることになるわけです。何とも言えない気持ちでいることでしょうね。



まあ、大晦日にライブ配信で試合があるのだから、他の試合を見れば良いわけですが、やっぱりちょっと気が抜けてしまいました。
残る試合の中で一番の注目は、堤駿斗でしょうか。自ら流した試合、仕切り直しで、どんな試合ぶりを見せるか。
何も必ず倒さねば、ということもないと思いますし、相手のレベルを考えれば、ここまで3試合、KOがなくても仕方ない、と思っていますが、本人や周辺は、それでは済まないのかもしれませんね。はてさて。




今年一年、配信バブルとも言われるほど、ライブで数多くの試合を見られるようになりました。
そして、試合を見て思ったことを通じ、このブログを読んでくださった方々と引き続き交流出来ていることを、とても幸福なことだと思っています。
残念なことも、心配なことも起こりますが、それでもボクシングを、ボクサーを大切に思うファンとしての気持ちが、変わることはありません。
拙いブログではありますが、今後ともよろしくお願いします。良いお年を!



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回復を願うのみ

2023-12-30 17:19:38 | 関西ボクシング



穴口一輝、先日の激闘の後、硬膜下血腫のため緊急の開頭手術を受けた、とのことです。

何も知らずにコメント欄で、その後の情報が無いこともあり、心配だと書いたのですが、これほど重大な事態になっていたとは。
ボクサーが文字通りに命がけで闘い、その激しさが時に感動的であり、しかし時にこのような事態が起こることも知りつつそれを見ている、我が身のやましさを、またしても突きつけられました。

だからといって、それぞれに闘わねばならぬ思いを抱えて生き、闘うボクサーの存在を否定することも、誰にも出来ません。
この矛盾は時代が進み、ボクシングがどう変容しても、おそらく変わることはないでしょう。


ともかく、穴口一輝選手の回復を願います。
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今回は常識的な進行 アンダー感想など

2023-12-29 08:46:55 | 関東ボクシング



火曜日の有明アリーナ、Lemino配信は後追いでアンダーを見ました。
16時配信開始でしたが、やはり4回戦二試合は流れず、3試合目の坂間叶夢vsジョン・ポール・ガブニラス戦から。

この試合が16時20分くらいから始まった模様。
アゴを上げて広い視野で相手を見、防御は目で外す型、左右強振。若い頃のフロイラン・サルダールをさらにお調子者にしたようなスタイルのガブニラスに対し、インサイドからワンツーを上下に打っていく坂間は、一発のパワーで劣るが、正確に打ち抜くパンチで対抗。
ガブニラスの左アッパーなど、派手なパンチで顔を跳ね上げられる場面もあったが、ボディ攻撃の効果が出て、優勢に転じた、という5回、レフェリーストップでTKO勝ちでした。

ただ、ストップのタイミングはかなり早い。前の回からボディが入って、ガブニラスが止まり加減ではあった、好打が続いた、という「理屈」は言えば言えるが、しかし単に見た印象としては...この試合がフィリピンであって、逆に坂間がこれやられたら、どう思います?という疑問を禁じ得ない、ですね。



続いて武居由樹登場。程なく始まった、という感じでした。
相手のマリオ・ディアスは世界上位との対戦もあり、実力的にも世界ランカーに次ぐレベルという感じ。
武居の遠い間合いもしっかり見ていたし、飛び込み打ちに対し、こちらもしっかり踏み込んで打っていた。

これは見どころのある試合になりそう、今のところ単発飛び込みだけだが、ここからどう攻めていけるか、その手立てはどういうものか...と思っていた2回、フェイント入れて相手の手を引き出した?武居の左ボディブロー、一発。
前回のロニー・バルドナド戦と同じく、相手が打ってくると同時に入るボディへの、堪えようのないタイミングでの一撃で、ディアス倒れ、立てませんでした。

このパンチに関しては、相手にしたらわかってても引っかかって打たれてしまう、という感じなのかもしれません。
今後の対戦相手が映像見て研究しても、他の攻防の中で、つい流れに乗ってしまって...ということがあるかもしれない。
ましてあの遠い間合いから、ですから。またしても凄い、殺し技によるKOでした。

ただ、せっかく悪くなさそうな相手、良いキャリアになる試合かと思ったら、細かいこと抜きに一発ですから...イチャモンみたいになってしまいますが、こういうのも良し悪しやなぁ、と...。



そして平岡アンディも「ディアス」と対戦。こちらはセバスティアン・ディアス、サウスポー。
マリオと違って、こちらはどうも身体付きも緩め、スピードも緩め。初回から平岡の右フックでダウン。
その後、2回終了間際に右をヒットさせた以外は、平岡の左右をガードしきれず、ヒットを喫していき、5回にストップされました。
これもストップとしては早いのか。とはいえ、敗者に光るものがなく、最初の試合とは違った気持ちで見るのみ、ではありました。




三試合、いずれも8回戦が、5回、2回、5回で終わって、少し時間も余り、ここから少し休憩、間が空くのはまあ仕方ないところ。
平岡の試合が終わったのは17時45分くらいか。インタビューなどが終わり、平岡がリングを降りて、そこからプレビュー番組を挟み(場内でもモニタに流れたのでしょう)、セミの堤、穴口戦の映像が流れ、両者入場となるまでは、約50分くらいあったようです。

私はこの辺からLeminoの配信をライブで見始めました。
18時45分を少し過ぎた頃にセミが始まり、終わったのは19時半頃。
そこから10分ちょっとでセレモニーが始まり、そのままメインの井上、タパレス入場、試合開始。
19時30分放送開始、19時50~55分くらいにゴング、20時54分放送終了、という感じの、昔日の世界戦、TVのゴールデンタイム生中継とほぼ同じ時間でした。
メイン終了は21時よりだいぶ前だったと思います。


今回はセミとメインの間がほとんど空かず、すんなり始まったのが大きかったと思います。
昨年末のポール・バトラー戦も、今年7月のフルトン戦も、ここが長時間空いていて、本当にうんざりしたものですが。
今回の進行は、大きな休憩が一度だけで済んで、会場に行っていた友人も「サクサク進行でした」と喜んでいました。
ただ、帰り道の「人捌け」は相変わらず悪かったそうですが。まあこれは、あの会場の導線、構造そのものに問題があるので、どうしようもありませんね。

とにかく、今後もこの感じで進行してもらいたいなあ、と思います。
正直、7月は拙ブログでもぐちぐち書きましたが、あんなことではなー、と気が重くなってしまうくらいでしたから。



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最終回、ラスト10秒でのスイッチヒット 堤聖也、穴口一輝を4度ダウンし競り勝つ

2023-12-28 00:17:34 | 関東ボクシング


今回の井上尚弥世界戦は、他に世界戦がラインナップされていなかったのですが、下手な世界戦飛ぶなコレ、という試合が、セミで闘われました。
日本バンタム級タイトルマッチ、兼モンスタートーナメント決勝戦、堤聖也vs穴口一輝戦は、目を引かれる技巧の応酬から、終わって見れば誰にも予想外の、壮絶な闘いが繰り広げられました。



初回、スイッチヒッター堤聖也の選択は、サウスポーでのスタート。右リードが最短距離を通る。正確。
しかし新鋭、穴口一輝、右左のワンツー伸びる。やや穴口か。

とはいえ、堤からすれば、別に悪いスタートとも見えない、普通の偵察戦かと思ったが、堤は穴口の速さと、柔軟な様子を見て、好きな間合いでやらせていてはまずいと判断したのものか、2回早々に左のオーバーハンド。圧し、叩きにかかる。
穴口の右へのステップを左フック(打った瞬間は右構え)でヒット。しかし前後のステップが速い穴口にワンツー、左カウンターをヒットされ、逆に失点。穴口の回。

展開を変えに行って裏目に出た堤、悪いことが続き、3回穴口のショート連打で左瞼を切って、出血。
傷の深浅は不明ながら、幅はけっこうなもの。
堤なおも出て、打ち合いで左クロス当てる。穴口倒れるがスリップ。「Lemino」の白いロゴの「L」の字の上で右足が滑った模様。
穴口のジャブに、堤左クロス被せるが当たらず。ドクターチェックが入ったあと、穴口の左ショートカウンター決まる。穴口の回。

4回、穴口好調続く。ジャブ、左カウンター、堤が左振っても、右引っかけてサイドへ。右フック外して左カウンター。ワンサイドの様相。
ところが2分半過ぎ、堤が少しだけ遅らせた?左クロスをヒット、左右で追撃、さらにフォローすると、穴口ダウン。
最初の左を逃せず食った後の、堤の追撃に足が動かず、打たれてしまった。
優勢だったラウンドを落とし、良い流れを失う、痛恨のダウン。10-8で堤。

5回、当然堤が出る。しかしショートの打ち合いで、徐々に穴口が盛り返し、終盤左の好打が数回。迷うが、穴口。
6回、堤少し疲れが見え、穴口の距離が出来る。ジャブ突いて、左アッパー、右フック引っかけ、飛び込みの右。
合間に、堤に二度目のドクターチェック。「余裕で見えてますよ」と声が聞こえる。セコンドもかなう限りの止血をしていると見えるが、しかし右を打たれていて、苦しいところ。


7回、傷があるけど出ないとならない、堤も勝負どころ。前に出て攻め、クリンチの間になるまで詰める。
穴口踏み込まれてカウンターも取るが際どいものに。ここでクリンチの離れ際に、堤が右ヒット、穴口が二度目のダウン。
穴口立って再開、堤ショートで連打し攻める。しかし詰めるには至らない。両者疲れ、ダメージありか。ジャブがまともに相打ちになる。
終盤、穴口の左ストレート、左右のヒットあり。ダウンがあるので10-8、堤だが、凄いラウンド。

8回、堤はスイッチするフェイントを入れながら前に出る。堤がボディ攻めると、穴口も左カウンター、アッパー。堤の攻勢、穴口のヒット。やや穴口?
9回、最初は同じ構図。堤が手数、穴口が左カウンター。しかし堤が踏み込んで、右ジャブとフックの中間のようなパンチがタイミング良く決まり、穴口ロープへよろめく。
堤すかさず身体を寄せて、左右のボディブローを連打。追い立てるように攻め、また左右のボディが入ったか。穴口が両手をつく。三度目のダウン。
穴口立つ。堤攻めるが、穴口粘る。左右共に腕の遠心力だけで打つようなパンチだが、それが堤にヒットする。
互いにリング中央に立って、最後の力を振り絞って、という絵。またも凄い、としか言えないラウンド。10-8堤。

実況によると、リングサイドにジェシー・ロドリゲスが来ていて、拍手を送ったとのこと、でした。

最終回、堤出るが、信じられないことに穴口が盛り返す。ボディ打ち合いから左ストレート、右フックなど、コンタクトの度にヒットを取り、打ち勝つ。
出血で顔を朱に染めた堤を、穴口さらに打ち込む。堤は身体ごと打っていく感じだが、足がついてこず、間が空くところに穴口の左が伸びてくる。

この回穴口が取って、判定はどうなるか、と思っていたところ、ラスト10秒の拍子木が鳴った、と思ったら堤が足を踏み換えて、右構えにスイッチ。
ここに来て...と、右ストレートと左フックが入って、穴口が前に崩れるようにダウン。4度目。10-8、堤。
優勢に進めたラウンドを、ダウン食って落とす、というのは、4回と同じ構図。
判定は3-0、堤でした。




堤聖也は、南出仁、増田陸に続いて、またも若き強敵、穴口一輝を退けて、日本バンタム級チャンピオンの座を護るのみならず、その名を一段二段高めたことでしょう。
中嶋一輝や比嘉大吾とのドローの頃には、この選手は悲運の技巧派に終わるんではないか、と心配もしましたが、時代はあっという間に変わり、日本王座獲得後の、トーナメント企画に挑む決断をし、リング上では苦しみもあったものの、それを乗り越えて勝利を重ねたことで、その試合ぶりは以前とは比べものにならないほど、多くの目に触れたはずです。
しかもLeminoのライブ配信ですから。比嘉大吾戦など、確かTBSが一ヶ月遅れの関東ローカル録画放送という有様でしたから、えらい違いです。

そして何より、ホールで観戦した中嶋一輝戦、まさかのドロー判定、しかも敗者扱い(二重の意味で理解不能でした)でゴッドレフトトーナメントの優勝を逃し(奪われ)、優勝賞金を取り損ねたことを思えば、今回、大橋ジム主催のトーナメントで賞金1000万円のプレートを手にする姿は、痛快な気持ちにもなりました。



今後の彼が、井上拓真やジェイソン・モロニー、エマヌエル・ロドリゲス、或いはサンディアゴvs中谷戦の勝者らと対し、誰かを攻略して世界のタイトルホルダーになれるものかどうかは、私にはわかりません。
その実力は世界上位ランカーとして通じるものだとは言えますが、試合の度に出血することなど、不安要素もなくはないですし。
しかし、彼の闘ってきた試合の記憶と、日本チャンピオンとして堂々たる戦績をもって、彼がこの後、世界のタイトルに挑む日が来るなら、ボクシングファンならば誰もが当然のこと、堤聖也の勝利を心から願うでしょう。


敗れた穴口一輝についても、まだ浅いキャリアながら、真正ジム山下会長の期待を受けるだけのことはある、と改めて納得の素質を証明した、と思います。
死力を尽くした、という表現がぴったりの大健闘でした。
心身共に相当なダメージではあるのでしょうが、やはり、彼が再び起つならば、これまたボクシングファンは、その姿に惜しみなく声援を送ることでしょう。



井上尚弥の試合となれば当然、場内は大盛況で、しかし高額のリングサイド席に陣取った観客の内、この試合の注目度を理解していた層がどの程度いたものか、ちょっとわかりませんが、試合が終盤に進むにつれ、場内は騒然とし、感嘆の声が上がっているように見えました。
本当に、下手な世界戦などよりも、よほど端的にボクシングの持つ熱量、凄みを表現する試合だったと思います。
現地に行って見られなかったのを悔やむのは、この日に関して言えばメインよりもこの試合だったかもしれません。

堤聖也、穴口一輝に改めて拍手したいと思います。素晴らしい、凄い試合でした。



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威圧する力、崩れぬ心身で「難敵」を仕留める 井上尚弥、タパレスを10回KO

2023-12-27 05:08:29 | 井上尚弥



ということで昨日は何とか、Leminoのライブ配信、メインに間に合いました。
じっくり見ることが出来たので、感嘆に感想です。



井上尚弥は初回から右をボディに送り、ワンツー、右を上に、強めに叩く。
マーロン・タパレスは低い構えから右リードを突き上げ、左右ともにオーバーハンド、かと思えばアッパー気味のパンチを飛ばす技がある。
左ストレート、浅いながらヒットしたが、同じパンチを外されて、井上が右アッパーによるお迎え。
徐々に威嚇され、威圧された感あり。 
 
2回、タパレス出るが、井上の左足につまずく格好でスリップ。同時に井上のジャブも入っていた。
タパレス攻めようとするが、井上はコンタクトの度に右ボディを打つ。タパレスの弱点、ボディを抜かりなく攻めている。
これがあるから、タパレスの攻めがもうひとつ物足りないものになっている、と見える。

3回、タパレスは引き気味の構えになっていく。井上、右から上下に攻め、タパレス一発だけ右返すが、威力が無い。
タパレス左ボディ出すが、井上がコーナーに下がって誘っても手が出ない。逆に引いた守りに冴えが出て、井上の軽いコンビを外す。
井上、攻めるフェイント入れてタパレスを誘い、小さい左のチェックフック。タパレス察知して躱すが、脅かされている。


4回、タパレス圧されている意識あり、攻め返そうという感じ。懸命にやっている。井上のワンツー出るが、右フック返し。
右フックのダブルがあり、さらに出て互いの右が交錯する。タパレスの方がコンパクトな軌道で振れていて、当たっていたら、という場面。

しかし好事魔多し、か。井上、タパレスが少し良いと見えた直後、ロープに下がって引き寄せにかかった、ように見えた。
直後、タパレス左ボディ。しかし井上が打ちたかった左右ボディを叩く。右アッパーから、ワンツー、左ボディに繋げる。
タパレスさらに出るが、ボディブローの応酬で井上が打ち勝つ。この展開こそ、タパレスが避けたいものだったはず。
この攻防は、私には井上が意図して作ったものに見えました。

タパレス劣勢、井上は相手を見て、徐々に強打を狙いだす。
タパレスが右フックを打つ直前、小さい左フックでタパレスの右顔面をヒット。止まったタパレスに左右で追撃、ロープ際でタパレス、両手をついてダウン。
タパレス立ち、ここはゴングに救われる。

これで次、終わるかなと期待したところですが、スローで見るとダウン直前の追撃が、もうひとつ、強くヒットしていない。
ここで叩き込めていれば、とあとから思ったところ。


5回、井上は仕留めにかかり、強打を打ち込むが、タパレスは引くかと思いきや果敢に打ち返す。
井上、ここは少し面食らった?右アッパーとフックを組み合わせたコンビを受ける場面も。
タパレス、元々センスと強打を兼ね備えたサウスポーで売っていた。勝負を賭けて打ち合う腹か。

しかしこの展開では、やはり井上にかなわない。右フックヒットも、ワンツー端緒にアッパーまで打たれ、渾身の右フックも外されてカウンターの的になる。
そうかと思えばジャブからストレートでガードを射貫かれ、外からは左右ボディ。

この回3分、井上のKOを期待して見る目には、あの井上が倒しきれない、タパレスの奮戦光る、となったでしょう。
しかしタパレス側から見れば、井上の乱戦における強さと、その渦中でも様々な「狙い」をもって攻めてくる揺るぎなさに、改めて脅威を感じた、となったことでしょう。


6回、井上はまた少し下がって攻めさせ、それでも足りないか、コーナーを背負う。そこからワンツー決めて、左右コンビ。
タパレス右外され、井上が掬うような右ヒット。ラスト、また右アッパー二発。タパレス、ミスしてアウトサイドからパンチを通される形。よろしくない。
7回、タパレス攻める、というか井上が攻めさせてあげている、という「絵」。井上、ロープ際から左右ヒット。タパレス、気付けば完全に後ろ足荷重のバランスに。
8回も井上、ワンツー決める。身体寄せてショートの応酬では、互いに敏捷に外し合う場面が。この後タパレス、軽いが左などヒット。
しかし意図を持って打っているのは、やはり井上。タパレスがやっているのは、強いられた対応、に過ぎない。



Leminoの実況解説は、井上の強烈なKOシーンという「絵」が欲しいのか、盛んに井上が攻めあぐね、タパレスが健闘しているという話を重ねていました。
だが、おそらく生涯ベストの出来で来たタパレスを、4回の攻防を経て、勝ち筋のない展開に押し込めてしまっている井上尚弥の闘いぶりは、それで充分驚異的なレベルにあることを、もう少し語ってくれたらな、というのが、率直な感想でした。

序盤はいくつか攻め口も見せていたタパレスですが、井上がボディブローをまず見せ、その後様々な展開でも常に上を行き、ダウンも奪って、ポイントもほぼ全て抑えている。
その上で無理に押し込まず、相手に攻めさせておいて、その都度攻防ともに一段上の技と力を示し、タパレスの心身を追い込んでいる。
確かにこのまま判定となれば、一件地味な試合に見えるが、今日はけっして絶好調というわけでもない?井上尚弥の技量は、やはりスーパーチャンプのレベルにあるなと、そんな風に思いつつ見ていました。


9回、タパレスがヒットを取るも、井上が一瞬、右ストレートをスナップ効かせて打つと、タパレスのガードを通せる場面もあり。
少し疲れの見える井上だが、ちょっと不格好ながらしっかり狙った右カウンターもあり。
10回、どう見ても判定では勝てないタパレス、攻めてくる。しかし肝心の「手立て」がなく、確信のないまま出ている感じ。
井上も中盤以降、一打の切れ味はちょっと...という印象で、これは判定かな、という感じだったのですが、ワンツーを二度打ち、二度目がタパレスの顔面にクリーンヒット。
見た印象以上に効いたのか、ここまで心身ともに蓄積したダメージ、疲弊の影響か、タパレス膝から崩れてダウン。そのまま立てず、KOとなりました。



結果がKOだったから、一般的な評としては良かった、と収まるだろうが、井上への大きな期待の裏返しとして、厳しい見方もあり得るだろうなあ、というのが、見終えての印象でした。
しかし上記したとおり、マーロン・タパレス、元々は天才的センスを持つ強打者として知られ、なおかつ様々な駆け引きや狙いを持ち、その上で実にやりにくいスタイルでもある、小柄で巧い強打のサウスポーという、どの面から見ても「難敵」である相手に、その行く手を逐一阻み、抑え込んだだけでも充分、合格点の試合です。
それを最後は、劇的とは行かずとも倒して始末を付けるのですから、これはやはりスーパーチャンプの仕事だな、と。基本的にはそう思います。
例えばロベルト・デュランやアレクシス・アルゲリョの数多の勝利の中にも、これに類する試合はいくつかあったなあ、などと、ぼんやり思ったりもしました。



もちろん、試合から時間が経って、本人や周辺から、この試合にまつわる見方、目に見えない事実が語られたりすることがあるかもしれません。

見たところ、タパレスの右足の位置や角度の変化(引く足と攻める足の切り換えが、トリックになっていて、逆をやる場面などが散見されました)が気になったものか、思うように内外へ踏み込めなかったような感じもありましたし、サウスポー相手に身体の面を合わせに行ったがかなわず、逆に際どく狙われていたりもしました。
試合全般を通じて、今までのサウスポー戦では見られなかった難しさのようなものがちょっと見えた。それはバンタムまでのように、強打一発で相手を痛めつけられなかったから、に尽きるでしょう。
マーロン・タパレスの巧さ、懸命さはもちろんありましたが、同時にいよいよ僅かずつだが「階級の壁」が見えたというべきか。或いは井上尚弥自身のコンディション、その他にも要因はあるのか。


来年以降もスーパーバンタムに留まる、という方針が語られていますが、相手選びどうこうというのは置いといて、井上尚弥にも当然のこと、新たな闘いに向けての課題があるわけです。
本人が随分前から語っていたという「30代になって階級を上げて、今までの感覚で倒せなくなったときに、如何に闘うべきか」というテーマが、いよいよ現実的になってくるのかもしれません。
今回の試合がその範囲内にあるものだったかというと、若干疑問ではあるのですが...いずれにせよ、前人未踏の野を征く井上尚弥なればこそ、その先に容易な闘いなどあり得ず、圧勝や快勝に終わった試合とて、その内実はけっして「楽勝」ではない、と改めて思った、そんな試合でありました。





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日本初、リング誌最優秀選手の夢も 井上尚弥、タパレス戦今日ゴング

2023-12-26 05:20:28 | 井上尚弥




というわけで決戦の朝です。
残念ながら今回は会場観戦ならずですが、Leminoでしっかり見たいと思います。
感想などは明日以降に。


さて、杉浦大介氏がNumberに寄稿した記事のご紹介。






今年のリングマガジン選出の年間最優秀選手、ファイター・オブ・ザ・イヤーの候補は、クロフォード、デービス、ヘイニー、ティム・チューと共に、井上尚弥も上げられるが、ダグラス・フィッシャー編集長は、井上が今日タパレスに勝てば、自身は井上に一票を入れる、と語っています。

もちろん他の投票権を持つ委員の意見は違うかもしれませんし、そもそも「事前」にこういうことを言うのは如何なものか、と思いもしますが、反面、やはり期待も膨らみます。
今日の試合が単に結果のみならず、内容的にも見る者に改めて、井上の偉大を示すものになれば、二試合でメジャータイトル4つを制覇するという偉業の価値も、さらに高まることでしょう。
そうなれば、東洋からはマニー・パッキャオ以来二人目、もちろん日本からは史上初の、リングマガジン、ファイター・オブ・ザ・イヤー誕生という夢が実現するかもしれません。


18年のファン・カルロス・パヤノ戦で、ノックアウト・オブ・ザ・イヤーを、19年のノニト・ドネア初戦で、ファイト・オブ・ザ・イヤーを既に受賞している、軽量級史上を見ても希有な存在の井上ですが、これはまた一段上の偉業です。
かつては日本の選手が受賞するなど、夢想するのも遠いものだった、というのが実際のところです。
しかも、基本的には中量級や重量級の選手が獲るのが相場で、昨今の強敵回避、ビジネス優先の風潮、その間隙を縫って?軽量級の受賞者が出るようにはなってきたものの、やはりKO賞、最高試合と来ての受賞となれば、それこそ堂々たるもの、です。


フィッシャー編集長の言うように、今日の試合は予想有利ではありますが、マーロン・タパレスへの評価は低いものではなく、あちらのファンにもかなり注目されている、ということです。
正直、スティーブン・フルトン戦前の、ある部分では井上をまだ低く見ているのだなあ、という印象だった見方が、まだ少し残っているのかな、とも思いますが...それはともかく、今日の試合は二階級4団体完全制覇、という以上の、歴史的偉業が懸かった一戦でもある、ということですね。
改めて楽しみです。いよいよですね!



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「挑戦者」の意気込みが見える、が 井上、タパレス両者計量パス

2023-12-25 15:06:50 | 井上尚弥


先ほど、前日計量が終わり、井上尚弥とマーロン・タパレス、両者共に計量クリア
もうこんな動画が上がってます。







ぱっと見た感じ、若干タパレスの方が、肩や腕、上体に厚みがあるかもしれませんが、元々、下から徐々に上げて来た者同士で、大きな体格差は見て取れません。
両者共、脂肪や水分を削った状態だから当然ですが、かなり鍛えてきたんだな、という体つきですね。
ことにタパレスは「前」があるし、日本の気候の元、最終調整はどうか、と心配でもありましたが、やはり陣営の体制を刷新して以降、厳しく管理されているのでしょう。
まして世界注目のビッグマッチですから、意気込みも相当で、それが練習段階を経て、今日の姿に現れています。


しかし、そういう相手の闘志を挫き、打ち砕くのが最強の王者、井上尚弥の仕事なわけです。
今までもそれを何度もやってきたし、明日も同じことなのでしょうね。

とにかくこれで無事、試合は成立しましたし、あとは明日、楽しみに見るだけですね。




明日はメインはもちろん注目ですが、複数の世界戦がないぶん、セミの日本バンタム級タイトルマッチ、兼、バンタム級トーナメント決勝戦にも、大きな注目が集まるでしょう。
また、日本タイトルマッチとしては異例でしょうが、時間帯が良いわけではないにせよ、ESPN+にて全米に配信されるわけです。
地味な展開に終始するようだとわかりませんが、何かセンセーショナルなものが見られる試合にでもなれば、堤聖也と穴口一輝、両者が一気に、国際的な知名度を手にするかもしれません。
基本、両者とも技巧派の部類ですから、その質の高さを見せられれば、というくらいに見るべきなのかもしれませんが。



こちらはBoxingRaise公式Xの投稿です。
「予習」にもってこい、ですね。もっと早く紹介すべきでした...。




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ギャップを生かしたトリックにどう対するか 井上尚弥、タパレス戦迫る

2023-12-24 08:02:41 | 井上尚弥




あっという間に、井上尚弥、マーロン・タパレス戦が火曜日に迫って来ました。
来日の報から、双方の公開練習、そして世界中から予想あれこれと、記事だけでも膨大な数が出ていますが、とりあえず、自分なりに試合前、予想というか思うところを書いておこう、と思います。



マーロン・タパレスは一度、直に試合を見ています。
京都での大森将平戦、第一戦の方でした。
時のWBOバンタム級王者プンルアン・ソーシンユーへの挑戦権を賭けた試合で、長身サウスポー大森を2回にTKO。
初回早々から左クロスで打ち込んで倒し、2回は「釣り」のパンチを使っての右フックを決めるなど、手練れぶりを見せての圧勝でした。


あの試合、始まって早々に、タパレスの射程に大森が捉えられている、と感じて、「いかん、危ない」と思わず口から出たものです。
しかしタパレスと向かい合っている大森に、そのような感覚はなさそうで、程なくタパレスの左クロスが飛び、大森は甚大なダメージを受けました。

今から思えば、リーチはあるが小柄なタパレスは、相手が思うよりも遠くから打てる選手であり、そこに加えて、低い重心や広めのスタンスを取ることで、相手の感覚にギャップを生じさせ、それを最大限に生かすのが、勝ちパターンなのでしょう。


では、井上尚弥がこのギャップを生かしたトリックに引っかかって打たれるかというと、基本的にどうも、そういうことにはならなさそうだなあ、と思います。
相手の特徴について、映像で子細に研究はしないらしいですが、タパレスの主要試合は日本でも見られましたし、父の真吾トレーナーはじめ、周辺が当然のこととして、把握していることでしょう。
また、井上の方も、遠目の間合いから強打する位置を取る移動の速さに驚異的なものがあり、なおかつ打ち終わりを外す周到さがある。
間合いを間違えて打たれる、というような「絵」は、まず見られないのでは、と...逆に言えば、もしそうなったら大変、ということでもありますが。


両者のコンディションについては、122ポンド二戦目の井上がどう仕上げてくるか、です。
前回の試合後、体重の「戻し」などに改善の余地あり、と言っていました。
あの快勝のあとでもまだ、そんなことを言うのか、とその冷静さに感嘆したものですが、今回もまた、万全に仕上げてくることでしょう。
予想有利による油断については、今に始まったことでもないですし、今更心配することでもないでしょうね。

タパレスの方については、大森将平との再戦における体重超過以降、転級しても良い状態にはなかったようですが、岩佐亮佑に敗れたのち、陣営を一新してショーン・ギボンズ傘下に入り、以来好調を維持しているようです。
勅使河原弘晶戦で、その復調振りに驚いたものですが、さらに、いくら相手が不調だったとは言え、あのムロジョン・アフマダリエフに競り勝って、全世界注目の井上戦に辿り着いたのですから、彼としては心身共に最高潮の状態にある、と見て良いでしょう。



とはいえ、その実力、技量力量自体が、井上尚弥に及ぶものかどうかというと、やはり疑問です。
先日、再起したアフマダリエフの復調ぶりを見ると、この調子であったらまずタパレスに負けることはなかっただろう、と思いました。
四団体統一戦、というお題目、というか、実際そうではあるんですが、そういう試合で井上尚弥の対角線に立つ選手としては、タパレスはやはりラッキーボーイだと思ってしまいます。
二団体のタイトルホルダーに対して、失礼かもしれませんが。

あと、低い重心、広いスタンスで懐深く使うというのは、ボディに弱点があるが故、というのも、過去の試合で露呈しています。
岩佐亮佑戦もそういう傾向はありましたが、最初のWBOバンタム級王座戴冠戦、プンルアン戦でボディ攻撃を受けた際の「大わらわ」は、強く印象に残ります。
あそこから逆転した勝負強さは見事でしたが、あんなだからこんな構えなのか、と納得した場面でもありました。
もちろん世界上位レベルの話ではありますが、井上尚弥に、前に出たレバー打たれたら、とか、ボディジャブで攻められたら、とか想像すると...割と容易に「ピン留め」出来てしまう的なんじゃないかなあ、と。



ということで予想は、当然井上の勝利です。
万が一、タパレスの左の軌道が、井上の防御センサーをかいくぐるものだったりしたら、話は違うのでしょうが...。
元々、対サウスポーを苦にしないどころかむしろ得意?で、左ジャブリードも右ストレートリードも両方出来て、右回りを左フックで邪魔するのみならず、それで効かせてしまうし、ボディ攻撃も強烈...タパレスにパーネル・ウィテカー級の防御感があれば、これらの武器を何とかすることも出来るかもしれませんが、そうではないので。


結局、この試合を見る興味は勝敗そのものではなくて、井上がタパレスの持つ特徴にどう対するのか、どういう過程を経て攻略がなるのか、という点です。
丁寧に道を塞ぎ、詰めていくのか、それとも細かい手順など関係なく、一気に打ち崩すのか。
タパレスという選手は、他の日本選手との対戦があることも含め、身近に感じる部分があるので、その辺により興味を持ってしまいますね。



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ということで、師走の風物詩たる全日本新人王決定戦も終わり、井上の「決戦」で今年も終わりか、という感慨が押し寄せてきました。
DAZNサウジ興行のライブ配信PPVは購入せず、後日アーカイブが置かれるなら見てみよか、くらいの構えで、決戦の週に突入です。
実際、WOWOWなら録画放送で済ませていたレベルのカードが8つ並んだとて、それが何ほどのことか、と言えばそれだけの話ですし。


それよりも、U-NEXTとDAZNの両方でライブ配信(U-NEXTの方が日本語コメンタリーがつき、画質も圧倒的に良かったです)していた、ムエタイのラジャダムナンスタジアム、暫定スーパーフライ級タイトルマッチの方が、よほど重要というか。
吉成名高、2回KO勝ちで、一度敗れた相手シューサップ・トー・イッティポーンに雪辱し、三階級制覇達成。

前に伸びる右フックリード、インサイドへのローキック、ボディへの前蹴り、膝蹴り、全ての攻防で圧倒した末、怖いくらい切れる左ストレートによるフィニッシュ。
スローで見ると、顔の真ん中を切るように決まった左で、シューサップが倒れる途中、すでに反失神状態にあるのがわかります。
まるで古い映像で見た海老原博幸のような。ひとこと、戦慄、でした。

昔日の感慨を持ち出すのが無意味になってしまうような、今の時代のトップスターといえば、世間では圧倒的に大谷翔平であり、次いで井上尚弥もその枠内でしょうが、キックの世界でもこういう凄い人がいる。
ムエタイ改変競技のスターとは一段違う、と見るべきスーパーチャンプ、吉成名高の見事な勝利でした。




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ダウン応酬の後、再逆転許す 赤井英五郎、親子二代の新人王ならず

2023-12-23 21:59:03 | 新人王戦




今日は午後2時から、U-NEXTで全日本新人王の決勝戦、見ておりました。
長丁場ではあるのですが、それこそトイレ行く間もないくらい、次から次へと試合が行われていくので、試合数の割りには早かった印象でもあります。


結果や経過はこちらの記事に詳しいですので、簡単に感想を。


ミニマムとライトフライは、大橋ジムとS&Kジムの対戦が続き、どちらも公式記録はドロー。
ミニマムがS&Kの坂田一颯、ライトフライが大橋の磯金龍が勝者扱い。一勝一敗、と書いておきます。

フライ級は田中恒成の後輩、畑中ジムの坂井涼が速いコンビを当ててリードしていたが、最終回終わる直前に高熊龍之介の左フックがこめかみに決まって、坂井大ピンチ。ぐらぐらだったがしのいで、判定勝ち。
もしダウンしていたら、立てずに負けていたかもしれない、と思うほどのピンチでしたが、よく耐えました。


Sフライとバンタムも判定で、今日は長いかなーとここまでは思いましたが、Sバンタムが初回KOで終わる。
松田ジムのサウスポー武藤涼太が、左アッパーから右フックフォローで、強烈なKO勝ちでした。
松田ジムは、25年ぶりの全日本新人王とのこと。大塚陽介(何度も試合を見ました。渡辺博戦は名勝負でした)以来ですかね?
知らなかったんですが、二代目会長の松田鉱二会長、亡くなっていたんですね。ご冥福を。


フェザー級は東のMVP、というのみならず「良い味」出してた牧田健之介が、大人のボクシングが出来る、という風情の石﨑大二朗に、ほぼワンサイドにポイントアウトされる。ちょっとした波乱。
Sフェザーは下村佳輝が2回に続いて4回にも小松直人をダウンさせ、痛烈なTKO勝ち。小松も2回、倒されたあと反撃して見せ場があった。好ファイト。
ライト級も西畑直哉が児島弘斗に右を再三好打してTKO勝ち。これも強烈。両者強振し合う、スリルある試合でした。

Sライトは不戦勝。
ウェルターは変則の須賀大地が手数で攻めるが、松岡連が2回に右でダウンを奪うなど、際どい攻防。
スプリットで須賀勝利だが、ダウンの分だけ逆ではないかなあ、という印象でした。



ミドル級は場内、この日一番の盛り上がり。
赤井英五郎がサウスポー冨永一希の左をまともに食って初回にダウン。しかし2回、果敢に出て右一発で倒し返す。
勝負に出た赤井だが、3回に冨永が左のヒットでダメージを与えて、追撃。レフェリーストップで冨永勝利でした。

赤井は遠い間合いでは、冨永の左を外せない。見えていない、という印象。
詰めた間合いに持ち込めたら、倒すパンチが打てるが、打てるところまで行けるかどうか、という勝負で、初回はそれがかなわず、2回は成功したが、3回にまた打たれてしまいました。
冨永は3回、右ジャブを増やしてしっかり間合いを作った上で左を好打し、追撃も大振りにならず、細かいパンチの数を当てたところが良かった、と見えました。
赤井に踏み込まれて打たれては、またピンチになるところでしたが、3回はそれを未然に防げていた、と思います。
マーチン主審のストップは、ぱっと見た印象では早い、でも重いクラスで、一度ダウンもしていて、さらにぐらついたあと、と考えると、やはり妥当、でしょうね。




今回の決勝戦は、ジムの名前に少し気を引かれた感じです。
今や日本有数の大手となった大橋ジムに、熊本のS&Kジムが「一勝一敗」で渡り合ったり、松田ジムと畑中ジムがそれぞれ勝ったり。
竹原畑山ジムから初の全日本新人王が出たり、赤井ジュニアが帝拳所属で、相手が大阪の仲里ジム(会長さんはグリーンツダのOB、赤井英和の後輩にあたる元日本ランカーです)だったり。
時は流れ、色々と様相が変わり、入れ替わっているんだなあと、しみじみ思った次第です。


今回は、昨年の佐野遥渉のような、見た目にわかりやすい逸材、というのはいなかったかもしれません。
しかし全体的にレベル高めで、落ち着い風情の選手も目に付きました。
MVPはSバンタム、松田ジムの武藤涼太でしたが、力まず打てるフォームのまま、身体が出来てくれば楽しみですね。



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明日は全日本新人王ライブ配信 終われば「決戦」まで僅か

2023-12-22 18:12:26 | 井上尚弥




ということで、阿呆は風邪ひかんの倣いに反して、世間並みに風邪引いて寝てました(笑)。
ちょっと更新お休みいただきましたが、明日は全日本新人王決勝があり、U-NEXTで当然配信。
西軍代表決定戦もアーカイブが置かれるという話も聞いたのですが、見当たりません。明日までにアップしてくれんと意味が無いんですが...。







こちら、全試合の見どころが充実していて、観戦の助けになると思います。
知名度では赤井英五郎が突出しているんでしょうが、他にも大器、逸材と言われる選手がいることでしょう。期待です。
明日はざっと見て、簡単に感想など書ければなというところですが。



さて、これが終われば26日はあっという間に来てしまいますね。
今回は会場には行けない上に、忙しいのでライブ配信で見られるかどうかも怪しいですが、メインだけでも何とか、というところです。


こちらは井上尚弥のX投稿。
以前も抜き打ち検査の様子を投稿していましたが、試合が迫ってても、来るときは来るんですね。





なんか、アメリカには井上をドーピング疑惑ありと言って腐す記者だかがいるそうですが、言えばアクセス数稼ぎで何でもやる、みたいな手合いなんでしょうね。
こうして検査受けて、結果も出ているのに。
冗談抜きで、弁護士雇うて、名誉毀損で告訴してやりゃええのにな、と思うところです。
訴訟が産業になっているようなかの国の人間相手にそんなことするのは、費用も手間も大変でしょうけどもね...。




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