さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

閉塞のまま終わらず、画期を成して去る 中谷正義引退表明

2023-05-30 14:12:46 | 関西ボクシング



中谷正義、引退を表明。Twitterで本人が明らかにしました。






思うところは、「前回の試合」について書いた記事で、ほぼ書いてしまっています。
しかしいざ、引退が現実のものとなったので、少しだけ。



ライト級という階級を取り巻く状況はもちろん困難ではあれど、それを乗り越えて選手のキャリアを共に切り拓かんという意志がほぼ見えないマネジメントによる、長きに渡る閉塞に耐え、遂に世界的な選手との対戦を実現し、その場で秀でた技量力量を発揮、その実力を認められた。
中谷正義というボクサーは、およそ考え得る中で、これ以上は望めないと思う高みにまで辿り着いた、偉大なボクサーでした。

また、中谷の後に国内最強の座を掴んだ「後継」の吉野修一郎と実際に闘い、勝てば自らが再浮上、負ければ自らの得た国際的評価を勝者に引き継ぐ、という、然るべき「タイトルマッチ」を闘ってくれたことも、ボクシングファンにとって、尊敬と感謝の対象でありました。


移籍と前後して実現した数々の、世界的選手の試合はもちろんですが、後楽園ホールで戴冠し、大阪や神戸、京都の会場で闘ったOPBFタイトルマッチの数々もまた、忘れ難いものばかり。
拙ブログでも、何度も観戦記を書かせてもらいましたが、充実した試合の数々を、未来への期待とともに、楽しく見ていたことを思い出します。


ファンとして、壮大な夢をもらったボクサーのひとりでした。
改めて、数々の素晴らしい闘いを思い、中谷正義に感謝したいと思います。


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ミニマム級にニュースター誕生 オスカル・コラーゾ、強打で挽回しTKO勝ち

2023-05-29 07:34:05 | 海外ボクシング



昨日のフェザー級二試合と同等、或いはそれ以上に注目していたのは、WBOミニマム級タイトルマッチ。
DAZN早朝と午前中の配信のうち、アメリカからの、午前中の方の「セミセミ」の試合。

日本で谷口将隆を2回、右ストレート一発でKOしたメルビン・ジェルサエムに、GBP期待の強打オスカル・コラーゾが挑む一戦。
この階級随一の好ファイトが期待出来るカードだと思っていましたが、その通りになりました。


スタートはジェルサエムが余裕で見て、サウスポーのコラーゾに対し、左ジャブのリード、右ストレートリード、どちらも使い、ボディにもパンチを散らす。
コラーゾはアクティブに出て、ビジーファイトを仕掛けたいのがありありだが、やはり浅いキャリアの選手か、気持ちが前に出すぎ。
ジェルサエムにしっかり見られ、当てられ、肝心の手がそれほど出せない。
2回、ジェルサエムの右ヒットか、コラーゾの左目周りに傷が見える。ジェルサエム、ヒットを重ね、3回は右ボディから左右フックを上に返す。


好スタートだったジェルサエムだが、コラーゾは打たれ続けたせいで?逆に腹を括ったか、徐々に手数が出始める。
4回、左ボディアッパーを決めて、少し挽回。元々馬力のあるコラーゾの前進に、ジェルサエムが押され始める。
5回、左フック上に決める。続いてボディも。ジェルサエム、効いている。左ストレートボディから、上にコンビ。
良いの当てたら追い打ち、という攻めで、コラーゾが優勢に。

6回、ボディのダメージを隠せないジェルサエム。ボディ打たれて後退、手数減る。足も止まる。
コラーゾ、左右ボディから上に連打。左アッパー上、また右フック下に。腰を据えて狙い打ち。
強打の選手に、この打ち方、攻め方を許してしまうと、先行き厳しい。
コラーゾさらに猛攻。左レバーにアッパーを打たれ、左ストレート上に。ジェルサエムよろめき、ロープ伝いに後退また後退。
完全に「捉えられた」という絵。

7回、ジェルサエム粘るか、左食ってよろめき、ボディ打たれて堪えるも、間を置いて膝をつく。スリップの裁定だが、ダメージありあり。
動きが止まったジェルサエムに、コラーゾが右に回り込んで打つ場面も。
ジェルサエム、最後手を出してラウンドを終えたが、インターバルでチーフセコンドが棄権の意志表示。
コラーゾ、7戦目でのタイトル獲得となりました。



序盤はさすがにキャリアの差が出るのか、と見えた試合でしたが、徐々にコラーゾの馬力、そして闘志が、王者ジェルサエムを飲み込んでいきました。
ミニマム級離れした、というありきたりな表現になりますが、小柄なサウスポーで、ボディ攻撃の威力を軸に攻めていく迫力は、重岡優大、銀次朗兄弟にも通じるものがあります。
若干、技巧派に振ったのが重岡兄弟で、ファイターに振ったのがコラーゾ、という印象でもありますが。

遠く離れた日本とプエルトリコで、最軽量級において、同じ時代によく似たスタイルの強いボクサーがいるものだ、という劇的な要素も含め、実に興味深い新チャンピオンが誕生しました。
しかしコラーゾの方は、オスカー・デラホーヤ率いるゴールデンボーイ・プロモーションが抱えることもあり、欧米中心のボクシング観でいえば、昔日ほどの偏りはないにせよ、やはり重岡兄弟以上に「大を成す」存在と目されることでしょう。
そういう意味では、注目を集めるスターの誕生というべき試合でした。



何かと軽視する向きもあるクラスですが、こうして魅力ある試合を見せてくれるボクサーの試合に、階級の差など、さほど意味は感じません。
世界中を膨大な情報のみならず、試合映像がライブで飛び交う時代だからこそ、良いものは良い、という形で、世界的に注目されうるカードが、きっとあるはずです。


いつか、コラーゾと重岡兄弟、ないしは前王者谷口将隆や、その他の日本勢が、コラーゾとリングで相まみえる日が来てほしいものです。
確かに強敵ですが、重岡兄弟にとっても、歓迎すべきライバルの登場だったのでは、と思いますね。






この試合単体のハイライトはまだありませんので、フルカードハイライトから。
5回以降です。白いグローブの右構えがジェルサエム、薄いグレーのグローブ、サウスポーがコラーゾです。


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英国フェザー級決戦は凡戦と強烈KO IBF王者ロペス、次は阿部麗也と?

2023-05-28 21:32:04 | 海外ボクシング



ということで今日は、DAZNで二興行、他にも配信があったみたいで、またU-NEXTでもWBOクルーザー級タイトルマッチのライブ配信がありました。
ライブの無かった試合も、YouTubeで公式のハイライトやダイジェストが出ていましたし。
全部ライブで、或いは結果知らずで見ようと思えば見られたわけです。凄い時代になったものですね。



DAZNで見られたWBAフェザー級片務タイトルマッチは、計量失格の前王者マウリシオ・ララを、2回に右アッパーでダウンさせた前王者リー・ウッドがアウトボクシングに徹して判定に下し、雪辱。王座奪還。

計量失格した方のララが、さして大柄にも見えない。そして好調そうには到底見えず、最初から足が伸び加減でぎくしゃく、動きも重い。
強振するパンチも数が出ず、中盤にはボディも効かされて、という具合で、ええとこなし。
ウッドも6回にカットした影響か、慎重に闘って、倒しには行かず。
ウッド応援の場内は盛り上がっていましたが、第三者の目にはいまいち、という試合でした。








さて、ライブでは見られないが、YouTubeのダイジェストがあった、IBFフェザー級タイトルマッチ。
王者ルイス・アルベルト・ロペスが、敵地の大人気選手マイケル・コンランを痛烈なノックアウト。

判定とか、終盤決着とかなら、WOWOWの放送を待って見ようかと思ったでしょうが、5回ということで、先に見てしまおうか、と。
この辺は私の、堪え性の無いところでもあります(笑)。





結果はともかく、敵地、しかもベルファストのリングで、一切萎縮もせずに強打を振り回して攻めるロペスの闘いぶりは驚きです。
コンランは、前回の痛烈なノックアウト負け、及びそのダメージ、影響があるかどうか、この相手との闘いで結論が出るのでは、と思っていましたが、どうやら...という見方に、どうしてもなってしまいます、ね。
セコンドのタオル投入のタイミングが、全てを物語っているように思いました。


次は阿部麗也戦のはずですが、果たして場所はどこになるんでしょうかね。
アメリカ西海岸ならまだしも、メキシコなんてことになったら最悪です。
何とか日本に持ってこれないか、と思うばかりですが、この見事な勝ちっぷりが、どういう情勢の変化をもたらすのか、否か。
何とも言えないところ、です。はてさて。

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明日はフェザー級二本立て、のはずが WBA王座、ララ計量失格で空位に

2023-05-27 13:56:47 | 海外ボクシング



明日は北アイルランドのベルファスト、イングランドのマンチェスターで、世界とつくフェザー級タイトルマッチ二本立て、と思っていたら、昨今珍しくも無い計量失格がありました。






阿部麗也が挑戦権を持つIBFの方は、王者ルイス・アルベルト・ロペスと、地元の超人気選手マイケル・コンラン共にパス。
こちらは来月末頃、WOWOWで録画放送です。

しかしマンチェスターのWBAは、王者マウリシオ・ララが計量失格。挑戦者で前王者リー・ウッドが勝った場合のみタイトル獲得、変則タイトルマッチになりました。
こちらの方はDAZNで午前3時から、ライブ配信があるので、楽しみにしていたんですが。
ララはやっとタイトル獲って、ウッドとの再戦や、勝てば因縁のジョシュ・ウォーリントン戦なども待っていたわけで、今から頑張らないかんところで、こういうことになってしまう。
色々事情もあろうが、今からが肝心なのに、と。傍目には、ひどいズッコケに見えてしまいますね。




さて、明日はDAZNでもうひとつ、アレクシス・ロチャvsアンソニー・ヤング戦が午前10時から配信されますが、アンダーにWBOミニマム級タイトルマッチが入っています。






日本で谷口将隆をKOしたメルビン・ジェルサエムが、指名挑戦者オスカル・コラーゾと対戦。
日本でやる可能性もあった試合ですが、挑戦者コラーゾ陣営が入札で勝った一戦。

世界上位に長く、遂に戴冠したばかりの王者ジェルサレムと、キャリアは浅いが強打の迫力で急上昇の挑戦者コラーゾ。
いずれ日本にも絡んでくる(と、思いたい)両者の激突、要注目ですね。

試合順は、全4試合配信予定中、二試合目のよう(いわゆる「セミセミ」ですね)ですので、時間的には早めだと思われます。

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本当に決まった! クロフォードvsスペンス、7月29日に

2023-05-26 05:02:08 | 海外ボクシング



昨日も触れた「世界」ウェルター級タイトルマッチの話ですが、テレンス・クロフォード、エロール・スペンスの両者がコメントを出し、正式に決まったとのことです。
杉浦大介氏のTweet。BoxingSceneの記事です。





こちらはPBC公式のTweet。







現代のレナード、ハーンズというのは、両者無敗で、超一流同士という点で見れば、まさしくその通り。
両者のレベルの高さも、あの時代におけるレナード、ハーンズの卓越度にも迫るものがあります。
ドナルド・カリーvsミルトン・マクローリー戦よりは、僅かに上でしょうか?


少し違うのは両者の年齢、キャリアです。
選手寿命が延びている現代とはいえ、さすがに36歳と33歳は、ベテラン同士の対決、と表現せざるを得ないでしょうね。
しかし、本当にもう実現しないだろうと思っていた一戦ですが、とにかくやらずにおしまい、とならなかったことを、まずは喜びましょう。


あとは、両者ベストの状態でリングに上がってくれることを願うばかり、ですね。
もう10年近く前のフロイド・メイウェザーvsマニー・パッキャオ戦と比べると、興行規模の話をすればだいぶスケールが落ちますが、試合内容への期待は、むしろこちらの方が上です。
思えば、あのPPVビジネス、その飽和の頂点としてしか位置づけられない一戦と、その悪しき影響の影を、この10年近く、しみじみと見続けてきたような気がします。

そして、その「影」のひとつが、これまで何度も繰り返された交渉不成立、というかそれ以前の交渉さえ無し、という状況だったわけですが、今回、ようやくひとつなりとも、それが払拭された、と言っていいのではないでしょうか。



しかし、昨日の時点でもいくつか同じ意見を目にしましたが、7月下旬は25日にスティーブン・フルトンvs井上尚弥があり、そして日本時間の30日にはこの試合がある。
とんでもないことになりましたね。思わず顔がほころびます(笑)。

放送、中継はWOWOWさん(こんな時だけ「さん」がつく)がやってくださることでしょう。もちろんオンデマンドのみ、ではなくてTVの方で。
スタジオゲストに、ほとんど傷の無い顔で井上尚弥が出演、というのがベストですが(笑)はてさて、どうなりますか。色々楽しみですね!



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再戦は嫌です 長谷川穂積、女子ソフトボール最強チームに挑む

2023-05-25 05:07:58 | 長谷川穂積


海外では、遂にあのスーパーファイトが、という話でもちきりのようですが、正式な発表や、なんなら会見があるまでは取り上げたくありません(笑)。
ここまでの経緯があまりに酷すぎて、疑心暗鬼を煮詰めたような心境にあります。



そんなことで内外の注目試合が連なった週末、ひっそりと?毎度お馴染み「せやねん」長谷川穂積挑戦シリーズが放送されておりました。
前回、パルクールで輝かしい勝利を得た長谷川、勢いを得て、中学女子ソフトボール日本一のチームに挑みます。







なんか、腹立つサムネイルですね(笑)。

人呼んで「ネタ振りの鬼」こと長谷川穂積、今回も絶好調です。
助っ人に駆けつけてくれた、元阪神タイガース狩野恵輔さんも含め、本当にもう、大人の不甲斐なさを、これほど端的に見られるものは、他には無いのでは、と。

本当に、陽気な大人が二人がかりで、ちょっとバウンドの高いショートゴロが一本あっただけに過ぎんのですが。
これが「勝利」とは...わしゃもう、情けないです(笑)。



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仮想IBF王者にワンサイド 田中恒成、充実の最終回TKO勝ち

2023-05-24 05:02:20 | 中部ボクシング



日曜日は名古屋でも、スーパーフライ級の世界的タレントである田中恒成が、世界タイトル前哨戦を戦い、コロンビアのパブロ・カリージョをワンサイドに攻めて、最終回TKO勝ち。
今回はネットの有料配信は購入せず、中部(といっても隣県なので)の友人の厚意にすがり、CBCの放送を見ることが出来ました。


四階級制覇を目指す田中恒成は、ベテランのカリージョを相手に、スピードでまさって優勢のスタート。
2回は右でカリージョが少しばたつく。これはダメージなかったようですが、徐々に速いコンビネーションで切り込み、左フック好打。
3回以降もコンビネーション、右クロス、ワンツーを決め、合間に鋭いジャブを突き刺す。

ワンツーも左省略気味のコンパクトなものから、間を空けて踏み込むもの、打ち下ろしなど多彩。
4回、カリージョの右アッパーが出たと思ったら田中、ブロックして左ボディフックを返す。明らかにカリージョの手が止まる。
そこに田中、さらに左ジャブを連発して休ませず、追撃。コンパクトなワンツー、左フック。

6回以降はさらにワンサイド。上記の攻撃に左右アッパーが加わり、カリージョ懸命の反撃も奏功せず。
田中は小さい上体の振りで外し、シャープでコンパクトなコンビネーションを繰り出し、ヒット連発。
7回などはもう、いつストップに追い込めるか、という感じになっていく。
8回もワンツー中心に、半ば狙い打ちのようなヒットが重なる。

9回、カリージョそれでも粘るが、10回、少し引き寄せられた?カリージョに、田中の右カウンターが決まる。
カリージョぐらつくと、レフェリーがストップ。それまでのヒット数の多さからして、もっと早く止めたかったんだろうなあ、という印象でした。



田中とカリージョの間には、もちろん実力差はありましたが、それでもかつては世界ランカーだった(今は13位とかですが、そういうのはランカーとは言いたくない気持ちです)選手で、来日数戦して全敗とかいう、明らかな格下ではない。
井岡一翔やドニー・ニエテスに判定まで闘ったのを含め、KO負けもダウン経験もないというタフネスとモラルの高さは、見ていて感心させられるものがありました。
その相手に、攻防共に引き締まった、充実の内容で打ち勝った田中恒成、世界前哨戦としては上々の勝利だったと思います。


WBOランクの数字だけ見て、一部マスコミがWBO新王者の中谷潤人挑戦へ、という見出しの記事を出しましたが、カリージョのタイプを見れば、当然狙いはIBF王者フェルナンド・マルチネスだろう、というのは誰の目にも明らかです。
長身と短躯、ボクサーとファイター、左と右。ここまで違って、なんでこの相手選ぶか、という話ですね。

ジェルウィン・アンカハスに連勝したIBFチャンピオンのアルゼンチン人、若干小柄?で、馬力と手数が売りのファイター。
次の防衛戦、指名試合は6月24日だそうで、それに勝てば、おそらく年内に来日という運びになるのでしょう。


今回の試合で終始見られた、コンパクトなワンツー、ダブル、トリプルで出たジャブ、左ボディや左右アッパーは、仮想マルチネスとして、考え得る中で理想に近かったカリージョを圧倒していました。
次は「本物」相手に、この日よりさらに一段上の精度、密度が攻防共に求められることでしょうが、組み立ててきたボクシングの方向性は、ぴったりとマルチネスに照準が合ったものだ、と感じました。



ただ、これは以前から思っていたことですが、やっぱり田中恒成、あれだけスピードがあるのだから、もう少し「スリック」な風味付けがあっても良いかなあ、と。
外して捌いて、相手を少し苛立たせ、傍目にも少し嫌みに見えるくらいの風情、情緒があって丁度良いんではないか、と。

でも本人、ある意味では井上尚弥的な方向、とまでは言わずとも、正直というか果敢に、真っ向から打ち勝ちたい、という気持ちが強いみたいです。
それは数々のコメントや、実際の試合ぶりに、全て出ていますね。
心配込みで見ているこちらとしては、もうちょっと「立ち回る」部分があっていい、と思うんですが、なかなか傍目の、他人の思うとおりになどいかないのがボクシングであり、ボクサーなのでありましょう。それは重々わかってはいますが...。



それはさておき、年内に実現するであろう「本番」がまずは楽しみですね。
問題はTBSが手を引いたらしい今、世界タイトルマッチがどういう形で、お茶の間(笑)に届けられるのだろうか、ということです。
CBCは絶対に放送するでしょうが、他地域向けには今回同様、Locipoで有料、ということでしょうか。それで世界戦が賄えるものか、ちょっとわかりません。

それと、もしIBF新王者誕生、となれば、これも強豪と目されるジェイド・ボルネアとの一戦を見ることになるのかもしれない、というところも、気にかかりますね。
マルチネスvsボルネアは上記のとおり、6月24日、ミネソタで開催だそうです。これも要チェックです。



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正解の無いポイントゲームの世界 双方「打倒」の手前で闘い終える

2023-05-23 07:14:45 | 海外ボクシング



日曜メインについての感想ですが...この手の試合を見ると、やはり心中、相反する思いを抱くものです。
過去にも同じようなことは何度も思ったのですが...というところでした。


理屈を越えた速さで全てを無力化するデビン・ヘイニー。
かつては攻防ともに完全無欠の精密機械だったワシル・ロマチェンコ。
新旧技巧杯対決と簡単に言えばそうなります。

両者一番の違いは体格でしょうか。
もうライト級には収まらなくなりつつある、と評判のヘイニーに対し、小柄なロマチェンコは、やはり一回り小さく見える。

これは互いにセーフティーに闘うのだろう、と思ったら、実際はちょっと違いました。
互いにけっこう間を詰めているというか。

ロマチェンコは軽いが細かいコンビ。小さい振りで届く位置にすっと立ち、そこから打つ。
対するヘイニーは右のボディブローで迎え撃つ。ボディ攻撃はやはり、ロマチェンコ対策として用意されている。

テオフィモ・ロペス戦でも見えたように、ロマチェンコからヒットを取れるとしたらやはりボディだし、同時に体格で劣るロマチェンコにとり、数少ない弱点でもある。
中谷正義も同様の狙いをもって、ボディ狙いの勝負をして、健闘したものです。


ヘイニーは若干、受け身が過ぎるようには見える。しかしロマチェンコの細かい連打に、必ず右の上下リターンを飛ばす。
ロマチェンコのアッパーを織り込んだショート連打に、ヘイニーも右ボディ、左フックなどを当てる。

仕掛ける回数はロマチェンコの方が多い。左ショートから、右フックから、入り方は多彩。
しかしヘイニーのリターンを高い頻度で合わされてもいる。
7回の左相打ち気味の場面も、ヘイニーの左フックの方が有効。


攻防自体は、意外と言っては悪いが、互いに大きく距離で外さず、比較的間が詰まったもの。
ラウンド毎に、これはどちらにも付けようがあるなあ、と思うことが多い。
ロマチェンコのヒット、ヘイニーのリターン。有効なヒットか、リターンによる相殺か。
テレビの映像で、どちらかに決めるにも限界がある。言えば正解の無い判定になるのだろうな、と。

場面毎に切り取れば、互いの巧さは出ていたのだろうと思います。
ロマチェンコが小柄ながら、仕掛けの回数でまさり、彼なりに果敢さを見せていました。
アッパーを織り込んだ風車のような連打は、終盤さらに回数が増えていきます。

11回は左ボディストレートから右フック返しで攻め込み、ボディ打ちで抑えました。
終盤になってなおボディを狙って、強敵を倒すのが、ロマチェンコのパターンでもあります。

またヘイニーの迎え撃ちも速く、タイミングも際どいものでした。
7回の左フック、9回の右ストレート、いずれのカウンター、リターンも、普通の相手ならまともに入って、好機に繋がったかもしれません。

終盤は上記の通り、ボディ攻撃のロマチェンコに対し、強敵相手だと終盤の失速が課題としてあったヘイニーが弱味を見せた感じ。
試合が終わり、判定は3-0でヘイニーとなりました。



場内はウクライナ贔屓もあって?不満のブーイングもありました。
しかし私は、それとはまた違った不満を持っていました。

どちらが勝ちでも良いけれど、そして双方、思った以上に、彼らなりに密度の濃い攻防を見せてくれたけども、互いに勝敗を明らかにするほどに打ち込み、捉えたわけではない。
11回はロマチェンコにとり、その端緒くらいではあったかもしれないが、それ以外は均衡が崩れることなど無かったように見えました。

そして両者、言えば正解の無いポイントゲームの世界に没入するのみ。
判定というものは結局、自分の手を離れるものでしかないのに、自分の手で「正解」たる「打倒」を目指す意志がない。
その「手前」での闘いが終始続いた。そんな試合でした。


試合後、もちろん勝った方は喜び、負けた方は不服そうでした。
しかし、世界ライト級の最高峰を争奪する、ふたりの超一流選手に対して失礼かもしれませんが、傍目のファンとしては、どちらにも感情移入することが出来ませんでした。

言えば通好みな試合だったし、闘い方や目指す勝利の形は人それぞれ、とわかってはいます。
とはいえ、この試合が終わって、本当に白黒、決着がついたと言えるのだろうか、という思いが消えません。
ポイントゲームの妙味を否定するわけではないですが、両者ともに、自らの手で「正解」をたぐり寄せる意志を、もう少し実際の闘いぶりにおいて、違った形で見せられないものか?
そこに、非常に物足りなさを感じました。


レベルの高い試合だったとは思います。
しかし、この試合を名勝負と言って、諸手を挙げて称えるほど、自分は出来の良いボクシングマニアではないのだな、と改めて思った次第です、ハイ。



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不屈の闘志を断ち切った「芯」の強さ 中谷潤人、最高のベガス・デビュー 

2023-05-22 00:03:35 | 海外ボクシング



ここのところライブ観戦三昧の週末が続きますが、今日も今日とて朝から全部で5試合観戦。
DAZNでは女子のビッグマッチがあったようですし、とてもじゃないが追いつきません。えらいことになってます。


しかしとりあえず、一番最初の試合が本日のメインイベントでありました。
中谷潤人、アンドリュー・モロニーを三度倒しての12回KO勝ち。
試合前は色々心配というか、相手の総合的なレベルの高さに、転級二戦目の中谷が、初登場となるベガスのリングで直面する試合、これは容易ならざる試合になろう、と想像していました。



しかし試合が始まると、巧みに左サイド(中谷の右サイド)に動くアンドリュー・モロニーを、相手の読み以上に長く、広角な左ストレートで「追尾」。
相手はもちろん傍目に見ているこちらの想定を越えた「射程」の長さ、広さを発揮する。

モロニー、早々に左サイドからの「ルート」を諦め、セコンド曰く「オージーフットボールのように」激しくチャージ。距離を詰めて揉み合いに持ち込み、ショートで攻める。
しかし、外見と違ってショートの攻防も苦にしない中谷の左右アッパー、共にダブル、トリプルの迎え撃ちが待っている。

中谷、スーパーフライ級二戦目で、コンディションは良好。フランシスコ・ロドリゲス戦のような立ち後れもなく、早々にペース掌握。
2回、左アッパーのダブルから右アッパーへ繋げ、モロニーをダウンさせる。
立ったモロニー、前に出て間を詰め、保たせようとするが、中谷左右アッパー連打。間が空けばボディも打ち、くっつこうとしても上に返ってくる。


この感じは中盤くらいにストップ出来るプロセスかな、と見えたのですが、3回に嫌なアクシデント。
モロニーの頭が当たり、中谷が眉間をカット。傷は小さいが浅くはないか。出血はかなり。
しかし中谷、動じず再開後も、左ストレートを捨てての右アッパー。速いワンツーも伸びる。

4回、この回終われば試合成立、中谷どう構えるか。傷を気にして引けばモロニーはつけ込んで攻めてくる。
さりとて自分から出て、傷が開くのも困る。さじ加減が難しい。
この回、いったん中継映像止まる。20秒以上か。今日の録画放送では「修正」がかかる?
見られた範囲では、中谷が右ジャブを増やして、要所で左ストレートやアッパーを当てて終えた感じ。


5回、モロニーはロングの距離では手詰まり、行くしかない感じ。中谷、左アッパー、右アッパーダブル、カウンター、最後左フック。
この最後の左フックは、フィニッシュのパンチと同じ打ち方、でした。

6回、中谷の左フックとアッパーの間に、モロニーが左フックを滑り込ませてくる。浅いがヒット。
劣勢続きだが、こういう違った狙いも持ちつつ、出てくる。油断ならない。やはり総合力が高い。
この回、モロニーはスイッチ、右ショート、戻してまた攻める。中谷はロープを背負う場面あり。ポイントはモロニーに行ったかも。
7回もモロニーが圧して出る。揉み合いも増える。モロニー右ボディ好打。中谷その前後に左右アッパー。
手数減り気味ではあるが踏ん張る中谷、ロープを背負った位置から回り込んで打ち合いに。
この回最後、両者少し睨み合う。


8回、中谷長いワンツー、左ストレート当てる。モロニー、揉み合いに持ち込む前に叩かれている。
この回終盤、また頭が当たったか、中谷出血が見える。
しかし逆に言えば、3回以降ここまで、見ていてあまり血が気にならなかったのは、やはりルディ・エルナンデスの腕、ということか。

9回、モロニー肩からぶつかるように出てくる。しかし中谷、小さい足捌きで回り、左右アッパー決める。
中盤、中谷がアッパーをインサイド、フックをアウトサイドから連打。「捉えた」という表現にかなり近づく。
モロニー下がるが、なんとか中間距離で打ち合い。モロニーまた左フック狙うが当たらず。
10回、中谷は右フック引っかけ、回り、ワンツーという、割とベタなサウスポーの技も見せる。この回はスイッチも。
モロニー、ダメージと疲弊を抱え、思うように入れないが、奮闘続ける。


11回、中谷の右リードが余裕を持って伸びる。ワンツーが自然と続く。ややクロス気味のワンツーが入り、直後、少し右を省略気味のタイミングに変え、より真っ直ぐな軌道の左ストレートが入ると、モロニーが後方へダウン。
12回、中谷、スイッチして右を叩く。モロニーなおも出るが、左右アッパーで脅かし、間合いが出来たところで、中谷が身体を右へ傾けながらの左フック。
肩でかつぐような打ち方で、まともにモロニーの顔面を捉えた。モロニー昏倒、レフェリーが即、KOを宣しました。




終わって見れば、ものの見事な、これ以上無いほど鮮烈な印象を残す、衝撃のベガス・デビューとなりました。
しかしその過程をつぶさに見れば、やはり想像していたとおり、容易ならざる試合だった、とも思います。


アンドリュー・モロニーの総合力、そしてモラルの高さは元々わかっていたことです。
そこに加えて、兄ジェイソンと共に戴冠を目指すモチベーションが加わっていた。
初のベガス登場となる中谷に対し、オージーのモロニーはベガスを準ホームリングのように闘ってきた選手でもある。
そして115ポンド級二戦目の中谷に対し...と、並べれば不安というか、マイナス要素はいくらでもありました。


いかに中谷潤人が逸材であり、心身共に「芯」の強さ、強靱さを併せ持つテクニシャンだと知ってはいても、やはり世界の目から見れば、この試合において、彼が様々に試され、問われることになる。
その答えがいかなるものか、期待と不安半ばする心境で見ていたところ、序盤から好スタートを切って、これなら安心と思ったら、バッティングで出血。


普通なら、好スタートで快勝へ、という流れが途切れた試合を、まずはつつがなく結果を出す試合にせねば、と切り換えて、その通りに勝つだけでも、なかなかの難事だと思います。
しかし中谷はそれに収まらず、いつも通りの巧さ、強さを十全に発揮し、モロニーの不屈の闘志を、最後には断ち切ってみせました。
今回の試合は、中谷潤人にとり、単に巧い強い、快勝だった、というだけではなかった。
不利な状況ともなり得る要因をものともせず、アクシデントも平然と撥ねのけた、中谷潤人の確かさが見られたことに、ファンとしてさらなる喜びがあった。そんな試合でした。



ESPNのPPV枠内には入らなかった試合でしたが、意外に客席は盛況でしたし、元々記者や評論家筋では知られていた中谷の素質、そして実力が、誰もが認める実力者モロニー相手に存分に出たわけで、おそらく世界的な注目度、知名度は飛躍的に上昇するでしょう。
もう、国内の興行事情を飛び越えたところで、世界の軽量級シーンを賑わす、中心人物のひとりとして、檜舞台に躍り出た、というところでしょうか。
今後がますます楽しみですね。














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上々の再起とはいかず 京口紘人、格下フィリピン人に大差判定勝ち

2023-05-21 07:06:12 | 関東ボクシング


もうすぐベガスからの試合が始まりますが、昨夜のBoxingRaise、無料ライブ配信の感想を簡単に。



京口紘人は、来日3敗というローランド・ジェイ・ビエンディーマに大差の判定勝ち。
途中で拳を傷めたそうで、なるほど厳しく詰めて倒しに行く、という感じは最後まで見られませんでした。

初黒星からの再起、及びフライ級転向初戦ということはあるにせよ、見ていて奇異なほどに、好打しても追撃しようとしない。
いくらなんでもこの出来では今後に不安あり、と見ていましたが、そういうことならば、と納得はしました。

ただ、傷めたのは5回とかいう話が事実なら、これは序盤の数ラウンドを「いろいろ試したい」的な発想で過ごしたが故に招いた事態、でもあります。

はっきりいって、三階級目でも世界を目指すという選手であれば、序盤のうちに倒してほしいレベルの相手でした。
でも、立ち上がりの様子を見て、そういう試合にはならないし、そうする意志がおそらくないのだろうな、とわかりました。

まあ、色々考え方はあるし、見る側の受け止め方も様々でしょう。
しかし、この相手に長いラウンドを闘って得られるものより、早々に仕留める厳しさを示すことの方が、はるかに大事だ、というのが私の見方です。
その意味では、上々の再起戦とはとても言えない試合でした。





井上尚弥4団体統一記念、モンスタートーナメントは三試合が行われました。
この日出た6選手の中で、最も光ったのは帝拳の増田陸。キャリア三戦目ですが、元全日本新人王、ユース王者の経歴を持つ富施郁哉を2度ダウンさせて7回、TKO勝ち。

サウスポー対決も一切苦にせず、ガードをしっかり立てて右リード、左ストレートを繰り出して、同じ構えからアッパーも飛ばす。
攻防共にコンパクトな動作で収め、落ち着き払った様子で圧して出て、キャリアでまさる富施の抵抗も最後は封じて、ストップに持ち込んだ闘いぶりは、安定感と迫力を兼ね備えたもので、とても三戦目の選手とは思えませんでした。


ただ、ここまで二試合、タイと韓国の選手に初回KO勝ちで来て、三戦目で富施相手に実力の証明をしたとはいえ、次にもう日本チャンピオン堤聖也との対戦というのは、トーナメントの抽選がそうだったから仕方ないのですが、巡り合わせが悪いというか、何かもったいない気もします。
増田が逸材だということがよくわかった後だけに、あと一年くらい後ならば、と思ってしまいますね。
もしこれで番狂わせでも起こしたら、まさに下克上というものですし、その期待も皆無だとは言いませんが...どうなりますか。



強打の若手、梅津奨利は、石川春樹に判定勝ち。
若干ラフでパワフルな梅津、スタイリッシュでシャープな石川と、対照的なふたりが、持ち味を出して、闘志をぶつけ合った好ファイトでした。
しかしどこか正直な石川に対し、梅津は強打を決めて効かせたと思ったら、無理押しに出ず、足を使って左を突くシフトに変えたりと、意外に(失礼)気の利いた闘いぶり。単に強打一辺倒ではないところを見せました。
石川も、アッパーやボディを打たれると、同じパンチでお返しするなど、意地の強さを見せて、こちらも見ていて惹かれるものあり、でした。



真正ジムのサウスポー穴口一輝は、内構拳斗に判定勝ち。
内構の堅いカードに、軽いが速いジャブ、ワンツーを通す闘い方から、徐々にヒットを重ねて行った穴口がまさった、という一戦。
内構のボディ攻撃はよく出たし、けっこう決まってもいたが、反面、かなりの数を穴口に防がれてもいました。




準決勝は8月、堤聖也が登場し、増田陸とタイトルマッチ。梅津奨利と穴口一輝が反対の山です。

技巧のスイッチヒッター、堤と、強打のサウスポー増田。
変幻自在、とはいかずとも、意外に柔軟性のある強打者、梅津と、サウスポーの技巧派、穴口。
どういう展開になるのか、面白そうなカードを続けて見られます。楽しみですね。



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