さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

負傷を乗り越え復活なるか 矢吹正道、3.16再起戦

2024-01-31 05:33:15 | 中部ボクシング


昨年、アキレス腱断裂の大怪我を負った、元WBCチャンピオン矢吹正道の再起戦。
少し前に発表されましたが、3月16日にポートメッセ名古屋第3展示館、というところで行われます。

これはどこにある会場かなと調べたら、名古屋駅から「あおなみ線」というのに乗って、金城ふ頭駅という、以前田中恒成の世界戦で行った「武田テバオーシャンアリーナ=名古屋金城ふ頭アリーナ」と同じ最寄り駅で降りて、南側にある会場のようです。
第3展示館というのは、どうやら長方形の会場みたいですね。


対戦相手のニカラグア人、ケビン・ビバスは、WBOミニマム級暫定戦で12回TKO負けという記録があります。
矢吹が重傷を負った後の再起戦でもあり、昔なら強くないタイ人呼んできて、ということもあり得たでしょうが、そういう相手とはやれない、やらない、という意志、方針が見えます。
もっとも、このビバスが矢吹にとって、強敵難敵かというと、そこまでではないでしょうが。

ライトフライ級は、事実上アルファベット要らずの「世界」王者、寺地拳四朗が統一戦か、カルロス・カニサレスとの再戦か、或いはフライ級転向か、という岐路に立っていて、情勢が大きく動く可能性もあります。
そして、その拳四朗を一度は下した矢吹が、重篤な負傷を乗り越えて勝利して再起し、大きなトピックを生み出せるか。
それはひとえに、結果は当然のこと、矢吹の状態がどうか、にかかっていると言えましょう。というか、今回の相手どうよりも、それが一番心配です。
こちらでは短いですがミット打ちの様子が見られます。






放送配信は、この日セミに出る静岡のホープ、佐野遥渉の前回の試合を配信したTravelTVでライブ配信があり、おそらくメインだけでしょうが、三重テレビでも生中継がある模様。
これはありがたい。私、三重在住の友人に頼んで録画してもらうことが出来ますので。

とはいえアンダーも、TravelTVでチェックせねば、というところ。
中部から、上記の佐野に加え、溝越斗夢(元日本Sバンタム、ユース王者)、村上勝也(飯村樹輝弥に判定負け)らが出ますので。

佐野はスーパーフライからバンタムに上げての試合。転級睨みか。
相手のマテオ・ハンティグというフィリピン人は、かつて高山勝成とIBFイリミネーターを闘った元世界ランカー。
まあ、最初はこういうところから、というカードではありますが。
溝越と村上は共に再起戦ということもあり、普通にタイ人との試合です。これを普通と言って良いのか、という意見もありましょうが...。


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指名挑戦者として扱う、が基本 井上尚弥WOWOW出演、ネリー戦を語る

2024-01-30 00:05:07 | 井上尚弥




先日、ESPNからの情報で、海外報道があったように、もはや発表されたも同然の、井上尚弥vsルイス・ネリー戦ですが、井上本人がWOWOW出演に際し、コメントした記事がたくさん出ています。


こちらはネリーの、過去の悪行について触れたもの。

基本的に、WBCの挑戦者決定戦を勝ってきた選手だから受ける、というスタンス。
しかし「相手の出方」が違うなら、という含みも持たせています。

まあ、試合をやる情勢である以上、こういう言い方になるのでしょうが、井上は相手の程度の低さに付き合うつもりはない、というプライドを示す一方で、我々ファンの心情にも心配りをしている、というところですね。
この辺は冷静で、大人だなあと感じます。
私なんかは感情的になって、他の相手と試合したらいい、WBCがごちゃごちゃ言うてきたら、グリーンベルトだけ突っ返してしまえ、あいつら、それが一番困るんやし...と思うのですが。


あと、ドーピング検査なども厳しくやってほしいと語ったようです。これは当然です。
さらに言うなら、代理選手になることが可能な選手を、アンダーで入れてほしい。
大橋会長、ジムの他の選手のタイトルマッチも大事でしょうが、こちらも本当に大事なことです。是非に、とお願いしたいです。


これらの調整に加え、JBCに対する処分解除申請があちらから出ていない、というところで、まだ正式発表に至らず、時間がかかっているのでは、という記事も少し前に見ました。
要は頭下げて来い、というところなんでしょうけど、多分あちら側は意味わかんない、という感じなんでしょうね。
大きなビジネスになる試合だからやる、それだけのことだろうに、何を言っているんだ?みたいな。腹の立つ話ですが...。
しかし、実際それも一面の真実ではあります。JBCの面子なんて...まあ、言うだけ心が渇きますから、もう止めときますが。


あと、試合の場所と期日に関しても、井上本人がかなり具体的なコメントをしています。
そうなんですよ、平日は大変なんです...。


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PBC+Amazon第一弾発表 チューvsサーマン、アンダーも充実

2024-01-28 00:01:33 | 海外ボクシング




今日はDAZNでハイメ・ムンギアvsジョン・ライダーに、日本にも絡みがあるか無いか?WBOミニマム級タイトルマッチ、オスカル・コラーゾvsレイネリス・グティエレスもあり、アンダーにはスーパーバンタム級のWBC2位、デビッド・ピカソも出ます。
日本のボクサーがどえらい試合を重ねた一週間を経て、まあのんびり見よか...なんて思っていますが、考えたら贅沢な話ではありますね。
なんだかんだ、主要な試合をライブで見るのが当たり前になっています。


そんな中、先日発表されたのが、ショウタイムの放送終了後、AmazonPrimeVideoでの配信に移行することが決まったPBCの、Amazon第一弾。






メインイベントは、ダウン・アンダーからジェフ・フェネク、そして父コンスタンチン以上のスターボクサー誕生か、と期待がかかるティム・チューと、元王者キース・サーマンの一戦。
その素質、実力はスーパースター候補として認められたサーマンですが、マニー・パッキャオに敗れた後、マリオ・バリオス戦からまたブランク作って、なんだかんだ25ヶ月とか。
新進の王者に対し、そろそろ始末つけんとな、という感じもあるかつてのスターが挑む一戦ですね。
普通ならチューが勢いで上回るはずですが、サーマンの現状が、もしかつての状態と変わらないなら、凄い試合になるかもしれません。


そしてアンダーがなかなか...こちらの記事に詳しいですが、ジャーボンテイ・デービスとの強打戦に敗れたローランド・ロメロが、闘犬イサック・クルスと。強打同士の激突ですね。
そしてこれは微妙というのか、WBAミドル級の指名試合ながら、不人気で?興行されなかったエリスランディ・ララvsマイケル・ゼラファ戦も。
あとは闘う摩天楼ことセバスチャン・フンドラも再起戦に登場。


AmazonPrimeが、どういう姿勢で、どの程度の熱意でPBCを、ボクシングを扱うのかなと思っていましたが、最初だから、というのを込みにしても、なかなかの力の入れようではないかと感じます。
DAZNとサウジアラビア娯楽庁のタッグが、従来では組めなかった試合をどんどん組むで、というのと、ある意味似たような勢いというか。

おそらくショウタイム以上の条件が出たからこそ、あれこれ組めるのでしょう。
それはメインカードだけでなく、アンダーの試合にも、程度の差こそあれ同じなのではないかと。
ララvsゼラファというのは、従来なら引き受け手がいなかったらしいカードですが、それも実現してしまうわけですから。


それ以外の部分については、まだこれから色々と見えてくるのかもしれません。
気になるのは二点あり、従来の、選手育成段階にある試合、カードについて、Amazonがどういう扱いをするのか、しないのか。
日本だと、はっきりと「上澄み」を掬うだけ、という姿勢は鮮明ですが、それではPBCも困ることでしょうし。


もうひとつは、日本でも、AmazonPrimeでライブ配信が見られるのかどうか、ですね。
一番ありそうな事態としては、ライブ配信は見られるが、英語実況のまま、つまり素材のままで流す。
そのうち、WOWOWエキサイトマッチで録画放送されるカードがいくつかある、という形です。その割合はDAZNの試合よりは多いかもしれません。

一番良いのは、AmazonPrimeでライブ配信が見られ、それに日本語のコメンタリーがつく、という形です。
もちろん全部は無理でも、重要な試合には必ず、という。
一番悪いのは、日本ではAmazonPrimeVideoでの配信なし、というパターンですが...何か、これはこれで、ありそうで怖いですけども。


何しろ、いよいよ動き出すわけですから、日本における海外ボクシングの視聴も、色々と棲み分けがはっきりしてくることでしょう。はてさて。


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泥沼の死闘に引きずり込み、敵地で雪辱成る 栗原慶太、サルダールをKO

2024-01-27 16:20:27 | 海外ボクシング



ということであっという間に、フィリピンからのライブ配信という、以前なら考えられなかった条件で試合が見られる金曜日がやってきました。U-NEXTさんに感謝です。
本当に、昔だったらリング・ジャパン(ジョーさんの会社ね)がビデオ出すとかしてくれなかったら、絶対に見られなかったような試合ですが。
それがまた、どえらい試合になりました。簡単に感想。



OPBFバンタム級タイトル...のみならず、IBFアジアタイトルというのもかかっている(こちらは決定戦だそうです)という、フロイラン・サルダールと栗原慶太の再戦は、前回敗れた栗原の方から、ゴングと同時に詰め寄って打ちかかるというスタート。
現地の映像がCGになってしまい、しばらく見られませんでしたが、再び映像が映ると、栗原の先制攻撃は奏功しなかったようで、出鼻にサルダールの右クロス、左フックなどを合わされている。
その後、栗原の左ボディから右がヒット。右ストレートも当たる。しかし上体がのめっていて、足がついてきていない感じ。サルダール。

サルダールは中盤以降落ちることが多い選手だし、防御も甘いところはあるが、序盤は持ち前の強打が冴え、合わせの巧さが出る。
ルイス・ネリー戦も初回は好打して優勢だったし、井上拓真も初回にダウンさせられている。
そもそも他ならぬ栗原自身が前回痛い目を見ているわけで...正直、この仕掛けはどうなんだろう、と思っていたら、2回も栗原が出て、サルダールさすがに面食らっているような感じ。

サルダールも迎え撃つが、栗原の攻めは後先考えてない、というレベル。左右を振り回して、左ボディが入る。
これが効いたか、サルダール、コーナーに圧されてさらにボディ、右ストレートなどを受ける。
栗原は左右とも力で振り回す打ち方で、スピードも切れも感じない。しかし間を詰めてどんどん手を出す。
栗原空振りも多いが、サルダール、ロープに押し込まれて一度腰が落ちる。両者空振りの応酬、という場面も。
なおも栗原ボディを攻めるが、一発、はっきり低いローブロー。レフェリー止めず、サルダール打ち返して逃れる。
両者右ヒットの応酬、栗原また出て左フック。サルダール、ロープ背負わされて打たれる。栗原の回。


栗原、スピードもなくリズムも悪い。打つというより殴っている。リズムもスタミナ配分もへちまもない、というスタート。
前回、見て立ったせい?であの負け方をした?という悔いが、こういう形で出ているのかもしれないが、いずれにせよ、もう是非を言う段階は過ぎている。
一度こうなってしまった以上、試合中に変えられるものでもない。このまま行くしかない。
そして、対するサルダールがボディを打たれ、それに巻き込まれている。栗原、勝機はある。しかし容易なことではないことも一目瞭然。

3回、栗原出て、ボディから攻める。打ち合いで右フックヒット。サルダール後退、栗原なおも攻めるが、左ボディ決めた後、連打を返される。右アッパーもヒット。ヒットの数で、ややサルダールか?
4回、栗原出る。右ストレート、左フックとも強振だがスローで、精度に欠ける。サルダールはまだ、本来の良い打ち方が出来ていて、右カウンター気味にヒット。
しかし栗原、手数を出しまくり、サルダールをロープに詰めて連打。栗原のパンチがボディだけでなく、頭部にも当たり始める。
サルダールも打ち返すが栗原止まらない。スリーパンチにボディ、左フックから右フックが頭部に入り、サルダール膝をつくダウン。
終わるかとも思ったがサルダール立つ。再開後、半ば背中向けるような姿勢で左。栗原も鋭く追えない。10-8栗原。

5回、栗原詰めに行く、というより変わらず出続ける。ロープを背負ったサルダール、単発ヒットはあるが栗原に手数で圧倒され、自分から膝をつく。ダウンに見えたがレフェリーはノーダウンの裁定。この辺は敵地ならではか。
栗原、攻めているが個々のパンチに本来の威力がない。サルダール、苦しいが打ち返す右や左フックには、まだ切れが残っている。
しかしラスト20秒以上、栗原が左右を振るって攻め続ける。正確なヒットは少ないが、サルダールも上体がぐらぐら。
消耗戦、という表現でも届かない様相に。栗原の回か。しかしもう、採点どうという試合ではなくなっている。

6回早々、サルダール逆襲。飛び込みざまの左がヒット、右ストレートも決まる。こちらも後先言うとる場合ではない、と覚悟した模様。
左右のコンビで打ちまくる。猛攻。栗原クリンチで止める。そのまま押していって膝をつく。スリップ。
栗原効いたか、しかしサルダールも体力はぎりぎり。左振ってミス、バランス崩したところに栗原が連打。ロープに詰めて上下左右と打ちまくる。
サルダールのけぞり、腰が落ちかけ、レフェリーがストップするかと思ったが、サルダールがそこから左フック、右返して脱出。場内歓声。
しかしまた栗原がロープに詰めて左右。連打ではなく一発ずつ、精度に欠けるが打ち続ける。サルダール反撃の手が止まっている。これはストップで妥当かと思うが、レフェリー止めない。
終盤までこの構図が続く。サルダールやっと打ち返すが、両者とも疲弊していて、限界を超えている。泥沼で足掻くような闘い。栗原の回。

7回、栗原の右ストレートでサルダールの顔が跳ね上がる。ロープに詰める栗原、しかし、しばし手が出ない。上手く休んでいるというより、本当に手が出せないんだろうなあ、と見ていて感じる。
しかしその疲れが幸いしたか?ショートの左アッパーに右と、本当に小さいパンチがこつこつ出る。大きな空振りをしない分だけ、この方が良い。
サルダール辛そうだが打ち返す。右ストレート、振りかぶって打ったがヒット。両者、両手がもう上がらず、頭で押し合いつつ打ち合う場面も。

もうこの回になると、見ていて採点も何も無かろうという感じで、どっちの回かよくわからず。
実況の西アナも解説の岩佐亮佑も興奮して、ラウンド数を間違えている。
8回、サルダール右を伸ばすが、栗原の右ショートがドンピシャのカウンターになる。狙ったとも思えないが、サルダール完全に止まり、栗原追撃。最後はコーナーに詰めて左右連打から、左ボディが決まって、サルダール立てず。KOとなりました。



いやもう...これまで色んな試合見てきましたが、タイトルマッチのレベルで、技術もペース配分も、これだけ全部かなぐり捨てたところで闘った選手、見たことあるかなあ、というくらいで。
しかもその闘い方で、記憶が残っていないKOという形で、自分を負かした相手に、それも(昔日ほどの不利ではないにせよ)敵地に出向いての闘いという状況で、雪辱を果たしたのですから。

栗原慶太、実況解説も語っていたとおり、試合どうこう、ボクシングとして見てどうこうじゃなく、今日この日、この相手に勝つことが、彼にとり、人生の全てだったのでしょう。
正直、この試合内容を見て、この先をどうとか言うことは出来ない、と感じたのも事実です。
しかし、まずは栗原慶太の決めた「覚悟」と、その凄まじい闘いぶりの前に、賢しらな理屈を言うのは憚られる、という気持ちでもあります。本当に、凄まじい闘いでした。
多士済々の日本バンタム級上位陣、タイトルホルダーの中でも、元々異彩を放つ存在ではありましたが、この試合を見た後では、もはや異次元の立ち位置というか、存在になっ(てしまっ)た感がありますね。



この日の興行、日本からもたくさん選手が出ていました。
関根幸太朗はフィリピンでも強く、タフでしぶといアル・トヨゴンに負傷TKO勝ち。強い左リードが相変わらず良いですね。
あと、日本でもお馴染みロニー・バルドナドを、細川兼伸が判定で下す殊勲。判定は敵地にしては意外な、という印象でもありました。本人が驚いてましたしね。
アンダーではデビュー戦の選手も出て、惜しくも判定負けでしたが、フィリピンでデビューというだけでも期待の表れ、でしょうか。

メインはIBFライトフライ級のイリミネーター。正直、栗原の勝利を見た後でお腹いっぱい、のんびり見よか、と思っていたら初回で終わり。
サウスポーのクリスチャン・アラネタがアルビン・マグラモを初回、左アッパーで倒し、右フックで二度目のダウンを奪い、TKO勝ち。
IBFライトフライ級の挑戦権を獲得した...はずです(笑)。見事な勝利でありました。



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がらりと変えてきたが、成否はまだ先 那須川天心、三戦目でTKO勝ち

2024-01-26 00:03:45 | 関西ボクシング



ということで海外では、事実上「発表」やなあ、ESPNやし...という大きな話題も出ていますし、フィリピンでのサルダール、栗原再戦のU-NEXTライブ配信も、今日の17時半からです。
しかし、とりあえずAmazonPrime配信試合の感想、残りについて、簡単に。



スーパールーキー、というかルーキーにしてスターの那須川天心、デビュー三戦目で、初のTKO勝ち。
相手のルイス・ロブレスが、3回終了後、右足首を傷めたらしく、棄権して試合終了でした。

しかしそれまでの闘いぶりは、少々驚き。那須川は闘い方をがらりと変えてきました。
今までは動いて外し、見て迎え撃ち、という型が中心でしたが、足を止めて構え、右リードから後続の左に繋げる正攻法。
相手のロブレスが迫力に欠けるということもあったかもしれないが、自信満々に打っていく。
しかも、左のパンチ、序盤から確率の低い上へはあまり打たず、踏み込み一つで打てるボディブローが多い。この辺の狙いも良い。

断続的に攻め、徐々に追い詰めて行く流れで、好打もあった3回を終え、これは倒せるだろうなあ、と期待したところで、試合は尻切れトンボに終わったのが残念でしたが。


ただ、攻撃的な闘い方に変えたことで、総じて好評を得ているようですが、その成否はこの試合だけでは何とも言えないところ。
見た感じ、ロブレスは痩身なりのやりにくさが持ち味の選手と見えたが、ベストはやはりバンタムであろうし、前日計量時に体重が揃っていようとも、リングに上がった時点で「戻し」に差があったことは、一目見て明らか。
確実に3ポンド分の圧力、パンチ力に差があり、那須川が落ち着いて打って行けたのも、その前提あればこそ、でした。

もし相手と体重が揃い、より防御技術の精度や、的確な判断が求められる段階の相手と当たったときに、同じような構えで闘い、それを押し通せるものかどうか。
例えばパンチが綺麗に入り、確実に効く、という前提がなくとも、それでも自分の構えを崩さず、攻撃的に長いラウンドを闘い抜けるのかどうか。
それこそ、ユーリ阿久井政悟のように。

もちろん、現段階で那須川天心に対し、そういうレベルの話を持ち出すのは、不適切です。
今回の変化は、基本的にはポジティブに見られるでしょうし、それにある程度までは同感でもありますが、今後、バンタム級に「落とす」方針も明らかになる中、どういう闘い方をしていくのが良いのか。
自分から攻めていくとなれば、当然、攻防の密度が上がる。そのとき、減量の影響がどう出るものか...成否はこの先、ですね。




与那覇元気vs辰吉寿以輝の8回戦は、辰吉の判定勝ちでした。
与那覇は左右ボディブロー、右クロスに、ミスもあったが右アッパーも見せ、積極的に攻めていましたが、辰吉が振りの小さい連打、左フックの好打などで抜け出した、という印象。

辰吉はこれで日本ランクに入る可能性大、です。
アマチュア経験がなく、プロキャリアがイコール、ボクサーとしての全キャリアである選手としては、なかなかのレベルにまで来ている、というのが、全体的な印象です。
昔は俗に言う「プロ叩き上げ」が普通でしたが、このご時世で、ここまで来ていることには、一定の評価があって然るべきでしょう。


一部には那須川天心との対戦が取り沙汰されているようで、この試合はその一戦に向けてのテストだった、のかもしれません。
辰吉は、バンタム級に落とすのは難しそうで、120ポンドかその辺での、キャッチウェイトになることでしょう。
言えば那須川が本当に118に落とす過程で闘うのに丁度良く、話題性のある相手、というところか。
今年は4試合くらいやりたい、という那須川の言によるなら、その中にこういう試合が含まれるのも、いかにもありそうな話です。しかし実際どうなるものか...ちょっとわかりませんね。



敗れた与那覇元気、こちらはルイス・ロブレス同様、ベストはバンタムの体格で、辰吉との比較で言えば、強く打たねば対抗出来ず、振りの小さいパンチで、同じだけの威力が出せる辰吉にパワー負けした感がありました。
思えば那須川との試合も、同様の構図だったと言えましょう。懸命の闘いでしたが、残念な結果でした。







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慎重かつ果敢 乱れず崩れず、圧して勝つ ユーリ阿久井政悟、岡山初の世界王者に

2024-01-25 00:00:03 | 関西ボクシング





今回のAmazonPrime興行、二大タイトルマッチがありましたが、メインは元より、もうひとつの方も緊迫感あり、見応え十分の一戦でした。
WBAフライ級タイトルマッチ、アルテム・ダラキアンvsユーリ阿久井政悟の一戦です。


普通のボクサーは、無駄を省いた小さい動作で攻防を展開しますが、大きく足を使って外し、身体を捻って逃しながら打ってくる、常識外れの破天荒なスタイルのチャンピオン。
パンチも硬そうで、元王者ルイス・コンセプシオンを何度も倒して勝った試合など、迫力も充分でした。
対するチャレンジャーは正統派のハードパンチャー。見るからに対照的な両者の一戦となりました。


初回、阿久井がワンツー。シンプルでコンパクトな攻撃で、ダラキアン下がって外す。大きく動いて回るダラキアンを阿久井が追う。
2回はダラキアン、左下げてジャブ。これに阿久井、右クロス被せる。小さい振りで、打ち終わりのバランス戻しも速い。
次に阿久井、若干左省略気味の「偽ワンツー」。間を変える。しかしダラキアンも敏捷。左フックカウンター合わせに来る。
しかしダラキアン、待ちから対応する型なれど、圧され気味。右ボディで追われ、ロープ際で回ったが、阿久井の右がかすめる。


互いに見切りがよく、それぞれの外し方がある。大きく動く王者に、小さい動作で外す挑戦者。
一撃で相手を倒せるパンチャー同士が、僅かな数のヒットによる得点を競い合う、という風。


3回、バッティングも事無く続行。ダラキアンが左フックで飛び込む。阿久井、ロープに詰めて連打。「当て逃げ」を許さない。
ダラキアン、なおもロープに下がるが、阿久井見て、無理に突っ込まない。左ボディジャブでヒットを取るのみ。ダラキアンの右アッパーは余裕で外す。
逸って手応えを追わず、よく見て、しかし取るべき点はしっかり取る。世界初挑戦としては、驚くべき冷静さ。


3回まで、ポイントは全部阿久井と見える。しかし4回、ダラキアンが、さらに阿久井を引き付けて右アッパーを決める。
さらに右ロングフック、また右フックが阿久井をかすめる。しかし阿久井、軸がぶれない。ダラキアンの方が身体を逃がす。
この回はダラキアンが抑えたか。右アッパーのヒットと、外して当てる流れを作った。

しかし5回、阿久井がワンツーで追い立てる。ダラキアン、両手を上げて回り、躱しているとアピール。
阿久井右ボディストレート。ダラキアン、阿久井のワンツーに連打で打ち返し、打ち合いに。
阿久井の右を外しながら左フックを打ち、同時に左足を引いて、スイッチしての右フックを当てる。
近い距離ではクリンチが多い選手だが、珍しくちょっとだけ打ち込みに来た。劣勢の意識故、か。
阿久井倦まずに追い、右ショート狙う。ダラキアン同時に右アッパー、空を切る。際どい場面。この回、振り分けるなら阿久井か。

6回、阿久井の右ストレートが伸び、ダラキアンがクリンチに出る。実況はボディにヒットしたと言っているが、角度的に見にくい。
しかし阿久井、徐々に的が絞れてきた?クリンチ際の離れ際に左フック。「打ちどころ」がいつ、どこにあるのか、全体的に把握してきた感あり。阿久井。
7回、阿久井がコーナーに詰めてワンツー、小さい左アッパー当てる。互いに左フックも、阿久井の方がヒット。
阿久井プレスかけて出る。左ボディジャブ、一拍置いて右ストレート決める。終盤、ダラキアン左足を少し捻る。大事ないか。阿久井。
8回も流れ変わらず。阿久井右、浅いがヒット。ダラキアンの右はブロック、揉み合っても自分の方が当てる。コーナーで左の探り、次いで右ヒット。
圧されるダラキアン、リターンパンチもヒットに乏しい。阿久井。


ここまでは、総じて阿久井がよく見て、逸らずに最小限のヒットを取っているように。小さい攻防動作で、軸の決まったフォームを崩さない。
対するダラキアンは、攻防ともに大きな動作なので、好きに当てて避けてという、良い流れにならないと、どうしても疲れが出てくる感。

このまま行けば阿久井の戴冠は有力、と見えましたが、さすがにすんなりとはいかない。
9回、ダラキアン奮起、足を使って左ジャブを繰り出す。阿久井の左フックかすめるが、足使っておいて、前に伸びる右アッパー決める。
ヒットは互いにあるが、有効度、さらに試合展開構築の部分で、ダラキアンの回。
10回も阿久井のプレスに、ダラキアンが動いて対抗。ダラキアンの左ジャブで、阿久井がバランスを崩す場面が二度。足が滑った、だけではない?
ダラキアン、阿久井の右を外して左フック当て、逃げる。不格好だが、これが得意。ダラキアンの回。

さすがにダラキアン、このまま何も無しで引っ込むわけもない、という感じの奮起を見せる。
阿久井のリードは間違いないと思うものの、見方ひとつで...という感じもなくはない?展開でもあり。
残り二つ、しっかり抑えて「間違いない」という試合にしてほしいなあ、と思っていましたが、11回始まると、阿久井がワンツー決めて出る。
ダラキアン、左右フック決めるが、阿久井はボディへパンチを散らす。ダラキアンの打って飛び退く動作が減ってきた?
右アッパーをミスした後、身体が残っているところに、阿久井の左フック。この日随一のクリーンヒット、ダメージあり、ダラキアン後方へよろめく。

場内、好機到来に沸くが、当の阿久井が実に冷静。左フックの追撃はボディへ。同じパンチで追って、右ストレートも。
ゴング間際には阿久井の右が際どく飛ぶ。阿久井、大きなポイントを、クリアな内容で取った。
最終回はダラキアンがまた奮起、足使って左、厳しく突き放すが、阿久井も出て、左のヒットから攻め返す。振り分けてダラキアンか。



さうぽん採点は8対4、阿久井と見ましたが、公式採点はこれが最小差。あとは9対3と、何と11対1(!)。
自分の採点を「甘いかな?」と思っていたら、一番辛かったという、ちょっと意外な数字でした。

しかしそれも、数字には表れない、新チャンピオン、ユーリ阿久井政悟がこの試合に費やした労苦の多さを感じていたからなのだろう、と思います。
ハードパンチャー同士が、3分のターンでフェンシングのようなポイントの取り合いを続け、12ラウンズを重ねたという風な試合でした。

その中で、強打者でありながら、破天荒なスタイルの攻防で当てて避けて、とやってくる相手に対し、一切無駄なことをせず、軸を決めて型を乱さず、相手に圧力をかけていき、数多くは取れないと覚悟していたであろうヒットを少しずつ重ね、被弾は最小限に抑える。
体力はもちろん、神経も疲れる試合だったと思いますが、見事に最後まで闘い抜き、結果として大差の判定を勝ち取った。
派手なKO勝ちとはまた違った意味で、これ以上無い、見事な戴冠劇だったと思います。

新人王トーナメントで初めて見たときは、ライトフライ級で減量もきつかったのか、巧いけど元気が無い選手やなあ、なんて思ったものですが、その後すぐフライ級に上げて、試練もありましたが、地方のジムにあって着実に強くなり、その末の見事な戴冠劇でした。
これで若手時代に総当たりで鎬を削ったライバル、中谷潤人、矢吹正道と共に、三人が全員世界チャンピオンになったわけで、彼らの試合をつぶさに見てきたファンにとっては、改めて嬉しいことでもありますね。


しかし、試合後の守安会長、ベルトを巻く、の図は、古いファンにとっては微笑ましい限りでありました。
こんなこと言っちゃなんですが(だったら言うな)、現役時代の姿からして、あの(あの、って何だ)選手が会長になって、こんなにスタイリッシュで強い選手を育てるだなんて、お釈迦様でもご存じあるまいて...という感じで(失礼)。
本当に、奥様やお子さんたちの様子も含め、なかなかに感動的な王座奪取、戴冠でありました。ユーリ阿久井、おめでとう!です。




敗れた前王者アルテム・ダラキアンは、実況によるとウクライナからの来日に、30時間どころではなく2日半かかった、ということでしたが、やはり様々な苦境が、その実力を若干、目減りさせていた、という印象は拭いきれませんでした。
スタイル的に、体力が要る闘い方ですし、さらに年齢のことも含めると、仕方ないことではありました。
とはいえ、終始懸命の闘いを見せましたし、阿久井にとって難関であったことに変わりは無かったのも事実です。健闘を称えたいと思います。



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減量苦?選択ミス?それとも 拳四朗、元王者カニサレスとダウン応酬

2024-01-24 00:04:06 | 関西ボクシング


ということで会場には行けず、AmazonPrimeVideoの配信、楽しく見ておりました。
しかしメインは、楽しく、というだけでなく、ちょっとひやひやしながら、というところでありました。
簡単に感想です。


寺地拳四朗は、精悍な表情から気合いが伝わるものの、反面、ちょっと力入りすぎかとも見えるカルロス・カニサレス相手に、左から当てて行くが、右クロス二発ヒットされる。初回、カニサレス。
カニサレスの右は、そんなにスピードある感じではなく、拳四朗が左突いて外せば大丈夫かな、と見えたのだが。

2回も割と打ち合う風の拳四朗。カニサレスが攻めていたが、拳四朗の右カウンターが頭部に入り、カニサレス一瞬止まったあと、拳四朗の足にしがみつこうとして崩れる。ダウン。

カニサレス立って続行。かなりのダメージと見えた。とはいえまだ序盤。
拳四朗、ひと叩きしてから捌くかと思ったのだが、ボディブローなど含め、3回にはもう「詰め」に出た感じ。
まるで「倒し屋」でもあるかのような選択。
しかしカニサレスに左を当てられ、悪いタイミングでもまだ行く。挙げ句、右カウンター取られて逆にダウン。


この一連の展開には、いったい何をやっているんだろう、人もあろうに寺地拳四朗が...と、唖然となりました。
何をそんなに急いているんだろう。確かに最近倒す試合ばかりで、本人も陣営も妙に攻撃シフトの発言が増えているとはいえ、まだ相手の体力が残っている序盤から、こんな闘い方をして...。


しかし4回、拳四朗は激しいラリーの中、ボディブローを効かせてカニサレス後退させる。
5回もボディ攻撃でリード。しかしラスト10秒くらい、カニサレス猛攻。ヒットも僅かだがあったか。

6回から8回までも、拳四朗がボディ攻撃を決める。しかし足を使わず、捌かず、打ち込みに行くぶん、カニサレスに打たれる。
確かにボディ攻撃が効いて、カニサレスが自ら下がる場面はあった。
しかし、拳四朗は、これだけ目先を変えずに同じ事を続ける攻め方で、相手を倒しきれる「重戦車」ではない。
カニサレスにしたら、遠目からジャブを突かれて引き離され、焦って出たところを上下ともに打たれる方が、余程辛いはずだが、何しろ同じ事を繰り返し「来て」くれるので、言えば頑張りようがある展開でもあった。
8回、拳四朗のチェックフックが外され、カニサレスが攻める場面など、典型的でした。


そして、この選択を継続して迎えた二度目の途中採点、76-74×2、75-75の2-0、僅差で拳四朗リードと出る。
拳四朗から見ると、残り3回4回のうち、二つ取れば2-0で勝利。一つしか取れなくても最悪、0-1のマジョリティドローで防衛。
しかしこの数字を聞いて、9回からカニサレスがさらに攻勢を強める。

ボディのダメージを溜め込み、強振を続けるカニサレス、疲労も見えて、開始ゴングが鳴っても立つのが遅い。
しかし9回、10回と打ち合いでカニサレスがまさる。右クロス、左ダブルからコンビネーション。拳四朗打ち負けている。


確かにカニサレスは力があるし、闘志も充分。しかし同時に、ここまで頑張らせてしまった拳四朗及び陣営の「選択ミス」ではないのか、という思いが消えない。
11回、ここに来てようやく、左ジャブとフットワークを生かした「シフト」に変わる。しかし捌けているかどうが、見方一つ、という3分。
12回は若干、捌けたかな、という印象は残ったが。

判定は2-0で拳四朗。ジャッジは9~12回のうち、二つを拳四朗に与えたということか。
まさに薄氷を踏む防衛となりました。



確かにカルロス・カニサレスは健闘したと思います。元王者、現1位というだけあって、実力を見せた試合でした。
しかし同時に、なんでこんな試合になったかな、という印象でもありました。

上記の通り、最初からスペクタクルなKO劇を求めるような試合ぶりで、ダウンを奪ったとはいえ、序盤だったし、相手が完全に死に体だったというでもなかった。
にもかかわらず、早々に詰めに行って、逆に倒される。
その後ボディ攻撃を効かせたのはさすがでしたが、そこから攻め込んで倒そうとし過ぎ、攻め口が単調になって、相手の頑張りを引き出してしまった。
これだけ相手に頑張られたあと、倒そうといっても簡単では無い。離れて空回りさせ、左当てて得点し、要所で強く叩く、という選択が、何故切り捨てられていたのか。
ラスト二つ、捌くシフトに戻したときは「今更これをやって、果たして間に合うのか」と心配でなりませんでした。結果「間に合った」採点が出ましたが。
例えば、渡辺二郎がパヤオとの再戦で見せた冷徹さが、今回の拳四朗には欠けていました。


試合後、村田諒太がその辺りを含め「減量苦ではないか」と語っていましたが、確かにそうかもしれない、と思います。
これだけのキャリアを重ねて、倒す自信もついた王者がその通りにダウンを奪って、でも忙しない試合運びに自ら首を突っ込んでいく。
その背後に減量苦がある、というのは、なるほどいかにもありそうな話です。

ただ、繰り返しますが最近の本人や陣営のコメントには、違和感を強く覚えることも確かです。
やれファンの期待だ、感動だ、評価上昇だを意識して、少々打たれても良いから倒しにいく...以前なら、寺地拳四朗のどこ押しゃそんな台詞が出てくるのやろう、と思ったような言葉が、普通にポンポン出ています。
まあ、本人は闘志でモノを言う(これまた、らしくないにも程がありますが)のだから仕方ないにしても、トレーナーまでそれを是認、というか丸呑みしているような感じで...それは如何なものか、と思います。
その辺の違和感が、今回の試合にはしなくも、全部出たのかな、という。そんな試合に見えました。


そして、単に減量のみならず、やはり寺地拳四朗といえど、歴戦の疲弊からは逃れられない、という「時」の訪れを見たのかな、と思いもしました。
もしそうだとしたら、本人が希望するというジェシー・ロドリゲス戦についても、早急に実現せねばならないのかもしれない、と。
もっとも、この試合を見たあとでは、フライ級に上げてコンディションの向上が見込めるものか、等々、色々と確信が持てなくなってしまいましたが。
単に本人や陣営が闘い方を省みて、原点に立ち戻ってくれれば...という話で済むものかどうか。答えは今後の試合に持ち越し、ですね。



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戦禍の国から来た王者に、岡山の希望が挑む ダラキアンvs阿久井政悟、激突

2024-01-23 00:00:32 | 関西ボクシング


各媒体で目にするCMや広告での取り扱いを見るに、AmazonPrimeの「売り」は、やはり那須川天心なのでしょうが、ある意味メインの寺地拳四朗や那須川以上に、心に染みるカードが、アルテム・ダラキアンvsユーリ阿久井政悟です。


戦禍のウクライナから、一度の延期を経て、戦争の影響で航空機のルートも遠回りを強いられる中、それこそ30時間ばかりのフライトで来日したチャンピオン。
前回の試合ぶりも、好調時のそれと比べると、迫力に欠けた印象でしたが、破天荒なスタイルの反面、アマチュア歴から相当なものがあるレベルの高い選手なので、拙い試合があったら逆に、それを修正する良いきっかけにしてしまうようなところもありましょう。

また、日本での調整も、基本的にどの国に行くよりも容易いというか、妨害行為など(一部を除けば)まず無いので、大丈夫だと思います。
何より、祖国ウクライナはロシアの暴虐のみならず、国際政治の思惑にも翻弄され、苦難のさなかにありますが、祖国に勝利を届けたいというダラキアンの闘志は、静かに、しかし熱く燃えていることでしょう。


対する地方ジムの雄、岡山の希望とも言えるユーリ阿久井政悟もまた、地理的なハンデを乗り越えての世界挑戦に、遂に辿り着きました。
挑む相手が、所属が違えば回避していたレベルのチャンピオンであることなど、やはり色々と「違う」のは事実ですが、その困難をも、その実力で乗り越えて戴冠してほしい、と期待します。


こちらの記事では、両者共、互いへのリスペクトを語っています。
そこには戦争のような嘘偽りも、狂気と打算がないまぜになった支配欲もない。
その上で、今日のリング上では、互いの意志、それぞれの思いで固めた拳をもって、この両者が真っ向から闘い、勝者と敗者が分かたれることになります。
それを見て何を思うかは、見終えた上で人それぞれでしょうが...ボクシングの試合というものは、基本、平静な気持ちで見ていられないものが多いですけど、今日のこの試合ほど、その傾向が強いものは滅多に無いですね。


とまあ、そういう気持ちでいる反面、昨日の計量後、フェイスオフではこんな場面が。





微笑ましいというか、なんかほっとするというのか。
まあ、試合中やなくて良かった、というところでもありますね(笑)。





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現状では最強の相手? 拳四朗、カニサレス戦明日ゴング

2024-01-22 18:30:49 | 関西ボクシング



いろいろとありまして、明日は観戦に行けないことが確定です。
もっともさる筋によると、チケット完売らしいので、早くに決められなかった時点で駄目だったんですが。
まあさすがにこれだけのカードが並んで、那須川天心も出るんだからそうなりますね。無念。


さて、前日計量の模様。全選手無事、パスしたとのこと。






メインの寺地拳四朗は、WBA指名挑戦権を持つ元王者カルロス・カニサレスと。
IBF、WBOのタイトル戦線が落ち着かないもので、王座統一戦にはなりませんでしたが、なんならこの選手の方が対立王者たちよりも実績があり、現状の実力も含め、最強の敵なのかもしれません。
エステバン・ベルムデス戦の惨敗、その印象が強いですが、コロナの影響でブランクが出来て、敵地の狭いリングで闘ったあの一戦は、言えば例外的な不調だった、と見るべきかも。
まあ、その辺の答えは明日、出ることでしょうが。

スピード、テクニックは充分、闘い方の幅も広く、色々と切り替えが効く。
田口良一、小西伶弥、木村翔との闘いでは、相手に粘られたり、ピンチになったらシフトを変えて捌きにかかり、でも好機に打ち込む場面も作ったり。
全体的に見て、確かに世界一流のグレードにあるボクサーファイターです。

しかし今の寺地拳四朗ならば、こういう選手相手に、技と力で切り結んで、これぞ世界、と言える攻防を見せた末に、見事勝ってくれるんではないか、という期待を先にしてしまいますね。
普通なら不安や心配、という話になるんですが...そりゃ、減量や何や、コンディションで負けていたら厳しいでしょうが。


と、本人こんな感じですけど(笑)。
いやはや。





真面目な話、計量後の写真見ても、最近の中で一番顔色が良いというか、良さげな感じではあるんですよね。
調整が上手く行ったということなら、明日は大いに期待できそうです。


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最初のダッキングを捉えた 鈴木雅弘、再戦でアルデアを初回KO

2024-01-21 06:09:49 | 関東ボクシング


ということで昨日のU-NEXT、ダイナミックグローブライブ配信の感想、簡単に。


メインイベントはOPBFライト級王座決定戦、鈴木雅弘vsロルダン・アルデアは、鈴木の初回、右一撃でのKO勝ち。
昨年10月、フィリピンでの引き分けを受けて、再戦は日本で行われたわけですが、驚きのアーリーKOでした。

前回の対戦はYouTubeでライブ配信されていて見ましたが、鈴木の右が、サウスポーのアルデアが繰り返すダッキングによって、スカスカ空を切る場面が(特に終盤)印象に残っていて、あの感じだと簡単にはいかなさそう、と思っていたんですが。
初回、1分過ぎに鈴木の右、軌道を見るに低めに狙っていたものか。
ダックしたアルデアの顔、真ん中というか芯というか、何しろ斬るように入って、ダメージ甚大。
アルデア、最初のダウンでそのまま立てませんでした。

これで鈴木は、スーパーライトから下げて、ライト級で念願の王座獲得。
セミまでが随分時間がかかって、今日は長いなーと思っていたら、あっという間に終わりました。
しかし、土曜日の興行は、やはり17時開始で良いんじゃないでしょうかね。
それはさておき、今年は大橋ジム主催のライト級トーナメントがあるはずで、仲里周磨や三代大訓共々、そちらへの参戦、是非期待したいものですが...はてさて。



セミはWBOアジアパシフィック、フェザー級王座決定戦。藤田健児がジョセフ・アンボに判定勝ちで、王座獲得成りました。

アマチュアとしては日本チャンピオン松本圭佑、OPBFチャンピオン堤駿斗より格上だった藤田ですが、タイトル獲得なって、さあ肩を並べたか、というと微妙な印象。
足から外して、巧みなフェイント、軸をずらして身体を捻って、相手の視野から外れたパンチを当てていくボクシングは、場面毎に見れば目を引かれるもの。

しかしパワーに欠け、相手のガードを通す精度にも物足りなさが残り、さらに言うなら試合運びというか、全体の流れを考えて闘っているようにも見えない。
単にパンチ力に欠けるから、だけではなく、始まってすぐ、この試合は最後まで行くな、と確信が持ててしまう。内容的にも、8回戦でええよな、これ、と。
その上、外せる距離を取ることに専念せず、打っていきたい風にも見えて、しかしパワーに欠けるので相手の反撃の数、頻度が高い。
結果、そのスタイルのわりに相手に打たれてもいる。

判定は問題無いものでしたが、当面は国内ライバル対決をするより、WBOアジアのランカー相手に闘いつつ、色々と整理していかないとなあ、という印象でした。
もっとも、目先の勝敗だけを言うなら、誰と闘っても鮮やかにとは行かないだろう反面、誰にとっても闘いにくい、厄介な敵ではある、のでしょうが。


それにしても3回から4回にかけて繰り返されたローブローはよろしくありませんでした。
4回、ローブローでアルデアが倒れて、ホンマかウソか知りませんが椅子に座ることも出来ない。
場内は5分休憩の後、試合続行に応じなければ藤田の勝利、という、耳を疑うアナウンスがあり、結局アルデア、続行に応じましたが...。
3回の時点で、相手との位置関係からして、打てばローブローになると傍目にはっきりわかるパンチを、まだ選んで打っていたあたりは反省点。
まあ、この選手がそういう試合に出ることは、引退するまであり得ないでしょうが、敵地だったら完全に負けにされていた、と思います。



岩田翔吉は、元IBFミニマム級チャンピオンのレネ・マーク・クアルトを6回TKO。
ボディ攻撃で倒して、抵抗されるも徐々に攻め込み、ダメージを溜め込んだクアルトを6回に右アッパーで倒し、4度目のダウンで試合を終わらせました。

クアルトが意外に身体負けしていなかったので、初回の攻防を見た限り、簡単じゃ無いかもと思ったのですが、岩田のボディ攻撃が2回に威力を発揮しました。
左ボディはいつもの飛び込み打ちもあれば、コンビの締めで打ち分けるものもあり、最初のダウンに繋がったパンチなど、威力充分、見事なもの。
その後、クアルトがモラルの高さを見せ(そらそうです、元王者ですから)抵抗しましたが、結局は力の差を見せた感じか。

現状、ホールで闘う枠内で、海外から呼べる選手としては上限いっぱいの、けっこう手強い相手だったクアルトを、きっちり仕留めたのですから、今回は充分な結果だと言えるでしょう。
ただ、今後の標的はWBO王者ジョナサン・ゴンサレス、再挑戦を目指すのなら、もう一段、攻防に緻密さ、精度がほしいところ。
単に外される、捌かれる局面のみならず、まとめて打って来た際の対応にも課題ありだった初戦から、はっきり違いを見せる必要がありましょうね。



中野幹士の初回KOは、狐につままれたようなものでしたが、第一試合の齋藤麗王vs中井龍は、なかなかの好ファイト...なのに、U-NEXTの映像が止まり、ぶつぶつ切れ、音声が聞こえず、という具合で、どうもよろしくありませんでした。
3回くらいから「マシ」にはなりましたが、それでも一瞬止まり、途切れ、ということがまだあって、試合に集中出来ませんでした。
U-NEXTでは、記憶の限りでは、ほぼなかった事態で、こちらのハードに問題があるのかと思ってチェックしてみましたが、違う模様。
今、置かれているアーカイブは、そのままの状態です。月額料金がしっかりかかっている配信ですから、早急に改善してもらいたいものですね。



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