さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

年末を睨んで?始動 矢吹正道「現役続行」へ

2021-09-30 14:52:18 | 中部ボクシング




殊勲の王座奪取にもかかわらず、今後について微妙な発言もあった矢吹正道ですが、現役続行の意思を固め、トレーニング再開、とのことです。

試合翌日、どこかで見た記事では、ある年末の大イベントが実現するなら、初防衛戦がそこに組み込まれるのでは、という観測も語られていました。
もちろん、まだ正式発表はないですが、そのメインイベンターたる選手は、すでにトレーニングキャンプに入っていて、その様子が伝えられています

寺地拳四朗がわずか12日の延期で矢吹戦を闘う決断をした背景には、このイベントに出場したかったがためではないか、という推測もあるようですが...だとしたら、運命の皮肉というのかなんというのか。
もっとも、成り代わってこのイベントに矢吹が出るとしても、もし強敵相手の大きな試合だったら、準備期間はけっこうギリギリなのかもしれませんね。
先の試合、拳四朗の反撃はかなりの厳しさで、瞼の腫れのみならず、相当ダメージも負ったことでしょうから。
まあ、どんなカードになるのかも含め、詳しいことは何もわからない段階です。良い状態であれば、誰と組んでも面白いでしょうが。はてさて。



あと、昨夜、拳四朗、矢吹戦のドキュメントが関西テレビで放送されました。
その内容について、記事がありましたんでご紹介。

長谷川穂積の激励は、心底から言わずにおれなかった、ということでしょうね。
また、当の敵たる矢吹正道の言葉に込められた思いも...あれほど激しく闘った直後に、この言葉が出るんですから、ボクシングというものは...という。


勝敗はひとたび、明白に切り分けられ、それでも勝ったからといって、安穏が許されるわけではないし、敗れた方が再び起つために払わねばならぬ労苦は、当然のこと、膨大です。
しかし、それでもなお、それぞれに過酷な今後を乗り越え、この二人が再度、相まみえることがあれば、やはり、その闘いから目を離すことは出来ないでしょう。

果たして、その時が来るのかどうか。とりあえず、勝者は動き出しました。



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勅使河原弘晶、IBF「挑決」戦でベガス初登場?

2021-09-29 10:07:45 | 海外ボクシング




近年、海外リングに立つ日本人ボクサーが増えつつある流れを、コロナ渦が加速させている感ありですが、これもそのうちのひとつでしょうか。
勅使河原弘晶の、IBF挑戦者決定戦、対マーロン・タパレス戦はラスベガス開催。
11月27日に延期となったPBC興行、スティーブン・フルトンvsブランドン・フィゲロア戦のアンダーカードとのこと。


海外情報が先行するパターンで、老舗リング誌の情報。一応?つけときましたけど、まず間違いないでしょうね。
昨今の情勢もまた、これを覆して日本でどうでも、というものではあり得ないでしょうし。


勅使河原についてどう見ているか、以前の記事にも書きましたが、世界戦を「待望」するにはまだ不足あり、というところでした。
しかしIBF最上位(3位)につけていて、4位相手に挑戦者決定戦という、正当なIBFイリミネーションバウトに勝てば、指名挑戦権を厳格に認めるIBF王座挑戦が、現実のものとなります。
そんな試合が、ベガスのリングで、しかも同級の王座統一戦と同じリングとは、想像を超えた「良い話」ですね。
正直、マーロン・タパレスの現状についてよくわからないので、予想は難しいですが...。


この日のメインは、WOWOWで一週間遅れの録画放送が予定されていて、それが延期になったわけですが...急遽、オンデマンドだけでもライブ配信、という風にはならんものでしょうか。
いや、是非そうしていただきたい。WOWOWさん(こんな時だけ「さん」がつく)なら、きっと期待に応えてくれるはずです(笑)。




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「健闘」以外にも、ちらほら見えるもの 

2021-09-28 14:15:56 | 関西ボクシング





昨夜、やっと映像で見返すことが出来た、寺地拳四朗vs矢吹正道戦について、ちょこっと感想というか、追記というか。


序盤4ラウンズの採点、及び途中採点発表が、試合展開に及ぼした影響については、色々と語られています。
こちらは渋谷淳氏が Number に寄稿した記事。加藤トレーナーへの取材を中心に構成されています。


正直、私が会場で見た印象では、あってもイーブンまでで、総じて矢吹リードの印象でした。
ジャブが「当たっていた」のは確かですが、微妙な言い方ですけど、それで展開を「支配」は出来ていなかったし、矢吹の懸命な防御と反撃が印象的で、それに対して、拳四朗が大きな反応をしてしまってもいた。
ただ、確かにフルマークで矢吹、とも思わなかったですが...改めて、この辺は難しいですね。


途中採点による影響については、拳四朗が「無理」して挽回せねばなからなかった、という見方があるようです。
私は、それはちょっと安直というか...「いつもの」拳四朗なら、淡々と巻き返して、ダウンの一つも奪って、という勝ち方が狙えただろうに、と思います。
しかし、自身の状態に加え、やはり矢吹の闘いぶり、そして天与の体格、リーチが、僅かずつではあるが、拳四朗の攻撃に、余計な一手間を求め、その部分が終わってみれば、紙一重で逆転には及ばず、という結果に繋がった。そう見るべきだろう、というのが、私の見方です。


そういう意味では、映像を見返してみて、特段、何かが覆った印象ではなかったのですが、終盤、バッティングによる出血だけは、ひっかかるところでした。
会場で見ていて、今、矢吹のパンチであんなに出血するのかな、これ、バッティングちゃうの、という印象でしたが、はっきり視認出来ず、アナウンスはパンチによる、というものでした。
しかし映像で見ると、かなり酷いバッティングで、しかも悪いのは、同じような体勢で、その前後にも同様のことが起こっていた、という点です。

もちろん、拳四朗の逆襲がそれだけ矢吹を脅かし、苦しめていたからこそ、矢吹が上体を折った姿勢になってしまう、という面はあるのでしょうが...しかし、それで全て説明がつくかな、これは...という印象でもありましたね。
この辺は、ちょっとマイナスの部分です。




試合後の矢吹のコメントの中には、これほどの殊勲にもかかわらず、その背景は色々と厳しいのだろうなあ、と思わせるものがありました。
そして、残念ながら、そう思えば「引退視野」の発言も、腑に落ちてしまいます。

本人がいうとおり「一番強い王者に勝った」新王者に、こんなことを思わせ、言わせてしまう日本のボクシング界は、その現実を恥じるべきだ、と思いますね。
防衛戦や統一戦、そして拳四朗との再戦について、コロナが収まれば、どんどん前向きな話が持ち上がり、本人が「どれにしようか」迷うくらいでないとウソだ、と。


しかし現実は、そういう勢いのある話はもちろん「普通」の話にも遠い、というのが実情なのかもしれません。
コロナのことを割り引いても、このあたりは所属ジムや興行力の格差が、選手の実力や試合内容を「凌駕」してしまっている。
そういう、日本ボクシング界の現実が、はしなくも見えるところです。
もちろん試合内容や採点の観点から、試合を語るのは当然ですが、こういう問題についても、敬遠することなく取り上げ、切り込んでいってほしいなあ、と思ったりも...。



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「200ポンドのロマチェンコ」1割増量で勝利 ウシク、ジョシュアを下す

2021-09-26 14:17:21 | 海外ボクシング





今日は頑張って早起き、DAZNの生中継を見ておりました。
半分寝ぼけながらセミを見て、その後けっこう時間が空いたのち、メイン開始。
上手い具合に見られました。


どの階級でもすんなり行く方が珍しい4団体統一路線ですが、ヘビー級もこの試合が「準決勝」のうちのひとつ。
クルーザー級WBSS優勝、4団体統一「200ポンドのロマチェンコ」オレクサンドル・ウシクが、「スーパー・ヘビー級のホリフィールド」と呼ぶには、今ひとつボクシングそのものが練れていない感あり、しかしアスリートとしては一級品、という風情のアンソニー・ジョシュアに挑む一戦。




立ち上がりは両者、ちょっと近い感じで相対する。ジョシュアが力ずくで出る風ではない。技術でも「渡り合おう」としているのか。
これはウシクに幸いするかも、と思った初回、軽いがウシクの左ヒット。右回りの足捌きも良い。ウシク。

2回、ジョシュアの左が出るが、ウシクは頭を動かし外す防御、そして内外から右リードで対抗。共に浅いヒットあるが、ややウシクか。
3回、ウシクはガードが高く、なのに頭が動き、足も動く。ジョシュアの右が届く位置にいるが、大半を外す。
この回、ウシクの左ショート、フックでジョシュアぐらつく。ウシクの回。
4回、ウシクの右リード。小さい右フックなどが良い。ウシク。

5回、ジョシュア巻き返したい。右から左フック返し。右のボディアッパーが続き、上へのヒットも。ジョシュアのヒット率少し上がる。ジョシュア。
6回、ウシク、少し慎重。1分半ほど見る。ワンツー当てるが、右リードに合わせてきたジョシュアの右カウンターを食う。ジョシュア。

7回、ジョシュア挽回の流れになりかけているが、ウシクがやや疲れ気味ながら奮起。手数を戻して、左、ワンツーヒット。
ジョシュア、左食って足元が乱れるが、足が引っかかっていたか。しかし、悪いところにウシクの右足を置かれているのも確か。ウシク。

8回、ジョシュアが再び抑えにかかる。強い右リードを繰り出し、プレスかけて出る。ウシク再度「見」の回か。ジョシュア。
9回、前の回に再三出たジョシュアの右を、ウシクが意識して丁寧に外している。僅かに間を取ったか?ジョシュアの左ジャブもほぼ当たらなくなる。
ジョシュアも右ヒットして連打するが、ウシクの左で少しバランス崩す。ウシク。

10回、ウシク細かい右リード繰り出す。ジョシュア、右で脅かす。ジョシュアの右目周りに腫れ、ウシク左フックで狙う?ややウシクか。
11回、終盤、疲れも見えるウシクがさらに奮戦。右リードで煽り、右アッパーから左。左右ショート連打。左ボディから上に返す。
ここにきても、防御の質を落とさず、手数出せる。感嘆するのみ。ウシク。

12回、逆転KOしか勝ち目無し、と見えるジョシュア、右当てるが、ウシクが左ダブルなどですぐお返し。
ラスト20から、ウシク左当ててジョシュアを止め、追撃の連打で猛攻。ジョシュアがロープにもたれて、ゴングに救われる。
誰の目にもわかりやすい駄目押し。ウシクの回。


さうぽん採点は、ウウウウ、ジジウジ、ウウウウ、117-111でウシク。
迷う回は10回、あと2回もか。しかしどちらを逆にしても及ばず。
公式採点もこの範囲内でウシクを支持して3-0。逆はない、という判定でした。





試合前は、単純に、12ラウンズのうち、中盤までにジョシュアのパワーショットが決まるとか、ボディ攻撃やアッパーカットで止められればジョシュア。
しかし、外して当てる集中を12ラウンズに渡って維持し、なおかつ、無いでは済まないだろうピンチを乗り切れれば、ウシクにも勝機あり。
そんな風に思いましたが、正直なところ、200ポンドで「あれだけよく動けるものやなあ」と感心していたウシクが、さらに1割増量していることや、デレック・チゾラ戦の「苦慮」ぶりなどからして、ジョシュア相手に質の高さを見せはしても...と、ウシクに悲観的な予想をしていました。


実際の試合を見ると、ジョシュアが案外「普通」に渡り合った結果、技術の差が出て、それがそのまま結果になった、という印象でした。
200ポンドのロマチェンコが、1割増量し「220ポンドのロマチェンコ」になって、どの程度動けるものか、攻防、ことに防御の質を維持出来るかと思っていましたが、想像以上にそれが出来ていて、なおかつ、集中力や闘志も、望みうる中で最高レベルのものを見せました。

変な話、体格が同一なら、ボクサーとしての質、技術の習熟度にだいぶ差がある、と見ていて、しかしその体格の差こそが、結局は無残に勝敗を切り分けるのでは、と思っていたんですが...それをほぼ完璧に埋めて見せたウシクに、まずは脱帽したい、そんな試合だったように思います。


敗れたジョシュアは、試合中、思うに任せぬ試合展開で、例えば揉み合いに持ち込んでウシクの体力を削ろうとかいうこともせず、さりとて空振りを織り込んだ強振で脅かす、という手にも出ず、割と普通に、正面から渡り合おうとした印象でした。
デレック・チゾラの闘いぶりは、まったく参考にしていないのだなぁ、と思ったりも。

そして、試合直後も、あからさまに「負けた」という感じの表情で、判定を聞いてリングを去る際も、イメージ大事なのか何なのか、さわやかな感じの振る舞いでした。
なんというのか、確かにクリーンでポジティブな、という表現にもなるんでしょうが...まともに自分のパワーをかけて打てない、当てられない展開において、もうちょっと攻め口変えるとか、力ずくに荒い攻めをするとかでもなく、結果、ウシクの防御のみならず、当てる巧さと、そこから取れる最大限の攻勢を許してしまった試合ぶりは、その振る舞いと相まって、やっぱりこの人、どこか甘いなぁ、と。

あまり言い過ぎるもの良くないのかもですが、この人、やはりボクサーというより「アスリート」なのでしょう、かね。
もちろん、それが悪いというつもりはないんですが...。



==================



さて、準決勝がひとつ終わり、来月は反対の「山」の試合があります。
フューリーとワイルダー、どっちが勝っても、ウシクと対戦となれば、なんとなくですけど、ウシクの方に肩入れしてしまいそうな、いかにもタコにもな、べたべたの「判官贔屓(=義経好き)」な私ですけど、さてすんなりそういう話の運びになるのかどうか、ですね。
マッチルーム、DAZNのラインは、どうしたってジョシュアに雪辱の機会を、と真っ先に考えるに決まってますし...ただでさえ難しい交渉が、という話の前に、なかなかそこまで辿り着かないかも、という気がします。

井上尚弥の近況などもあって、何か他人事とも思えない、4団体統一路線の話ですが、スター優遇ではなくて、とりあえず誰が一番かきちんと決めて、その人や、その人に勝った人が成り代わったら、それがスターなんだ、という、子供でもわかる理屈で、話を進めてもらいたい、のですけどね...。




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田中恒成、再起戦は石田匠と!12月11日、名古屋で

2021-09-24 15:50:23 | 中部ボクシング




スーパーフライ級で井岡一翔に敗れ、4階級制覇はならなかった田中恒成、再起戦は国内の大物と、という噂があったそうですが、今日、石田匠との対戦が発表されました



これまでは、転級する度に、比国の上位クラスから、けっこう強い相手を呼んできて、その階級でのテスト試合をこなしてきた田中恒成ですが、前回の井岡挑戦は、コロナの影響もあって海外選手の招聘、というよりそもそも興行自体が難しく、直接タイトル挑戦して敗れました。
出来れば今回のような試合をひとつやった上であれば、と傍目には思った部分でした。

それが今回、海外選手招聘は変わらず難しいものの、国内から強豪と言える相手を選んでの試合となりました。
WBA王座挑戦、IBF挑戦者決定戦は敗れたが、日本王座五度防衛、戸部洋平、江藤大喜、木村隼人、船井龍一らを破った実績を持ち、直近の試合では新鋭の石井渡士也も下した石田は、このクラスで、三冠王者の福永亮次と共に、最上位と目される選手でしょう。
これは是非見てみたいカードです。まあ、本来こういう試合がどんどん組まれるべき、ではありますが。


とはいえ、記事にもあるとおり、畑中清詞会長はコロナの状況について、厳しい見通しをしているようで、最悪、無観客の可能性もありと。
こればかりは、本当に誰も予測出来ない部分で、ウィルスがどこでどうなって広まるのか収まるのか、お釈迦様でもご存じない、の世界ですので...。
出来ればすんなり収まって、なんとか有観客で、といってほしいものです。

あと、放送はCBCによる生中継。まあこれはいつも通りですが、ネット配信も検討中、とのこと。
以前もモイセス・フエンテス戦などがネットで見られたことがありましたが、当然、こういうカードでも行われるべきだと思います。
実現を強く期待、というか要望したいところです。
万が一、最悪、無観客にでもなろうものなら、なおさら、と。


よっしゃ、ええカード決まった、名古屋行きや!と以前なら無邪気に思っていたものですが、今はあれこれと気を揉むことがあって、なんともかとも、です。
しかし、昨日の神戸の話も含め、師走もあれこれ賑やかになってきて、少し気持ちが明るくなりますね。
あとは井上尚弥の試合がどうなるか、ですね。はてさて...。





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ゴロフキンvs村田戦、神戸で開催?DAZN「承認」待ち

2021-09-23 21:57:21 | 関西ボクシング



先ほど、ボクシングマスターさんのブログにて見たんですが、以前から噂のゴロフキン、村田諒太戦は、12月28日、神戸開催で合意。
あとはDAZNの承認待ち、とあります。

毎度お馴染みマイク・コッピンガーのツイートはこちら
村田はトップランクとプロモート契約を結んでいて、しかし海外で試合する場合の、国内向け配信はDAZNで、という、対ロブ・ブラント第一戦の時から生じた「ねじれ」現象が、ここにきて、DAZNと契約しているゴロフキンとの、大一番実現への障害になっている、ということなんでしょうか?


まあそれは何とかなるのかもしれませんが、場所が驚き。神戸とは。
さいたまスーパーアリーナと、以前出てたように思いますが、コロナも第5波収束の流れが見えてきたところで、国内で目処が立つのかもしれない、と思ったら、場所が変わるんでしょうかね。
神戸の大会場というと、ワールド記念ホールくらいしか思いつきません。スタジアムなら野球もサッカーもありますが、時期も時期ですし、まず無いでしょう。

本当に神戸なら、見に行くの楽で良い、ってなものですが...どうなるんでしょうかね?




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挑戦者の「懸命」、最強王者を攻略 矢吹正道、死闘制す

2021-09-22 22:35:53 | 関西ボクシング




京都の会場から帰って参りました。
映像は来週月曜まで待たねばなりませんが、早く見返してみたい、という気持ちです。
とりあえず感想文。経過から。



初回、寺地拳四朗はいつもどおり?に左から。矢吹正道、スタート時点では若干硬い?と見えた。
しかし、すぐにロングの距離から右クロス、左から右。左ボディから入ろうとする場面も。これは外されたが。矢吹。

2回、矢吹が拳四朗のジャブを丁寧に外しているのが目につき始める。距離で外し、ガードで受け、ダックも駆使。
もちろん全部外せるわけもないが、単にリーチ差のみならず、それにかまけず、という意識付けが見える。
拳四朗が左当てて、リズムを掴む展開をかなう限り避けよう、という「方針」。

このあたり、攻撃のみならず防御の方でも高い集中...いや、矢吹らしい表現をすれば「気合い」が見えた、と言うべきか。
意外な、というと失礼ながら、想像以上に矢吹の良さを感じたポイント。

拳四朗はジャブの数を増やすが、思うようにペースを掴めない。互いにヒット応酬の後、ジャブの差し合い。矢吹、最後攻める。矢吹か?


3回、矢吹右ロングで入って左ボディも、拳四朗が足で外す。拳四朗ジャブ、ボディ攻撃。矢吹は挽回図るがミスも多い。拳四朗か。
4回、拳四朗、ジャブから右、ワンツー主体のプレス、という形「のみ」で、出入りの足が見られない。矢吹のボディ攻撃が出る。浅いが単発のヒットも。矢吹。

途中採点、38-38ひとり、残る二人がフルマークで矢吹。矢吹も楽なわけじゃないが、このリードは精神的に大きそう。

5回、矢吹がジャブから目先変えて右アッパー。拳四朗も同じパンチ返す。攻防の密度が上がってくる。
拳四朗はジャブを端緒に追撃して捉えよう、という風だが、矢吹が抵抗し、それが奏功している。
空振りもしっかり振り切るので、拳四朗がその打ち終わりを叩く、というわけにいかない場面が散見される。矢吹。

6回、両者ワンツー応酬。矢吹の左フック。矢吹はヒットのあと、ミスも多いが手を出す。印象が良い。
矢吹が右ヒット、ワンツーも。拳四朗右ボディ。矢吹。

7回、矢吹の右で、拳四朗が足取りを乱す。しかし拳四朗逆襲。ロープ際でワンツー。矢吹、首振った?それともダメージあるか?
拳四朗が追撃、矢吹下がる。矢吹左で飛び込んで反撃。激しい攻防。この日のベストラウンド...と、この時点では思いました。拳四朗。

8回、拳四朗のジャブ、ワンツーとプレスは、矢吹を苦しめてはいるが、らしくもなく単調というか、多彩さに欠ける気も。
矢吹が右フックを立て続けにヒットさせる。矢吹、ロープ際から右ヒット、拳四朗また足元が乱れる。
矢吹追撃し、打ち合いに。前の回以上のラウンド。矢吹。

9回、拳四朗が半ば捨て身、ジャブだけでなく左ボディを連発。右ボディも。
矢吹足が止まるが、苦しいながらもガードを締め、身を捻って、致命傷は避ける。
矢吹が反撃し、拳四朗後退。矢吹もバランス崩しながら右、左と、スタンス踏み換えて打つ。これが出来るのは乱戦のときにお得。
ここで拳四朗、右瞼カット。遠目にも分かる、けっこうな出血。
しかし拳四朗、ボディをまた攻め、矢吹を追い立てて右ヒット。またも打ち合い。

三連続で「今日のベストラウンド」更新の、凄い回。正直に言いますが、採点出来ませんでした。

10回、拳四朗が猛然と出て、矢吹は止まってガード、耐えて凌いで、という時間が続く。
そして、拳四朗の攻めを凌ぎきったのち、激しい逆襲。右ヒット、拳四朗が揺らぎ、後退。
矢吹も「ここで勝負」とばかり、半ば捨て身の連打を繰り返す。
致命的なクリーンヒットがあったかどうかは知らず、一方的に受け身になってしまった拳四朗を見て、レフェリーがストップしました。





この結果だけを見れば、一番最初に多くが思い浮かべるのが、拳四朗のコンディション調整について、だろうとは、容易に想像がつきます。
諸事情あってのことでしょうが、結果どうこう以前に、この12日延期という「リスケ」を、多くが疑問に思い、様々に危惧したことでしょう。
しかし、そういう状況であっても、寺地拳四朗はリングの上で、今日この時の自分自身、その全てを賭けて闘っていました。
試合後、矢吹も言及していましたが、両者の再戦があるなら、あらゆる面で「ベスト」な条件、それが前提であってほしい、とも思います。


が、今日の試合の感想を語るにあたって、それを殊更に言い募る気持ちもありません。
それは何より、矢吹正道が見せた「懸命」そのものの闘いぶりが、それを打ち消すほどに素晴らしかったからです。


長いリーチにかまけず、拳四朗の左を丁寧に外す意識付け。
ジャブや右ダイレクトのみならず、ロング、スイング、左フック、アッパー、ボディフックと、多彩すぎるほどに備えた「リード」の数々。
それをしっかり振り切ることで、相手を威嚇し、リズムを(ひとまず)切る。
好打されると、それが「劣勢」と化す前に、何か仕掛けて、「ヤマ」を作る。最低限、互角だという「絵」を見せる。

その上で、終盤になって、拳四朗が仕掛けた猛攻も、懸命に耐えて凌いでおいて、しっかり逆襲。
10回のストップ直前などは、攻める矢吹、耐える拳四朗という構図ながら、どちらも崩れ落ちる寸前、という風にさえ見えました。
それはまさしく、この両者が、ことに矢吹正道が、持てる力と技を全て振り絞っていたから、なのでしょう。



見終えて、どちらが勝って負けて、というより先に、何と凄い試合を見たものか、と感動した一戦でした。
ことに終盤へ向けての展開ときたら...数千人規模の京都市体育館、思ったよりは入ってたけど、という感じの「ロケーション」でしかないはずが、まるで井上尚弥の大会場で試合のように、歓声と悲鳴が交錯し、会場全体が「揺れて」いたようにさえ感じました。
まあこれは、私個人の勝手な興奮ゆえ、でしかないのかもしれませんが...。

しかし、本当に、何でこの試合が、満員の観衆で埋まった大会場、地上波ゴールデン生中継、という「ロケーション」を得られないのか、世の中間違っているぞ...と言いたい、そんな気持ちでもあります。
久し振りの観戦でしたが、当たりでした。見られて良かった、と心底思います。
寺地拳四朗、矢吹正道の両選手に感謝、そして拍手です。




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外して踏み込むか、遠くから先制なるか 拳四朗vs矢吹、明日激突

2021-09-21 12:43:16 | 関西ボクシング




ということで、明日は京都にて寺地拳四朗、矢吹正道戦です。
無事開催されますように...とまずは願います。


ライブ配信はカンテレドーガということで、YouTubeには長谷川穂積、そして拳四朗とは対戦、矢吹とはスパー経験がある元WBC1位にして日本王者の久田哲也が、それぞれに両者の特徴を分析する動画がアップされています。
なかなか見やすく、わかりやすく、それでいて興味深い内容になっていますので、ご紹介。











こちらは昨日、つまり試合前々日、計量前日の公式会見。
計量前日ということもあり、とくに拳四朗の方がちょっと...声に元気がないですね。矢吹の方は普通ですが。








コロナで延期とか、色々あったカードですが、試合自体の予想というか想像は、以前交渉の時点で一度、こちらにざっと書きました
長谷川、久田両氏の予想と同じで、つまりは、拳四朗が外して踏み込んで左を当てられるか、矢吹が遠くから突き放して距離を作れるか、あわよくば先制の一打を決められるか、というところでしょう。

矢吹にすれば絶対、リーチを生かして抑える回、ないしは時間帯を作りたいはずで、もしその展開を維持出来なくなれば、そこでまた違う攻め手を繰り出す、という構えなのだと思います。
そこでは左右にスイッチしながら、強いアッパーカット、ボディブローを組み込んだ連打攻撃も出したいところでしょう。

拳四朗が全部先手で抑えていく流れになれば苦しいでしょうが、矢吹にも拳四朗を苦しめうる武器が、確実にあります。
どちらが持てる力を出せるか、両者のコンディションにも左右されるわけですが...はてさて、ですね。


ということで、明日は京都で観戦です。
観戦記は当然書くつもりですが、明後日以降になるかもしれません。
しかし平日、京都、いつもの会場とは別のところで、第一試合午後4時開始はなかなか...まあ、これもご時世故、仕方ないのですが。







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頂に立とうとする意志と意志 レナード、ハーンズ戦から40年

2021-09-19 08:10:40 | 海外ボクシング




トップランクの公式動画に、この試合の動画が上がっていまして、何だろうと思ったら、40周年記念ということでした。
あらー、もうそんなになるんやなあ、と...。







画質抜群、と今の目には映りません。リマスターとか出来んのかな、と思ったりはしますが...。
しかし見る分には充分かと。

当時はTV東京で放送(当日ディレイだったとか)で、私は後日、VHSを買って見たんですが、けっこうなお値段だった記憶あり。
もっとも、某世界チャンピオンの父君に聞いた話だと、息子に見せるために8ミリテープを買ったときのお値段は、2万円也、だったとか。
隔世の感あり、としか言えません。


しかし誰もが知るとおり、言ってしまえばコレ見ときゃ、他の何を見ずにいても問題無い、というか、ホンマのホンマに世界の最高峰、至高の一戦だったからこそ、それくらい張り込んででも見よう、という気になっておかしくもない。そういう試合でした。


こんなカード、今ならなかなか実現しなかったりするんでしょうが...言うて悪いが、この時の、このご両所には及ばぬレベルの選手同士が、あれやこれやとあって、すんなり対戦しなかったり、やっても盛りをとうに過ぎていたりする事例を見るたびに、色々あるから仕方ない、と諦める心の片隅で「馬鹿じゃなかろか」と思っていたりもします。

それはやはり、この試合...真の頂点に立とうとするが故に、強敵との闘いに挑む意志と意志の激突こそが、至高の「ボクシング」である、ということをまざまざと見せられた感動、その記憶あらばこそ、なんでしょうね、きっと。



この動画は過去にも数限りなく、YouTubeにアップされていましたし、拙ブログでも何度か貼ったことがありますが、今回は天下晴れて?公式ですし、改めて。
万一、まだ見たことない、という方がおられましたら、是非ご覧ください。見ないと損です(笑)。いやホンマに。



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日本のトップが世界のホープに挑む 井上岳志、ティム・チュー戦実現か

2021-09-18 11:58:59 | 海外ボクシング


日本のスーパーウェルター級ナンバーワン、と目される井上岳志が、世界的に注目されるホープ、ティム・チューと対戦へ、という記事。
まだ正式発表ではないですが、チュー自身がSNSで発信したとのことです。


同じOPBF圏内、ということもあるのでしょうが、このクラスで次期世界王者かと目される世界的ホープに、日本の王者クラスが対戦相手として選ばれるというのは、滅多にないことだ、と言えるでしょう。
それを可能にしたのは、やはり井上岳志が国内上位を総なめ(後に台頭した松永宏信を除く)にしたのみならず、米国遠征してWBO王者ハイメ・ムンギアに挑み、なおかつ倒されず奮戦した、という実績があればこそ、です。


一昔前なら淡々と、日本やOPBFの防衛戦を淡々と繰り返すだけで、その先、その上の試合のために特別な労力を費やさない、というパターンの、マネジメントと呼ぶに値しない「安穏」が横行していたものです。
いや、一昔前、とは言えませんか。ライト級の某有力長身選手の例などもありますしね。

しかし、先日横浜光の松永、坂井祥紀メキシコ遠征の件などを見てもわかるとおり、重いクラスの選手に、日本やアジアの枠を越えた活動の機会、つまりさらなる飛躍の機会を与えるために、興行権益を捨てた上に、多大な労を費やすジムも出てきています。
少し前ならチャーリー太田、荒川仁人、淵上誠らをチャーロ弟、フィゲロア、ゴロフキンと闘わせた八王子中屋ジムですが、前述の横浜光、そしてワールドスポーツなども、その流れに追随していると見えます。


もちろん、華々しい結果に恵まれているわけではないですが、一方、内容的には健闘と言えるものも多く、少なくとも「滅多なこと」にはならん、と概ね言える、ボクサー自身の奮戦があればこそ、の話です。
井上岳志には、ムンギア戦というひとつの「結果」がありますが、それ以降、少し模索の跡が見えた試合も含め4連勝、コロナによるブランクは残念ですが、再び「世界」が舞台、と言って良い試合で、持てる力を出し切ってほしい、と期待します。


ティム・チュー、直近の試合ではちょっと丁寧さが失せて、雑にも見えましたが、パワーはさらに増していて、もうミドル級の身体かも、という印象でもあり。
井上岳志も打ち合い辞さず、でファイター同士の激しい試合になることでしょうが、あの様子だと、まともにやりあって大丈夫かなあ、と思います。
ただ、「打ち合う」と言っても色々ありますし...良い「回り」を見つけて、攻略してほしいものですね。



試合の日時は11月17日、と出ています。水曜日です。日本と豪州、時差はないですが、これをライブで見る方法があるものかどうか。
さすがにWOWOWさんも難しかろう、という感じですね。後日放送は期待出来るにしても。

しかし、その昔、日本ライト級王者の大友巌が、豪州の世界ランカー、レスター・エリスと闘ったときは、試合映像を見られることなど、一切期待もしなかったものですが...そういう意味では、良い時代にはなりましたね。



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